こんにちは、ピッコです。
「愛され末っ子は初めてで」を紹介させていただきます。
今回は62話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
62話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 手放してはならない手⑥
ある夜のことだった。
私はゆっくりと横になり、美しい満月を見上げていた。
「ガルルッ。」
そして私の後ろには、もふもふした虎が一匹いる。
温かく大きな体で背中を支えてくれるのが、ちょうどよかった。
「そうやって相手をじっくり見てから飛びかかるんだよ。」
「キイーン。」
「いや、私がいなかったらどうするつもりだったんだよ!」
チョコを隅に追いやった後、私は久々にしっかり体を動かそうと、森の中の猛獣たちと遊ぶことにした。
何匹もの猛獣が、こんな小さい四歳児に向かって飛びかかるなんて、猛獣の威厳としてどうなんだ?
しかも案の定、みんな一発で倒されてしまった。
確かに私は四歳児の体だが、蓄積された内力は静かに生きてきた月日で養った大衆2000年分の力だ。
久しぶりに動かしたせいか、ほんの少しだけ喉の奥で血の味を感じた。
(やっぱり内力を使うのは一番時間がかかる。)
どのみち、体を鍛えてあげないといけない。
当然ながら、この莫大な内力を普通の四歳児の体で扱えるはずがない。
だが、戦闘能力と適応力には優れている。
(基本的に、内力は能力を維持し、保護する力なのだから。)
つまり、内力が体に根付けば、能力が強化され、体内の流れを円滑に使えるようになるということだ。
もちろん、それが簡単にいくわけではないが。
拳を振り上げても効率が悪いので、軽く蹴りを加えるだけにした。
私が腕を軽く伸ばして妖獣が床を軽く叩くたびに、虎が「キイーン」と鳴き声を上げた。
「次からは、何か見つけたらすぐ逃げなさい、分かった?」
私がいなければ命がなかったぞ、君たち。
その後、少しずつ物静かになった私の小さな虎が戻ってきた頃。
「あ。」
耳に聞こえる喧騒に反応して、私は勢いよく起き上がった。
不幸にも、それが望んでいた音ではなかった。
「虎。」
本当に、こんな危険な世界でどうやって生きていけっていうんだよ。
「話さないといけないな。」
この森には、さらに濃い挨拶を交わす住民がいるということだ。
私は少しばかり面倒くさそうに体をポンポンと払う。
どうやら今日はしっかりと体を鍛えられそうだ。
魔物たちがまるでバカみたいに自らやって来てくれるのだから。
「はあ、両親が心配するだろうな。」
それなら、とにかく無事に生き延びて帰らないと。
私は妖獣をぎゅっと抱きしめた。
大神官の内部は騒然としていた。
貴族たちは突然浮上したアナスタシアについてあれこれと囁きたかったが、ロガートの恐ろしい気迫に怯え、口を閉ざしている。
その中でも「彼女は祝福された公女だ」だとか「大神官様に対して失礼すぎるのではないか!」と叫ぶ少数の者はいたものの。
「そ・・・そ、それで、捜索に向かわせないのですか、公爵。」
それでも一国の王である。
かろうじてロガートに言葉をかけられたのはルキウスだけだった。
王はむしろ、ロガートがこの冷え切った場を立ち去ってくれれば、少しは息をつけると考えていたからだ。
「私はこの場をしっかり守りますよ。大神官様の言葉に従えば。」
ロガートが薄く微笑んだ。
「私の娘が主神の罰を受けたというのですか?」
「そ、それなら今すぐ公女を追放し、ひ、ひぃ!」
追放すると言った瞬間、ルキウスはロガートの冷たい目に宿った凄まじい怒りを感じた。
「いいえ、私の娘には何の罪もありません。」
ロガートが大きく剣を振り下ろし、地面を叩きつける。
「その本当に悪い者が邪悪な手段を使ったことを証明しなくてはならないのではありませんか。」
ロガートの穏やかな説明にも、ルキウスは口を閉ざしたままだった。
依然として理解できない表情。
それでロガートはさらに簡単に彼に説明してみせた。
ミハイルへの処遇。
そんなことは言語道断だと分かっていた。
しかし今は、怒りを抑えきれないことがさらに危険な時期だと、当事者であるレベンティス大公が静かに耐えていたため、口を閉ざさざるを得なかった。
その成熟した少年は、小公爵の立場の重さをすでに知っているのか、冷静にレベンティス大公の提案を受け入れていた。
(そうだ、本人がそう言っていたな。)
ロガートはその事実にさらに驚愕する。
その話をしたとき、ミハイルはわずか5歳だったのだ。
『帝国と魔物は怖いです。おじいさまと大公さまは守護者ですよね?国王陛下と戦ったらまた・・・。』
『両親のように誰にも会えない人が生まれるかもしれない。私はそれがもっと怖くて悲しい。』
自分の子どもたちも成熟した考えを持っているが。
(わずか5歳とは。)
ダミアンは子馬に乗ることさえ怖がる年齢だった。
ミハイルは両親を失ってから信じられないほど速く成長した。
そんな彼が、子どもらしく振る舞う方法を覚えたというのに、自分の娘まで利用してこんなにまで彼を追い詰め、捨てるつもりだったのか?
ロガートもテクラードも、それ以上の悲惨な結末を見る気はなかった。
「覚悟を決めるべきです。国王陛下、そして大神官様。」
ロガートは、この神殿で一匹の鼠すら逃がさないとでもいうように、冷たい表情で彼らに告げた。
「その証拠がここに落ちる瞬間、誰が責任を取るべきかを明らかにしなければなりません。」
「小公爵様、お待ちください!」
ミハイルは、自分についてくる騎士たちの呼びかけを耳にした。
しかし、どうしても足を止めることはできなかった。
(・・・赤ちゃんはひどい目に遭わないと思ってたのに。)
自分が手を離したせいだ。
拒絶されたのだと思い込んでいた。
自分だけが嫌われていると思っていたから。
(でもどうして赤ちゃんに・・・?)
ミハイルには到底理解できなかった。
(僕だけを嫌えばいいのに。赤ちゃんは小さくて、何も知らないのに。)
アナスタシアが神殿で姿を消した直後、ミハイルはレベンティス大公にきちんと知らせることもせず、馬車の中で言葉を漏らした。
数人の護衛騎士が後を追わなかったら、少年はそのまま一人でアナスタシアを探しに向かっていたことだろう。
ミハイルは本能的にアナスタシアがどこにいるのか分かる気がした。
赤ちゃんのそばにいるといつも感じた心地よい気配が、自分を導いてくれるようだった。
ミハイルは拳をぎゅっと握りしめる。
(嫌だ。)
幼い記憶なのに、何年が過ぎてもあの日の衝撃は全く薄れることがなかった。
祖父の前で、他の人の前でいつも何事もないように振る舞っていたが、胸のどこかには固い石が詰まったような息苦しさがあった。
『・・・ミハイル、母さんと父さんにはもう会えないんだ。』
祖父が自分を驚かせないようにと、何かを堪えながら穏やかに告げた言葉が、まだ鮮明に耳に残っていた。
公爵家の冷たい空気の中に。
荒々しい日々を過ごしていても、何よりも愛してくれた両親だった。
それがもういない。
幼いミハイルにとって、それはあまりにも深い喪失感だった。
その喪失感の中で、ミハイルは誰かが自分を拒絶した子だと言い、非難する声さえも全て飲み込んでしまった。
(だから僕は両親を失ったんだ。)
そう思わずにはいられなかった。
あの日、朝までは確かにそこにいた両親が、どうしてあんなに多くの魔物たちに遭遇しなければならなかったのか。
ミハイルにとって辛かったのは、非難ではなく喪失だった。
自分への非難を受け入れることで、また別の誰かが両親のように犠牲になることの方が、もっと怖くて嫌だった。
(失うのは嫌だ。)
いつからそう思うようになったのか分からない、切なる願い。
(赤ちゃんのそばにいると、少し安心できる・・・少しだけ目を閉じても大丈夫な気がする。)
だからエンデブラン公爵が「大丈夫だ」と言った言葉に期待したのだ。
アナスタシアが本当に信じてくれるわけがないと分かっていながら、無理を言ってみたのだ。
その頑なな表情が少しずつ和らぐ瞬間が好きだったから。
(僕じゃない。違うんだ。こんなことになるなら、しなければよかった。本当だよ。)
誰に謝ればいいのか。
ミハイルは混乱しながらも走り続けた。
自分がもう少し成長していたら、もう少し努力して勉強していたら、もっと良い結果が出せたのだろうか?
自分に優しく触れてくれたその温もり、小さな手を失いたくはなかった。