こんにちは、ピッコです。
「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

67話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 見返り③
「お会いできて光栄です、レイモンド卿。こちらへどうぞ。」
さっきレリアを探してきたセシルが席を案内した。
レリアは緊張した表情を隠しつつ、ぎこちない笑顔を浮かべながらその方向へ歩いていった。
席に座ると、息が詰まるような気分だった。
「……。」
大きな円形のティーテーブルに座っている4人の女性たちは、全員が彼女だけをじっと見つめていた。
どこを見ればいいのかわからず視線が揺れているレリアを見て、侍女たちは口元を押さえながら笑いをこらえていた。
微笑みを浮かべていたユリアナ皇女が上品な口調で話しかけた。
「招待に応じてくださってありがとうございます、レイモンド卿。」
「光栄です。」
「実はセドリック兄様が卿に少し無礼を働いたと聞きました。それで謝罪の意味を込めて卿をお呼びしたのです。」
「いえ…とんでもありません。」
レリアはそう言いながらも心の中では鼻で笑った。
これは明らかに牽制だ。
ユリアナは理解を示し、お礼を言った後、侍女たちを一人ずつ正式に紹介する。
「先ほど挨拶しましたね?私はセシルです。」
金髪のアガシは伯爵家の令嬢だった。
「私はコデリアです。」
レリアの隣に座る紫色の髪の短めのアガシは侯爵家の令嬢だった。
「私はドロシーと申します。」
最後に、茶色の髪のアガシは子爵家の令嬢だと言った。
まるで一つの良家の子女たちであった。
彼女たちの優雅な態度を見て、レリアは自分がただの男爵の娘であるにもかかわらずこの席に座っていることに少し戸惑いを覚えた。
『気をしっかり持たないと。カーリクスを治療する聖物のことだけ考えよう。』
心の中で必死に自分を落ち着けようと数えてみると、気持ちが少し落ち着いた。
そういえば昨日のティーパーティーで見かけた赤銀色の髪の少女は見当たらなかった。
ユリアナは昨日、レリアにそういった質問をたくさん投げかけてきた侍女だった。
二人はとても親しそうに見えた。
彼女のことを聞こうとした瞬間、空気が一気に冷たくなった。
「……」
ユリアナと侍女たちは困ったような目線を交わした。
『えっ、私、もしかして場違いなこと聞いちゃった?』
レリアが名前を知らずに目をパチクリさせると、ユリアナが笑いながら言った。
「彼女は体調が良くないから、今日は来られなかったの。」
「そうなんですね。」
そのとき、もじもじしていたセシル嬢が慎重に尋ねた。
「もしかして、レイモンド卿はその令嬢にご興味があったのですか?」
「いえ、違います。ただちょっと気になっただけです。」
「グレイス嬢は少し目を引く方ですしね…。」
セシルは唇を可愛らしくとがらせた。
その瞬間、ユリアナがぱっと手を叩いて話題を変えた。
「そういう話はやめて、楽しい話をしましょう。レイモンド卿、ご出身の地ではどう過ごされていましたか?そこでもパーティーは多かったのですか?」
「……はい。パーティーはあまり頻繁に開かれる方ではありませんでした。もちろん首都ほどではありませんが。」
レリアは昨日のうちにロミオに「パルメニア」について詳しく聞いておいてよかったと思った。
「パルメニアは鉱山がとても多い都市です。特にルビーとダイヤモンドが有名ですよ。」
ロミオは「パルメニア」がローズベリー帝国内で最も多くの鉱山を保有している地域の一つだと教えてくれた。
ちなみにローズベリー帝国はもともと石の採掘で有名な場所だった。
「やっぱり田舎じゃなかったんですね! レイモンド卿は外見や佇まいに洗練された雰囲気があって、そう思ったんです。」
「そうなんだ!」
レリアは優しく同意するように頷き、彼女たちを見ながら微笑んだ。
すぐに、他の女性たちと一緒にいたハンナという令嬢がいなくなり、ベッキーが戻ってきた。
ベッキーは今頃どうしているのだろうか。
思わず、少し切なさが滲んだ笑みを浮かべてしまったのだろうか、令嬢たちは少し驚いた表情で目を合わせた。
セシルという令嬢は、頬が赤くなっていた。
「故郷の話をしたら素敵な笑みが出ますね。もしかして故郷に置いてきた恋人でもいるんですか?」
セシル嬢が何かを言おうとしたその時、ユリアナが話をさえぎり、いたずらっぽく尋ねた。
一瞬、セシル嬢の表情が少し曇った。
レリアはその様子をしばらく見てから、気を引き締めた。
ユリアナをはじめとする令嬢たちは答えを期待しながら目を輝かせていた。
『これはチャンスだ。』
自分がプレイボーイだとアピールする機会だ。
「ええ、まあ。一人や二人じゃないですけど。」
レリアが平然と答えると、令嬢たちは驚いた目をしてからすぐにクスクスと笑った。
「やっぱりそうだと思ってました!レイモンド卿のように素敵な方に恋人がいないはずがありません。何人もいらっしゃるなんて思いませんでしたけど。」
「私もです!なんとなく恥ずかしがり屋に見えたので恋人はいないと思ってました! それにしても、何人もいるなんて!」
コーデリアとドロシーが次々に話し、レリアはなるべく自然な笑顔を作った。
その時、セシルが静かに言った。
「でも、どうして恋人が何人もいるんですか? 私だったら自分の恋人が他の女性と会うなんて絶対許せませんけど……。」
レリアは一瞬考え込み、そしてこう答えた。
「私もそう思うところはあるんですけど……その日、彼女たちがやって来て言ったんですよ。「みんなであなたを共有することで合意したので、受け入れてください」って。私はどうしようもありませんでした。みんな愛らしいお嬢様たちですから。」
「……!」
レリアの衝撃的な言葉に、みんな口をぽかんと開けた。
『ああ、吐きそうだ…。』
レリアは自分で口にしたものの、本当に耐えられなかった。
このくらいなら、目の前の令嬢たちも自分をゴミのようなプレイボーイだと思うだろう。
ところが何を考えたのか、コーデリアとドロシー嬢の顔はみるみる赤くなっていった。
一方、セシルはなぜか泣きそうな表情を浮かべていた。
ユリアナは眉間にしわを寄せた。
レリアナはこのタイミングで言葉をつなげた。
「でも、私と一緒にパーティーに行ったルート卿は違います。生涯一人の女性にしか心を捧げないって誓ったんですって……私とは違います。もちろん、ロミオ皇太子殿下やカーリクス卿も同じです。」
レリアはとても堂々と「自分だけがゴミ男」と言わんばかりに語った。
このくらいなら大丈夫?
自分が天下のどうしようもない男のように思われても……それでも構わない。
聖物が手に入るなら。
そう考えたレリアは、ルートに対して称賛を繰り返すことを始めた。
言葉をうまく飾りながら長所を作り出し、皆が少しずつ好奇心が湧いてきた。
「ルート卿にそんな一面があったなんて知りませんでした。」
「ルート卿は本当に素晴らしい紳士なんですね。」
こんな返事が出始めると、レリアは内心ガッツポーズをした。
友人たちも巻き込まずにはいられなかった。
レリアはできることなら、友人たちの素晴らしさを世の中の全ての人に知らせたいと思った。
「ロミオ殿下は本当に優しい方だそうですね。もちろん恋人もいらっしゃらないとか。」
「まあ、そうなんですね。」
「カーリクス卿も見た目とは違って、とても繊細な方なんですって。」
「アハ。」
「しばらく本国に戻ったけど、オスカー卿とグリフィス卿はどうですか?」
レリアは勢いよく彼らのことを褒め称えた。
侍女たちはその言葉にあいづちを打ちながらも、心ここにあらずでうわの空だった。
実際には、皆一耳で聞き流しながら、ただレリアのことばかりを見つめていた。
正直、目の前の『レイモンド卿』さえいなければ、彼女たちもやはりロミオやカーリクス、ルートに少なからず関心を持っただろう。
しかし現在、貴族の女性たちの大半は『ドナテリー』の肖像画に夢中であり、それが長い間の嗜好として根付いていた。
彼女たちは、絵から今にも飛び出してきたような目の前のイケメンに対して驚嘆の表情を浮かべていた。
控えめながらも強烈な存在感を放つ姿に、思わず息を呑んだのだ。
声や礼儀正しい話し方さえ魅力的だった。
レリアはそんなことも知らず、一人でルートを楽しげに褒め続けた。
一方、ユリアナ皇女は何も言わずにレリアをじっと見つめるだけだった。
『さっきからなんでルートとか他の男たちのことばかり褒めるの?』
ユリアナは心の中でそう思い、疑問を抱いた。
突然、自分が浮気者かのように恋人が何人もいると打ち明けたこともそうだし、昨日までとまるで人が変わったような気がした。
もちろん緊張がほぐれてそうなったのかもしれないが……正直、浮気者のようには見えなかった。
あまりに美しい外見だから、もしかしたら本当かもしれないけれど。
もしかしたら「パルメニア」という場所でもドナテリ画家が描いた美男の肖像画が流行っているのかもしれない。
でも、やはり少し変だった。
『なんだか私のせいな気がする。』
ユリアナは小さく口角を上げて笑った。
あまりにも透けて見える本音に思わず苦笑いしてしまった。
少し皮肉にも見えたが、それがまた愛嬌にも感じられた。
『私に嫉妬してほしいってこと?』
故郷に恋人が多いという話や、ルートへの褒め言葉を増やしたのも、全部私のせいだと思っているみたい。
確かに気のせいかもしれないけど、レイモンド卿がずっと彼女をじっと見つめたり、視線を泳がせたりしているのはどう考えても偶然ではない。
そうじゃなければ、あんなにまで自分に気を引こうとする理由がないだろう。
『けっこうかわいい人だね。』
ユリアナは微笑みを浮かべてレイモンド卿に向かってほほ笑んだ。
しかしその笑顔を見たレイモンド卿(=レリア)は、別のことを考えていた。
『食いついた!』
ルートの褒め言葉に食いついたのだ。
ユリアナの頭の中は今頃、ルートのことでいっぱいになっているだろう。
他の令嬢たちまでルートが素敵だと騒ぎ立てるほどだから、もう成功したも同然だった。
そしてティーパーティーが終わりかけたころ、ユリアナ皇女が口を開いた。
「そうだわ。数日後に私が主催する舞踏会があります。首都の令嬢たちは全員出席することになっていますので、レイモンド卿もぜひお席を用意しておきました。」
「では、ルート卿と一緒に行ってもよろしいですか?」
「ええ、どうぞ。」
その言葉を終えると、レリアはユリアナや令嬢たちに丁寧に挨拶をして、そそくさと戻っていった。
戻ってくると、足に力が抜けてぐったりした。
レリアは応接室のソファに座り込むようにして、深く息を吐いた。
「これでも成功だ。」
少し休んだ後、ルートの元を訪れて、ユリアナへの気持ちを打ち明けようと決めた。
「でも…。」
レリアは、ティーパーティーの場での出来事が心に引っかかっていた。
ちくりとしたのは、ユリアナの態度のせいだった。
『あまりにも大事に育てられたからだろうか…。』
原作の中のユリアナは、まさに宝石の中の宝石のように大切に育てられてきた。
ペルセウス皇帝は彼女を溺愛する父親で、皇后ももちろん可愛がっていた。
さらにセドリック、デミアンに至っては言うまでもない。
場合によってはペルセウス皇帝以上に甘やかされることもあったのだ。
だからなのか、ユリアナは何事も自分が主役でなければ満足しない性格のようだった。
会話をするたびに感じるのは、ユリアナは特に他の令嬢たちの話をさえぎることが多い、ということだった。
もちろん悪意は感じられなかった。
まるで「当然私の話を聞くべきでしょ」と思って育った、優越感に満ちたシュペリオン領の令嬢のような。
皇帝と皇后は幼い頃からユリアナに詩のようにこんな言葉をかけながら育てた。
「世界中のすべての人があなたを愛しているのよ。」
「この世であなたを愛さない人なんていないわ。」
もちろんそのおかげでユリアナは純粋で明るく前向きになったが、知らず知らずのうちに否定的な影響もあったかもしれない。
まぁ、小説の中では実際にみんなユリアナのことを好きだった。
レリアは顎を撫でた。
この考えはやめよう。今大事なのはルートのクエストだった。
「とにかく、浮気者っぽく見えるのは成功だ。」
こうなった以上、舞踏会に行ってもそういう様子を見せなければならなかった。
言動が違えば疑われるからだ。
「いろんな令嬢たちにウインクしながらくどけばいいのか?」
そんなことをあれこれ悩んでいる最中だった。
「あ、そうだ。」
ふと思い立って、レリアはインベントリのウィンドウを開いた。
こんなことすっかり忘れていたが、昨日もらった報酬リストを確認しなければならなかった。
・Lv.? ランダムプレゼントボックス 1個
「?」の表示のせいか、なぜか良いものが出る気がした。
心の中で「開ける」ボタンを押すと、すぐにプレゼントボックスの絵が現れた。
しばらく震えていたプレゼントボックスは、そのままパーン!と弾けて、アイテムを見せてくれた。
〈錬金の覚醒記〉
金色にキラキラ光るアイテムが現れた。
「何だ?」
何かは分からないが、一目見ただけでも良さそうなアイテムだった。
〈錬金の覚醒記〉
[年金復権のマスコット「錬金」の『サポートモード』を使ってみてください!(。•̀ᴗ-)✧
錬金が今まさにあなたに最適な高位のガイドになってさしあげます!٩(๑❛ᴗ❛๑)۶✧」
「ふう……」
錬金とは、『錬金復権』というゲームのメインマスコットである錬金道具のことを指していた。
何度も何度もシステムウィンドウを押しのけ、すべての通知ウィンドウを占拠してくる、あの錬金道具のことだ。
右下に小さく表示された「製作」ボタンを押すと、大きな魔法の鍋が現れた。
錬金道具は青い魔法薬を煮込みながら、キラキラと笑っていた。
今でこそ、あの錬金道具を見るだけでうんざりするが、前世では彼女もまた、あの錬金道具を可愛いと思った。
ゲームユーザーたちもその道具を「錬金」と呼んで可愛がっていた。
「サポートモード、ガイドか……」
見たことのないシステムなのでどんなものか予想がつかなかった。
しかしアイテムの名前が金色にキラキラ輝いているのを見ると、良いアイテムであることは明らかだった。
悪いはずがなかった。
「わからないけど、とりあえず使ってみよう。」
【アイテムを使用しますか?(◕‿◕)و✧】
「おっ。」
心の中で命令を下すと、小さなウィンドウが現れた。
【system:アイテム使用のための最適化を進行中です。】
メッセージとともに表示されたローディングウィンドウを通して、最適化が進行しているのが見えた。
「時間かかるな。」
思ったより時間がかかりそうだったので、ルートを探しに行こうと身体を起こした時だった。
ルートがまず彼女を探しに来た。










