こんにちは、ピッコです。
「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
123話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 母親②
しばらくして到着したのは、人間の都市だった。
オスカーの話によれば、ここは神殿のすぐ隣にある都市だったが、ずいぶんと変わって大きくなっていた。
気がつくと、すでにホテルの客室の中だった。
レリアは疲れた足取りでソファに向かい座る。
そして、まるで当然のように隣に座っていたオスカーを見て、戸惑いながら尋ねた。
「…どうして、あなたが….」
なぜ出て行かずにここにいるのか聞こうとしたとき、オスカーが先に口を開いた。
「お前がついて来るなら、最低でも隣にぴったりくっついて警戒してろって。」
「………」
「何だ?不公平だと文句言ってなかったか?」
レリアには言い返す言葉がなかった。
自分の発言が間違っていないことはわかっている。
しかし、感情が高ぶっていたときに言った言葉が、今になってオスカーにそのまま返ってきて、言葉に詰まった。
レリアはむすっとしたように口をつぐみ、視線をそらした。
クスッという笑い声が聞こえたかと思うと、問いかけが飛んできた。
「さっき言おうとしたことって何だ?」
「…何のこと?」
「さっきの女官と何か話してたんじゃないかって訊いたでしょ。その後に何か言おうとしたんでしょ。」
「…そんなこと、一度も言ってない。」
レリアは思わず嘘をついてしまった。
自分の耳を塞ぎたくなった。
オスカーと話したくなかった。
逃げ出したいという思いに駆られ、勢いよく立ち上がって浴室らしき方向へ向かう。
オスカーの足音が後ろから聞こえたが、浴室の前で身体を反転させた。
「シャワー浴びるから、ついてこないで。」
「逃げるつもり?」
オスカーの言葉に、レリアは眉間にしわを寄せて彼を睨みつけた。
視線が合うと心臓がどきっとしたが、レリアはなおも力を込めて彼をにらみつけ続けた。
「お母さんに似た人を見つけたのに、どうして逃げられるの?」
レリアの言葉には説得力があったのか、オスカーはすぐに一歩後ろに下がった。
その隙を逃さず、レリアは浴室の扉を勢いよく閉めた。
閉めた扉にもたれかかると、激しく脈打っていた心臓が少しずつ落ち着いてきた。
息を整えながら、違うことを考えようとした。
頭に浮かんだのは――自分の母に似ていたあの神官のことだ。
『お母さんが死なずに生きている可能性って、どれくらいあるんだろう?』
火災による死と聞いていた。
しかし初めから母は魔法に才能があり、錬金術にも関心のある人物。
能力を使って火災の状況から逃れたのかもしれない。
でも……なぜあんなに長い年月、身を隠して神殿で過ごしていたの?
最初はどうやってあんな遠いアウラリアの首都から中央地域まで来たの?
もしかすると、あの人は母じゃないのかもしれない、という考えが浮かんだ。
あまり落ち込まないで。
レリアは自分にそう言い聞かせた。
確かなのは、もう一度あの人の顔をしっかり見なければならないということだった。
レリアは清潔な布で体を拭き、服を着替えて外に出る。
とにかく今日はもう眠れそうになかった。
…いっそ夜が明けたらすぐにまた訪ねて確かめたほうが気が楽かもしれない。
「よく洗えた?」
しかし出てきた途端、ソファに足を組んで座っているオスカーと鉢合わせた。
洗っている間に悩んでいた母に関する問題が、一気に消え去るような気がした。
今までずっとそうだったように、オスカーが当然のように席を空けてくれると思っていた。
でもオスカーは、これからは本当にずっとレリアのそばにぴったりくっついて見張るつもりなのだと感じられた。
レリアは言葉に詰まりながら、ぽかんとオスカーを見上げた。
オスカーはのんびりと席から立ち上がると、レリアの横を通り過ぎていった。
「俺も洗ってくる。」
「……」
何気ない一言だったのに、突然喉が熱くなった。
大したことのない話なのに、まるで夫婦が交わす何気ない会話のように感じられて、妙な気分になった。
『考えないようにしよう。』
レリアはため息をつきながらブランケットを引き寄せ、ベッドの上に横になった。
むしろオスカーがいつものように外へ出て、1人でいる方が気が楽な気がした。
別のことを考えよう。
『錬金……。』
「[?]」
『私のお母さんにそっくりな人に会ったけど、その人が本当にお母さんか確かめる方法はないかな?』
「[それは私もよくわからないけど…((っ•ω•⊂))]*(うまくいけばいいけど。)」
錬金の素っ気ない反応に、レリアは指先を噛みながらしばらく悩んだ。
するとその瞬間、ひとつの考えがふと頭をよぎった。
『それじゃあ、忘れていた記憶を取り戻す方法は?』
【あっ!リモコンどこいった?ㅠㅠ 私の靴下の片方はどこ?ㅠㅠ あらら…また忘れちゃったんですか?それなら『記憶回復剤』レシピを使ってみてください!٩(•̀ᴗ•́)و】
【もし『記憶回復剤』だけでは足りないなら、『記憶回復剤2』を使ってみてくださいね!(。•ㅅ•。)✧ ただし、忘れたかった記憶まで一気によみがえるかもしれませんので、ご注意を】
「主に、ずっと前の記憶が戻ることもあるので注意が必要です!=͟͟͞͞(๑º ロ º๑)」「時には知らないほうがいいこともありますよ!」※(アルツハイマー病の治療薬と混ぜてはいけません。ㅇ_ㅇ)
もしあの人が本当に母親であるなら、今までアウラリアに戻らず、神殿に留まっていた理由はただ一つしかなかった。
『あの日、火事の衝撃で記憶に障害が生じたのは明らかだ。』
錬金が言っていた薬のうち、1つ目の薬は効き目が弱く、2つ目の薬はとても強力なもののように見えた。
『前者は失くした物を探すときに使うものみたいだし……どうせなら後者を使った方がいいかもね。』
レリアは制作メニューに入り、錬金が言っていた「記憶回復剤2」を作る。
運良くちょうど1つ分だけ作れる材料があったのだ。
しかし……明日探しに行ったとき、どんな方法でこの薬を飲ませよう?とあれこれ悩んでいた。
「そうだ。」
忘れていたことを思い出した。
レリアは作っただけで服用していなかった「超強力解毒薬」を思い出した。
インベントリを開いてみると、以前作った薬がそのまま残っているのが見えた。
レリアは急いで薬瓶を取り出し、蓋を開けて口の中に入れた。
透明な水のような薬は、苦くも甘くもなかった。
すべて飲み干したからには、今残っている「愛の妙薬」の効果もすべて消えるはずだ。
これでオスカーにも、前のように気軽に接することができるだろうし……シュペリオンに送り返してくれと説得するのも簡単になるはずだ。
『グリピス、あいつのせいで、こんな厄介なことに……。』
ああ、それにしても、首都に連絡できていなかったという事実まで思い出した。
「はあ……。」
レリアは苦しげなため息をつきながら頭をかかえた。
その時、カチャッという音とともに、オスカーが出てくる音が聞こえた。
薬を飲んだので以前よりもすっきりしているだろうと予想して扉を開けた。
その瞬間、何かがおかしいという予感がした。
濡れてしっとりしたオスカーの銀色の髪は、レリアのそれより少し濃い色だったが、水に濡れてさらに濃く見えた。
幸いにも上半身は裸ではなかった。
しかし、体を拭いて出てきたオスカーの姿が妙に官能的に見えた。
そんなはずはないのに。
『私の脳がおかしくなっちゃったの?』
脱いでいるわけでもないのに、なぜか誘惑的に感じられるのか分からないことだった。
たぶん、それはオスカーとの間のこととは別に、オスカーという人自体が魅力的な男性だからだ。
そう、客観的に見ても、オスカーは思わず目を奪われるほどの美男子だ。
さっきの女官のように、女性であれば当然視線を奪われるほどの容姿だった。
彫刻のように整った美しい顔に、がっしりとした男らしい体格、それに見上げるほどの高身長まで。
立っているだけでも皇族であることが感じられるほどの気品と優雅さが漂っていた。
実際の身分も皇太子であり、いずれは皇帝になる人物なのだ。
レリアは、自分は平凡な女性だから、たとえ薬の効果でなくてもこれくらいの反応をするのは当然だと思った。
そうして自分を納得させながら蓋を閉じた。
オスカーがまるで当然のようにベッドに近づき、横に上がってきた。
突然の行動に、体がびくっと反応した。
「な、な、何してるのよ?」
「何が?」
「なんでベッドに上がってくるのよ… 普通に出てってよ。」
「俺が体を洗いながら考えてみたんだけど。」
出ていけという言葉に、予想外の返事が返ってきた。
レリアは眉間にしわを寄せながら、オスカーの続きを待った。
「さっきお前が言ったこと、説明が必要だと思う。」
「…な、何の話よ?私が何か言ったっけ?」
レリアは刺すような口調で返答した。
やましいところがあるからだろうか。
レリアは鋭く目を細めた。
「私に頼んでおいて、それはないでしょ。」
「……」
「欲しいものがあるたびに、そうやって取引のように得ようと思ってるの?」
無感情な声が尋ねた。
レリアは自分でも気づかぬうちに怒りがこみ上げてくるのを感じた。取引だって?
「…それは…」
「俺のこと嫌いって言ってたくせに、そういうことはうまいんだな?」
しかし続くオスカーの声に、燃え上がっていた怒りが急にしぼんだ。
――えっ?
レリアはオスカーの目を見つめて、思わずまばたきした。
「……私が、私がなんで君を嫌うのよ。言ったじゃない」
「じゃなきゃ、なんで俺の目を見られない?」
「……」
レリアは唇に力を込めて彼を見返した。
薬を飲んだからか、以前よりは目を見つめるのが少し楽になったようだった。
「ほら、ちゃんと見てるじゃないか。」
「……」
そう言うと、オスカーはわずかに目を伏せた。
レリアは息が詰まるのを感じた。
突然、周囲の空気が妙に重たく、息苦しく感じられた。
楽なのかな?前より視線を合わせるのが楽に……なったかはわからない。
でも、ひとまず目は合わせられるようになった…。
ドキドキ。
心臓がやけに早く跳ねるのが、自分でもわかった。
「まさか……」
薬の効果じゃないの?
そのとき、無邪気に飛んできた質問が彼女の胸を突いた。
「じゃあ、本当に俺のこと嫌いじゃないの?」
飛んできた質問から、微妙な期待感が伝わってきた。
レリアは疑った。
本当に心から私が彼を嫌っていると思ってるの?ずっと目をそらしていたからって?
あんな当然のことを、なんでこんなに真剣に聞いてくるの?
どう考えても今のこの雰囲気は妙で、変に感じられた。
二人とも身体を洗ってベッドに座っているこの状況で、こんな重くて熱い雰囲気の中で、こんな会話をしているなんて……。
「もちろん嫌いじゃないよ。」
レリアは雰囲気を変えようと、明るい声で答えた。
しかし声が少し震えていて、自分でも不自然に聞こえた。
その瞬間、オスカーの目の色が変わった。
いや、変わったように感じた。
どこか切なさを含んだような眼差しだった。
「君を誘拐して連れていったのに、僕のことが嫌いじゃないって?」
「……」
「君を帝国に連れて行って、無理やり皇后の座に就かせて、君の家族にはもう二度と会えないかもしれないっていうのに、嫌いじゃないって?」
「……あ……」
レリアは戸惑い、ただ口をぱくぱくさせた。
「それで、僕にキスしたの?」
浴びせられる質問に頭の中が混乱した。
オスカーは冷静に答えを待っていたが、レリアはしぶしぶ口を開いた。
「…嫌いじゃない。でも私のことをシュペリオンの領地に送り返してくれたらいいのに。」
「…僕のことが嫌いじゃないのに、なんで僕の目を避けたの?」
レリアは目を泳がせた。
さっきまでは平気だったのに、急にオスカーの目を見るのが難しくなった。
『薬の効果がまだ残ってるみたい…。』
もう正直に答えよう。レリアは目をぎゅっと目を閉じた。
「ごめんね、オスカー。本当は……」
「………」
レリアは申し訳なさそうな表情で目を開け、彼の腕をつかんだ。
しっかりとした腕から体温が伝わってきたが、そんなことを気にする余裕はなかった。
「薬の効果、まだ残ってるみたい。」
「何の薬?」
「…あのときグリピスが私に飲ませた薬のことよ。」
「媚薬か?」
「そんな薬じゃないわ!」
「じゃあ、正確には何なの?」
レリアはため息をつきながら、自分が知っていることをすべて話した。
「私も詳しくは知らない。ただ、薬を飲んで最初に見た相手を好きになる薬だってことしか……」
「その薬を飲んで最初に見た相手って、僕だったの?」
「……うん。」
「グリピスを殺してでも来るはずだった。」
その言葉に、レリアはオスカーのつかんでいた腕を思わず叩いた。
「友達にそんな怖いこと言わないで。」
「……だから、その薬の効果がまだ残ってるんだな。」
「…うん、たぶんそうだったと思う。だから目を合わせるのが少し…難しかったの。誤解させてごめんなさい。」
レリアはそっとオスカーの腕を離し、視線を伏せた。
「そんなはずないのに。」
オスカーは彼女の顎に手を添えて、顔を近づけた。
レリアは思わず驚いて顎を引いたが、オスカーがそれに合わせて距離を詰めてきたので、鼻先に彼の顔が迫った。
心臓がまるで暴れ出すかのように跳ね始めた。
オスカーは彼女をまるで探るように見つめたあとしんと静まり返った。
「この前みたいにキスしてほしいってせがんでもいないのに。薬の効果が残ってるって?」
「………」
「レリア。」
「………」
「いっそあのときみたいにすがってみてよ。そしたら信じてあげるかもしれないから。」
「………」
「ずっと嘘をつくお前も、そんなのに騙される自分も、ほんとに情けないよ。」
一瞬で冷たくなったその言葉に、レリアは冷水を浴びたような気分だった。
まるでからかうように会話をしておきながら、今さら信じられないという反応だった。
レリアはまるで踊らされているような気がした。
オスカーはいつもそうだ。
ああだこうだと弁解するうちに、レリアまで振り回されて冷たさと熱さを行き来する気分にさせられていた。
『そういえば、あのとき他の女と何か話してたけど、笑ってごまかされたのか、結局何も答え聞いてなかったな……』
正確に言うと、答えを聞かなかったわけではなく、レリアが「私はそんなこと言ってない」と答えを遮ったのだ。
突然怒りがこみ上げてきた。
これは感情の変化なのか、レリア自身も把握できず戸惑う。
さっきまで楽しかったのに、今は気分が悪い。
瞬く間に気持ちが上下した。
レリアの目つきはさっきとは違っていた。
「明日、皇城の首都に手紙を送るつもり。」
「………」
「みんな心配してるわ。おじさんとおじいちゃんも……。」
友達もきっと彼女のことを心配しているだろう。
「そんな必要ない。」
「え?でも突然皇城からいなくなったんだし、みんな……」
「俺が君を連れていったのは、みんな知ってる。」
「…え?」
「君をフレスベルグ帝国へ連れていくってメモを残しておいたんだ。シュペリオン公爵家にも正式に使者を送ったし。」
「………」
レリアは一瞬ぽかんとした。な、なんですって?
「君も逃げたいって言ってたじゃないか。」
「……え?」
「君を迎えに行った時、君がつぶやいた独り言を聞いたんだ。」
思考が一瞬止まった。
レリアはあの日、泣き疲れて眠りに落ちるときにつぶやいた独り言を思い出した。
それを聞いていたって?
「どれほど嬉しかったか……僕が君を助けたんだよ。違う?」
「それはただ…腹が立って意味もなく言ったことよ。」
「いや、お前は本気で逃げたかったんだ。その場所が後ろめたかったんだろ?皇宮に行ったことを後悔してたじゃないか。」
レリアは何も言えなかった。
オスカーの言葉はすべて事実だ。
その瞬間、すべてを捨てて逃げ出したくなった。
馬車の窓の外に広がる風景を見ながらの一瞬だったが、晴れやかだと思った。
オスカーに拉致されて、彼に囚われたが、レリアはそのとき初めて自由だと感じた。
「私は……」
「それと、薬の効果を見極めたいなら、またキスしてほしいとでも懇願してみろよ。」
「………」
「私のことが嫌いじゃないっていうのも全部嘘なんだろうな。」
「オスカー….」
「もうどうでもいいよ、今となっては。」
「………」
レリアはもはや薬の効果のせいだなんて言い訳はできなかった。
自分でも本当に薬の効果が残っているのか疑わしくなっていたからだ。
でも… もし薬のせいじゃないとしたら?
恥ずかしくてオスカーの目をまっすぐ見られなかったのが薬のせいじゃないとしたら。
自分がオスカーを見て、おとなしくなって、照れていたとしたら。
それはつまり、女が男を見て照れる理由は――ひとつしかない。
「……」
レリアは、海の真ん中で巨大な波に出会ったように混乱していた。
最初に襲ってきた感情は、高く押し寄せる波のように彼女を飲み込んだ。
その中で、さっきから気になっていたことが何度も頭をよぎった。
手のひらに刺さったトゲのようにチクチクと痛んだ。
ついにレリアはその衝動に勝てずに問いかける。
これは残っている薬のせいだと自分に言い訳しながら。
「それで、その女官とはどんな話をしてたっていうの…?」







