こんにちは、ピッコです。
「悪党たちに育てられてます!」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

10話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 新しい家族②
エタム家門では週に2回、定期的に会議が開かれていた。
エタム家門は帝国で最大規模の軍需事業を行っており、さまざまな事業を手広く運営していたため、多くの取引先が存在していた。
ゆえに毎週2回の会議を開いても、毎回議論すべき話題が山積みだった。
多様な案件や事業について議論するための場として、当然ながらエタム家門の直系所属者はもちろん、重要な役職を持つ幹部や使用人たちも参加しなければならない重要な会議だった。
会議の時間は、ミレル公爵の几帳面さが原因で針のむしろのようで、余計な騒ぎを起こさないように努め、息を殺して座っているしかない雰囲気だった。
そして最近、その会議で奇行とも言える行動が起きていた。
「お嬢様、ちょっとこれをやってみてください。」
「あー、はいっ!」
エルノー・エタムの言葉に返答し、驚いて言葉を詰まらせた私は、プリンが崩れるようにその場で身体を震わせた。
「味はあるけど……」
視線が痛い。
私は周囲から感じる視線に目をつぶり、口をもごもごと動かすしかなかった。
しかし諦めることはできなかった。
私がエルノー・エタムの娘として振る舞う理由は、まさに彼らの裏をかくためではないだろうか。
「エルノー・エタム、一体何をやらかしているのだ!」
エルノー・エタムの奇行は一日二日で終わるものではない。
そのため、ミレル公爵はそれを無視しようと努めていた。
特に昨年、彼の行動にひどく振り回されて以降はなおさらだ。
数日前にもエルノー・エタムが腕に大量の菓子を抱えて現れたのを見た時、目を見開きながらも、口を閉ざして言いたいことを飲み込んでいたのだ。
しかし、ついに三度目にして我慢できなくなったようだった。
「私の娘のおやつをお持ちしているだけですが?」
「それが会議の時間だというのに?」
「話は順序が必要ですよ、公爵様。会議の時間に娘様のおやつをお持ちするのではなく、娘様のおやつの時間に会議が重なっているのです。」
馬鹿げたことを!
周りの人々はそう叫びたい衝動を抑えているようだった。
それがはっきりと見えた。
震えている指先と開いた口元から声が漏れない様子を見て、私も心の中でため息をついた。
その発言は、まさにエルノー・エタムらしい、自分の基準で世界を見る発言だった。
『全部いいけど、なんで私がその嵐の目にならなきゃいけないの……?』
これから5か月と2週間がまだ残っているけど、このままだとエルノー・エタムの行動が原因で、自分の命が脅かされるような状況になるんじゃないかという不安が消えない。
『絶対にだめ。』
自分の命を絶対に守ると決めた。
「当主様、お父さん、私、プリンもう食べません!」
「え?」
「何?」
「どうして?」
ミレル公爵とエルノー・エタムが同時に尋ねた。
「お父さんが……私のせいでおじいさまに叱られるかもしれないから……。お父さんを叱らないでください……叱られるのがいやなんです……。」
私は無表情のまま彼の顔を見つめた。
「エイリン、悪い子にならないで……ちゃんとした子になりますから……。」
私はわざと目尻を下げながらゆっくりと言った。
すると、片方の空気が妙に居心地悪くなったように感じた。
私に向かって「しょむてる」と呼ぶなんてどういうこと?
「しょむてるなんて言葉をよくもまぁ使えるものだな。俺がお前にプリンを食べるなと言ったことがあるか? ただ、会議中に食べるなと言っただけだ。お前がプリンを10個食おうが、20個食おうが関係ない。」
ミレール公爵が鼻で笑いながら言った。
「はぁ、でも……。」
「何だ?」
「マイラが言うには、おやつはおやつの時間にだけ食べろって……。」
私はやや不信感を込めて言った。
もちろん!エタム公爵家のプリンは、生まれてから食べたプリンの中で一番美味しかったから、簡単には諦められない。
『昔、学校の給食で時々出てきたプリンもすごく美味しかったけど……。』
残り半分になったプリンを見て、思わず唾を飲み込んだ。
しかし、目をぎゅっと閉じてスプーンを置いた。
目の前にあると、どうしても食べたくなってしまうから。
「大丈夫……!」
私はわざとプリンから視線を外し、拳をぎゅっと握りしめて言った。
ミレル公爵は、どこか不機嫌そうな表情で私を見つめていたが、腕を組み直してスプーンをぐいっと渡してきた。
「……わかった、お前の好きにしろ。」
「そう言うなら、お嬢様、どうぞ召し上がってください。」
ミレル公爵の言葉が終わる前に、スプーンは目の前に差し出されていた。
ぷるぷると揺れるプリンがスプーンの上で踊るように揺れていた。
私はそのスプーンの動きに目を凝らして、じっと見つめていたが、小さな口をそっと開けて一口だけ頬張った。
もうどうにでもなれ――許可は得たのだから、ちゃんと許可は。
「ああ、はあ。」
口に入れたプリンはそのまま柔らかく溶けていった。
一体何を使って作ったらこんなに美味しくなるのだろうか。
周囲は静まり返っていた。
赤ちゃんのようにプリンを受け取って食べた私も、なんとなく気まずくなり、そっと視線をそらしたくなるほどだ。
私がスプーンを置いて顔を上げた時、目が合ったのは会議室の人々だった。
彼らは急に忙しそうに書類をめくり始めた。
(何……? 気のせい?)
私はゆっくりと手を上げ、小さな手のひらで頬を覆ってみた。
(何かついているわけじゃなさそうだけど。)
突然集中した視線がなんだか慣れない感じだ。
書類をめくる人の中には顔が赤くなっている人もいた。
「はぁ……。」
私が気まずそうに視線を泳がせていると、エルノー・エタムの短いため息が聞こえた。
「……っ!」
そのため息を聞いて、思わずプリンを飲み込み、もう一度スプーンを手に取った。
その瞬間、彼らは慌てて会議を再開し始めた。
「お嬢様?」
「はい。」
私が疑問に思いながら会議の様子を眺めていると、彼が再び私を呼んだ。
その時、私は彼の胸元に背中を預けながら、リラックスした状態でプリンをすくい取ることができた。
「今回カルトトフへ輸出する武器はどうなっている?」
「それが、注文がどっと押し寄せているのですが、材料が不足しています。」
「また。」
「え?」
「問題はそれだけじゃないだろう。面倒を増やさずに、今言え。」
「は、はい! 現在所有している鉱山の副産物であるキャルスロックの品質が落ちており、量もそれほど多くないため、現在製造されているものは、初期に製造されたものに比べると、性能が確実に……。」
「新しい鉱山の採掘はまだ進展がないのか?」
副産物?
私は膨れたお腹をパンパンと叩きながらスプーンを握りしめた。
空に浮かぶ石のことを言っているのか?
私は去年、この場所で氷が溶けるのを目撃した時、副産物を見た記憶がある。
その時は『石が飛び回るなんて……、さすがファンタジー世界だな……』という軽い考えしかなかったが、今になって考えるとそれが副産物だったのではないかと思えてきた。
『後々誰かがまた副産物の鉱山を発見していないだろうか……?』
ああ、思い出した。
ヒロインだ。
ヒロインが副産物の鉱山に通じる入り口を発見する。
どこで?
公爵領の裏山で。
そうなると、誰かが疑問を抱くだろう。
なぜ公爵領に副産物があるのか?
なぜ公爵は目の前にあるそんな良いものを何年も見つけられなかったのか?
それは当然だ。
この小説はヒロインにすべての幸運が集中する構造で進んでいくからだ。
『後にエタム家門の占拠がヒロインに行くことを申し訳なく思うが……、一つだけでも横取りしておくべきか……?』
せめて半年間は、もしエルノー・エタムの変節が始まるなら、自分の味方をしてくれる人も必要だからだ。








