もう一度、光の中へ

もう一度、光の中へ【128話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「もう一度、光の中へ」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【もう一度、光の中へ】まとめ こんにちは、ピッコです。 「もう一度、光の中へ」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となってお...

 




 

128話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 白い鳥

いつからだったのだろう?遠くを見つめるその金の瞳を愛するようになったのは。

風に揺れる彼の長い白金の髪。

その美しい輪郭に私は思わず視線を奪われてしまった。

じっと立ち尽くす私の気配に気づいたのか、彼がこちらを振り返った。

この世のどんな宝石よりも価値のあるその黄金色の瞳に、私の姿が映っていた。

その瞳に映る私は、銀色の髪をたなびかせた一人の少女だった。

彼は私のことをどう思っているのだろう?

私は今どう映っているのだろう?

彼の心が気になった。

彼の目に特別な存在として映りたいと思った。

彼は、自分の存在がどれほど私の胸をいっぱいにするのかを知っているのだろうか。

…それが「片想い」だとしても?

彼を見つめていると、いつも息が詰まるような気がした。

そして次に、彼の唇がゆっくりと開かれる。

私はそれらすべてを、ただ魅せられるように見つめているだけだった。

そして彼が、私の名前を呼んだとき。

「アイシャ。」

ああ。私はこのまま陽の光の中で、透明に、緑の葉のように溶けてしまっても幸せだろう。

 



 

日々は過ぎていき、季節はいく度も移り変わり、そして何年もが過ぎるまで——時は、途切れることなく静かに流れ続けた。

私はいつの間にか十七歳になっていた。

背が伸び、体が変わり、髪が長くなるという変化はとても自然に訪れていた。

そして私が成長したように、彼の存在はあまりにも自然に私の心の中に染み込んでいた。

「ルン」

私は心の中で彼の名前をそっと呼んだ。

簡単には声に出せず、惜しむようにいつも大切にしておきたかった彼の名前。

結局叶わないとしても、私は確かに彼を想っていた。

「アイシャ、大丈夫?」

「……あ。」

まるで夢から覚めたように私はぱちっと目を開けて答えた。

目の前にはドレスを着た母がいた。

私と母、そして父は華やかな晩餐会のホールの中におり、数多くの貴族たちでこの場所はあふれていた。

宴会場がどれほど美しく飾られているか、しばらく見惚れていると、眩しすぎて目を逸らしたくなるほどだった。

でもそれとは別に、母はどこか私の体調を心配しているように、じっとこちらを見ていた。

「また体調が悪くなったの? 医者を呼ぼうか?」

「……あ、その……」

私は一瞬言葉に詰まりながらも、すぐに答えた。

「いえ、大丈夫です。もうすっかり良くなりました。」

「本当に?」

「はい。だって私、この日をどれほど楽しみにしていたか……。もしお医者さまの診察のせいで、この日が台無しになったら、すごくもったいないじゃないですか。」

母は、私の言葉を聞いて私の顔をじっと見つめた。

でも私は、毅然と笑顔を浮かべながら、元気そうに振る舞った。

「……それならよかったわね。」

母の言葉に、私は心の中で小さく息を吐いた。

堂々とした様子は装ったものかもしれないが、私がこの日を待ち望んでいたのは嘘ではなかった。

私たちのそばにいた父が無表情に言った。

「アイシャ、お前がいつも健康でいてくれれば嬉しい。今日はただ喜ばしい日だからというわけではない。」

「……はい、お父様。」

父の言葉に胸がいっぱいになった私は、そっと微笑んだ。

すると二人はそれ以上何も言わなかった。

確かに最近の私は風邪などの軽い病にもかかるようになってきた。

もともとなら決してかからなかった病にまでかかるようになったのだ。

「気をつけます。」

私は独り言のように呟いた。

そして、どれだけこの時を待っていただろう。

晩餐会場の大きな扉の向こうから、侍従のはっきりした声が鳴り響いた。

「エルミール領イデンベルの総督であられ、大帝国エルミールの尊き皇太子殿下、イシス・ド・エルミール殿下のご入場です!」

するとざわついていた宴会場は一瞬で静まり返った。

あまりにも突然の変化だったが、それもそのはず。

私は高鳴る胸を必死に落ち着けようとした。

そう、今日はイシス兄さまが約一年ぶりにエルミールへ戻る日だった。

それも、今回イデンベルで広がった伝染病を見事に食い止めたという功績を引っ提げての帰還だった。

華やかに飾られた宴会場も、静かに入場を待つ貴族たちも、そして私たち家族も、皆が彼のためにこの場に集まっていた。

そして堂々たる音楽とともに、兄さまが赤いカーペットの上を堂々と歩いてくる姿が見えた。

まるで、どんな困難も跳ね除けてきたかのような、黄金の輝きをまとって。

夏の森の風景のように美しいエメラルド色の瞳、澄んだまなざし、そして自信に満ちた微笑みまで。

それは1年ぶりに見る兄上の姿だった。

兄上は相変わらず眩しいほど格好良かった。

いや、もしかしたらもっと格好良くなっていたかもしれない。

何人かの令嬢は兄上の登場にあまりにも衝撃を受けたのか、礼儀も忘れてよろよろと座り込んでしまった。

こうした光景は何度も見ていて慣れていた。

兄上は多くの女性たちの心を簡単に奪ってしまう微笑を浮かべ、皇帝である父の前で跪いた。

続いて兄上のはっきりとした声が広間に響き渡った。

「イシス・ド・エルミーレ、偉大なる皇帝陛下の命を受け、今、帝国に帰還いたしました。」

「うむ、イシス。」

二人が互いに向き合う姿を見ていると、兄上と父がとてもよく似ていることに気づかされた。

ふと、思い直した。

同じ血を分けたのだから当然とはいえ——こうして立派に成長した息子の姿に、普通の父親なら誰でも感動するはずだ。

実際、父は誇らしげな顔で兄さまを見つめていた。

さらに、兄さまがイデンベルの総督に就任して3年目。

その間、彼はその実力を余すところなく発揮し、父をますます感心させていたのだ。

父の口から自然と称賛の言葉がこぼれた。

「今回も大きな功績をあげたそうだな。」

「過分なお言葉でございます。」

その言葉を、私は気持ちよく聞いていた。

「お前を見ると、心が満たされる思いだ。」

けれど、今日は珍しくその言葉が長かった。

普段なら数分で済む挨拶が、今日はやけに長く続いていた。

少し不審には思ったが、それも素晴らしい息子たちを見た父の嬉しさからだろうと考えていた。

だが、最後の言葉で登場した。

“その” 爆弾の言葉だ。

「ゆえに。」

父はまるで劇的な効果を狙うかのように、言葉を一瞬止めた。

イシス兄様と私を含む人々は好奇心から父を見つめた。

十分に視線を集めたのか、父は再び言葉を発した。

大帝国を統べる者らしく、父の声には温かさとともに威厳が込められていた。

「我、ティリオン・ド・エルミーレはここに宣言する。」

あれ?私は思わず目を見開いた。

そんな段取りはなかった。

家族の顔を見回すと、イシス兄様も驚いた表情だった。

母だけがすでにこの話を知っていたかのように、ただ落ち着いていただけだった。

まさか、何を言おうとしているの?と、私はぼんやりと父を見つめていたとき、爆弾のような発言が飛び出した。

「イシス・ド・エルミールに、皇位を譲る。」

「……!!!!!」

場内は瞬時に沈黙に包まれ、誰もが耳を疑った。

本当に聞き間違いではないのかと周囲を見回していたが、父は平然と続けた。

「正式な皇位継承式は、来年中に行う予定だ。だが、今この瞬間からイシス皇太子は私の代理人として、軍権を含む全ての事務について私と同等の権限を有することをここに宣言する。」

これが決して冗談ではないという事実は皆がそれを知ることになった。

沈黙した人々は互いの顔を見ながら口を開けては閉じるのを繰り返した。

混乱しているのは皆同じのようだった。

しかし沈黙は長く続かなかった。

少しだけ視線を交わしていた貴族の一人が、控えめに声を上げた。

「おお、イシス皇太子殿下、万歳!」

そしてまるでその言葉を待っていたかのように、宴会場の中にどよめくような歓声が広がった。

「ティリオン皇帝陛下、万歳!」

「新しい皇帝陛下、イシス殿下に神のご加護を!」

「万寿無疆あらせられますように!!」

耳が壊れそうなほどの拍手と歓声が、途切れることなく湧き上がった。

それは皆がイシス兄様が立派な皇帝になると一片の疑いも持っていなかったからだった。

私は兄様の出来事が嬉しくもあり、あまりに突然のことに目が回りそうになり、周囲を見渡した。

父がまだとても健康なこともあり、皇位継承はもっと先のことだと思っていたからだ。

けれど、今兄上が皇位を譲り受けるなんて!

しかも半年以内に!

驚いていたのはイシス兄上も同じだったようだ。

自分に向けられる歓声と賛美に、やや気後れしたような表情を浮かべていた。

しかし間もなく、兄上の顔には晴れやかな笑みが広がっていった。

それをじっと見ていた私にも、その喜びが自然と伝わってきた。

「………」

私は込み上げる感情を抑え、ふっと笑って言った。

これは祝うべきことだ。

兄上の新たな出発なのだから。

私は、新しく皇位につくことになる兄様に祝辞を伝えるため、慌ただしく足を運んだ。

 



 

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