メイドになったお姫様

メイドになったお姫様【86話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【メイドになったお姫様】まとめ こんにちは、ピッコです。 「メイドになったお姫様」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となって...

 




 

86話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 戻ってきた日常⑤

側近騎士ソルの手には最高級のチョコレートが握られていた。

その手にはぎっしり詰まったチョコレートのバスケットがあり、もう片方の手には金貨が詰まった袋を持っていた。

ソルはその巨大な体を90度に曲げ、懇願するように叫んだ。

「お願いです、シアナ様!」

シアナは笑いながら答えた。

「お断りします。」

「……!」

ソルの目が動揺で揺れた。

誠意が足りなかったのか?

チョコレートや金貨ではなく、もっと豪華な贈り物を持ってくるべきだったのか?

その考えを読み取ったシアナが、優しく頭を振った。

「気にする必要はありません。どんなに豪華な贈り物を持ってきたとしても、私はソル様のお願いを聞き入れなかったでしょう。」

「なぜですか?!」

「……それは、負担だからです。たとえ宴会の日がたった一日だけでも、皇太子殿下のパートナーになるというのは……。皇太子の隣に立つ侍女だなんて、周囲からどれだけ非難を浴びることでしょう。宴会が終わった後も、皇太子を誘惑したみすぼらしい女というレッテルを貼られるに違いありません。私の穏やかな侍女としての日常は終わりを告げることでしょう。」

「……!」

ソルはショックを受けた表情を浮かべた。

「そ、それはそうですね。その点については考えていませんでした。」

側近騎士ソルは、絶望に満ちた顔で肩を落とした。

「ただ、あのふわふわした大きな体の者たちではなく、優雅で上品な女性が殿下の隣に立つほうが素敵だと思って急いでしまって……」

「……。」

ソルをじっと見つめていたシアナは眉をひそめた。

妙なことだった。

ラシードは皇太子だ。

しかも、若くしてその役割を全うしているにしては立派だった。

まばゆいばかりの美貌まで持ち合わせている。

「たとえ血統書付きの皇太子であっても、殿下のパートナーになりたいという若い女性たちは列を成すでしょう?」

『その通りです。しかし、殿下はその多くの方々の中から誰一人として望む人を選びません。まるで人に対して壁を作っているかのようです。』

『……。』

正直に言うと、シアナにとってその言葉は当てはまらなかった。

シアナにとってラシードは、毎日遠くからやってきて、笑顔を見せ、喜びながら尻尾を振る男性だったからだ。

ソルは真剣な表情で話した。

「そんな殿下が唯一心からお慕いしているのは、シアナ様です。本当にお受けいただけませんか?」

シアナもラシードの気持ちを知っていた。

「そうね。私を好いてくださっているわ。殿下が飼っている小さな動物たちを愛おしむようにね。」

しかし、それがシアナにとって、このような途方もない提案を受け入れる理由にはならなかった。

「申し訳ありません。」

明確な拒絶の意味にソルの大きな肩がさらに落ちた。

「仕方ありませんね。」

ソルの返答にシアナは申し訳なさを込めて微笑んだ。

しかし続くソルの言葉に目を見開かざるを得なかった。

「私が殿下のパートナーになるしかありません。」

「……?!?」

聞き間違いでしょうか?それとも冗談を言っているのでしょうか?

そんな目をしていたものの、ソルの顔は真剣そのものだった。

「殿下と私が特別な関係にあるという噂が出回るかもしれませんが、それでも構いません。一度聞いたような噂でもありませんし。その噂のせいで家に帰れなかった娘が母親のもとに戻るきっかけになったのなら、私は本当に、心から大丈夫です。」

「……」

「私は殿下の唯一の近衛騎士だから言うのです。」

「そこですよ、近衛騎士様。全然大丈夫そうには見えません。目元に涙がたまっているではありませんか。」

シアナは驚いた表情でソルを見つめ、一息ついた。

「分かりました。そのお願い、お受けします。」

「本当ですか!?」

ソルの顔が一瞬にして明るくなった。

「ええ。ただし、ただの好意ではありません。」

「もちろんです!何でもおっしゃってください!」

ソルはシアナの元に持参していた贈り物を抱きしめながら叫んだ。

シアナは両手いっぱいに詰まったチョコレートと金貨を持ちながら言った。

「この件は非常にリスクが高い仕事ですが、これでは報酬が足りません。」

「十倍にしてお支払いします!」

雷のような返答にシアナは目を丸くした。

さすが皇太子の近衛騎士だ。

話が早い。

『お金は多ければ多いほどいいのだから、くれるなら受け取らないと。』

シアナは微笑を浮かべて指を一つ立てた。

「それともう一つ。殿下のパートナーとして出席するのは構いませんが、私の正体を完全に明かすつもりはありません。私は普通の侍女としての生活を守りたいのです。」

つまり、シアナということを隠してラシードの隣に立ちたいということだ。

それは良い提案だった。

「でも、それが可能でしょうか?皇宮にはシアナ様のお顔を知っている人々が多いですし、仮面をつけたとしても皆シアナ様だと気づいてしまうのではありませんか?」

「その部分は私がなんとかしますので、ソル様は殿下のパートナーとして適切な偽りの身分を準備してください。」

ソルは茫然とシアナを見つめ、その信頼感を心の中で理解した。

若きアリス王女がなぜこれほどまでにシアナに頼っているのか、その理由がわかった。

丸みを帯びた顔に優しい瞳を持つ少女は、妙に信頼できる雰囲気を醸し出していた。

シアナは久しぶりに皇太子宮を訪れた。

薔薇の花の宴に関する話をするためだ。

ラシードは晴れやかな顔でシアナを迎えた。

「よく来たね、シアナ。」

「……」

「君が僕のパートナーになってくれるなんて本当に嬉しいよ。」

言葉にしなくても、その喜びは明らかだった。

ラシードの背後に、存在しない尻尾が揺れるような様子が見えるほどだった。

シアナは冷静な声で話した。

「そんなに私を好いてくださるなら、なぜ直接来てお願いしてくださらなかったのですか?」

「……」

シアナの言葉に、ラシードの瞳が揺れ動いた。

シアナは続けて話した。

「尊敬する皇太子殿下が、ただの平民の女性に最初に何かをお願いすることがプライドを傷つけることだったのですか?」

ラシードは真剣な顔つきで頭を下げた。

「まさか。そんなはずが。」

「……」

「僕はただ……」

ただ?

シアナはラシードを見つめ、その続きを待った。

ラシードは視線を下に落とし、言葉を続けた。

「僕が言葉にすれば命令になるかもしれない。」

「……」

「僕は君にどんな命令もしたくない。」

ラシードはシアナと目を合わせて話した。

「でも、君の顔を見ると、僕がみじめだった気がする。」

ラシードはシアナの前に一歩近づいた。

そして腰をかがめ、シアナの手の甲に唇を触れる。

「……!」

突然のラシードの行動に呆然としたシアナを見つめながら、ラシードは目を細め微笑んだ。

「難しいお願いを聞いてくれてありがとう、シアナ。」

「……!」

シアナは心の中で叫んだ。

『ぎゃあ、何てこと!』

どうにかして衝撃的な挨拶が幕を下ろした。

そして、シアナは本題に入った。

「薔薇の祭典について詳しく教えてください。」

たとえ一日だけラシードの隣に立つ役割であったとしても、どのような祭典に参加するのかを知る必要があった。

ラシードは、シアナにお茶を差し出しながら、自然な様子で話し始めた。

「薔薇の祭典。薔薇の花と愛の女神ロズリンを称える行事さ。」

名前だけでロマンチックな響きが伝わる祭典には、絶対的なルールがある。

それは、パートナーと一緒に参加すること。

シアナは目を細めた。

「パートナーがいない人には、とても酷な祭典ですね。」

ラシードが笑った。

「僕もそう思うよ。」

ラシードは茶杯を持ち上げながら続けた。

「さらに厄介なのは、祭典のオープニングで主催者がダンスをしなければならないということさ。愛の女神ロズリンに捧げるダンスをね。祭典に参加する人々の永遠の愛を祈るという意味だよ。」

永遠の愛だなんて。そんなものがどこにあるのだろう。

シアナは無意識に渋い表情を浮かべた。

その表情が可愛らしいと思ったのか、ラシードはくすくすと笑った。

「愛を信じないのかい?」

「いいえ、信じないわけではありません。でも、愛が奇跡のように極めて稀なものだと思うだけです。王族や貴族にとってはなおさらでしょうね。そんな人々が集まって『愛』だの何だのと祭典を開くというのは、とても皮肉なことだと思います。」

シアナは小さなため息をつきながら続けた。

「まあ、理解はします。人は元々持っていないものを欲しがる生き物ですからね。そう考えると、そういう風変わりな祭典も生まれたのでしょう。」

「……。」

「いずれにせよ、結論としてはオープニングで私が出なければならないのですね?」

「そうだ。負担に感じる必要はないよ。音楽に合わせて軽く踊ればいい。合わせて適当に動けばそれでいいから。」

しかし、それはラシードの考えだ。

シアナは、自分が言われたことが何であれ、ただそれを受け入れるつもりはなかった。

「ダンスの練習から始める必要がありますね。今すぐ。」

落ち着いた表情で茶を飲みながら話していたラシードは、目を大きく見開いた。

 



 

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