こんにちは、ピッコです。
「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

53話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 復讐
レリアは、貴族や商人たちが利用する高級旅館に宿を取ることにした。
理由は「誰にも怪しまれずに滞在できるから」。
高級な女官だからか、護衛する近衛兵たちもいて安心できた。
実は、叔父も叔母も、どう考えてもレリアを一人で行かせることに反対し、自ら同行しようとした。
だが、それほど簡単に席を空けられる状況ではなかった。
何よりもシュペリオン公爵は、レリアが単独で出発することに同意していた。
レリアの特別な力を信じていたからだ。
シュペリオン公爵は、レリアが錬金術の能力以外にも何か神秘的な力を持っていることに気づいていた。
それもそのはず、レリアは夜な夜な大量の薬を作り出していた。
しかも、公爵がレリアのために用意した秘密の錬金術研究室にも、ほとんど研究の痕跡がなかった。
過去に、レリアに助けになればと、知り合いの錬金術師を連れてきたことがあった。
しかし、その錬金術師とレリアはまったく会話が成り立たなかった。
さまざまな経緯を経て、シュペリオン公爵は「この子(レリア)は何か特別な力を持っている」と薄々気づきながらも、レリアに害を加えることはなかった。
ただ、母親(エリザベス)に似た魔法の力を受け継いでいるのだろうと考えた。
そのため、レリアを一人で首都に向かわせることにも全く不安を抱かなかった。
さらに、帰還時にはカリウス叔父と一緒に戻る予定だと事前に聞いていた。
レリア自身も、「自分を送り出す祖父の信頼」を十分に理解していた。
『それにしても、祖父は私が稼いだあの大金をどこに使ったのか一度も尋ねたことがない……。』
正直、気になってもおかしくないのに。
ここ数年、レリアはかなりのお金を稼いできた。
最も効果が高く、副作用のない薬を売ったおかげで、知人たちの間でも信頼度はかなり高かった。
レリアは流通を手伝ってくれた祖父の知人に一部の利益を分け与え、残りはすべて自分で管理した。
祖父はその一連の過程を見守っていたが、レリアがどのようにお金を運用しているのかについては一切干渉しなかった。
『仮に尋ねられても、答えられなかったかもしれないけど……。』
レリアが稼いだお金の大部分は「錬金術の研究資金」に消えた。
レリアは、部屋のドアがきちんと閉まっていることを確認して、カーテンも引いた後、周囲を注意深く見回しながら、自分の首にかけた宝石(ペンダント)を触った。
すると、おなじみの画面が現れ、画面の中では錬金道具(錬金テーブル)がゴロゴロと寝ている様子が映し出された。
レリアは思った。
「……金を貪るハイエナみたいな奴……。」
これまで、レリアが一生懸命稼いだお金の一部は、この中に吸い取られていった。
それでも仕方がなかった。
何かするたびにクリスタルを要求され、苦労して業績(アップグレードなど)を達成しても、もらえる報酬は見合わないものばかりだった。
画面には、「業績達成おめでとうございます、ご主人様!」というメッセージが表示されている。
だから特別な報酬を用意しました!✧٩(。•̀ᴗ-)و 10✧ クリスタルだけで20%割引価格で差し上げます!
文面は大体こんな感じだった。
しかもこの報酬には2時間の時間制限があった。
だから悩む暇もなく、吸い寄せられるように決済してしまった。
『それでもそんなに悪い結果ではないよね。』
インベントリにはまだ売るための特別な錬金薬もたくさんあり、材料も十分に揃っていた。
さらにこの町の住民たちからの好感度も、ひとりを除いてすべて最高値に達していた。
『全部最高値に達したら、いよいよ特別な好感度イベントが……』
レリアは思い返した。
「緊急クエストと特別レシピが出現するって言ってたな……。」
あれから、そんなに時間は経っていなかった。
レリアは、すべてのクエストをクリアし、商業系の業績も全部達成していた。
つまり、集められる特殊素材はすべて集めた、という意味だった(ただし、ひとつだけを除いて)。
とにかく、今や通常素材はすべてクリア済み。
あとはこの”特別レシピ”とやらを手に入れれば、ついに「賢者の石」を作れる状態に到達することができる!
さらに、新たに手に入れたドラゴンは「無頼(むらい)のシルバードラゴン」だった。
このドラゴンは、最速で大量の素材を集めてくる、非常に優秀な存在だった。
レリアは思った。
「食べるだけのダメドラたちとは違うな……。」
また、インベントリはクリスタルでかなり拡張されていたため、今は余裕がある状態だった。
『お金、ものすごくかかったけど……』
とはいえ、無駄にお金を搾り取られたわけではなかった。
自分なりの成果もたくさん得た。
この数年間、世の荒波を必死に生き抜いてきた結果だ。
しかしこれからは少し慎重になる必要があった。
『これからは神殿が再び錬金術に敏感に反応するかもしれないから。』
ついに光竜は死んだ。
これから神殿の関心は、五つの帝国全体に向けられることだろう。
そして、ここ数年あまり騒がれなかった異教徒たちも、再び厳重に管理されるに違いない。
だからといって、彼らがただ怖がっているわけではなかった。
祖父がレリアを信じて一人で首都へ行かせたくらいだ。
レリア自身も、信じる自信があった。
レリアは、錬金道具が眠っている間に素早く画面を閉じた。
『まずはご飯を食べないと。』
荷物を解いて身支度を整えたあと、レリアは新しいローブをまとって外へ出た。
食事を済ませたレリアは、変化魔法に関するものを探すことにした。
特に、首都の商業地区には**超常化(ちょうじょうか)**アイテムを扱うギャラリーもあるという。
アウラリア帝国では芸術分野が特に発展していると言われていたが、確かにその通りだ。
レリアは街並みを眺めながら、束縛されない自由を味わった。
そんな中、ふと視線の先に女性たちが群がっているのを見て足を止めた。
よく見ると、貴族も平民も関係なく肩を押し合いながら騒いでいる。
『何があったの?』
気になって近づいてみると、そこでは商人が何かを売っていた。
周囲では男たちが通路を空けていた。
ちょうど商人の前に隙間ができた瞬間、レリアはすばやくそこへ向かった。
店頭はすっかり空っぽだった。
たったひとつだけ残っていた品物。
レリアはそれを素早く手に取り、代金を求める商人に小銭を渡した。
『これ、いったい何なの?』
横から見ると、大体新聞のように見えた。
レリアは近くのベンチに座り、購入した冊子を開いてみた。
「えっ……?」
開いてみると、これは新聞ではなかった。
いや、新聞には見えるけれど……。
『インタビュー集? それともグラビア集? もしくはプロフィール集?』
ページを一枚一枚めくるたびに、今回の光竜との戦争で活躍した勇士たちの肖像画が現れた。
レリアは興味深そうにページをめくった。
知らない人々を飛ばしながら見ていくうちに、知っている顔を見つけた。
『叔父さんだ!』
カリウス叔父さんだった。
戦場で誰かがさっと描いたような肖像画は、かなり似ている雰囲気だった。
レリアは絵に手を伸ばしてそっと触れた後、横に書かれたプロフィールを見た。
だいたいの身長や、好きな食べ物、好きな音楽など、叔父に関する話が書かれていた。
だが、いくつかの内容はレリアが知っていることとは全く違っていた。
『記者が小説でも書いたみたいだな……。』
それでも興味を引くのは確かだった。
特に「美貌」と書かれた部分がとても強調されているのを見て、思わず笑ってしまった。
『やっぱり首都のお嬢様たちは体を張って生きてるんだなあ。』
レリアはもしかして友達の顔も載っているかもと思いながら、ページをめくった。
『あっ!』
すると、見覚えのある名前を見つけた。
オスカー・フレスベルグ
その名前を見た瞬間、指先がじんわりして鼻の奥がツンとした。
肖像画はとても雑で、はっきりとした姿は分からなかった。
それでも構わなかった。
『みんな、元気にやってるんだね。』
レリアは不思議に思いながらページをめくった。
続いて、カリクス、グリフィス、ロミオまで。
レリアは9年ぶりに紙の切れ端を通して友達と触れ合うことができた。
もちろん、みんな顔がちゃんと描かれているわけではなかったし、プロフィールの内容もまともではなかった。
『それでも幸せだわ。』
レリアは、友達が無事であることに感謝しながら、その肖像画集を大切に胸に抱きしめた。
そして持ってきたノートにスクラップブックを作り始めた。
友達や叔父に関する内容をざっと貼り付けているうちに、さっきチラッと見えた別の名前も思い出した。
レリアは急いで本を開き、その部分を探し出した。
『ルート』
ユリアナの相手役となる男性主人公。
レリアが首都へ来た目的のひとつ。
レリアは肖像画の中で笑っているルートを見つめた。
とても人柄が良く、誠実そうに見えるハンサムな顔立ちだった。
『ふうん……』
レリアの目標は、彼女なりに具体的だった。
まずは、光龍から世界を救った英雄たちが帰還する「凱旋式」を待つ予定だった。
そのとき、首都は最も熱狂し、騒がしく、混乱した状況になるだろう。
『皇城はもっと賑わうわね。凱旋式の英雄たちがみんな皇城に集まるんだから。』
レリアは、彼らが到着した後、皇城で開かれる宴の日を狙っていた。
最も華やかで賑わう予定の宴の最後の日、祭りの最後の日。
そのとき皇城に侵入するのだ。
侵入のための道具はすでに準備されている。
ただ一つ残った特殊な材料を探し出して無事に脱出した後、再び潜伏する予定だった。
『その後ルートが首都に滞在し、宝物を失うタイミングを狙う。』
時、分、秒まで計算したほど緻密な計画ではなかったが、自信はあった。
そして、勇者たちが帰還する日が明けた。
街全体が祭りムードに包まれていた。
レリアはローブを深くかぶり、少し離れたところからパレードを見守った。
「わああ!」
人々の歓声に耳が遠くなりそうだった。
レリアは人々の肩をかき分けて隙間から覗き込んだ。
『叔父さんだ!』
先頭に立っていたカリウス叔父は、以前と変わらず元気な様子だった。
その健康そうな姿に、レリアは心から安堵した。
その後ろには双子の皇子たちも見え、ルートの姿も確認できた。
彼らは晴れやかに笑いながら、歓迎する人々に手を振った。
騎士たちの行進は素早く皇城の正門を通り抜けた。
行進が終わっても、人々の顔には興奮の色が満ちていた。
祭りの熱気はこれから本番だった。
レリアはしばらく賑わう人々の顔を見回してから、元に戻った。
『皇宮(こうきゅう)での宴と祭りは明日から始まる。最後の宴の日まではあと7日。』
こうして時は流れ、宴の最後の日まで残り3日となったある朝がやってきた。
静かな通りに、夜明けの涼しい風が吹いた。
その風とともに、レリアが滞在していた宿の前に、大きな人影が現れた。
6年前。
レリアがその間親しくなったカリウスおじさんを光竜討伐隊に送り出したばかりで、とても悲しんでいる時期。
オスカー、カリクス、グリフィス、そしてロミオ。
レリアを除いた4人の友人たちは、神聖中央地域で3年ぶりに再会した。
幼かったころとは違い、16歳になった少年たちは、いつの間にかぐんと背が伸び、見違えるほど成長していた。
しかし、似たような背丈になった4人の少年たちの表情は、決して明るくはなかった。
『レオ』の死のせいだった。
それぞれの国でその知らせを聞いた後、彼らは長い間、悲しみと苦しみに沈み、なかなか立ち直ることができなかった。
彼らにとってレオは、救援者でもあり、かけがえのない存在だったからだ。
幸いにも、悲しみは長くは続かなかった。
4人の友人たちは手紙をやりとりしながら、再び新たな目標を定め、意気を高めた。
『復讐。』
悲しみという感情はいつの間にか怒りに変わり、彼らの原動力となった。
そしてすぐに再び集まった。
「何か新しい情報はない?」
カリクスの言葉に、考え込んでいたグリフィスが答えた。
「俺が聞いた話だけどな。ペルセウス皇帝の反乱が起きる前に、毒殺されたって噂がある。」
「毒殺……か。」
「ペルセウス皇帝側が一番怪しい。でなければ、彼に従う貴族たちか。」
ロミオが見たこともないペルセウス皇帝の顔を思い浮かべながら言うと、うたた寝していたオスカーが三人の友人たちに質問を投げかけた。
「レオが送った最後の手紙、みんな覚えてる?」
その言葉に、皆が一つの単語を思い出した。
『レリア・アウラリア』
「覚えてる。でもその名前について知っている人はいなかったよな?」
ロミオの言葉に、残りの三人の表情はさらに険しくなった。
「……あの女、俺が狼の群れに遭ったことをどうして──」
未来を知っていたかもしれないと彼が言ったとき、予知夢を見たとも言っていた。
そう考えると、未来をあらかじめ知っていた可能性もある。
カリクスが低い声で付け加えた。
その言葉を聞いたグリフィスが口を開いた。
「こんなことも言ってたよ。みんな覚えてるか分からないけど……」
「俺、あのとき言ったじゃん!僕はトーベル隊に行けないかもしれない。その前に死ぬかも……死ぬかもしれないって。」
「……君を狙う勢力があるってこと?」
「うん、僕が皇位を継ぐことを快く思わない人たちもいて……それに僕、体も弱かったからさ。だから私のパパが私を過保護にするの。」
その時の話を思い出すと、カリクスは苦しそうに頭をかきむしった。
なぜあの時もっと関心を持たなかったのかと後悔した。
「レオの地位を脅かすような皇族が他にいたか?確かに皇族の名前なのに誰も知らないとは。」
頭をかきむしりながらカリクスが言った。
「当時ペルセウス皇帝と皇子たちは死んだと伝えられていたから……たぶんレオもそのことは知らなかったんだろう。」
「どうにかして犯人を見つけ出して殺してやる。」
ロミオの言葉に対して、カリクスは歯ぎしりをした。
ほかの仲間たちの目もまた、鋭く光っていた。
こうして4人の少年たちは、光竜討伐隊で成長しながら、レオを殺した犯人に関する情報を集め始めた。
それから1年後。
彼らは「レリア」という名を持つ皇族について、いくつかの情報を手に入れた。
ある夜遅く、訓練を終えて戻ってきた4人の少年たちは集まって、それまでに集めた情報を交換した。
「つまり、レオの言葉を根拠に推測すれば、皇位を脅かしていた人物がいたってことだよね?」
「そうだ。『レリア』という人物は、当時レオを除けば唯一の若い皇族だった。」
「ペルセウス皇帝とその子どもたちはすでに死んだとされていた状況だったから……レリアはレオさえいなくなれば、自分が皇帝になれるかもしれないと思ったのかも。」
「まだ断定はできないけど。」
「でも……レオが最後に送った手紙に、その名前が書かれてたじゃないか。」
「明らかにメッセージだよ。」
もちろん、ペルセウス皇帝側も怪しいには違いなかったが、彼らが集めた情報はあまりにも明確で、たった一人の人物を指していた。
レリア・アウラリア。
驚くべきことに、レリアが失踪していた事実は大陸の反対側にあるこの場所にはまだ伝わっていなかった。
フェルセウス皇帝がこの事実を広めないよう手を回していたのだろう。
「その人が犯人かは分からないが、少なくとも一番怪しいのは確かだね。」
「じゃあ、僕たちは……」
「光竜との戦いが終わったら、すぐにアウラリアへ向かおう。」
「うん、ここで集められる情報には限界がある。まずは、その人に直接会ってみよう。本当に真犯人かどうかは、これから分かるだろう。」
「……たとえ真犯人じゃなくても、きっと何か新しい情報が手に入るはずだ。」
そう結論づけた彼らは、またしても5年の歳月を過ごした。
アウラリアに戻った英雄たちが、凱旋式に参加していたあのとき。
レオの復讐を果たすためこの地に集った四人の青年たちは、少し離れた場所から凱旋式を見守っていた。
街の人々は皆、晴れやかな表情だったが、四人の顔は暗かった。
皆そろって背が高く、体格も良かったためか、パレードを見守っていると何人かの女性たちが興味深そうに彼らの周りをうろついたり、ちらちらと視線を向けたりした。
それに気づいた彼らは、フードを深くかぶった。
彼らは式典には参加しなかったが、正式にアウラリア皇城の晩餐会に招待されていた客人たちだった。
戦争が終わったのだからそれぞれ祖国に戻るのが本来の流れだったが、本国に未練のない者たちでもあった。
無事に戦争を終えてここへ戻るまでには多くの困難があった。
体中傷だらけになりながら、死線を越えてきた彼らを突き動かしたのは、ただひとつ——「復讐心」だった。
「まずは皇城へ行こう。」
グリフィスの言葉に、三人は凱旋式を見るのをやめて振り向いた。
ほんの十歩ほど離れた場所に、あれほど恋しかったレオがぼんやりと生きて通り過ぎているとは、誰も想像すらしていなかった。










