こんにちは、ピッコです。
「シンデレラを大切に育てました」を紹介させていただきます。
今回は157話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
157話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- ティーパーティーの結果
その頃、地方邸宅の食堂では、ダニエルがミルドレッドの作ったカステラを味わっていた。
正確に言うと、ミルドレッドが指示した通りにダニエルが作ったカステラだが。
「大量に作るのはちょっと難しいかもしれませんね」
ミルドレッドはダニエルの横に立ち、彼がカステラを味わう様子を見守りながら言った。
毎日手作業で泡立てなければならないので、大量生産は難しいという話だ。
大量に作るのは難しい。
ダニエルもミルドレッドの意見に同意する。
実際、ティーパーティーの日、ガシュンとウィリアムは筋肉痛で苦しんでいたのだから。
ミルドレッドはシャツの袖を肘までまくり上げているダニエルの腕筋を眺めてから、彼の顔へと視線を移す。
ガシュンとウィリアムが腕がもげるように痛いと言っていた泡立て作業を、ダニエルが行う姿は、彼女にはセクシーに見えた。
これは彼女がダニエルに惹かれているからだろうか。
それとも、セクシーさとは結局、顔や体の出来次第だからだろうか。
「ガシュンとウィリアムがなぜ腕が痛いと言っていたのか、わかりました」
ダニエルは口の中でふんわりした食感のカステラが溶けていくのを感じながら微笑み、そう言った。
このカステラは大量生産には向かない。
もし作るとすれば、それだけの人手が必要だし、それに合わせた製法も必要だ。
「王妃様に少しだけ作って送ることにしました。」
ミルドレッドは、空になった皿を差し出しているダニエルの皿を見ながら急いで言った。
どうせ彼女が作る料理はすべてダニエルの手柄にしていたのだから、そう伝えなければならない。
ダニエルは片方の眉を上げる。
ティーパーティーに王妃が出席したという話は聞いていた。
彼はフォークを置きながら言った。
「気に入ったみたいですね」
「とてもです。アイリスを招待するから連れて来いとおっしゃいましたよ」
ああ、ダニエルは王妃が何を考えてそう言ったのかがわかった気がして、微笑んだ。
お気に入りのケーキを食べ、息子が夢中になっている令嬢とももう一度話したいのだろう。
ダニエルはミルドレッドの方へ身体を向ける。
彼女が作ったケーキをどう思っているのか、聞こうとしていた。
「アイリスの点数が一番高いです」
「そうなのですか?」
ダニエルの言葉にミルドレッドの顔は一瞬明るく輝いたが、すぐに元に戻った。
そうだと思っていた。
彼女には自信があり、それに見合うだけのゲスト全員から好評を得ていたのだから。
ロレナ・クレイグのティーパーティーは格式高く素晴らしいという評価を受け、プリシラ・ムーアのティーパーティーは活気に溢れているという評価だった。
しかし、庭園で行われたプリシラのティーパーティーは、蜂の被害から逃れることができなかった。
甘いデザートとお茶の香りに引き寄せられた蜂たちが飛び交い、蜂を嫌うゲストの何人かが困惑したのだ。
一方、宴会場で開催されたロレナのティーパーティーは欠点が一つもなく、全員が素晴らしいと口を揃えたため、皆の一致した評価となった。
アイリスのティーパーティーと並ぶ得点だった。
最後の試験官である王妃が点数をつける前までは。
「王妃様は、アイリスのティーパーティーが新鮮でよかったとおっしゃっていました」
いつも格式高く華やかなティーパーティーにしか出席したことのない王妃にとって、バーンズ家の異国的なティーパーティーは新鮮で気に入ったのだろう。
ミルドレッドは気分がよくて微笑んだ。
ダニエルはミルドレッドの機嫌が良いのを見て、つられて笑う。
そして彼女に向かって体を傾けながら尋ねた。
「そのロウソクはどうやって用意したのですか?」
「ロウソク?」
「水の上にロウソクが浮いていたとか」
「ああ、あれ」
ミルドレッドはダニエルの質問にくすくす笑いながら答えた。
それほど難しいことではない。
ロウソクを短くして広く作り、水の上に浮かべただけなのだから。
彼女の説明を聞いたダニエルは眉を上げ、驚いた様子で尋ねる。
「それだけですか?」
「それだけですよ。ロウソクが薄くて広ければ水の上に浮きます。それを利用して花の形に作ったロウソクでも良かったかもしれませんね」
もちろん彼女にはそこまでの時間はなかったが。ミルドレッドの話を聞いていたダニエルは立ち上がりながら尋ねた。
「それ、売る気はありませんか?」
「ロウソクですか?」
「はい。水面に浮かぶロウソクを売るんです」
「それ、売れるでしょうか?」
これまでデザート類はこの国になかったものだから売れた。
しかしロウソクはすでに存在しているものである。
ミルドレッドの質問にダニエルは自信ありげに微笑んだ。
彼はミルドレッドが見せたロウソクが必ず売れると考えた。
特に、バーンズ家の家庭訪問ティーパーティーを真似したいと思っている今なら、なおさらだ。
「もちろんです」
ミルドレッドは疑わしそうにダニエルの提案に乗り気ではなかったが、渋々承諾した。
「売れるならいいわ」そんな風に考えたミルドレッドだったが、腰を引き寄せたダニエルが彼女の唇に軽くキスをしてこう言った。
「では、行ってきます」
突然のことで、ミルドレッドは視線をダニエルの胸から離して彼の顔をじっと見つめた。
彼に抱きしめられているおかげで、甘い香りが漂っている。
もちろんその大半は甘いカステラの香りだったが。
「え、ロウソクを売りに出かけるんですか?」
「それもあります」
ダニエルはミルドレッドを抱き寄せながら、彼女が自分にキスをしてくれるのではないかと期待しつつ言葉を続けた。
「気候のせいで、ビヌの木が十分に供給されなくなっているんです」
ビヌの木。
この国だけでなく、この大陸で作られる製品はビヌの木を利用して作られる。
そして、大陸で流通するビヌの木の80%をこの国が供給している。
ミルドレッドは何気なく聞き流していたビヌの木について興味を持った。
彼女は首を傾けながら尋ねた。
「気候のせいですって?ビヌの木がどれくらい枯れているんですか?」
被害は大きい、半分以上が枯れてしまったのだから。
しかし、ダニエルはミルドレッドが心配するのではないかと思い、詳細な説明はせず、余裕のある声でこう言った。
「この家で使う分には十分あるので、心配しなくても大丈夫です」
「でも、供給が追いつかないということは、価格が上がるということですよね?」
その通りだ。
ダニエルは彼女を抱き寄せながら言った。
「皮肉ですね。こういう状況で逆に儲けられる人がいるなんて」
ミルドレッドが作った新しいケーキと同じことだ。
買いたい人は多いが、供給できる量が少ないと価格が上がる。
しかし、ビヌとケーキは違う。
ケーキは嗜好品に過ぎないが、ビヌは生活必需品だ。
ミルドレッドの表情が暗くなった。
「ビヌ・・・」
ダニエルは彼女を優しく抱き寄せながら、慎重に彼女を見つめる。
自分の言葉が彼女の心を傷つけたのではないかと心配したからだ。
彼女の意に沿わないのだろうか。
ダニエルは、もしミルドレッドが望むなら、この事業をやめることも考えていた。
「私がお金を稼ぐのが気に入らないのですか?」
「そうではありません。私はお金は多ければ多いほど良いと思っています」
ミルドレッドはたくさんのお金を稼がなければならない。
彼女には娘が三人いるのだから。
アイリスが王子と結婚することになれば、たとえ十分でなくても恥ずかしくないレベルで結婚の準備をする必要がある。
リリーは結婚したくないと言っていたが、画家になりたいと言っていたので、彼女が死ぬときに画家として生計を立てられるだけの財産を残してやらなければならない。
そしてアシュリーは・・・。
ミルドレッドはアシュリーのことを思い出した。
あの子が何をしたいのかはまだ分からない。
しかし、二人の姉とは違い、父親が貴族ではないアシュリーがこの国で楽に暮らせるようにしてあげなければならない。
静かにやりたいことをするためには、お金が必要だ。
「でも、お金を稼ぎたいからといって、誰かが死ぬのを見たいわけじゃないんです」
ミルドレッドの言葉に、ダニエルは少し困惑した表情を浮かべる。
彼女は衛生状態が病気と関係があることを知っていた。
ビヌの価格が上がれば、最初にビヌを買うお金がない貧しい人々が病気になったり苦しむことになるだろう。
そしてそれは伝染病へと繋がるかもしれない。
「とにかく行ってきます。何かしないといけません」
ミルドレッドは依然として自分の腰を抱きしめているダニエルの胸に手を当てながら言った。
そして、つま先立ちになって彼の唇にキスをする。
「何をするつもりですか?」
求めていたキスを受けたにもかかわらず、ダニエルは不安な気持ちが消えず、その場を離れることができなかった。
ミルドレッドは依然として彼の胸に手を当てたまま、微笑んでいた。
しかし、自分の考え通りに事が進むかどうかわからず、言葉にすることができなかった。
ミルドレッドは再びつま先立ちになり、今度はダニエルの首元にキスをする。
「やってみてから教えますね」
「危険なことじゃないですよね?」
「もちろんです」
おそらく、ミルドレッドは再びダニエルにキスをしながら心の中でそう思った。
アイリスとリリーの将来像はなんとなく見えていますが、アシュリーはいまだに不明なまま。
本人がどう考えているのか気になりますね。