幼馴染が私を殺そうとしてきます

幼馴染が私を殺そうとしてきます【101話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【幼馴染が私を殺そうとしてきます】まとめ こんにちは、ピッコです。 「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹...

 




 

101話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 祖母と孫娘

その日の午後。

レリアは遅めの食事を終えるとすぐに祖母を訪ねた。

領地に来てから、レリアは毎日一度は必ず祖母を車椅子に乗せて一緒に散歩するのが習慣になっていた。

ところが祖母の部屋に着いたとき、室内は空っぽだった。

「…あれ?」

空っぽの部屋を見た瞬間、心臓がドクンと跳ねた。

もしかして何かあったのか?

目の前が真っ暗になった。

いつも一緒に散歩する時間だったため、驚かざるを得なかった。

ちょうど廊下を通り過ぎる侍女に急いで声をかけると、侍女は慌てて答えた。

「公爵夫人様は散歩に出られました。」

——散歩?誰と?

レリアは眉間にしわを寄せながら、侍女の言った方向に走り出した。

廊下を抜けて庭園の方へ向かうと、遠くに祖母の顔が見えた。

しかしレリアはすぐには近づかず、その場に驚いて立ち止まった。

「……」

祖母は車椅子に乗らず、ゆっくりとした足取りで両足でゆっくり歩いていた。

気分がすぐれない様子で、いつもは膝まで痛むため車椅子で散歩をしていたのに…。

しかも表情もいつもより明るかった。

その隣には茶色い髪の男性が優しく微笑みながら、祖母を支えていた。

彼は見覚えがあった。

レリアはその方へゆっくりと歩み寄った。

近づいていくと、ベンチに座って二人を見守っていたアティアス叔母の姿も目に入った。

「叔母さま。」

「まあ、レリア。」

アティアス伯爵夫人はレリアを見つけるとすぐ、隣に置かれた時計を確認し、そして手を伸ばした。

「ごめんね。もうレリアと散歩をする時間だったんだね」

「大丈夫です」

レリアは伯爵夫人の手を握って、彼女の隣に腰を下ろした。

そして祖母と歩いているグリフィスの姿を見つめた。

アティアス伯爵夫人はその様子を見て、小さくつぶやいた。

「実は今朝、グリフィス卿がいらしてね。お母様の膝の調子が優れないと聞いて、治癒魔法をかけてくださったのよ」

「本当ですか?」

「そうよ。クロイツ教の神官たちは選ばれし才能の持ち主だっていうじゃない。普通の神官よりもずっと治癒力が優れてるのね。」

アティアスおばは嬉しそうな表情だった。

そして、ぽんとレリアの腕を軽くたたいた。

「ねえ、あの男、あなたの夫にどうかしら?」

「えっ?」

「中立区域に入ってしまったら結婚もできない神官になるでしょう?その前にあなたの夫にしちゃいなさいよ。ね?」

アティアスおばはグリフィスがとても気に入った様子だ。

レリアはばつが悪そうに笑った。

カリウスおじさんもそうだし、友達もみんなそのように話を持っていこうとするのが不快だった。

幼い頃の友だちの一人と結婚なんて…?

全く考えたこともなかった。

口合わせだけでもあんなに変な気分だったのに… 結婚?うえっ。

レリアは異性や恋愛に夢中になった経験はなかったが、何も知らないわけではなかった。

結婚した夫婦がどんなスキンシップを交わすのか程度は知っていた。

想像するだけでぞっとした。

レリアはそっとうなじをさすった。

そのささやかな反応に、アティアスは少し残念そうな表情を浮かべた。

そして「なるほど、レリアはグリフィス卿ではなく、別の男性を想っているのね?」と推測した。

そのとき、祖母とともにグリフィスがゆっくりとこちらに近づいてきた。

「おばあちゃん!」

「私の娘……」

まだ祖母は彼女をちゃんと認識できていなかった。

薬の効果がもうすぐ現れるとはいえ、まだ少し時間が必要なようだった。

レリアはがっかりしたが、それを表には出さなかった。

「まあ、私ったら何やってるのかしら?お母さん、中に入って私が作ったおやつ食べましょ!さあ行きましょう。」

アティアスおばは意味深な目配せをしながら祖母を連れて聖堂の中へと入っていった。

グリピスと何か進展でもさせてみて、というような目つきだった。

レリアは困ったように笑いながら、グリピスのほうへ視線を向けた。

「……」

「ちょっと歩く?」

にっこりとレリアを見つめていたグリフィスが優しく問いかけた。

心地よい声に、レリアは無意識に首を縦に振った。

レリアはグリフィスと一緒に、開けた散歩道を歩いた。

風がそよそよと吹いてきて、爽やかな空気が鼻をくすぐった。

気持ちのいい風だった。

グリフィスは何も言わず、レリアの歩調に合わせて静かに歩いたが、その沈黙は気まずくなく、むしろ心地よかった。

レリアは幼い頃もグリフィスと一緒にいると、いつも安心していたことを思い出した。

グリフィスが決して高慢で堅物な性格ではなかったにも関わらず、である。

神聖力は「大きな光の力」とも言われている。

そのせいだろうか、グリピスはそこにいるだけで、周囲の人の心を安らかにしてくれるようだった。

だから叔母も祖母もグリピスのことが好きなのかもしれない。

物思いにふけっていたレリアは、グリピスのほうにそっと顔を向けた。

すでにレリアを見ていたグリピスは、彼女と目が合うと柔らかく微笑んだ。

レリアが先に口を開いた。

「ありがとう。」

「もう敬語じゃなくてもいいんじゃない?」

「…まだです。」

封印の魔法が完全に解け、その事実を打ち明けられるその時まで、レリアはきっぱりとした口調でそう返した。

万が一にも失敗したらと思って怖かったのだ。

レリアの言葉にグリフィスは気にしないように首を軽く振った。

レリアは慎重に再び口を開いた。

「おばあちゃんの膝を治してくださったと聞きました。本当にありがとうございます。」

「たいしたことじゃないよ。」

しばらく静かに歩いていた二人は、ちょうど見つけたベンチに腰を下ろし、少し休むことにした。

ベンチに座ると、レリアはずっと気になっていたことを尋ねた。

「でも、どうしてそんなにすぐおばあちゃんと親しくなれたんですか?おばさまともですし。」

公爵夫人は初対面の人にはとても警戒心が強いのに――でも、グリピスと一緒にいるときは身体までリラックスしているように見え、さらには明るく笑っていた。

レリアが不思議に思うほど、意外な姿だった。

しかし、グリピスの返答はもっと意外だった。

「たった2分で親しくなったわけじゃないんだ。」

「えっ?」

レリアはその意味がわからず目をぱちくりさせた。

グリピスはベンチに腰かけ、レリアの方に向けてそっと身を起こした。

そのとき、柔らかな風がそよそよと吹いてきた。

「ちょっと。」

グリピスがそっと手を差し伸べ、レリアのかかった髪を耳の後ろにそっとかけてくれた。

とても優しく、ゆっくりとした手つきだった。

レリアも少しの抵抗や驚きもなく、その手に身を委ねた。

グリフィスは、ゆるやかな風に飛んできた木の葉を手のひらで受けながら言った。

「特別な理由なんてない。ただ、君の家族が僕には他人に感じられなかったから、あの方たちも僕の家族のように思えただけさ。」

「………」

レリアは少し驚いた目でグリフィスを見つめた。

グリフィスが少し変だった。

何かが違って見えた…。

グリフィスがこんな優しい言葉を言うなんて思わなかった?

幼い頃のグリフィスは、まるでシュワシュワと弾けるシャンパンのようだった。

決して温厚な性格ではなかった。

かなり神経質で、気が強いタイプだったのに、今はまったくそんな感じがしなかった。

神聖力が強くなったからだろうか?まるで本当に聖者のような雰囲気を漂わせていた。

『……でも、ほんの少し前までは……』

レリアははっきりと覚えていた。

アウラリア皇城で再会したとき、グリピスは双子の皇子たちをどうやって威圧したのか。

とにかく拳の使い方がうまいのか、聖者なのにケンカの達人と思っても不思議ではないくらいだった。

——それなのに、なぜ突然こんなに柔らかい雰囲気になったの?

『グリピスが私に愛情を示すなんて、あるわけないし……』

あの時とはまったく違う姿が怪しかった。

しかし非難するつもりはなかった。

とげとげしいグリフィスよりは、こうして穏やかなグリフィスのほうがよほど接しやすかったから。

「そう言ってくれて、ありがとう。」

「………」

グリフィスは穏やかな表情で、やさしい風に触れているレリアをゆっくり見つめた。

まるで生き物を観察する学者のように、とても静かで深い眼差しだった。

さっきレリアに話したように、彼は公爵夫人やアティアスだけと親しくなったわけではない。

実は彼が最も気にかけている人物は、シュペリオン公爵だった。

ロミオほど親しみやすい性格ではないものの、グリピスは必要とあらばいくらでも温かく細やかなふるまいができた。

レリアの家族であれば、そういう姿を見せる価値は十分にあると感じたのだ。

短い時間でシュペリオン公爵と親しくなり、彼から幼い頃のレリアについての話を聞くことができた。

ロミオも、カーリクスも、オスカーもまだ知らない話だった。

その事実が何となく誇らしく思えた。

ただし、その内容はそれほど特別なことではなかった。

幼いレリアがなぜ、どうやって皇城を抜け出したのかという話だった。

話の大筋を聞いて、グリピスはすぐにレリアの過去の事情をある程度把握した。

『君は死んだふりをして僕たちを欺いたのではなく、やむを得ない状況だったんだな。』

レリアがレオだったと気づいて、裏切られたと感じなかったと言えば嘘になる。

しかし今となっては、そんなことは何の意味もなかった。

「………」

グリフィスはそっと手を引いた。

そして、レリアの膝の上に乗っていた彼女の手の甲を動かしてくれた。

レリアはびっくりして彼を見つめたが、手のひらから温かい気配が流れ込んでくるのを感じて、そっと笑った。

『グリフィスに慰められる日が来るなんて。』

レリアは彼の手を振りほどかず、目を閉じて、暖かい風を感じた。

こんな穏やかな時間は本当に久しぶりだった。

「……」

一方でグリピスは、そんなレリアを一つひとつ観察するような目で見つめていた。

自分の知らない過去の不幸を背負ったレリアが、何とも切なく感じられたのだった。

まるで雨に濡れた子犬を抱いたときのような気持ち。

“これは自分のものだ”という所有欲とともに、安全に守ってあげたいという感情が湧き上がった。

『幼いころ、お前が慰めてくれたあのとき、こんな気持ちだったのか?私にもそんな気持ちを抱いていたのか?』

衝動的に問いかけたくなるその疑問をぐっと呑み込みながら、グリピスはレリアの目、鼻、唇、そしてそこから首筋へと続くラインをじっと見つめていた。

もし、幼いころのレリアが本当にそんな感情だったとすれば、それは他の奴らにも同じだったはずだ。迷惑なことに。

オスカー、ロミオ。

あの二人のトラブルメーカーが消えたとき、少しでも何かすべきだった。

そうすれば、あんなことにはならなかっただろう。

レリアが再び目を開けると、グリフィスはやさしい眼差しを消していた。

優しいグリフィスと目が合ったレリアは、彼の心の中をまったく読み取れず、ただ笑った。

 



 

驚くべきことが起こった。

昨日、グリフィスと散歩していた途中で、レリアは祖母の治療薬についての話を切り出した。

「薬を飲んでから何日か経ちましたけど、効果が全然見えない気がします。」

「神病(しんびょう)を治療する薬とはね。」

「……」

レリアはグリピスの反応を慎重にうかがった。

詳しく話したわけではないが、それでも不審に思われるのではないかと心配がよぎっていた。

神聖力を持つグリピスにとって、錬金術は異端と同じはずだ。

けれどグリピスはまったく嫌悪感を見せず、そんな薬が存在するとは思えない――という様子すら見せなかった。

ただ、興味深そうにしているだけだった。

『まあ、神性力を持っているのにグリフィスは神を信じていないからな……』

なんとも皮肉な話だ。

普通、神性力というのは信仰心が深まるほど強くなると言われている。

そのため神官たちの序列も神性力の強さの順に決まっている。

だが、そんな常識を打ち破ったのがグリフィスだった。

彼の存在は神殿にとって異端児のようなものだろう。

神性力だけ見ればすぐにでも神殿に連れていくべきだが、肝心の本人が神を信じていないのだから戸惑ってしまうし、知られるのも恐ろしいことだろう。

レリアが思案に沈む間、グリフィスも悩みながら口を開いた。

「いい考えがある。」

「えっ?」

「神聖力を体内に注入すれば、身体の中の気が温かく循環して、薬の効果が早く回るようになるんだ。」

その日の夕方、グリピスはすぐにレリアと一緒に公爵夫人の元を再び訪れた。

眠っている老婦人にゆっくりと神聖力を注いでいくグリピスの姿を見て、レリアは感謝と申し訳なさの気持ちを感じた。

汗まで流しながら熱心に取り組む姿は、まるで聖者のようにすら思えた。

そんな姿を見ていると、もしグリピスが本当に孤高の神の使徒だったとしたら、レリアもこのきっかけで信仰を持っていたかもしれない。

そして数日が過ぎた後、公爵夫人はついにレリアを見つけたときの彼女(公爵夫人)は、実に久しぶりのことだった。

「おばあさま……」

「…ああ、うちの孫娘だったのね……」

表情が穏やかになった公爵夫人は、以前とは違って優しい目でレリアを見つめた。

しわの深い頬には、絶え間なく涙が流れていた。

言葉も出せず、公爵夫人はレリアを抱きしめ、しばしそのまま時を過ごした。

グリフィスは悲しげな表情でレリアのそばに立っていた。

アティアスとカリウス、シュペリオン公爵もまた涙をぬぐいながら、祖母と孫娘の再会を静かに見守っていた。

 



 

 

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