こんにちは、ピッコです。
「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
132話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 聖女
一方、シュペリオン領主の城。
レリアの部屋には、険しい表情のロミオが立っていた。
そこはレリアが座っていた場所。
その場所に残った水滴を見つめながら考え込んでいた。
『レリアが戻ってきたのか?』
状況から察することは難しくなかった。
『でも、なぜ……?』
レリアの痕跡はまったく見つけられなかった。
シュペリオンの人々には、レリアが一時的に何かを探しに行ったと説明していた。
頭の中が混乱していた。
確かに、レリアには二つのスクロールを渡していた。
一つは行くときに使ったはずで、もう一つは帰るときに使うのが正しかった。
「………」
ロミオはこめかみを押さえた。
まさかオスカーに会って、あの子が……。
チッ。
ロミオは舌打ちし、体を起こした。
戻ってこなければ、カーリクスにスクロールを渡し、再びレリアを探しに行かせようと思っていた。
魔法でも、神性でも追跡できなかった彼女の居場所を、完全に直感で突き止めた男だ。
ロミオはもうほとんどカーリクスを、あの地に順応した使い魔レベルだと考えていた。
まだ命令が可能な、そんな使い魔。
狼には近いが、まだ飼いならされてはいない存在。
自室に戻ったロミオは、スクロールを持ってカーリクスの部屋へ行こうと考えていた。
しかし彼の足は、机の前で止まった。
「……これは何だ。」
幼い頃、友達と分け合って持っていた万年筆。
その隣に、まるで新たに届いたように一通の手紙が置かれていた。
見覚えのあるグリピスの筆跡だ。
「……チッ。」
手紙を読み終えたロミオの表情が、わずかに歪んだ。
この生意気な奴め……
もしかしたらこんなことが起こるかもしれないと、前々から予測していた。
だが、あらかじめ知っていてもどうすることもできなかった。
危険なやつめ、陰険なやつめ……。
舌打ちが漏れた。
ロミオは悪態をつきながら唇をギュッと噛みしめた。
オスカーは見た目にはカーリクスと同じくらい純粋だった。
ただレリアさえいれば、すべてがうまくいくと信じていたほどに。
しかしグリピスは違う。
必要であればレリアの弱点を突き、逃げ道をすべて塞いで自分の元に歩いてこさせる罠を張る男だった。
ロミオは自分の失策を責めながら、急いで公爵室へ向かう。
すぐにでもレリアがどこにいるのかを知らねばならなかった。
ぼんやりした空間で目を覚ました。
レリアはうめきながら手をつき、ベッドから起き上がった。
すでに服が着替えさせられていたことに気づいた。
新しい服だったが、新品のように柔らかかった。
レリアは周囲を見回した。
全体的に清潔で白い部屋だった。
家具はほとんどなかった。
もしかしてオスカーがここに自分を連れてきたのだろうか?
そう考えていたとき、ふと最後の記憶が浮かんだ。
『聖騎士……』
自分の手を取ったのは明らかに聖騎士だった。
神聖力で気絶させたのは間違いない。
でも、どうして?
理由を推測しているうちに、不意に一人の人物の顔が浮かび上がった。
『グリピス……』
そしてシュペリオンで聞いた話も思い出された。
彼女が姿を消したその時、グリピスが何をしていたのか。
「お前が皇城で姿を消した後、グリピスとロミオがお前を探すと大騒ぎだった。ところが突然、グリピスが姿を消したんだ。」
「するとすぐに奇妙な噂が聞こえてきた。グリピスが認めた聖女はまさにレリア、お前だっていう噂だった。」
「とにかくその知らせを聞いて、神殿からすぐお前を連れて聖皇庁に招待するつもりのようだ。聖皇庁だなんて、あり得ない。」
グリピスの名を借りて治療薬を配布したいと頼んだ会話も思い出した。
その時のグリピスは優雅にうなずきながら、嬉しそうに笑っていた。
その笑顔を思い出した瞬間、背後からかすかな音が聞こえた。
そのときだった。
コンコン。
扉をノックする音が聞こえると、すぐに扉がゆっくり開いた。
かすかな足音が響いた。
ゆっくりと中へ入ってきた人物は、予想通りの人物だった。
「よく眠れた?」
グリピスが優しい声で微笑みながら尋ねた。
安心感すら感じさせるほど穏やかな微笑だった。
「グリピス……」
グリピスは近づいてきて、心配そうな顔で彼女を見つめた。
彼の手がやさしく頬に触れた。
優しい声と同じく、あたたかい温もりを持った手だった。
「久しぶりに会ったのに、なんでこんなにやつれてるんだ。」
「……」
この状況をまともに理解するのは難しかった。
聖騎士たちによって連れてこられたのか?それとも自ら来たのか?
レリアはグリピスの意図が分かるようでもあり、全く分からないようでもあり、混乱していた。
「ここは、どこ?」
近くから漏れた問いかけは、はっきりと聞こえた。
グリピスはレリアの頬を左手でそっとなでながら、答えた。
何気ない様子で。
「中立区域だよ。」
中立区域?
それなら、最後にいた場所からそれほど遠くはないはずだ。
レリアは落ち着こうとして、改めて問いかけた。
「…私、私がどうして…。どうして私をここに連れてきたの?」
「えっ、まだ噂聞いてないのか?」
グリピスの眉間が少しひそめられた。
「……大まかには聞いたよ。どうしてそんなことをしたの?」
どうして状況がここまでこじれてしまったのか分からなかった。
聖女だの、女教皇だの。
とても現実とは思えない話ばかりで、現実味がなかった。
グリピスは困ったように視線をそらしながら言った。
「とにかく、座って話そう。話すことがたくさんある。」
レリアは静かに落ち着いたグリピスを見つめながら、ひとまずコップを口にした。
しばらくして、レリアは神官が持ってきたお茶を飲んだ。
温かいお茶が体に染み渡るにつれ、精神がはっきりしてきたように感じた。
心も徐々に落ち着いていった。
グリピスは、そんなレリアの変化に気づいたようで、ちょうどいいタイミングで口を開いた。
「君が作ってくれた薬を配布し始めたんだけど……どうしようもなかった。」
「何が?」
「私が作ったということを神官たちが信じなかったんだ。」
「……」
「だから仕方なく放っておいた。嘘は全く効き目がないからね。」
レリアの眉間がひそめられた。
「とにかくお前の話が出てから、みんなが推測し始めたんだよ。神病(しんびょう)を治せるのは神の力だけだってさ。宗教的な話だから詳しくは覚えてないけど、とにかく自分たちで勝手に盛り上がってた……」
「………」
「お前が聖女かもしれないってことなんだ。」
レリアは徐々に頭に血がのぼっていくのを感じた。
「それだけさ。俺は正直に言っただけだよ。お前には俺にも分からないとんでもない力があるって、そう言っただろ?」
「………」
「正確には分からなくてごまかしたから、それを神聖力だと思ったんだと思う。まあ、似たようなものでしょ?とにかく病を治したんだから。」
グリピスは気にしないように肩をすくめた。
その飄々とした態度にレリアは呆れてしまった。
ゲームシステムをハッキングまでしておいて、それが神聖力と似ていると思ったって?
そんなふうに平然と話す様子に、細かく聞けば聞くほど荒唐無稽でむしろ寒気がした。
「それより。」
グリピスはもっと大事なことがあると言いたげに言葉を続けた。
「お母さん、見つかったって聞いたよ。本当におめでとう。ご無事でよかったね。」
「………」
「目を覚まさないと聞いたけど……私の助けが必要ならいつでも言ってね。」
母の言葉に、レリアの表情がさらに曇った。
「目を覚ますことができるの?それより、なんでそんなこと知ってるの?」
「なんとなく、あちこちから話を聞いたからよ……君のことなんだから、知らないはずがないでしょ。」
「………」
「私が行ってみようか?私が行ったらすぐに目を覚ますかもしれないし。」
レリアは以前、グリピスの神聖な力によって祖母の病気の回復が早まったことを思い出した。
他の誰でもなく、グリピスの神聖力なら本当に目を覚ますかもしれない。
「じゃあ、お願い……」
言いたいことはたくさんあって喉まで込み上げていたが、今は母のことが最優先だった。
レリアは「仕方なかった」というグリピスの言葉を信じられなかった。
でも、母の話をするうちに、その話題をまた持ち出す気になれなくなった。
分からない……とにかく、また新たにややこしい事態を招きたくなかった。
どうせ聖女や聖皇、それに類する何かになるつもりは全くないのだから。
オスカーと母のことで、すでにいっぱいいっぱいだったのだ。
「じゃあ、私はもう戻るね。」
「……え?」
レリアが体を起こして言うと、グリピスは何か聞き間違えたかのように目を瞬かせた。
そして困ったように額をさすりながら言った。
「ああ、大事なことを言い忘れてたね。」
「……なに?」
「レリア、君をここに連れてきたのは……つまり、君はこれから神殿の所属にならなければならないってことなんだ。」
「どういう意味よ、それ。」
「さっきも言ったよね。仕方なかったって。みんな君を聖女だと信じてる。それを認めたのも僕なんだ。」
「…違うってことは、あなたが一番よく分かってるでしょ。」
「そうだけどさ…悪いことじゃないでしょ?聖女って、聞こえもいいし。特別に見えるし。」
グリピスはとても軽い調子で言った。
他人事のように、どうでもいいかのように。
レリアは深くため息をついた。
「グリピス、私今、余裕ないの。こんなことしてる時間ないんだから。」
「状況をちゃんと把握できてないみたいだね、レリア。」
グリピスが肘掛けに寄りかかっていた席から立ち上がった。
そのせいで隣に座っていたグリピスを避けようとしたレリアは椅子を持ち上げるはめになった。
なんだかグリピスがやけに大げさに感じられてしまった。
グリピスが司祭服を着ていることに気づいた。
真っ白な祭服がまぶしいほどよく似合っていた。
広い肩の上にある顔はまるで聖人のように気高く、神聖に見えるほどだ。
声さえも他とは異なる神聖な力を感じさせた。
「君はもうクロイツ教の聖女なんだ。間違いなく、ここで法王にならなければならない。」
だが、そんな声で語られる言葉には圧迫感と権威があった。
まるで氷のように冷たく感じた。
グリピスは混乱に揺れるレリアの目を楽しそうに見つめていた。
「そうだ。」
そしてまた何か思い出したように目を輝かせた。
レリアをさらに混乱させ、正気を失わせるために。
「レリア、今ペルセウス皇帝がここに来てるの、知ってる?」
「え?」
聞きたくなかった名前に、レリアの眉間がピクリと動いた。
「近くの領地に休暇で来てるらしいの。たまたまここで君の情報を聞いたみたいで…騒ぎを起こして困ってるところよ。」
「…騒ぎ?」
「まあ、もちろん中立区域だし、どんなに皇帝でも勝手に手出しできる場所じゃないから強引な手段は取れないけど……“君が聖女になるなんてありえない”って、彼ったら怒鳴り散らしてるよ。」
「……」
「君は聖女じゃない、アウラリアの皇女なんだ。当座は連れて行くから、彼女を解放して、聖別しなきゃ。」
グリピスは困ったようにため息をついてそう言った。
“すぐに解放して聖別だなんて…!”
レリアはこみ上げる怒りに奥歯を食いしばった。
「でもね、レリア。」
「………」
レリアは再び視線を向け、グリピスと目を合わせた。
「ペルセウス皇帝も知ってるの?君のお母さんがご存命だってこと。まだ知らないみたいだけど。」
「……」
その言葉に、一瞬鈍器で頭を殴られたような気分になった。
グリフィスはレリアの揺れる瞳をじっと見つめたあと、微笑んだ。
「まずは落ち着いて、もう一度話そう。話すことがたくさんあるんだ、レリア。」







