政略結婚なのにどうして執着するのですか?

政略結婚なのにどうして執着するのですか?【89話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「政略結婚なのにどうして執着するのですか?」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【政略結婚なのにどうして執着するのですか?】まとめ こんにちは、ピッコです。 「政略結婚なのにどうして執着するのですか?」を紹介させていただきます。 ネタバ...

 




 

89話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • それぞれの戦場⑦

モンスターたちの攻撃は疲れることを知らず、続いていた。

あの怪物たちの体力には驚嘆せざるを得なかった。

明け方には一時的に攻撃が止んだものの、朝日が昇るとすぐに再び攻勢が始まった。

その過程でファビアンは左腕に負傷を負ってしまった。

すぐに彼の元へ駆け寄りたかったが、そうする余裕はなかった。

ナディアはその場に留まり、指揮を執る必要があった。

「ファビアン卿の役割をヴィンセント卿に引き継がせなさい。ファビアン卿には一旦休息を取らせ、薬を使って安定させるように。薬を服用した後、休めば動けるようになるでしょう。」

「了解しました。」

幸いにも、救援物資として持ち込まれた医療品があるおかげで、少なくとも当面は問題を乗り越えられる見込みがある。

十分な食料と薬は確保されていたものの、これらを使い切るまで持ち堪えられるかは懸念材料だった。

公式な任務を与えられた騎士は、それでも耐え難い負傷を負っており、他の者が口を出せる状況ではなかった。

あちらこちらで負傷者や死者が増え、領地の民たちは徐々に疲れ果てていった。

彼らが城壁を放棄しなければならなかったのは、籠城を始めた次の日の夕刻だった。

「もうすぐ城壁が崩れるぞ!建物の中に入れ!建物内で防御態勢を整えろ!」

警備隊長と思われる声に、ナディアもすぐに行動に移らなければならなかった。

彼女は歯を食いしばりながら考えた。

『早すぎる!』

早々に城壁を放棄する羽目になるなんて。

本殿建物内でも籠城を続ける準備はしていたが、堅固な城壁には及ばないことは明らかだった。

退却を命じる鐘の音が騒がしく鳴り響いた。

「全員建物の中に入れ!急げ!」

メインホールの出入り口の後ろには、家具や壁材、そして瓦礫が積み上げられ、人為的な障壁が作られていた。

壁の隙間から突きを繰り返す防御策だった。

ホールの背後には2階へ続く階段があり、もし入口の防線が崩れた場合、そこから防御戦を続けることができる。

ただし、そんな状況にまでは至らないことを願うばかりだった。

「屋上から矢を射て、油を注げ。使用可能な手段はすべて使え!」

「門が破られます!」

戦況は次第に悪化していった。

騎士たちの中でも戦死者が出た。一般兵たちももはや言葉を失う状況だった。

遺体を収容する余裕すらなく、戦死者の遺体はそのままバリケードとして役割を果たすことになった。

事態がますます悪化していく中、ナディアにまた新たな戦況の報告が届いた。

「奥様!警備隊長が戦死しました。」

「副隊長がいるはずだ。彼を代わりにしなさい。」

「副隊長もまた戦死しました。」

「……」

そういえば、昨日そんな話を聞いたような気もする。

言葉を失った彼女に助けの手が差し伸べられたのは、その時だった。

「私が代わりに行きます。」

2階から降りてきたファビアンの声だ。

ぱっと顔を上げ、振り返ると、軽やかに体を整え歩み寄ってくるファビアンの姿が目に入った。

ナディアは半分驚き、半分心配そうに尋ねた。

「傷はもう大丈夫なの?」

「薬が効いてるみたいです。少し痛みますが、動くことはできます。この薬、一体何でできているんですか?このくらいの傷がこんなにも早く治るなんて……」

「トロールの血と皮膚だよ。もともと再生能力が非常に優れた種族だからね。」

「……あ、なるほど。それなら納得です。何であれ、これからも私が見てみます。」

ファビアンは険しい表情を浮かべながら、警備隊長の位置へと走り去った。

その間も戦闘は続いていた。

ホールの半分近くがモンスターで埋め尽くされていた。

どれだけ倒しても、モンスターの群れは次々と押し寄せてくる。

休む間もなく、どれくらいの時間が経ったのかもわからない。

耳をつんざくような叫び声と、城壁が壊れそうな音ばかりが響き渡る。

続く戦闘と喧騒、そして絶え間ない悲鳴の中で、ナディアの意識は次第に曇っていった。

『今、どれくらい時間が経ったのだろう?』

彼女は時間を把握しようと窓の方を見上げた。

しかし、日の光が届かない室内では、太陽の位置を知ることができなかった。

窓はすべて木の板で覆われており、光が入るのは壊れた入口の一つだけ。

隙間の空いた扉から明るい日差しが差し込んでいるのが見えた。

『ここに入ってきたのは、遅い夕方頃だったはず……。それなら時間がどれくらい経ったんだろう? 救援部隊はもう近くまで来ているのだろうか?』

一瞬、他の考えが頭をよぎり、集中力が散漫になったのだろうか?

「奥様!」

ナディアは、自分の頭上に巨大な影が迫っていることに、遅れて気づいた。

遅れて視線を後ろに向けると、自分に向かって巨大な棍棒を振り上げているトロールの姿が見えた。

「あ。」

冷たい空気が背中を這うように感じた。

『死ぬんだ。』

その攻撃を避けることも、防ぐこともできなかった。

ナディアは目を閉じることすらできないまま、棍棒が自分の頭上へと迫るのを見守るしかなかった。

しかし、そのときだった。

スパッ!

甲高い音とともに飛んできた槍がトロールの棍棒を叩き落とした。

胸を締め付けるような感覚が襲った。

「……!」

跳ね飛んだ血のしぶきが顔に当たる感触のおかげで、彼女はこれが現実だと認識することができた。

ゴン!

その直後、トロールの巨大な体が鈍い音を立てながら前に倒れ込んだ。

その後ろに見えたのは、前足を高く上げた巨大な軍馬。

突然現れた軍馬の正体を確認する間もなく、上方から素早く振り下ろされた馬蹄がトロールの頭を叩き潰した。

いかに再生能力に優れたトロールでも、頭が砕かれてしまえば生き延びることはできない。

「生きてる……。」

ナディアはその時ようやく、自分が死の淵を越えたことを実感した。

「はぁ……!はぁ、はぁ。」

安堵感から堰を切ったように荒い息が漏れた。

彼女は動悸の収まらない胸を押さえながら視線を上げた。

壊れたホールの入口から日差しが差し込んでいたが、ナディアは自分を救ったその人物の正体を一目では確認できなかった。

目が逆光に慣れると、徐々に彼の姿が見え始めた。

銀色の髪が光を受けてガラス細工のように輝いていた。差し込む光の中で彼の身姿がスローモーションのように感じられた。

ナディアは無意識にその名前を口にした。

「グレン!」

グレンの顔は銀色の髪に負けず劣らず鮮やかに見えた。

引き締まった表情を浮かべた彼がどこかに向けて叫んだ。

「アドリアン!公爵夫人を守れ!」

「はい!」

彼女はそのときになって初めて、突然現れた人物がグレンだけではないことに気づいた。

鮮やかな真紅のマントをまとった騎士たちが、ホール内に入り込み、襲いかかってきたモンスターたちを次々と倒しているのが見えた。

混乱した光景だったが、なぜか不思議と安心感を覚えた。

ナディアは冷静な意識の中で考えた。

「騎士団が来たのね……これで本当に助かった。」

彼らがどうやってここにたどり着いたのかは分からなかったが、これ以上災いが続くことはもうないだろうと思った。

ほぼ徹夜に近い緊張の中で過ごしたため、緊張が解けるや否や、疲労感が一気に押し寄せてきたようだった。

『本当に……良かった……』

頭がふらつき、視界がだんだん暗くなっていく。

全身が鉛のように重たくなり、そのまま彼女の意識は暗闇の中に引き込まれていった。

最後に微かに、自分の名前を呼ぶ声が聞こえたような気がした。

 



 

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