こんにちは、ピッコです。
「悪党たちに育てられてます!」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

96話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 親友との再会
「何か食べる?」
「うん。」
「そう? じゃあ、美味しいものを持ってきてあげるよ。ここでちょっと待ってて。」
「俺が行くよ、兄さんがエイリンのこと何を知ってるって?」
「お前よりはずっと知ってるさ。」
「そんなわけない。俺はエイリンがどんな色の羊毛が好きかだって知ってるんだぞ。」
だから何だよ。
なんでお前がそれを知ってるんだよ。
「はっ、毎日剣の訓練ばかりしてるやつが何を知るっていうんだ?それ、ストーカーって言うんだよ。」
「研究室にこもってる兄貴よりはマシだろ。関心だよ、兄さん。」
カラン・エタムとシリアン・エタムがそわそわし始めた。
うーん、この二人を一緒にしたのは、おそらくお父さんの失敗だったかもしれない。
「じゃあ賭ける?」
「いいね。」
「5分以内にエイリンが一番好きな食べ物を見つけてくるゲーム、どう?」
「いいね!エイリン、5分だけここにいて。わかった?すぐ戻るから。」
二人は私の返事も聞かずに、人の群れの中に消えていった。
‘たった5分だから……。’
おそらくお父さんにバレたら、二人とも大目玉を食らうだろう。
体はすっかり大人のように見えても、やはりまだ幼い子供なのだと感じた。
軽く笑いながらパンをかじった。
自分のことをこんな風に考えてくれる人が世界に存在するという事実が、あまりにも幸せで、涙をこらえきれなかった。
『幸いにも、みんな追い払ったおかげで、しばらくは誰も来ないだろう……ん?』
考え事をしているうちに、頭の上に影が落ちた。
顔を上げると、華やかな顔立ちの少年がこちらを見つめていた。
見慣れない模様が刻まれたドロップ型のイヤリングをつけた少年は、深いアメジスト色の瞳を持ち、髪の色もその瞳と同じ色をしていた。
歩くたびに髪色が変わる、特異な靴を履いた少年だ。
その目に驚くほど見慣れない姿を見て、私は思わず口を開けてしまった。
「こんにちは。」
「……リヒャルト……?」
リヒャルト・コリンだった。
いつの間にかすっかり成長し、透き通るような白い肌の少年は、私の前で微笑みながら、長いまつ毛をひらひらと揺らしていた。
人を惹きつけるような美しい笑顔だった。
「すっかり大きくなったね。元気にしていたみたいだね、バンバン。」
「………」
「僕は、元気じゃなかったけど。」
リヒャルトの指先が軽く私の頬に触れた。
「手紙を書いている途中で急にやめて、会いに行くって言ってたのに、来なかった……。」
リヒャルトの声が少し沈んだ。
「バンバン、僕はすごく怒ってるんだ。だから、一緒にどこか行かない?」
リヒャルト・コリンが優しく問いかけながら、私に手を差し伸べた。
「今?」
「うん。」
突然のことだったけど、想像していたのとは違って、何とも間抜けに見える提案だ。
「うん? 行こう、バンバン。」
片膝を立てて座っていたリヒャルトが、ぱっと笑う。
眩しいほど美しいその微笑みに引き込まれそうになりながら、リヒャルトが私の手をぎゅっと握った。
「すごく嬉しいよ、僕と家族になってくれるって言ってくれて。」
リヒャルトの目尻が少し下がった。
わずかに寂しそうなその言葉に、私は気づかぬうちに襟元をいじっていた。
「ちょっとだけなら……。」
すると、いつの間にかリヒャルトが私の手をぎゅっと握った。
「じゃあ、行こう。」
その言葉が終わるや否や、視界がひっくり返った。
『ああ、この子、魔法使いだったっけ。』
それも、未来の魔塔主(魔術の頂点に立つ者)になる候補の一人だ。
ぐらぐらとした感覚に思わず目をぎゅっと閉じたが、すぐに視界には衝撃的な光景が広がった。
そこは、幼い子供の部屋。
パステルカラーで可愛らしく装飾され、幼児向けのものが溢れていた。
目に入った飾り棚には、トマベアのぬいぐるみ、パズル、さまざまなフィギュアが並んでいた。
それだけでなく、床にはピンク色のラグが敷かれ、ベッドはふかふかに見えた。
私の体を軽々と持ち上げたリヒャルトが、そのまま私をベッドの上に座らせた。
すると、周囲にはお菓子が置かれ、さらには読みかけの小説や本が山のように積まれているではないか。
ベッドのすぐ隣には鈴のついた紐がぶら下がっており、部屋の壁際には、それぞれ異なる種類の魔石が一つずつ配置されていた。
ひとつは数値が表示されているところを見ると温度調整の役割を持ち、もうひとつは冷たい風を送り出しているのを見ると空気清浄の機能を持つ魔石のようだ。
残りの二つは見た目だけでは用途が分からなかった。
ベッドの隣のテーブルには果物がぎっしり並んでいた。
初めて見る果物もあり、まるで熱帯地域から来たものから、寒冷地でしか採れないものまで種類は様々だった。
視線を右に向けると、窓の外には穏やかな風景が広がり、左に向けると、大きな食卓に数十種類の料理が並んでいる様子が見えた。
広い部屋の奥には豪華なベッドがあり、人形やおもちゃはもちろん、様々なスノーボールや飾りもたくさんあった。
私が戸惑いながら視線を動かすと、リヒャルトが毛布を持ってきて私を包み込み、さらにぴったりした魔石の湯たんぽをお腹に乗せてくれた。
そのすべてが、一瞬のうちに行われた。
私が意識を取り戻す前に、心地よい温かさを持つ魔石が私の体をじんわりと包み込んだ。
まるで心の奥にある雑念まで溶かしてしまうような感覚に、瞼も自然と閉じそうになった。
私がぼんやりと指先を動かすと、リヒャルトがそっとぬいぐるみのようにふわふわのクッション人形を抱かせてくれた。
『これ……おばあちゃんが持っていたのとそっくりじゃない?』
目がぱっちりと見開かれた。
戸惑っている私を見て、リヒャルトは手を伸ばし、優しく私の髪を撫でた。
「バンバン、何か不便なことでもある?」
「え、いや……?」
別に不便なことは、何もなかった。
むしろ、あまりにも快適すぎて戸惑うべきなのだろうか?
『でも、なんで私はここに連れてこられたの?』
困惑して口を開けようとした瞬間、小さなドマフェレットが彼の服の袖からひょっこり顔を出した。
目の前でドマフェレットと目が合った。
その途端、ぼんやりしていた目がぱちっと見開かれた。
ドマフェレットは驚いて飛びのき、再びリヒャルトの袖口の中に姿を隠した。
白い毛並みに鮮やかな赤い瞳を持つドマフェレットだった。
「君を探していたら、偶然見つけて飼うことになった。」
私がドマフェレットをじっと見つめているのに気づいたのか、リヒャルトはそう言った。
「名前はシロバンビ。」
……そのネーミングセンス、相変わらずすごいな。
「バンバン、俺、本当にお前をずっと待ってたんだ。」
ベッドの端に座ったリヒャルトが、海苔巻きのようにくるまって指先だけ出している私の手の甲に額を押し当てた。
「お前の手紙も待ってたし、お前のことも待ってた。俺が病気じゃないってわかってほしくて、それでも待ってたんだ。」
思わず言葉が詰まった。
彼の言葉が何を意味するのかは分からなかったが、リヒャルトがずっと私の背後にいたのは事実だった。
目の前にいる人たちとは違い、リヒャルトは他の人の目には見えなかったのだから、相対的に気にせざるを得なかった。
「ごめん。」
「それで、お前が死んだっていう話を聞いた。でも、お前がドラゴンだって話もあった。」
私が気づかないうちに、すっかり大きくなったリヒャルトの表情がわずかにゆがんだ。
『リヒャルトはもう十三歳だったの?』
5年が経ったから、おそらくそれくらいの年齢だろう。
8歳の頃の私はどんな感じだったっけ?
「俺の家族になってくれるって言ったのに、全部嘘だったのか?」
ふと流れるように口にした約束も、くっきりと記憶に残っていた。
悔しそうにぼんやりと日付を数えている幼い子供だった。
【お前もひとりぼっちだから、お互いに家族になってあげるのはどう?】
【約束だ!】
お前も私との約束を数えるように、そうやってひとつひとつ思い返しながら待っていたのか。
5年間も届かない手紙を待ちながら。
そこまで考えると、喉が詰まるような感覚とともに、罪悪感が胸を締めつけた。
「私が、間違っていた……。だから、お前が来ないなら、俺が迎えに行くことに決めた。」
リヒャルトが明るく笑う。
長く伸びた耳飾りが軽く揺れた。
爽やかな声とは違い、その目の輝きはなぜか少し怖かった。








