こんにちは、ピッコです。
「政略結婚なのにどうして執着するのですか?」を紹介させていただきます。
今回は47話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
47話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- トーナメント③
結果は予想通りだった。
鎧を脱いで普段着に着替えたファビアンが、照れくさそうな顔で後ろの首を触りながら話した。
「当主様、戻りました」
「怪我をしたところは?」
「打撲傷が少しありますが、すぐ治りそうです。そして・・・早く脱落してすみません」
「いや、お疲れ様。どうせそんなに重要な行事でもないから、気にすることはない」
本当に優勝を狙っていたら、別の騎士を出していただろう。
ナディアは飲み物を差し出しながら彼に言った。
「これからは楽に残りの試合を観戦しましょう」
「ありがとうございます、奥様」
トーナメントは続いた。
正午を過ぎると、王室の使用人たちが客席に食べ物を持ってきてくれる。
「グレン、私は剣術をよく知りませんが」
「うん?」
「そんな私の目にも今日のトーナメントの優勝者が見えるみたいなんですよ」
「誰が優勝すると思う?」
「とんでもないですが、バラジット公爵家から無難にトロフィーを持っていきますね」
目がついている以上、知らないわけがなかった。
これまで、タクミが出場した試合は全部で10合を超えることができなかったからだ。
今でももう一つの試合が彼の勝利に終わっている。
早い勝利が繰り返されたため、観衆もこれ以上驚かないほどだ。
「もう決勝だけが残っている」
「それでもあの人のおかげで試合時間が減ったのは嬉しいですね」
そろそろ家に帰って休みたいところだった。
ずっと座っていると腰が凝り始めるから。
決勝戦もやはりタクミの勝利であっけなく終わってしまうと、もう残った手続きは優勝者が自分のレディーに黄金のバラを渡すことだけだった。
言い換えれば、ハイライトだけが残っていると言える。
誰が今年、黄金のバラの主になるのか?
(ありきたりだよ。カレインにあげるだろうし)
ナディアは気が動転した。
バラジット公爵の手下である彼が他に誰に黄金のバラを捧げるというのか?
年の若い貴族の令嬢たちが、カレインを羨ましげな目つきでちらりと見る姿が見えた。
自分を羨ましがる雰囲気に、カレインが意気揚々となったのが遠くからも感じられるほどだ。
タクミが王族が集まっている上座に上がると、人々が声を低くしたままささやいた。
「今年のトーナメントは面白くないですね。とてもつまらなく終わりました」
「それでもあの有名なドラゴンスレイヤーの実力を両目で見ることができたじゃないですか?」
「噂よりすごかったですよ。バラジット公爵が訳もなく出身地の知らない異邦人に後援をすると置かれたのではなかったですね」
「そうですね」
出身の知らない異邦人を認めたくない雰囲気が半分、彼の実力だけは尊重する雰囲気が半分だった。
しかし、慌しかったのもつかの間、国王が席を立つと貴族たちは皆一緒に口をつぐんだ。
まもなく国王の声が響く。
「優勝おめでとう。さすがに聞いていた通り立派な実力だね」
「ありがとうございます、陛下」
「そういえば、卿は未婚だったよね?私の記憶が正しければまだ婚約者もいないだろうし。黄金のバラを捧げるレディーは心の中に決めておいたのか?」
カレインの名前が出るだろう。
しかし、彼の口から出た言葉は、皆の予想を破ることだった。
一応それは人の名前ではなかったが。
「陛下、僭越ながら一つ申し上げてもよろしいでしょうか?」
「うん?」
何のリクエスト?
こんな話は公爵から聞いたことがないんだけと?
王がバラジット公爵に向かって視線を向ける。
しかし、不思議そうな顔をしているのは、彼も同様だった。
どうもこのことはタクミの独断であるようだ。
とにかく良い日だし、今日の優勝者だから聞いてもらえないこともないだろう。
国王がおおらかな表情を浮かべて言った。
「言ってみなさい」
「恐縮です。黄金のバラをもらう前に、この場で競ってみたい相手がいます」
「・・・何?」
「彼との決闘を許してくれませんか?」
「はあ、でも・・・」
国王の顔に狼狽の色が広がる。
たかが優勝者になっては、また決闘をするって?
戸惑うのは国王一人だけではなかった。
当然、自分の名前が呼ばれると思っていたカレインはもちろん、他の貴族までざわめき始める。
「決闘をもう一度させてほしいと要請しているようです」
「なぜですか?いや、その前に一体誰が来るんですか?」
「今日のトーナメントに参加していない人でしょう。えーと、タクミ卿と剣を競うほどの実力者が・・・」
「は、まさか」
瞬間的にみんなの頭の中をよぎる「彼」という人物があった。
仄かな視線が一ヵ所に集まってくる。
彼らの推測にくさびを打ち込むように、タクミが国王に深く泣かせながら話した。
「ウィンターフェル侯爵の名声は古くからありました。また、昨年の遠征でその方の実力を直接目撃し、一度は競ってみたいという欲を育ててきました。陛下、どうかお願いします、決闘をお許しください」
「・・・」
少しも予想できなかった事態にウィンターフェル家ー行の間から小さなうめき声が流れた。
グレンの眉間にもわずかにしわが寄る。
国王が言った。
「おい、タクミ卿。気持ちは分かるがこれはあまりにも急な・・・」
「もちろん、ウィンターフェル侯爵が望まなければ、私もこれ以上求めません」
そう言う彼の視線はグレンに固定されたままだ。
「ほう・・・そ、それなら一応当事者の意見を聞いてみないとな・・・。ウィンターフェル侯爵、どう思う?」
「・・・」
突然指名されたグレンは落ち着いてあたりを見回した。
誰も予想できなかった突発的な行動だが、場内の雰囲気はタクミに否定的ではなかった。
いや、むしろ肯定的と見なければならないほどだ。
ただでさえ退屈だった行事に見どころがもう一つできたのだ。
その上、騎士に好勝心が高いということは名声に得になればよかったし、決して欠点ではない。
ライバルと思われていた同年代の騎士に決闘を求めるのは、実に騎士らしくないだろうか?
グレンもやはり決闘申請を快く受け入れてくれたら受け入れてくれたし、断る方ではなかった。
ナディアは冷や汗をかいて考えた。
(見たところ、この決闘に否定的なのは私だけだと思うんだけど・・・)
怪我人でもできたら、どうしてこんなに無謀なのか。
彼女はグレンの襟をそっと引き寄せて囁く。
「グレン、あなたは何の準備もなしに来たのでしょう。でも急に決闘だなんて、不利だと思います。そのままお断りしましょう」
「いや、断れば私が怖がって避けたという噂だけが広がるだろう」
「望まないならこれ以上は求めない」という言葉の意味は、事実上挑発に近かった。
グレンの口元がかすかに曲線を描いた。
歩く喧嘩を避ける趣味はない。
「ご要望を承りましょう、陛下」
「おお!」
グレンが快く受け入れると、国王の口元に明るい笑みが浮かぶ。
いくら気が利かない彼でも、ここで断られたら、熟した雰囲気が冷めるだろうということぐらいは予想できたのだ。
「では、日時はいつがいいだろうか?」
タクミが答えた。
「私が勝手にお願いしたのですから、日時は侯爵様が決めるのが正しいでしょう」
「そうしたほうがいいだろう。どう思う?」
「私はどうでもいいです。ただ・・・」
グレンは続けた。
「何回も続けて試合をして疲れたでしょうから、その点を考慮して一日後はぢうですか?」
一見、配慮してくれる言葉のようだが、実状は負けておいて、コンディションのせいにする考えはするなという意味だ。
本音を聞き取ったタクミがにっこり笑って答える。
「今すぐでもかまいません」
「それは嬉しいことだ」
2人とも笑顔だったが、目つきだけは万年雪のように冷たいばかりだった。
近くにいるナディアに寒気が伝わるほどだ。
夫と元婚約者を交互に見つめる彼女の口が少し開く。
「急に決闘だって?」
これが・・・なんでこんな風に流れるんだろう?
トーナメントはタクミの優勝で決まりました。
しかし、このまま終わるはずがなくグレンとの試合になりました。
実際、この二人はどちらが強いのか気になるところですね。
タクミが黄金の薔薇を渡したい相手とは?
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