こんにちは、ピッコです。
「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
95話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 泣き虫隊長
晩餐会の間、カーリクスはレリアから目を離すことができなかった。
カリウスがやってきて、レリアとカーリクスを連れて挨拶させるときですら、例外ではなかった。
「……」
カリウスはそんなカーリクスを見て、一瞬驚いた。
レリアは、さっきとは違って突然態度が柔らかくなったカーリクスを見て、疑問を抱いた。
『どうしたの?どこか具合が悪いの?発作でも起きそうなの?』
薬を飲み切ってしまって、彼女に薬を求めているのかもしれない。
だから急にこんなふうに目を輝かせて見ているのだろう。
「それじゃあ、二人で話してきなさい。」
カリウスがレリアとカーリクスを連れてテラスへ向かい、中へ押し込んだ。
レリアは淡いカーテンを見つめた後、すぐにカーリクスに向かって問いかけた。
「どこか痛みますか?薬を持ってきましょうか?」
しかしカーリクスは何も言わずにレリアの腕をぎゅっと掴んだ。
「………」
そしてそのままじっと見つめてくる彼の瞳は震えていた。
まるで「僕だけを信じてほしい」とでも言うような、ものすごい意志が込められた眼差しだった。
『な、なに……』
まったくカーリクスの本心が読めなかった。
どうしたらいいのか混乱していた矢先に…
「カーリクス様?」
「心配するな。」
「え?」
「僕が焦ってごめん。もう心配しないで。僕が……だから、その……」
「………」
「僕が君の秘密を守るよ!」
レリアは目をぎゅっと閉じた。
今なんて言ったのよ……。
今、秘密を打ち明けようと決心したばかりの人に。
「心配するな。な?この兄さんを信じて。君、元々僕のこと信じてただろ?」
「…はい、まあ、どうでもいいです…。」
「そうだ、そうだ。お…お嬢…お嬢様が何だって。どうせ揺らぐじゃないか?お嬢様だろうと男だろうと同じさ!」
「えっ?」
「いや、そうじゃなくて!だから心配しないで。そう、わかった。今なら君のことがわかる。」
カーリクスはぶつぶつ言いながらも、一人で何かを決意したようにグラスをぎゅっと握った。
『もう…放っておこう。』
レリアはそう思いながら思考を巡らせた。
「このあと、必ず後援者としてお友達をお連れください。中庭の奥の中央庭園へ、わかりましたね?」
「うん。」
カーリクスが適当に答えると、レリアはわずかにためらいながらもテラスの外へ出た。
その前を守っていたカリウスおじさんがなぜもう出てくるのかと尋ねたが、レリアはグラスを持って祖母の元へと向かっていった。
宴が静かになった頃。
レリアはメニューを開き、点検が完了しているか確認した。
【大規模アップデート到来!点検がまもなく完了する予定です。ご利用にご不便をおかけして申し訳ありません。】
点検完了予定時間:午後10時10分
さらに新しくなるスペシャルな〈錬金復権〉を楽しみにしていてください!✧٩(˃̶͈̀௰˂̶͈́)و✧。
しかし、点検は終わったかと思いきや、時間が延長されていた。
拳を握りしめて怒りを抑えた。
『そういえば….』
レリアは時が来たとばかりに宴会場を抜け出し、中庭へ向かった。
小さな中央庭園の奥へ入っていくと、彼女を待っていた4人の姿が見えた。
どうやらカーリクスがしっかり伝えてくれたようだ。
4人はそれぞれ少し離れて座ったり立ったりしていた。
レリアが近づくと、皆の視線が集まった。
「なんで集まったの?大富豪(カードゲーム)でもするの?」
ロミオが冗談めかして尋ねた。
レリアの表情はぴたりとこわばった。
前回もそうだったが、すべてを知っているようなロミオの態度に戸惑った。
レリアはゆっくり口を開いた。
「皆さんにお伝えしたいことがあります。つまり…その……」
どう言い出せばいいのかわからず、目をぎゅっと閉じてうつむいたまま言った。
「私、実は錬金術師なんです。」
「…はあ。そうなんだ。でも、どうして僕の知らない力を持っているの?」
ロミオがあっけらかんと答え、顎をさすりながら笑った。
前回のあのメッセージもレリアが送ったのだと思いたかった。
予想していたほどの大きな反応は返ってこなかった。
唯一ロミオだけが疑っていたが、他の者たちは正直言ってあまり関心がなさそうだ。
レリアは拍子抜けして、ただ瞬きを繰り返した。
「それから、私がここで家族のように過ごしているのは……」
何かを言おうと再び口を開こうとしたとき、ロミオがベンチから立ち上がって近づいてきた。
「レリア。」
「……はい。」
「前に言ったよね?何も説明しなくていいって。」
「それは……」
「僕たちは君に何も尋ねたりしないよ。疑ったりもしない。」
「………」
「理由はわからないけど、時が来たら君の口から話してくれると信じてる。」
レリアは困惑しながらもにっこり笑うロミオを見つめた。
今何を言っているの……?
正気じゃないこの王子様、グリピスとオスカーも彼女に近づいてきた。
二人は何も言わず、ただ視線を交わした。
レリアはようやくさっきロミオが言ったことの意味を理解できた。
オスカーだけでなく、ロミオもグリピスもすべてを知っているのだ。
それどころか、レリアがシュペリオン家の家族として過ごしている理由さえ知っているようだった。
直感的にそう感じた。
ロミオの視線のおかげで、瞬く間に目の奥に涙があふれた。
はぁ……。
レリアは低く息を吐きながら、首をすくめた。
しばらくして溜まっていた涙がぽろぽろと床に落ちた。
ロミオはそんなレリアの頭の上に手を置き、彼女にだけ聞こえるように小さくささやいた。
「泣き虫隊長ってところかな。」
レリアは友人たちのあたたかさに、胸が詰まるような思いだった。
涙を止めることはできなかった。
言葉では言い表せないほどの申し訳なさ。
それでも自分を理解してくれる友人たちの気持ち。
自分を見てくれていることへの感謝。
いろんな気持ちが入り混じって、感情が込み上げてきた。
「……おい。」
その時、誰よりも深刻な表情でカーリクスが近づいてきた。
レリアはゆっくりと首を上げた。
じゃあ…カーリクスも?
「なんで泣いてるんだ?」
カーリクスがしかめっ面をした。そしてロミオ、グリピス、オスカーを見た。
「お前ら、何だよ!なんで彼女を泣かせたんだ?」
なんだよそれ。
ロミオがうんざりしたように彼を見返したが、カーリクスは気にしなかった。
カーリクスはレリアの背中を軽く叩きながら慰めた。
オスカーの瞳がその手をじっと見つめていたかのようだった。
「泣くなよ。みんな何も言わないさ。女装が悪いわけじゃないんだからさ?」
「……」
レリアは突然、涙がすっと引いていくような気がした。
いや……。
「気を落とすな!誰が泣かせたって?女装男子が何だって!おい、お前ら、女装男子だからって無視したり、噂話なんかしてみろよ、俺が黙ってないからな。俺の剣で全部ぶった切ってやる……いいな?」
「……」
「……」
「……」
「……」
オスカー、グリピス、ロミオ。
三人はまるでカーリクスが見えていないかのように首をそらした。
特にロミオは自分の胸をポンポン叩いてから後ろを向いた。
レリアはあっけにとられて友人たちを見た。
『ねぇ、君たち……君たちだけがわかってくれれば、他の人には何も言わなかったらどう? 私はどうなってもいいから……!』
その間にカーリクスはレリアを見て、自分のネクタイを外してハンカチのように差し出した。
「えっと、カーリクスさん。誤解されてるかもしれませんが、私は実は……」
カーリクスは人差し指を立て、レリアの唇に軽く当てた。
すると、そっとそれを押した。
「言わなくてもわかってる。秘密を守るって言ってたよね?君のおばあちゃんもすぐに元気になるから、心配しないで。……お前には、この兄貴たちがいるじゃん。」
「…あの、それじゃなくて、実は私が告白したいことがあって…。」
「もういいって、だから、うるさい!もう消えろ!」
カーリクスは苛立ちをあらわにして背を向けた。
そしてプンプン怒りながら向こう側へ歩き去った。
レリアはどうすればいいか分からず、助けを求めるようにオスカーを見つめた。
オスカーは静かに近づいてきて、カーリクスの指が触れていたレリアの唇を自分の親指でそっと拭った。
「な、何して……。」
「………」
そのように親指で唇を拭った後、オスカーは何も言わずに顔を背けた。
レリアは呆れて言葉も出なかった。
グリピスに視線を移すと、彼は恐ろしい目でオスカーをにらみつけているだけだった。
レリアはついにロミオを見つめた。
『そう… 私を助けてくれる人はあなただけなのよね、ロミオ?幼い頃からそうだったじゃない。』
その視線を正面から受け止めたロミオは、困ったように眉をひそめた。
「もう…放っておこう。」
「でも…あんな誤解をしているのにどうして…。」
ロミオは手をひらひらさせた。
「どうせあいつはもともとああいう奴だって知ってるでしょ。自分が信じたいことだけ信じて、見たいものだけ見てるんだよ。あの頑固さをどうやって崩すの?そのうち分かるでしょ。」
「………」
レリアはため息をついた。
錬金術師であるという事実は明かしたが…肝心な話は何一つできなかった。
カーリクスの治療薬のことを話さなければならないのに。
「それにさ、お前、魔力もないし、大した力も感じられないのに、どうやって錬金術使えるわけ?ちょっと俺にも教えてよ。」
ロミオは他のことには興味なさそうだったが、学問的好奇心に満ちた目をきらきらと輝かせて尋ねた。
レリアは、納得したようにロミオを見つめた。
そうして彼女はそのまま去っていった。
彼女が立ち去ると、瞬く間にオスカーとグリピスの目に火がついた。
「俺とちょっと話そうか?」
グリピスが言うと、オスカーはゆっくりと目をしばたたいた。
赤くなった目には殺気が宿っていた。
二人は今にも互いに剣を突きつける勢いだった。
「ちょっと、またケンカ?急に?なんで?」
ロミオが慌てて二人の間に飛び込んで止めた。
彼は「そんなことするくらいなら酒でも飲もう」と言って、二人を宴会場へと引っ張っていった。
その後しばらくして、カーリクスの部屋で何が起きるかなど、誰も夢にも思っていなかった――。







