こんにちは、ピッコです。
「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

67話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 犯人は誰?⑧
グレイス皇女は侍女たちを呼び出して言った。
「昨夜から宮中がやかましい。大したことでもないのに、人々の口に上がるのは迷惑な話だ。」
グレイス皇女は目を伏せて続けた。
「何でもないことで騒ぐのはやめて、チュチュを解放するようにしなさい。」
侍女たちは驚いて目を見張った。
「しかし、公主様、今は真犯人を捕まえるべきでは・・・。根を絶たないと、またそんな面倒なことが起こるかもしれません。」
「・・・それならどうするの。食べ物が少し無くなるくらいのことよ。私にもそのくらいの余裕はあるわ。」
そのような皇女の言葉にも、侍女たちの表情は解けなかった。
皇女が宮殿の威厳を保つために努力している自分たちの苦労を無視していること、そして罪人であるチュチュを簡単に許すことに納得がいかなかったのだ。
しかし、誰も皇女の言葉を拒むことはできなかった。
主人の言葉は絶対だったからだ。
「わかりました。」
侍女たちは渋々ながらも感情を隠し、深く頭を下げた。
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チュチュの部屋の前に掛けられていた錠が解かれる。
食べ物の窃盗で疑いをかけられてから、一日も経たないうちに釈放された。
「お前への疑いが晴れたわけじゃない。皇女様が、お前を解放するよう命じられたから仕方なくこうしているだけだ。」
「もう一度食べ物を盗み食いしてみろ。その時は今回のように調査や何やらせず、すぐに監察部に通報するからな。」
扉を開けた侍女たちの目つきはまだ険しかった。
しかし、チュチュは彼女たちの反応を全く気にしていなかった。
それはグレイス皇女の召喚があったからだ。
『皇女様がどうして私を呼ばれるんだろう。食べ物の窃盗で疑われたからなのか。それともそれを理由に侍女の職を辞めさせるつもりなのかもしれない・・・』
そう考えると、どうしても不安が募る。
しばらくして、チュチュは緊張した面持ちで扉を叩いた。
「グレイス皇女様、チュチュです。」
「入りなさい。」
チュチュは慎重に扉を開けた。
中に入ったチュチュの目が大きく見開かれた。
グレイス皇女の隣にシアナが立っていたからだ。
チュチュは皇女に礼を尽くして挨拶をするのも忘れ、思わず声を上げた。
「シ、シアナ。君がここにいるなんてどういうこと?」
シアナが答える前に、グレイス皇女が口を開いた。
「良い友達を持ったのね。この子が私を訪ねてきて、頼みごとをしてきたのよ。」
実際には「取引」だったが、グレイス皇女はそれを「頼みごと」という言葉で表現した。
もし侍女と皇女の間で取引という言葉を使えば、皇女の威厳が失われてしまうためだ。
グレイス皇女は話を続けた。
「窃盗の容疑で閉じ込められている君を助けてほしいとね。」
「・・・!」
その時、チュチュは、たとえ容疑がかかっても犯人だとされることが解明され、侍女たちがなぜあれほど早く扉を開けたのかを悟った。
それは、シアナが努力したおかげだったのだ。
「・・・!」
チュチュは泣きそうな顔をした。
彼女は一息で駆け寄り、小さなシアナの体をしっかり抱きしめ、震える声で言った。
「本当にありがとう。」
「何よ。どこか怪我とかしてない?」
シアナはチュチュの様子を確認する。
侍女たちが調査と称して厳しい仕打ちをしたのではないかと心配になった。
「何言ってるの。むしろ久しぶりにゆっくり休めて良かったわ。部屋に閉じ込められていたおかげで、昨夜は久しぶりにぐっすり眠れたもの。」
チュチュのすっきりした顔を見ると、どうやら本心らしい。
正直に言うと、数日前に見たときよりも顔色が良くなっていた。
焦っていた自分の心配が消えたように感じたシアナが目を細め、いたずらっぽく言った。
「何よ。それじゃ無駄に慌てたわね」
「いいえ、それは違うわ。休むのは一日で十分。これ以上休むと筋力が落ちちゃう。どれだけ大事に鍛えた筋肉だと思ってるのよ。」
その言葉に、シアナは笑い出し、チュチュもつられて笑顔を見せた。
『本当に仲がいいわね。』
目の前でじゃれ合う二人の侍女を見つめながら、グレイス皇女は目を細めた。
和やかに友情を育む彼女たちの様子は微笑ましいものの、グレイス皇女にはこの雰囲気がどうも気に入らなかった。
『お互いを思いやる優しい侍女たち。そんな彼女たちを困らせる、ひどい皇女。』
まさに自分の役割そのものだ。
昨夜、グレイス皇女は侍女たちからその話を聞いたのだ。
[皇女様、下級侍女のチュチュが宮殿の食べ物を盗み食いしたことが発覚しました。そのため、私たちはそれを調査しています。]
グレイス皇女はなぜそんなことを気にするのかと侍女たちを止めることができなかった。
彼女が食べ物を盗み食いした真犯人であるためだ。
グレイス皇女は惨めな表情で視線をそらした。
[分かったわ。]
冷たく短い返答。
それだけに、グレイス皇女は自分の仕業が露見するのではないかという恐怖を感じていた。
『でも、だからといってチュチュをいつまでもそんな境遇に置くわけにはいかないわ。』
侍女たちを納得させるための言葉を考えつつ、できるだけ早くチュチュをその場から救い出すべきだと考えていた。
自分のせいで疑いをかけられたことに対して、慰労金として金貨でも渡しておけば済む話だった。
だが、今さらそんなことに何の意味があるのか。
『そんな言葉をわざわざ言ったところで、チュチュにとっては、罪を侍女に押し付けようとする卑劣な皇族にしか見えないだろう。』
そう思ったその時、チュチュの明るい声が響いた。
「いやはや、グレイス皇女様にもお礼申し上げます!」
「・・・?!」
いつの間にかグレイス皇女の前に近づいてきたチュチュが、目を輝かせて続けた。
「皇女様が気にかけてくださったおかげで、すぐに出られましたよ。」
グレイス皇女は目を見開き、チュチュを見つめた。
チュチュは他でもない自分のせいで盗みの疑いをかけられたことに気づいていない様子だ。
グレイスはそんなチュチュに感謝される理由などまったくなかった。
それなのに感謝とは。
グレイス皇女は眉をひそめながら言った。
「・・・わざわざそんなことを言う必要はないわ。私はあなたを閉じ込めて苦しめたくてやったわけではないのだから。」
チュチュはその言葉に驚き、跳ねるように体を震わせた。
「そんなことあるわけないじゃないですか! 侍女の方々が勘違いして私を犯人だと疑っただけで、皇女様が私を犯人と決めつけたわけではないんです。」
「・・・でも、私がこっそり食べ物を食べたことで起きたことには違いないですから。」
どうあれ、原因はグレイス皇女にある。
しかし、チュチュはそれを全く意に介していない様子で言葉を続けた。
「そもそも、この宮殿の食べ物は全部皇女様のものじゃないですか。皇女様のものを皇女様が食べただけなのに、何が問題なのかわかりませんけど。」
「・・・!」
グレイスは思わず息を飲んだ。
チュチュが食べ物をこっそり食べていたことを聞いた時のことを思い出した。








