メイドになったお姫様

メイドになったお姫様【97話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【メイドになったお姫様】まとめ こんにちは、ピッコです。 「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となって...

 




 

97話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 懸念と愛情

同じ時刻、宿舎へ戻る馬車の中でキルアンが言った。

「姉さん、宴会を無事に終えたら手伝ってくれるって言ったよね?」

弟の言葉にキャロラインは顔を上げた。

宴会場に行く前、問題ばかり起こす弟がまた何か馬鹿げたことをしでかすのではと心配で、そんな約束をしたのだった。

しかし予想通り、キルアンはキャロラインの警告を忘れて騒ぎ立てていた。

「おい、皇太子のパートナーにとんでもないことを言ったじゃないか。」

「でもその後は姉さんの言う通りにしただろう?しかもわざわざあのうるさい貴族たちに愛想まで振りまいてやったんだ。」

確かにそれも事実だった。

キルアンはもともと貴族に対して冷ややかな態度をとっていた。

貴族そのものが嫌いというより、貴族特有の偽善的な態度がどうしても我慢できなかったのだ。

『あの態度が功を奏したのかもね。』

おかげでキャロラインは何とか宴会を楽しむことができた。

子供っぽい弟ではあるが、その端正な容姿は認めざるを得ない。

口さえ閉じていれば貴族の女性たちには十分可愛がられたのだ。

キャロラインはキルアンの見た目に関する長所を認めることにした。

「よし、話を聞いてあげる。何が欲しいのか言ってごらん。」

もっとも、キャロラインはキルアンが何を望むのかについてまったく興味がなかった。

どうせシアナ公女を探す協力をしてほしいという話だろう。

しかし、キルアンは予想とは違う話を切り出した。

「今日、皇太子殿下のパートナーとして来ていたあの女性。あの人の正体を知りたい。」

キャロラインは眉をひそめた。

「まさかその方に一目惚れでもしたわけ?それで私にアピールしろって?下品な犬のように気を引こうとして。」

姉の根拠のない推測に対し、キルアンはきっぱりと言い返した。

「そんなわけないだろ!」

「じゃあ、なぜそんなことを気にするの?」

「それがどうも気になって仕方ないんだ。明らかに顔つきも雰囲気も全然違うのに、どうしてもシアナ公女が思い浮かぶんだ。」

キャロラインはめんどくさそうにため息をつきながら答えた。

「まあ、そういうこともあるかもね。でもどうせその方は、シアナ公女と同じ瞳の色と髪の色をしているだけよ。」

姿や体格まで似ているからだ。

シアナ公女が変装して他の人のように装ったのであれば、そのような姿である可能性もあるだろう。

でもそんなことはあり得ない。

シアナ公女は祖国の滅亡とともに消えた。

再起不能なら死。

少しでも再起の可能性があるなら、どこかで身元を隠して生き延びているに過ぎない。

大多数の王族が処刑されて亡くなったのと同様、公主だと知られた瞬間に捕まるだろう。

「それで、シアナ公女が他の誰でもなく皇太子のパートナーとなって宴会場で笑っていたというのか?」

小さなウサギが家族全員を飲み込んだ蛇の頭上に乗るよりも有り得ない状況だった。

キルアンもそれが分からないわけではなかった。

「それでも調べてみて。あの女性には何かがある。俺の勘がそう言っているんだ。」

「はあ、その勘か。」

キャロラインは目を擦ったが、それ以上弟を叱らなかった。

いずれにせよ、キルアンの勘が非常に鋭いということを知っていたからだ。

「とにかく、このような重要な場に皇太子のパートナーとして現れるほどの女性の正体を突き止めれば、それなりの価値があるはず。」

キャロラインは軽くため息をついた。

 



 

バラの花がテーマの宴が終わった後、皇宮の侍女たちはその日の出来事について花を咲かせた。

以前とは全く異なる姿で現れたあの日のレースの衣装に身を包み、紅い妖艶な美貌で貴族女性たちの関心を独占したミスティック商団のキルアン。

多くの噂が飛び交ったが、最も注目を集めた話題は、皇太子ラシードと彼のパートナー、ローズアンナの存在だった。

「皇太子殿下にあのような方がいらっしゃるなんて、本当に驚きましたね。」

「お二人、本当にお似合いでしたね。やはり婚約関係にある方なのでしょうか?」

「それは違うと思うわ。私が飲み物を運んでいたとき、偶然お話が聞こえたんだけど、貴族の方がその女性がどんな間柄なのか尋ねても、殿下はただ微笑むだけだったみたいよ。」

「ええ、そうなの?」

侍女たちはキャッと足を揃えて騒いだ。

「貴族たちですら知らないということは、帝国の貴族ではないんじゃない?」

「それなら外国の姫君とか?」

「そうでしょうね。少なくともそれくらいの方でなければ、殿下と特別な関係になることなんてできないでしょ?」

「もしかして、その方は殿下が征服した王国の王女なのかもしれないわ。自分の両親や国、民を滅ぼした侵略者と目が合った瞬間、恋に落ちたのよ。だから身分を明かせないのよ!」

「キャー! すごくロマンチック!」

侍女たちはまた足を揃えて軽く跳ねた。

「—だそうですよ。」

「ふふっ、やっぱり私たちのシアナ様ですね!」

ニニとナナは興奮した顔で話した。

アリスも同じ表情で微笑みながら軽く頷いた。

「そうよね、そうよ。そんなことは言わずにはいられないわ。あの日のシアナ様は本当に美しかったわ。まるで薔薇の妖精が現れたかのようだったもの。」

頷き合うニニ、ナナ、そしてアリス。

彼女たちは目を合わせて笑い合いながら微笑んだ。

その一方で、シアナは居心地の悪そうな表情を浮かべて座っていた。

『思った以上に薔薇の宴会の影響力がすごいわね。』

もちろん、ある程度は計画的なものだった。

シアナは自分を最大限美しく見せるために準備を整え、最も効果的なタイミングで現れることを計算していた。

結果は大成功だった。

しかし、今のシアナからは、その夜多くの人々を驚かせたあの姿は全く見えなかった。

化粧一つしていない清らかな顔、しっかりと結い上げた髪。

装飾のない深緑色の制服。

ただの一人のひっそりとした侍女がいるだけで、あの夜現れた美しい女性を見ることは二度とないだろう。

それでも薔薇の夜会の話題は尽きず、人々の関心は非常に高かった。

アリスは目を輝かせながら言った。

「グレイスお姉様が言ってたけど、侍女たちだけじゃなくて、貴族たちもその夜のシアナ、いやローズアンナ様にすごく興味を持ってるんですって。会った貴族たちがみんなグレイスお姉様に彼女のことを尋ねていたらしいわ。」

もちろんグレイスには何も知ることがなく、答えようがなかったのだ。

アリスが笑顔を浮かべ、顔を赤らめながら言った。

「お姉様がそのことを言った時、どれほど口がむずむずしたか分からないわ。『皆さん、薔薇の夜会で現れたあの美しくて愛らしく堂々とした女性は、私の侍女シアナです!』って叫びたくて仕方がなかったの。」

「本当にそんなことをおっしゃるつもりですか?」

困惑した表情を浮かべたシアナを見て、アリスが続けた。

「だって!ローズアンナがシアナだってことは、絶対知られてはいけないでしょう!」

人々がこれほど過剰な関心を寄せる理由は、単にローズアンナが美しかったからではなかった。

彼女が次期皇位継承者である皇太子の最も近い位置にいる特別な存在だったからだ。

そのような存在が実は侍女のシアナであると知られたら良い結果にはならないことを、幼いアリスですら理解していた。

ニニがシアナを安心させるように言った。

「心配しないでください、シアナ様。私がこう見えても口は堅いんです。大げさに言うなら、私が8歳の時に歯に詰まった汚れを取り除いたことも言ったことがありませんよ。」

ナナも同調した。

「私もそうですよ。ニニが片想いしていた男の子の前で告白しようとして窓から逃げたのを見ましたが、それも誰にも言ったことがありません。」

真剣な顔で信頼をアピールする二人に、シアナは呆れたように笑った。

「ははは。」

実際、彼女はそれほど深刻に心配しているわけではなかった。

三人がこんな風に冗談のようなことを言っても、絶対に他人には言わないだろうと信じていたからだ。

『軽々しく見えるけど、重要な場面ではしっかり秘密を守る人たちだからね。』

その三人を除けば、ローズアンナの正体を知っているのはラシードとその従者の騎士ソルだけだった。

その二人から秘密が漏れることはなかった。

『それなら、私の足跡をたどることができるのは、あの夜私が着ていたドレスや装飾品くらいだけれど……それも簡単ではないはず。』

シアナがドレスと宝石を合わせた店は、帝国で最も有名な秘密保持の店だった。

そこは、たとえ皇帝が剣を首元に突きつけても顧客の情報を絶対に漏らさないことで知られている。

(もしかするとラシードの力を借りて、モブの脅迫までは乗り越えた可能性もあるが。)

さらに、シアナが当日使った馬車やマスクもラシードが準備してくれたため、どれだけ多くの人が混乱を引き起こそうと、ローズアンナの正体を知ることは不可能だった。

『けれど、一人だけ気づいた。』

シアナは目を伏せ、あの日見かけた金色の瞳の少年を思い出した。

彼はミスティック商団のキルアンだった。

『もしかして、私を知っている?』

キルアンはシアナに意味深長な言葉を投げかけた。

そしてキャロラインに引っ張られて遠くに離された後でも、ヒリヒリとした目つきでシアナを見つめていた。

まるで獲物を見つけた獣のように、執拗に。

シアナは目を伏せた。

『あの子がただ単純にローズアンナの正体を気にしているだけなら、それほど心配することはないわ。ミスティック商団の情報網がどれほど優れていても、ローズアンナについて何かを探り当てるのは無理だもの。』

しかし、それはあくまでも、今はもう存在しないローズアンナを掘り返そうとする話。

もしキルアンがローズアンナに興味を抱いているのではなく、ローズアンナの正体がシアナである可能性すら考えていないとしたら?

そして、いないはずのローズアンナではなく、シアナ自身を探しているとしたら?

『そうなったら、張り巡らせた網も資源も何の意味もなくなるわ。』

彼らがいま、皇宮にいるシアナの存在に気づけば。

シアナは眉をひそめ、軽く目を伏せて考え込んだ。

「それは困ったわね……」

 



 

ミスティック商団のキャロラインは、高級ホテルの豪華なソファに身を預けていた。

キャロラインはオレンジ色の髪をかき上げながら、神経質な口調で言った。

「どれだけ調査しても出てこないわ。皇太子のパートナーだったあの女性に関する手がかりなんて、まったく。」

まるで舞台から姿を消した役者のようだ。

キャロラインは、キルアンに「そろそろ諦めたほうがいい」と提案するつもりだった。

しかし、全く疲れを見せないキルアンが目を伏せて口を開いた。

「分かった。じゃあ、もうそっちは放っておいて、シアナ公主に関することを調べてくれ。」

「何だって?!」

「どうせ俺がその女を調査しようと思った理由は、シアナ公主様と関係があると思ったからだ。その女から何も得られなかったら、捨てればいい。また元に戻ってシアナ公主様を探せばそれで終わりだ。」

「お前、本当にどうしようもない奴だな!」

キャロラインは耐えられなくなり、大声で叫んだ。

「じゃあ最初からシアナ公主を探せって頼めばよかったじゃないか。何で今になって言うことを変えるんだ?今さら俺を振り回す気か?」

「分からない!だけど俺に頼みを聞いてくれるって言っただろ!だから約束守れ!」

「このバカ!」

怒り狂ったキャロラインは、両拳でキルアンの頭を挟むように押し回し始めた。

キルアンも黙っていられないとばかりにキャロラインの両頬を掴んで引っ張り返した。

そんな激しい兄妹喧嘩を止めたのは、思いがけない訪問者の存在があったからだ。

「キルアンを探して来たって?」

下僕の言葉に、キャロラインは信じられないというように目を丸くした。

そうだとしても、それはミスティック商談主の代理がキャロラインであったためだ。

商談に用がある者たちはみなキャロラインを訪ねて来るが、キルアンを名指しで探しに来る者はほとんどいなかった。

キャロラインはキルアンの首を掴み、目を細めて問い詰めた。

「お前、私に黙って外で何か馬鹿な真似でもしたの?何でお前なんかを探しに来たんだ?」

「ふん、俺に惚れたんだろう。」

キルアンはそっけない表情で言い放った。

驚いたことに、その言葉は真実だった。

キルアンは幼い狐に似た外見のおかげで、女性たちに非常に人気があった。

その中には実際にキルアンを訪ねて来る女性たちもいた。

キャロラインは呆れたような顔で吐き捨てた。

「ふん。男を相手にするときは猫のような愛嬌も賢さもないくせに。」

「全くつまらない理由でここを訪れる女性が一体誰か見てみよう。」

「どうぞご自由に。」

キルアンもまた、そんな理由で訪ねてくる女性にはこれっぽっちも興味がなかったため、あっさりと答えた。

その時、下僕に案内された客人が現れた。

その瞬間まで退屈そうな顔をしていた兄弟は、客人がフードを下ろして顔を見せた瞬間、目を丸くした。

「……!」

呆然とその客人を見つめたキルアンは、信じられない表情で口を開いた。

「シ、シアナ姫様?!」

シアナは微笑んだ。

「うん、久しぶりね、キルアン。そしてキャロラインも。」

キルアンとキャロラインは、目が飛び出しそうなほど驚いた表情でシアナを見つめ、小さな悲鳴を上げた。

特にキルアンは、正気を失ったかのようにぐらついていた。

「ま、まさか、ありえない。どうしてこんなことが……。今、私は幻覚を見ているのですか?それとも夢を見ている?」

訳の分からない言葉を口走るキルアンの唇をキャロラインが軽く叩いた。

軽い痛みを感じたキルアンは現実に戻り、はっとして叫んだ。

「シアナ姫様!」

キルアンはシアナに駆け寄り、勢いよく抱きしめようとしたが、ぎりぎりのところで思いとどまり、正気を取り戻してひざまずいた。

「姫様にご挨拶申し上げます!」

シアナは困惑した顔でキルアンを立たせた。

「挨拶はいいわ、キルアン。私はもう姫ではないのよ。」

「何をおっしゃるのですか!国が滅びたからといっても、姫様は永遠に姫様です!」

キルアンは赤くなった目でシアナを見上げ、涙をこらえるように言った。

「姫様、本当にお会いしたかったのです……。」

その瞬間のキルアンの表情は、あまりにも幼い少年のように見えた。

シアナは微笑みながら目線を落とした。

その様子を見てキャロラインが近づいてきた。

キャロラインはキルアンのようにひざまずいて礼をすることはせず、落ち着いた声で簡潔に挨拶を交わした。

「シアナ姫、一体どうしてこのような状況になったのかお聞きしたいですね。」

シアナは少し微笑み、頷いて答えた。

「そうでしょうね。私が突然訪ねてきたら、驚かれるのも無理はないわ。」

そしてシアナは、二人を探してここまで来た経緯を簡単に説明した。

王国が滅びた後、どうにか帝国の首都にたどり着き、そこでミスティック商会のキルアンとキャロラインがここにいると聞いて訪ねてきたというのだ。

キャロラインは目を細めながら眉をひそめた。

「つまり私たちに挨拶をしに来られたのですか?」

シアナは明るい笑顔を浮かべ、軽く頷いて答えた。

「キルアンが私をたくさん慕ってくれたからですよ。」

キルアンは傷ついた顔で視線を落とした。

「そうです!私が姫様を永遠にお慕いすると誓い、忠誠を尽くすと宣言したじゃないですか!」

その瞬間、キャロラインは「いつそんな話をしたの?」とでも言いたげな表情を浮かべたが、キルアンはそんな反応には全く興味を示さず話を続けた。

「だから姫様は私にとって永遠に姫様です。」

真剣な表情で話すキルアンは、慎重にシアナを見つめた。

どこから見てもシアナの姿は全く変わらないように思えた。

化粧をしていない素朴な顔立ちに、飾り気のない装飾は一つもなかった。

首都でどうやって生活していたのかは不明だが、決して贅沢を楽しんでいるわけではなさそうだ。

キルアンはシアナを仰ぎ見るようにしながら、口を開いた。

「私と一緒に来てください、姫様。心を込めてお世話します。以前のように優雅に、いえ、それ以上に快適にお過ごしいただけるよう、最善を尽くします。」

心からの懸念と愛情が込められた声だった。

願いを持ってここまで来たシアナさえ、その瞳が揺れるほど。

もちろん、キルアンの隣にいたキャロラインは全く異なる感情を抱いていた。

『本当に馬鹿げてる!生存を確認したならそれで終わりでいいのに、滅んだ国の姫をなぜ責任持たせるの?』

弟がこれ以上無茶を言い出す前にキャロラインが止めようとしたが、その前にシアナが口を開いた。

「キルアン、そんな言葉をかけてくれてありがとう。あなたの心に深い敬意と喜びを感じる。」

「では……!」

「でも、私はあなたと一緒には行かないわ。」

希望に満ちた瞳を輝かせていたキルアンの表情が、一瞬で大きな打撃を受けたように見えた。

「どうしてですか?」

「私は今の生活に満足しています。大事を成さず、静かに暮らしたいのです。それで探しに来たのでしょうけれど、もし私を探しているのなら、心配しないでください。」

柔らかな声だったが、結論はそれ以上関心を持たないでほしいという言葉だった。

キルアンはただ「はい」と答えることもできず、哀しそうな表情でシアナを見つめた。

シアナはキルアンの同行の言葉をはっきりと断り、ホテルを後にした。

キャロラインは項垂れるキルアンを足で軽く蹴った。

「何をそんなに落ち込んでいるのよ。」

「……」

「姫様は君と一緒に行くのが嫌だったのよ。君が必死で助けたいと言っても、それも拒否されたんだから。」

シアナはキルアンが提示したすべての提案をきっぱりと拒否した。

そのためキャロラインはあきれ果てていた。

「キルアンが探しに来たのが失礼なことだったらどうしようかと思ったけど、そうじゃなくてよかった。」

シアナに未練があるわけではなかったが、滅亡した王国の姫を連れていることは何の得にもならなかった。

しかしキルアンは全く別の考えをしているようだった。

彼は真剣な表情で口を開いた。

「おかしい。」

「何が。」

「わざわざ私を探しに来ておいて、自分に気を使わないでくれだなんて。」

「……」

「それに、最後まで姫が今どこにいるのかも教えてくれなかった。きっと簡単には言えない場所にいらっしゃるんだろう。」

キルアンの言葉には、何か含みを持たせた部分が感じられた。

しかし、キャロラインはそれ以上シアナに関わりたくないという様子で、目を細めて眉をひそめた。

「それで?どうするって言うの。」

「姫についてちゃんと調べてみるべきだと思う。きっと私には言えない事情があるに違いない。」

その瞬間、キャロラインは衝動的に弟の背中を蹴り飛ばしたくなる気持ちを感じた。

 



 

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