もう一度、光の中へ

もう一度、光の中へ【6話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「もう一度、光の中へ」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【もう一度、光の中へ】まとめ こんにちは、ピッコです。 「もう一度、光の中へ」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となってお...

 




 

6話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 見慣れない光景④

そして数日後、宮殿には特別な客人が到着した。

もうすぐ開かれる宴を前に、私の外祖父であるルッセル侯爵夫妻が到着したのだ。

二人が来たという知らせに、皇后はとても喜びながら駆け出した。

宮廷のしきたりにそぐわないかもしれないが、それほど嬉しかったのだろう。

そして、ルッセル侯爵夫妻も同じようだった。

三人は顔を合わせるなり、熱い抱擁を交わした。

「元気にしていたかい、おチビさん?」

ルッセル侯爵は青い瞳と銀髪の持ち主だった。

一方、侯爵夫人は紫色の瞳にヘーゼル色の髪を持っていた。

私は生まれたばかりの頃の記憶が曖昧で、彼らと会ったことがあるという事実だけは知っていたが、実際に会うのは新鮮な気分だった。

「もちろんです。陛下がどれほどよくしてくださっていることか。」

皇后はまるで少女のようにくすくすと微笑んだ。

「それに、アイシャもこんなにすくすくと元気に育っているんですよ。」

そうして、皇后は途切れることなく私の自慢を始めた。

私がすでに五歩も連続で歩けるようになったこと。

泣きもせず、なんとおとなしいことか。

手がかかることは何一つない。

皆がアイシャをどれほど愛らしく、可愛がっていることか。

時々、少し恥ずかしくもなるけれど。

だが、私自身もその言葉は間違っていないと思う。

『皇后って、こんなに親バカだったっけ?』と考えてしまうほどだった。

ルッセル侯爵夫妻は苦笑しながら頷いた。

「そうか、そうか。一度見せてもらおうか。」

「もうこんなに大きくなったのか?」

私は皇后が座らせてくれた小さなソファの上で、彼らをじっと見上げた。

ルッセル侯爵夫人は、まるで育児に慣れているかのように自然な仕草で私をそっと抱き上げた。

「本当に可愛らしいわね。まるで冬に現れる妖精みたい。抱きしめたくなるほどね。」

ルッセル侯爵は隣で私を見つめながら、優しく目を細めた。

まるで私が生まれた時も、同じ表情をしていたかのようだった。

愛おしくて、目を離せないとでも言うような顔。

応接室には、小さなゆりかごのための席が用意されていた。

侯爵夫人は皇后に向かって言った。

「アイシャのために、おもちゃをいくつか持ってきたの。一度、見てもらえるかしら?」

「まあ、そんなにたくさん……。」

侯爵夫人が鐘を鳴らすと、数人の召使いが次々と入ってきた。

それぞれ美しいリボンで飾られた箱を一つずつ抱えていた。

その中には、美しい人形や金の装飾品、丈夫な革靴、赤ちゃん用のお菓子、そして北部の挿絵入りの童話本が入っていた。

『童話の本?』

私は少し疑問に思いながら呟いた。

前世の記憶のおかげで、今でもエルミール語をある程度読むことができる。

だが、それは私だけの秘密だ。

ほかの誰も、私が話すのを聞いたことも、文字を読むのを見たこともないのだから。

それなのに、まだ読めないはずの童話の本をどうして持ってきたのだろう?

「後々、アイシャが北部にも興味を持ってくれたらいいなと思って、童話の本を持ってきたんだよ。」

その疑問に答えるように、ルッセル侯爵が話し始めた。

なるほど、彼は自分の領地や北部に対して、並々ならぬ誇りを持っているのだろう。

彼の表情には、なんとも言えない厳しさが滲んでいた。

「……そして、次にいつまた首都に来られるか分からないからね。前もって贈り物を用意したんだ。」

一瞬、場の空気がわずかに沈んだ。

国境を守るルッセル侯爵にとって、頻繁に首都に上がる機会がないのは当然のことだった。

皇后は少し寂しそうな表情を浮かべたが、すぐに微笑みを浮かべ、彼らは私に玩具を渡して遊ばせてくれた。

北部の挿絵には少し興味があったが、もちろん私が文字を読めることは秘密だったので、私はただ美しい玉を手に取った。

その玉は重すぎもせず、軽すぎもせず、ちょうど私の手にぴったりと収まる感触だった。

「気に入った?」

侯爵夫人は穏やかに微笑んだ。

「私が選んだ贈り物なのよ。アイシャが気に入ってくれて、私もとても嬉しいわ。」

私はその玉を転がしてみたり、しっかりと握りしめたりした。

最近、握力が強くなってきたので、こうやって玩具を持って遊ぶのが楽しくなってきたのだ。

三人はそんな私を、あまりにも愛らしいものを見るように、しばらくの間じっと見つめていた。

お茶の時間が始まったのは、その後だった。

私と一緒に遊んでいた皇后とルッセル侯爵夫妻は、ようやく食事を終え、紅茶を口にした。

「それはそうと、お変わりありませんか? 北部の情勢は……。」

皇后は慎重に尋ねた。

私は玩具を持って遊ぶふりをしながら、その声に耳を傾ける。

この帝国の動向に関する話なら、聞いておいて損はないだろう。

情報は無駄にならないし、重要なことだから。

ルッセル侯爵が落ち着いた声で答えた。

「イデンベルの連中のことか?和親条約の後は静かになった。静かではあるが……。」

ルッセル家は、国境に位置する貴族家門だ。

そして、その国境を挟んで向かい合っているのが、まさに「イデンベル帝国」。

エルミル帝国と何百年にもわたって対立してきた宿敵の国だった。

私は思わず唇を引き結んだ。

会話を聞いていて、ある事実に気づいた。

それは、ルッセル侯爵がイデンベル帝国を心の底から憎んでいるということだった。

おそらく、国境を守るために繰り広げられた戦いのたびに、イデンベル帝国に無惨にも部下を失ったからだろう。

その点で私はルッセル侯爵に共感した。

彼がイデンベル帝国を罵るほど、私の心はすっきりと晴れていった。

侯爵はただイデンベル帝国を非難するだけでなく、政情に関する話も交えて語ってくれたので、私はその話を何度聞いても飽きることがなかった。

私は彼がイデンベル帝国の話を続けてくれることを切に願った。

正確には、イデンベル帝国の皇族たちの話を。

それは、敵対心や憎しみといった感情だった。

『……どう過ごしているのかしら。』

彼らに背を向け、私は苦笑した。

私が死んでから、もう一年が経とうとしていた。

イデンベル帝国の皇族たちは、どのように暮らしているのだろう。

そして、どれほど幸福に生きているのか。

そんな考えが頭をよぎるたびに、胸の奥で冷たく青い炎が燃え上がるようだった。

それと同時に、彼らの消息が気になった。

私はそっと唇を噛んだ。

そのときだった。

「そういえば、ここに来て噂を聞いたよ。」

「どんな噂でしょうか?」

侯爵が不満そうに続けた言葉は――

「今回の誕生日の宴に、イデンベル帝国から使節と贈り物が送られるらしい。事実か?」

その言葉に、私は手に持っていた球を思わず落としてしまった。

『……使節?』

胸がどくんと高鳴り始めた。

ライバルという言葉は控えめにしても、互いに自国の格式を認め合う関係だ。

そんな隣国から派遣される使節なら、大勢の中から無作為に選ばれることはない。

少なくとも、高位貴族、もしくは……。

「まさか皇族が直接来るのでは?アイシャの誕生日を祝うために、ここまで来るのは異例だが、俺はあいつらの顔を見るのが嫌だ。」

侯爵は冷静に言った。

『……あぁ。』

私は神に祈った。

『お願いです、それだけは勘弁してください。』

皇族だなんて。

また彼らに会うことになるなんて。

もちろん、彼らの消息が気にならなかったわけではない。

だからこそ、今まで侯爵の話にこんなにも耳を傾けていたのかもしれない。

けれど、もし本当に私が皇族と再会することになったら……。

冷静でいられるのだろうか?

心臓がドクンと鳴り、手が震え始める。

侯爵は続けた。

「ここがどこだと思って、のこのこと足を踏み入れるんだ?あちらの国の情勢はまるで蜂の巣だそうだが。その中の誰か、皇族の中の……。」

そこまで聞いた瞬間、私は限界だった。

不安が抑えきれない。

小さな体がその感情を受け止められなかった。

方法はただ一つしかなかった。

「……うわああああん!」

私はついに堪えきれず、泣き出してしまった。

熱い涙がぽろぽろとこぼれ落ちる。

突然泣き出した私を見て、皇后は驚いて慌てて立ち上がった。

「どうしたの、アイシャ?大丈夫?」

私は何も言えず、ただ涙をこぼし続けた。

すると皇后が私を抱きしめ、優しくなだめ始めた。

彼女の腕の中からは、懐かしくて安心できる香りがした。

生まれた時からずっと慣れ親しんだ、心を落ち着かせる香り。

私がしゃくりあげながら泣いていると、困惑しているのはルセル侯爵夫妻も同じだった。

「えっ、どこか痛いのか?」

侯爵は戸惑いながら私を抱き上げようとした。

しかし、その瞬間だった。

侯爵夫人が侯爵の背中を勢いよく叩いたのだ。

その力がどれほど強かったのか、空気が裂けるような音が響いた。

思わず体を少し震わせるほどに。

「ちょっ、何だよ!いきなり叩くことないだろ……!」

「あなたが余計なことを言うからでしょう?」

彼女の紫の瞳が静かに青く光り、侯爵をじっと見つめた。

「赤ちゃんはとても繊細なんですよ。あなたの大きな声が怖かったのかもしれません。」

その言葉に、皇后も黙ってはいられなかった。

「そうですね。アイシャはとても繊細な子です。さあ、早く私に渡してください。」

「えっ、あ、そうなのか? えっと……」

彼はすぐに言葉を詰まらせた。

「俺が気が利かなかったな。アイシャ、ごめんな……」

彼はぎこちない表情を浮かべ、そわそわと動きながら、なんとか私を笑わせようと必死に変な顔をしたり、からかうように動いたりした。

私は涙を浮かべた目でそれを見つめながら、ぎゅっと唇を噛んだ。

「ほら、アイシャ。大丈夫だよ。お母さんがいるでしょ?おじいさまのことは、お母さんが叱ってあげるからね。」

皇后は優しく私を腕に抱き上げた。

ようやく私は泣き止むことができた。

侯爵はようやく汗を拭いながら、短い時間で相当苦労したような顔をしていた。

「はぁ……俺がアイシャを泣かせてしまったのか。まったく、これも全部イデンベルの奴らのせいだな。そうだろ?」

彼は何気なく私に話しかけた。

おそらく返事を求める言葉ではなかったのだろう。

ただ単に気まずさを紛らわせるための言葉だったのかもしれない。

だが、私は何の迷いもなくスプーンを口に運んだ。

『そうですね。』

すると彼は目を大きく見開いた。

『イデンベルの人たちは、みんな狡猾ですね。』

私は手を小さく振って、自分の意図を伝えようとした。

その様子を見ていた侯爵は困惑し、母のほうを見やった。

「アイシャもイデンベルの奴らが嫌いなんだな。」

「……そうですね。」

皇后は少し戸惑った表情を浮かべた。

普段なら特に反応を示さない私が、イデンベルの話になると泣き、スプーンをぎゅっと握りしめているのだから、それも無理はないだろう。

私が泣き止んだことを確認すると、三人は再び席に戻り、ティータイムを再開した。

だが、私は今度は皇后の腕の中に抱かれることになった。

できることならこの腕から逃れたかったが、皇后はまるで私のことを心配するように優しく手に力を込め、私は無意味な抵抗をやめるしかなかった。

皇后は時折、私の髪を撫でながら誕生日の宴について話し続けた。

退屈しないようにと、先ほど落としてしまったボールを私の手に再び握らせてくれて。

私は涙の余韻を消すために、そのボールをぎゅっと握った。

だが、思ったよりも力を込めすぎたのか、ボールはつるりと滑り、椅子の下へとコロコロと転がってしまった。

「まあ、アイシャ。また拾ってあげようか?」

皇后が私にそう尋ねる。

遠くへ転がっていく、つるつるとしたボールを見つめながら私はただ目をぎゅっと閉じた。

もう遊ぶ気力すらない。

結局、ぐったりと体を預けるようにしてつぶやいた。

『全部いやだ』

気分が沈んでいくのを感じた。

 



 

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