こんにちは、ピッコです。
「夫を味方にする方法」を紹介させていただきます。
今回は189話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
死ぬ前に読んでいた本の中の悪女ルードべキアに憑依してしまう。
前世では養子となった家族から虐待を受けていたけど、ルードべキアも同じような境遇だった…。
しかも父によって政略結婚させられた北部最高の冷血な騎士イースケは原作で自分を殺すことになる夫だった!
小説の内容をすでに知っているルードべキアは、生き延びるために夫を愛する演技をするが…
ルードベキア:ルードベキア・デ・ボルヒア。本作の主人公。愛称はルビ。
イースケ:イースケ・バン・オメルタ。ルビの結婚相手。愛称はイース。
エレニア:エレニア・バン・オメルア。イースケの妹。愛称はエレン。
フレイヤ:フレイヤ・バン・ピュリアーナ。イースケの幼馴染。
ボルヒア:教皇。ルビの父親。
チェシアレ:チェシアレ・デ・ボルヒア。長男
エンツォ:エンツォ・デ・ボルヒア。次男。
ローニャ:ルビの専属メイド
189話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 夏祭りの幻想⑦
「やっばり死ぬか」
「ねえ、そこまで自虐する必要は・・・」
「いや、やっばり死なないと。私は死んでも安いから」
慌てて王の居所に移された王妃が王宮の診察を受けている間に、王は部屋の外でむやみに散らばったまま死んでいくうめき声を流していた。
誰かが見るとこっちがかえって患者のようだと誤解する風景だったから、いつもならさっさと早く死ねと奨励したはずの彼らでさえ、この時だけは慰めるのに忙しかった。
「あそこまで嫌がるとは、やはり私は最悪だ」
「それを今知った・・・ぐらい、開ける道の水の中は分かっても人の心は分からないと言うじゃないか」
「やっぱり全部やめないと。妻の心も知らないやつがどうして国を治めることができるんだよ」
「そこまで極端に行く必要は・・・」
「最初から私のようなやつにはもったいなかった。トカゲの子に嫉妬する資格さえなかったんだ!これを機に頭を剃って森に入ってグリフィンと一緒に修練を・・・」
「落ち着けよ、なんで髪を剃るんだよ!」
北部の存亡が危うくなるその瞬間、幸いにも王宮の門を押して現れた。
それと同時に、イースケがばっと身を起こす。
まだ完全に味がついていないようだった。
「王妃は大丈夫か?」
「はい、ただ・・・」
「ただ?まだ自分の姿も見たくないとか?」
「ええ、そんなことはまだおっしゃいませんが、何かお手違いでしたら、早急にお詫びしてもよろしいかと思います」
「そ、そんなに怒ったのか・・・?」
「いいえ、喜んでいらっしゃいますが」
イースケは今度こそ正気に戻り、王宮医のニヤニヤした顔をじっと睨んだ。
その恐ろしい目つきにも屈せず曖昧な笑みを維持していた王宮医が、やがてうめき声なのか笑いなのか分からない声を流しながら言った。
「お許しください、殿下。妃殿下が妊娠しました」
「・・・え!?」
叫んだのは全員だ。
イースケはただぼんやりと瞬きをするだけだった。
どうも聞き間違えたようだ。
「早く入ってみてください」
王宮医が言葉を結ぶ前に、王はドアの後ろから風のように消えた。
「ルビー!」
ベッドの片隅に腰かけたまま、空中を眺めていたルードベキアが首をかしげた。
まさにイースケと同じくらい、魂が抜けたような表情だ。
あの藪医者,一体これのどこを見て喜ぶ姿だというのか?
イースケはわざと混迷した精神を捕らえた。
「ルビー・・・」
「イース・・・」
「大丈夫?だから・・・」
「もうすぐお母さんになるんだって」
お母さんだなんて、お母さんだなんて!
その単語がこれほど不慣れに感じられるとは誰が想像しただろうか。
よろよろと妻のそばに近づくイースケの目がガタガタともどかしい地震を起こした。
「じゃ、じゃあ、私はお父さんになるの?」
「うん、お父さんになるんです」
「お父さんになるって?パパだって、私が?」
「知っています、信じられないでしょう?なんてことか、私がお母さんだなんて・・・」
「私がパパだと・・・」
「思ったよりはるかに衝撃が大きいようですね」
「お父さんって・・・」
「でも、少しは喜んでくれますよね?」
どっかり。
崩れ落ちたイースケが、すぐ両腕でルードベキアの小さな体を包んだ。
それからもじもじした目で彼女の平べったい腹部を見下ろす。
やがて、低いうめき声が流れ出た。
「到底信じられない。この中にうちの子がいるってこと?」
うちの子。
ルードベキアは一瞬目を丸くして、すぐにかすかに微笑んだ。
「そうです、うちの子ができたんです。お腹が出るにはまだまだだけど、ちょっとみっともなくてもいじめられるよ」
「ん?もう出ていたんじゃないの?」
「・・・」
どうやらイースケは、いつの間にか、本来の憎たらしい魂を取り戻したようであった。
いつ衝撃で右往左往したかのように、その間に無邪気なふりをして目をばちばちさせる彼を、ルードベキアはしばらくじっと見つめる。
「私、まだお腹出てないんですよ!?」
「ああ、ごめん、ごめん!馬鹿な心配をしているようでいたずらをちょっとしただけで・・・」
「結構です、あっちに行ってください!いつもからかってくるし!」
「私がいつ?私はただ君がこのごろ憂鬱なようだから・・・」
「憂鬱なのではなく、ただ忙しくて疲れていただけなんですが?いや、そしてさっきのチョコレートの噴水は一体何ですか?」
「そ、それは・・・」
「それに、そういうのは一体どうして作ったんですか?まさか接待用に作ったのではないだろうし」
「いや、私が一体何のために人を喜ばせるためにそんなことをするの?君が好きだから作ったもの___」
「それであれが私のプレゼントだったんですって・・・?」
「あなた、チョコレート好きじゃん」
「・・・」
「入る度に気分がいいみたいで・・・ああ、ちくしょう。今になって見ると、私が考えてもちょっとあれだね。ごめん、そんなに嫌がるとは思わなかった」
イースケが面目ないという表情で頭を掻きながらちらちらと顔色をうかがう。
ルードベキアは食事をしながらその姿をぼんやりと眺めていた。
するとすぐにくすくす笑ってしまった。
「本当にバカみたいです」
「ああ、わかってるよ」
「でも、本当に嫌なわけではありませんでした」
「そういう配慮のほうが残酷だと、さっきあんなに吐き気までして・・・」
「あれはただつわりのようなものでした。妊娠のせいで・・・どうりで最近何が食べたいと思っても、すぐにむかむかするんです」
嘆くように微笑んだルードベキアが目を伏せてお腹に手を置いた。
なんだか不慣れなようで、とても自然に感じられる動作だ。
イースケはしばらくその様子をじっと見つめ、慎重に身をかがめて彼女を抱きしめる。
「どうして私はいつもあなたを苦しめているような気がするの?」
「いつも私に馬鹿な心配をすると言いながらあなたがこんなことをするんですか?」
「本当にバカじゃないか、私は」
「そんなにしょんぼりしないで、似合わないから。馬鹿らしくもう少し喜んでみるのはどうですか?」
「嬉しくて死にそうなのに君が大変なのは嫌だ。それに結婚記念日のプレゼントも台無しにしてしまったので面目ないと」
「台無しにしたのではないんですって。私こそ文句を言う立場ではないんですよ。あなたのプレゼントも別に適当なものを用意できなくてずっと・・・」
「もう今最高のプレゼントを下賜されたのに、どうして」
「・・・本気で言ってます?」
「本当に本気っていうか?本当にありがとう、王妃様」
頭頂部にキスが来ると同時にルードベキアが頭を上げる。
薄く青い目が驚いたウサギのように大きく開き、すぐにキラキラした笑いに変わった。
すると、細い腕が彼の首筋を強く抱きしめながらぶら下がった。
「私もありがとう」
小さいやつがこの中でお母さんをあまり苦しめてはいけないのに。
まずお母さんからこんなに小さいんだけどね・・・。
そんな思いを噛みしめながら、イースケはルードベキアの小さな背中をなでた。
二人はずっとそうしていた。
「みんな大騒ぎになりそうだね」
「きっとびっくりするでしょう。結婚記念日にこんな発表だなんて、みんな計画したものだと誤解するだろう」
「そんな誤解ならそれで面白そうだな。もっと休まなくても大丈夫?」
「当然大丈夫ですよ、病気でもなかったんですもの」
「よし、行こう」
王と王妃が仲良く宴会場に向かおうとした瞬間だった。
両手をぎゅっと握ったまま、本宮を出る2人の行く手を意外な人物が妨害する。
「殿下、ご無沙汰して申し訳ございませんが・・・」
「そうでなくても今行く・・・。何だよ、お前は一体いつ帰ってきたんだ?」
「少し前に復帰したが、それより今・・・」
「国王様!」
なんだか、青白い顔をしたアイバンが、話を続ける前に、どこからか大きな叫び声が間こえてきた。
「子爵、ここで騒ぎ立ててはいけません」
「殿下!どこにいらっしゃるんですか!」
少し遅れたとしてもそんなに遅れたわけでもなく、宴会場の人間たちが王だけが首を長くして待っているわけでもないのに、いったいどんな人物があんなに切なく王を探しているのか?
なんか、どこかで聞いたことのある声のような気もするし。
ルビーの懐妊!
結婚記念日に最高のプレゼントですね。