こんにちは、ピッコです。
「政略結婚なのにどうして執着するのですか?」を紹介させていただきます。
今回は57話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
57話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 王妃への献上
父の信頼を保つことには成功した。
しかし、だからといって安心している場合ではない。
いずれにせよ、首都はバラジット公爵の領域に他ならなかったからだ。
やるべきことを早くやって、彼の手の中から抜け出す必要があった。
休み休みしろという家臣たちを引き止めたまま、ナデイアが王妃宮を訪問したのはそのような理由のため。
「あら、侯爵夫人。トーナメントでお会いして、またお会いしますね。その間お元気でしたか?久しぶりに訪れた故郷なので楽しいですよね?」
王妃グリゼルダが優しい声で歓待をしてくれた。
トーナメントではなく、王の誕生年が最も近々の出会いだったと、ナディアはあえて訂正してくれなかった。
優しい声とは違って、瞳から退屈さがにじみ出ていたのだ。
彼女はすばやく本論を述べる。
「もうすぐ妃殿下の誕生日なので、妃殿下にも贈り物を差し上げるのが理にかなっているのではないかと思い、謁見をお願いしました」
「あら?」
だからあなたのためにも準備したプレゼントがあるという意味だ。
機械的にお客さんを迎えていた王妃の顔にそっと生気が通り過ぎる。
「楽しみですね」
「リサ、持ってきて」
ナディアの手によってメイドが持ってきたのは高級なベルベットの箱。
蓋を開けると、黒真珠でつないだチェーンに大きなルビーがかかっているネックレスが姿を現す。
「マリー女王のネックレスです。代々王妃の宝物と呼ばれる物です」
「わあ・・・」
地味なスタイルの王妃が使うには少し負担になるデザインだったが、本人があんなに喜んでくれて幸いだった。
「細工がとても繊細です。古代王国の技術は非常に優れていて、私学者たちが根拠もなく騒ぐ話ではなかったんですね」
「レアで見つけた宝物の中で、私が一番感心した物です」
もちろん嘘だ。
ナディアは金貨の方が両替しやすい金塊の方が好きだった。
「こんな貴重な物をもらってもいいの・・・」
「私たち夫婦の誠意だと思って受け入れてください。なるべく王室と円満に過ごしたい私の夫の誠意だと思っていただければ幸いです」
もちろん、これもまた嘘だった。
しかし、代価のない贈り物をむやみに渡して王妃の警戒を買うより、賄賂を捧げると誤解した方が良い。
王妃が理解しているかのようにうなずきながら答えた。
「侯爵の意味は私が父君によく伝えます」
,
「さて、私の主人も殿下に一つの贈り物を渡してくれと言いました」
「あら、ウィンターフェル侯爵がですか?」
彼はまたどんなプレゼントを準備したのだろうか?
グリゼルダの目つきに期待感がみなぎった。
一時、物足りなさと貧しさの象徴だったウィンターフェルの領地が、最近になって金力を回復したと聞いている。
だからきっともっともらしいプレゼントを準備したはずなのに・・・。
「これは・・・何ですか?」
しかし、期待していたことが恥ずかしくも、ウィンターフェル侯爵夫人が差し出した箱は、予想していたのとは全く違う姿だった。
金の装飾が施された木箱はかなり高級だったが、その中身はそうではなかった。
正体不明の粉を入れた白いポケットが全てだ。
グリゼルダは直感的に思いついた言葉を吐き出す。
「・・・薬?」
「ええ、そうです。去年のペスト事件以来、グレン・・・だから侯爵様が薬学の重要性について感じたことがあるようですね。トゲツルハーブがペストの治療薬だということをもっと早く知っていたら、犠牲者を減らすことができたはずですから」
「ああ、そうだったんですね」
「ちょうど幸運にもトゲツルハーブを独占したおかげで、余裕資金ができたこともあります。各地の有名な薬剤師たちを招待して薬学研究に投資しました。そんな中、なんだかんだで・・・」
もちろん最初から最後まで嘘だったが、商売には適当なストーリーテリングが必要なものだ。
ナディアは薬剤を指差して話し続ける。
「こんな美容薬を開発することになったのです。水が冷えて塗ると、肌が白玉のようにすべすべして白くなります」
「あら、それは驚きですね」
実を言うと全く驚かなかった。
感嘆するふりをして王妃が心の中で思った。
私が狂ったとこんな正体不明の薬を私の顔に塗るとでも?
そしてナディアはこう考えていた。
(あんなふうに話しても実際に使うわけがないだろう)
ただプレゼントをあげた人の顔を考えて半分うんをしてくれるだけ。
貴婦人たちの会話はすべてこのようなものだった。
予想するに王妃は薬を不信し、周辺の使用人に「使ってみろ」と言って投げるだろう。
(それでいい)
薬の効果は即効性だ。
ナディアは過去にこの薬がいかに恐ろしい勢いで首都を荒らしたかを覚えていた。
王妃が恥をかかせ、追加的な薬を要請するには、それほど長い時間はかからないだろう。
私の本音をすでにばれたということを知っているのか、グリゼルダはにこにこ笑って箱を下女に渡してばかりいた。
「侯爵様の賭り物も本当に気に入りました。その方に私が喜んだという言葉を必ず伝えてください」
「もちろんです」
目的を果たしたナディアは、しばらくして席を立つ。
応接間を出ようとする彼女を王妃がつかんで尋ねる。
「さて、首都にはどのくらい滞在するつもりですか?」
「誕生日が終わったので、これ以上首都にいる理由はありませんが、夫にせがんでもう少し時間を稼ぐつもりです。久しぶりに故郷に帰ってきて嬉しいですから」
「では、北部に戻る前に王宮に一度もっと寄ってください。今日もらったプレゼントに対するお返しをあげるから」
ナディアは最後の挨拶で応接間を後にした。
ドアが閉まるやいなや、侍女が近づいてきて尋ねる。
「妃殿下、この薬材とネックレスはどうしましょうか?寝室に持っておけばいいですか?」
「ネックレスは私の寝室に持ってきておいて。そして、この薬材は・・・」
木箱を眺める王妃の目つきが暗く変わった。
やっばり北部男子だからかセンスが最悪だね。
「いったい何を信じてこんな正体不明の薬を私にプレゼントしたのか・・・ちっ。私が使うことはなさそうだから、これは宮の侍女たちに配ってくれ。欲しい人は使ってもいいと」
「はい、殿下」
命令を下したグリゼルダの視線がすぐネックレスに向かった。
彼女は宝石をのぞき込み、感嘆し続けた。
「古代王国の技術は本当にすごいね。どうしてこんなに繊細な細工をしたんだろう?」
肝心な物は目下の人たちに配ったということを夢にも知らないまま。
王妃宮を出たナディアは、すぐに住居に足を運ばなかった。
彼女には一緒に入宮した同行人がいたから。
「すぐにお帰りになりますか?侯爵様と一緒に帰らずにですか?」
「うん・・・長くかからないかな?」
ちょうど今頃、太陽宮に到着しているグレンだった。
国務会議に出席するために立ち寄ったのだから、かなり長い時間がかかるはずだ。
「先に帰ることにしよう。王宮に長く滞在して、余計に頭の痛いことに巻き込まれるかもしれないから」
「はい、奥様」
帰宅を決めたナディアはれんがの道を歩う。
王を除いて王宮内で馬車に乗るのは大きな無礼だったので、仕方なく両足で歩かなければならなかった。
それでも天気が涼しいということだけは幸いだが。
そうしてどれだけ長い間足を動かしていたのだろうか?
反対側から近づいてくる人々のグループを見つけ、彼女は通りの端に下がって道を開けた。
先頭に立っている者が第1王子フレイだったからだ。
「ああ、公爵令嬢・・・いや、ウィンターフェル侯爵夫人じゃないか?ここでまた見るとは」
案の定彼が先に知ったかぶりをしてくる。
「第1王子殿下にお目にかかります」
「旦那さんと一緒に来たのかな?」
「一緒に来たのは確かですが、ご用件は違いますね。夫は国務会議に参観するため、そして私は王妃殿下と談笑を交わすために入宮しました」
「お母さんと談笑だなんて。それはかなり退屈だっただろうね」
豪快に笑っている外見だけは、本当に非の打ち所もなく完璧だ。
金塊を溶かしたような金髪、青い瞳、それに世紀の美人だった母親に似た目鼻立ちまで。
外見だけを見ると、童話の中の王子様に違いはない。
しかし、ナディアは知っていた。
(この人間は・・・完全に遊び人だよ)
彼には必ず王になるという意志も、弟に勝たなければならないという競争心もないということを・・・。
(別に考えればそのおかげで今まで生きていられたのだけど)
賢くて野望のある人だったら、今頃父の手に暗殺されていたかもしれない。
一時は彼が怠けているふりをして父親の目を欺いているのではないかと期待をかけたこともあった。
しかし、今は分かる。
(彼は本当に・・・本当に純真だよ。弟と共存できると信じているから!」
当然のことだが、王族としての素養も足りない。
君主論を読み終えることができたのか疑問に思うほどだ。
しかし、選択の余地がなかった。
確実に父親の味方である第2王子を引き入れることはできないので、残った選択肢を選ぶしかない。
ナディアが別のことを考えている間も、フレイは独り言を言っていた。
もともと口数の多い人ではあった。
「それよりトーナメントで見ると、夫婦仲がかなりよさそうに見えたよ。奥さんと侯爵との結婚が南北部の和合に寄与するといいね」
「すべて侯爵が配慮してくださったおかげです。それより殿下は太陽宮へ向かう途中ですか?」
「ああ、めんどくさいけど会議に参加することになって・・・」
ハンサムな顔には本当に面倒臭いという気配が歴然としていた。
「もう少し話したいけど、これで行かなきゃ。会議の時間に遅れたら、父王がまた小言を言うから」
「ご注意ください」
「またね」
そうしてはふらふら歩いてしまう。
侍従たちが後を尾のように追った。
ナディアはその後ろ姿をじっと見つめ、今頃太陽宮の大会議室に到着しているグレンを思い出す。
(上手くできるよね?)
彼女が今日彼に与えた任務を。
王妃が薬の効果を知った後の反応が気になりますね。
ナディアがグレンに与えた任務とは?