こんにちは、ピッコです。
「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。
今回は52話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
52話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 中級侍女④
ジャンヌの計画はこうだった。
(シアナは食材管理室を担当している。そんなシアナが抜け出せない途方もないミスが何だと思う?)
ちゃんと食材を管理できないんだよ!
暗い夜、ジャンヌはそっと倉庫に入って来た。
倉庫の食器棚はあらゆる食料品でいっぱいだ。
今すぐ明日に使うものだった。
ジャンヌはそれらを見つめながら考える。
(最初は火を点けてしまおうかと思ったが・・・)
ここが全部燃えてしまえば、シアナは抜き差しもできず、大きな罰を受けるはず。
あるいは首が切れるかも。
そこまで考えが届くと、ジャンヌはその計画を止めた。
(いくらなんでも、それは酷いじゃないか。事が大きくなりすぎるのも怖いし)
いずれにせよ、ジャンヌはまだ皇居に入ったばかりの新米だった。
そんな恐ろしいことをするような度胸はない。
その代わり、ジャンヌは別の方法を選んだ。
ジャンヌは懐の中のポケットを見る。
チュー。
ポケットの中で小さな泣き声が聞こえた。
「うぅ、気持ち悪い」
ジャンヌはひとい顔でポケットの紐をほどいて床に置く。
すぐにポケットの中から小さなネズミが飛び出し始めた。
一匹、二匹、三匹・・・。
ジャンヌはその姿を見て口元を上げる。
「何日か飢えたやつらだから、ものすごく食べてくれるよ」
小麦粉であれチーズであれ果物であれだ。
明日の朝、ここのドアを開けたときには食料品の半分がなくなっているだろう。
そして、それは全てここをきちんと管理できなかったシアナのせいだ。
太陽も昇らない夜明け、シアナはかろうじて目を覚ました。
「うわぁ、眠い」
食材管理室で働いてからまだ一週間なのに、すごく疲れた。
新しい場所、新しい仕事、新しい人々。
すべてが不慣れだったからだ。
「しかも昨日はいつもより遅く寝たからもっと大変だよ」
食材管理室の特性上、早朝から作業をしなければならないため、シアナはできるだけ早く寝たりした。
ところが昨日はそうすることができなかった。
厨房を管理する侍女のオームが自分を呼んだからだ。
オームは最初からシアナが好きではなかった。
仕事をどうすべきかについての助けも一切与えないほど。
そんな人が何の事で私を呼ぶの?
シアナはオームのところに行き、首をかしげる。
オームは冷ややかな顔で一言言った。
「あなた、残った食料品を下の侍女たちと分けて食べるんだって?」
「その通りですが」
それが何の問題かというように、瞬きをするシアナに向かって、オームは顔をしかめながら言葉を並べる。
「空気を読んで。あなたは下の侍女たちに優しいふりをしたくてそんなことをするのだろう。ところが、あなたのその行動が他の中級侍女たちには非常に気になると」
シアナはオームの言うことをすぐに理解した。
余計なことをして論議を起こさないでほしいということだ。
しかし、オウムが一つ知らないことがあった。
シアナは優しいふりをするわけでもなく、自分がした行動が他の中級侍女にどのように見えるかも知れないほど鈍くもない。
それでもシアナがそのような行動をした理由があった。
シアナには確固たる信念が一つある。
目上の人には丁寧に。
目下の者には確実に。
きちんと仕事をさせて、きちんと面倒を見てあげよう。
シアナは続けた。
「私の指示に従って一生懸命働く侍女たちに私が与えられる最大の補償を与えるだけです。それが問題になりますか?」
オームは慌てた。
自分が一言言えば、シアナが肩をすくめて悪かったと言うと思ったからだ。
オームはどもりながら言った。
「と、当然問題になる。そんなによくしてくれると下級侍女たちが中級侍女を甘く考えるようになるんだよ!そうしているうちに、仕事も頑張らなくなって」
「そんなことないですよ。私が食べ物を用意してから下級侍女たちの効率が上がりました。確認してみたら分かると思います」
あまりにも断固たる返事に口をぎゅっとつぐんだ。
(いや、このまま引き下がるわけにはいかない!この豆くらいの子に負けるわけにはいかない!)
オームはじりじりと目を輝かせる。
「その後、私をつかまえてあれこれ話を並べた。おかげさまで昨日は4時間しか寝れなかった」
シアナはあくびをして立ち上がった。
水に濡らしたタオルで顔を洗い、髪を整えた後、濃い緑色の制服を着て、その上にはエプロンをかける。
「準備完了!」
シアナは部屋を出た。
ちょうど日が昇り始める青黒い空が見えた。
慌ただしく歩いていると、向こうから来る下級の女中が何人か見えた。
「おはようございます、シアナ様」
シアナも首を上げて挨拶を受ける。
「みんな勤務時間より早く来たね」
「シアナさんがまた何のプレゼントをくれるか分からないじゃないですか」
ドライフルーツとか、もちもちしたジャーキーみたいなもの。
下の侍女たちは、甘い報酬を期待してニヤニヤした。
「少しでも早く来ればいいじゃないですか」
「朝はやることが多いですからね」
彼女たちの言う通りだ。
食材管理室は夜明けが一番忙しかった。
朝食の準備をする前に、城の各厨房に食料品を送らなければならなかったためだ。
「でも、いくつかは昨夜にあらかじめ整理しておいたから、仕事がちょっと楽になるだろう」
シアナの言葉に下の侍女たちは頭を下げる。
「前日に前もって作業をしておくので、確かにいいと思います。朝は大変でもないし、物をもう一度確認できるからミスもしないことになります」
「そうです。材料を少しでも間違って送ると、厨房の侍女たちにひどく怒られましたが、最近はそんなことがなくていいです」
細かい言葉を交わしながら歩いていると、いつの間にか食材管理室の前に到着した。
キィッ。
ドアを開けたシアナは目を大きく開ける。
けらけらと笑っていた下女たちも話を止めた。.
下級の侍女の1人が大声で叫んだ。
「これはどういうことだ!」
きちんと整理された食料品はすべて散らかっていた。
床に乱れた小麦粉、皮が割れた卵、めちゃくちゃに混ざった果物。
下級侍女たちが驚いた顔で倉庫の中に入る。
その時だった。
「キャー!」
声を上げた侍女が青白い顔でどこかを指差す。
「ネズミ、ネズミ!ネズミがいます!」
やっと侍女たちは倉庫をこのように作った犯人の正体に気づいた。
毛がはさはさしたネズミたちが食べ物の間をかき分けていたのだ。
下級侍女たちが棒を一本ずつ手に取る。
ネズミを利用して食糧庫を荒らしたジャンヌ。
すぐに使用しなければいけない食料を、シアナはどのようにして解決するのでしょうか?