こんにちは、ピッコです。
「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

89話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 集合②
雰囲気が重くなった。
窓の外では、ぽつりぽつりと雨が降り始めた。
空が暗くなると、城内の使用人たちはあちこちに灯りをともした。
レリアは応接室の窓辺にもたれかかり、沈痛な表情で座っている友人たちを見つめていた。
彼女がカーリクスの様子を確認して声をかけてから、カーリクスはまるで貝のように口を固く閉じたまま、何も話そうとしなかった。
「なんで聞くたびにぼんやりしてると思ったら、やっぱり様子がおかしかったんだな。」
ロミオは額に手を当ててうなずいた。
「俺と一緒に中立区域に行って、方法を探してみよう。」
グリフィスの提案にも、カーリクスはまったく反応を示さなかった。
オスカーもまた、固い表情を浮かべていた。
そんな二人をチラリと見ながら、レリアは虚空に浮かんだ製作画面を見つめた。
この場で表情が一番暗かったのは、間違いなくレリアだった。
少し前、レリアは報酬として受け取ったレシピの製作内容を確認していた。
一刻も早くカリクスの目を治すには、製作を急がなければならなかったからだ。
【不滅の視力回復薬】
— 必要な素材リスト —
・愛のキスの決意(0/1)
『愛のキス決定って一体何なのよ……?』
でも材料が変だった。
スペシャルショップに入って確認しようとしたが、アップデートのお知らせが出てからは開かなくなっていた。
レリアは不安な表情でカーリクスをちらりと見た。
『まさかカルリクスとキスしないと手に入らないアイテム……じゃないよね?』
【連金の助けが必要ですか? (•‿•)ง】
「………」
レリアは目の前に現れたシステムウィンドウを知らんぷりした。どうせ役に立ちそうになかったからだ。
【🧐?】【ლ(ಠ益ಠლ)】
心の中を読まれたのか、錬金が抗議するようなメッセージウィンドウを次々と開いた。
【錬金術師の助言を無視すると、とんでもないことが起こります!(◎皿◎)】
【錬金術師の助言を無視すると、とんでもないことが起こります!(◎皿◎)】
【錬金術師の助言を無視すると、とんでもないことが起こります!(◎皿◎)】
その瞬間、「とんでもない」効果音とともに、画面いっぱいに大きなメッセージウィンドウが表示された。
外では雨が降っていたせいか、ふいに妙にゾクッとするような気持ちになった。
『…はい、助言を無視したことなんてないわ。だから今回はどんな助言をくれるの?』
【『愛のキス認定』についての説明をお聞きになりますか?(。•ㅅ•。)✧*】
『じゃあ、聞いてみましょう。』
【『愛のキス認定』とは、好感度がMaxに達した相手とキスをすると手に入るアイテムです。( *˘ ³˘)♡】
ある程度は予想していたが…現実だと認識した瞬間、気持ちはさらに重くなった。
【錬金術師はご主人様を応援しています!(ू•‿•ू)✧】
「………」
レリアは窓の外に視線を移した。
カーリクスの状態は思っていたよりも悪かった。
彼の目を治すには一日でも早く……。
『キスだなんて….』
「もしかして、頬とか手の甲でも大丈夫かな?」
【『愛の唇(唇と唇の)認定』】
「……」
【[|•’-‘•)و ✧ファイト!ファイト!】
錬金術師の確認メッセージに、レリアは冷たい窓に額をつけて目を閉じた。
カーリクスは最後まで口を開かなかった。
レリアは窓を通して本城に近づいてくる馬車を見つけて、ようやく我に返った。
彼女はその後、友人たちが座っている場所へ向かった。
とりあえず、まずは……。
レリアが気まずそうな表情で何かを言おうとしたとき、ロミオが先に口を開いた。
「心配するな。君の家族には、ただの親しい友人だって紹介すればいい。事実通りにね。」
「……」
「それ以外は私たちがなんとかするから、心配しないで。」
ロミオの頼もしい言葉に、レリアは安心した。
カーリクスはむすっとした表情で唇を尖らせていた。
馬車に乗って戻ってきたのはカリウスおじさんのようだった。
「レリア!お客さんが来たって?」
応接室のドアがバタンと開き、肩に少し雨がかかったおじさんが入ってきた。
レリアは急いでおじさんのもとに駆け寄った。
おじさんが不審に思わないように、友達を紹介するためだった。
彼らを見つけたおじさんの瞳が大きく見開かれた。
友達たちは皆立ち上がっておじさんを見つめた。
そういえば、おじさんと友達たちは知り合いかもしれない。
思ったよりも親しい間柄なのか、おじさんは大きく笑いながら彼らのもとへと近づいていった。
「おい、こいつめ!」
おじさんが嬉しそうに近づいて抱きしめたのはカーリクスだった。
おじさんは子どものように喜んだが、残りの彼らを見ては眉をひそめた。
「そうか…お前ら、みんな友達だったのか?毎日くっついて行動してたもんな…」
おじさんは特にオスカーを見ると、目を細めた。
するとレリアに向かって手を差し出して言った。
「レリア!こっちに来なさい。私が紹介してやるから。」
叔父はカーリクスの肩をぽんぽんと叩きながら、誇らしげに笑った。
「……!」
レリアは驚いた顔でカーリクスを見て目を見開いた。
君だったの……?
カーリクスは叔父を嬉しそうに見ながらも、状況を理解できていない様子でレリアを見た。
「カリウスの紹介って、君だったのか?」という表情だった。
これって……どういう状況?
「さあ、こっちに来て見てごらん、レリア!」
「……」
レリアは内心では戸惑いながらも、ぎこちなく笑っておじさんに近づいた。
おじさんはレリアをカーリクスの隣に立たせると、ひと足下がって二人を見て手を叩いた。
「いやあ!こうなるとは思ってたよ!ぴったりな絵面だ、絵面!」
「………」
ピリピリした雰囲気の中で、おじさんだけがひとりでケラケラと笑っていた。
「本当にお似合いのカップルだよ。こうなると思ってたんだ。二人はすごく合うと思ってたんだ!」
「どこが似合うっていうのさ。」
ロミオが全員に聞こえる声でつぶやいた。
彼は驚いたが、叔父はあまり気にしていないようだった。
「なんと、君がうちのレリアの客人だって?一体どういうことだ?」
「えっと……あの、首都で助けてくださったことがあって……そのときに友達になったんです。」
「そうか?なんと……!これは運命だな!」
叔父はカーリクスを見て感嘆した。
「お前が私の姪を危機から救ったのか?なんて素晴らしいやつだ!」
危機から助けたというのは少し大げさだったかもしれないが、まったくの嘘でもなかった。
何かとても感動している様子の叔父の目には、他の友人たちは目に入っていないようだった。
「ちょっと待て!こんなに大切な客人が来てくれたのだから、おもてなしをやらなきゃな! 結婚だ、結婚!」
カリウスはさすがに気まずくなったのか、そそくさと応接室を出て行った。
レリアは疲れた表情で友達たちを見つめた。
皆の顔には何を考えているのかわからない表情が浮かんでいたが、ただ一つだけ確かだったのは、全員がカーリクスを見ていたということだった。
『…カーリクスが目の状態について話していないことを、皆気まずく思っているのね。』
レリアはもどかしさに心の中でため息をついた。
しかし、彼女はそのことでカーリクスを責めることはできなかった。
呪いの魔法にかかっているわけではないが、カーリクスは友達のために話さないと決めたのだろう。
その気持ちは、誰よりもレリアが理解していた。
(それにしても……キスって……どうしよう?)
使用人たちはゲストルームを整えるために忙しく動いていた。
オスカーは灰色の柱にもたれかかっていた。
しとしと降る雨音を聞きながら、自分がいる部屋の隣で使用人たちが行き来するのを見守っていた。
ちょうど荷物を解いて出てきたロミオが、オスカーを見つけて近づいてきた。
「おい、大丈夫か?」
「…なにが?」
「俺にまで日程知らせる必要ないだろ。」
「………」
「ほんとお前は…何を考えてるのか分からないよ。」
ロミオはあきれたように末っ子を相手にため息をついた。
その時、ちょうど用を終えたグリピスが外に出てきて、二人を見つけてゆっくり近づいてきた。
「ロミオ、この子に情報を共有する必要はないよ。どうせ単独行動したってことは…もう合同の目的は終わったってことだ。」
グリピスの言葉に、ロミオは内心ため息をついた。
また、また始まった。
このやっかいな連中め。
正直に言って、戦場で友人たちと再会したときから、この二人の仲は良くなかった。
しかし当時は「レオ」の死の真実を明らかにするという共通の目的があったため、今は…
「でも…まあ、確かに。君の目的はまだ僕と同じかもしれないね?」
グリフィスがオスカーを見て、意味深な言葉を投げた。
どこかぎこちないグリフィスの表情に、オスカーは感情を隠さずに苦笑しながら言った。
「死にたくなければ、引っ込んでろ。俺がお前を殺せないと思うなよ。」
「…本当だよ。誠実さで人を殺せないなんて思わない方がいい。」
殺気立った二人の視線が空中でぶつかり合った。
このままでは誰か一人が死ぬのではと思ったロミオが、二人の間に割って入った。
「おい!やめろ、この野郎ども!兄貴の前でケンカするな!ケンカするなって!」
ロミオが仲裁しても、二人は互いへの視線を外そうとしなかった。
「死んだ隊長が聞いたらさぞかし喜ぶだろうよ!やめろ!」
ロミオの言葉に、オスカーの表情が歪んだ。
彼は一瞬でロミオの襟を掴み、警告するように言った。
「誰が死んだって?二度とそんな縁起でもないことを言うな。」
「………」
ロミオは目を細めて彼を見つめた。オスカーはくすっと笑った。
「どうせ全部分かってるのに、落ち着く必要ある?」
その時だった。
「おい!何してるの?ケンカ?ケンカしないで!」
部屋から出てきたカーリクスが三人を見て、緊張した様子で急いで近づいてきた。
ロミオは自分の襟首をつかんでいたオスカーの手をトントンと叩いて落ち着かせた。
「…一人はまだ…知らないみたいだね…?」
「………」
ロミオはカーリクスの後ろ姿を見ながら、呆然としていた。
「いや、どうして…あんなことが…?あいつは本当に…もう、言葉にもならない。」
オスカーはロミオの襟をつかんでいた手の力を抜き、再びグリピスを睨みつけた。
ロミオはしわの寄った服を整えながら、グリピスを呆れたように見つめた。
「お前は何のつもりであいつを挑発してるんだ? 神聖力を持っているなら、患者を労れよ…なあ?どう見てもお前、勝手に治癒の使い手じゃないか?」
「アイツの腹の中は、分かったもんじゃない。」
グリピスの言葉にロミオは、「まあ、そうかもな」と口を尖らせた。
「それは僕も同感だよ。」
「…あの町長の野郎がレオを危険に晒したに違いない、間違いなく。」
「そりゃまあ…僕もそう思うよ。」
ロミオは寂しげな表情で遠ざかるオスカーの背中を見つめた。










