こんにちは、ピッコです。
「ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜」を紹介させていただきます。
今回は133話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
どういう訳か小説の中の悪の一族、アグリチェ一家の娘「ロクサナ」に生まれ変わっていた!
アグリチェは人殺しをものともしない残虐非道な一族で、ロクサナもまたその一族の一人。
そして物語は、ロクサナの父「ラント」がある男を拉致してきた場面から始まる。
その拉致されてきた男は、アグリチェ一族とは対極のぺデリアン一族のプリンス「カシス」だった。
アグリチェ一族の誰もがカシスを殺そうとする中、ロクサナだけは唯一家族を騙してでも必死に救おうとする。
最初はロクサナを警戒していたカシスも徐々に心を開き始め…。
ロクサナ・アグリチェ:本作の主人公。
シルビア・ペデリアン:小説のヒロイン。
カシス・ペデリアン:シルビアの兄。
ラント・アグリチェ:ロクサナの父親。
アシル・アグリチェ:ロクサナの4つ上の兄。故人。
ジェレミー・アグリチェ:ロクサナの腹違いの弟。
シャーロット・アグリチェ:ロクサナの妹。
デオン・アグリチェ:ロクサナの兄。ラントが最も期待を寄せている男。
シエラ・アグリチェ:ロクサナの母親
マリア・アグリチェ:ラントの3番目の妻。デオンの母親。
エミリー:ロクサナの専属メイド。
グリジェルダ・アグリチェ:ロクサナの腹違いの姉。
ポンタイン・アグリチェ:ラントの長男。
リュザーク・ガストロ:ガストロ家の後継者。
ノエル・ベルティウム:ベルティウム家の後継者
133話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- side ジェレミー・アグリチェ
階段を上がろうとしていたジェレミーが後ろを向く。
白い目が先ほど呟いた人に向かって正確に飛んでいた。
瞬く間に沈黙が舞い降りる。
薄氷が張ったような緊張感が空気中に毒のように染み込んでいく。
それでも雰囲気の把握はできるのか、皆が口をつぐんでいた。
だが機敏に調べた結果、そのような考えをするのは一人だけではないという事実が分かる。
「はぁ」
ジェレミーの口から歪んだ笑いが漏れる。
これまで粘り強く耐えてきたのは彼らのためではない。
だから彼らが自分の苦労を分かってくれる必要はなかった。
「間違った言葉でもないじゃないか」
どこかから小さな声が流れる。
「考えてみると、性急に決定したんだ。あまりにも余裕がなかったけど、もう少し探してみればお前よりも引き受けた役割をもっと上手に消化できる人がいるかもしれないじゃないか」
今口を開いたのは、アグリチェが崩壊した時からジェレミーの座を虎視眈々と狙っていた異母兄弟だった。
誰のせいでこんなに状況が整理されたのか知っていながら、そろそろ足元の火が消えると、今になって犬のように歯を剥き出しにする姿がかなりおかしかった。
「いっそのことデオンを呼んだらどうだ?」
「そうだね。デオンなら、こんなジメジメした状況も打破できるよ」
「私たちが団結すれば、他の家門も全て制圧することが出来るのでは?」
好奇心のある発言が一つ投げられると、続いて一つ二つと口を開く人が現れてきた。
この愚か者たちは一様に何も出来なかったくせに、他の家門をそのような軽い力で打ち破ることが出来ると信じているようだ。
みんな頭に脳ではなく石が入っていることは明らかだった。
しかも、たとえそれが可能だとしても、それはジェレミーの理想とはかけ離れている。
だから、もしデオンであれ誰であれ、そのように出しゃばる奴がいたら、彼の手で首を取って片付けてしまったに違いない。
「そうか・・・、君たちのために骨身を削るように頑張っている私より、これまで家門なんか知らないと蒸発していたデオンの方がこの場にいた方が良いと思っているんだね」
ノロノロとした声がジェレミーの口から聞こえてきた。
気の利く人は、その中に潜んでいる不吉な気配を感じ、口をつぐんだが、そうでない人は止まらず、口を滑らせる。
「いや、必ずというよりはジェレミーは年も若いじゃないか。家門を君が引き継ぐのは無理じゃない?」
「そうだね、もう一度首長を決めるのはどう?」
「それとも順番を決めて順番にやるのはどうだい?」
結局はこっちが本論なのだろう。
デオンの名前を取り出してジェレミーの気分を害するように仕向け、前置きを長々と並べたが、結局は長続きせず、このように薄情な内心を表したのだ。
「面白いね」
ジェレミーの首が横に傾く。
昨年の冬に比べ、少し長くなった黒髪が、その動きに沿って形を崩した。
「クック」と小さく響く笑い声に、再び人々の視線がジェレミーに集まる。
「君たち、私がすごく甘い奴に見えるんだね」
ハンサムな顔に濃い笑みが浮かんでいた。
季節が変わり若干痩せたせいで、ジェレミーの顔は以前より線が太く現れた状態だ。
それで彼の口元にかかった笑みが一層目立って見える。
「そうだね、そうだね。考えてみたら、私は長い間、君たちと仲良く過ごした。そうだろ、うん?」
一見優しく感じられる声だったが、その中から立ち上がるのは仄かな殺気。
そういえば、これまで外の仕事を処理するのに忙しくて、まともに内実を固める時間がなかった。
今ここにいるのは全て手綱が緩んだ獣たち。
彼らを制御していたラント・アグリチェが消え、ジェレミーがその場を譲り受けたが、まだそれを奪い取るには時間が足りなかった。
だから、こんな風に彼を甘くみて、そんなことを平気で喋れるのだろう。
しかし、一方で考えてみると、彼らはこうすることも理解できた。
アグリチェがこうなる前からジェレミーにはロクサナという制御装置があり、彼女の意思に従って行動しただけだったのだから。
しかし、今この場にはロクサナがいない。
「私も本当に病身だね。それなら敢えて我慢しなければならない理由はあったのかな?」
悟りを得たジェレミーが微笑む。
その直後、階段の前にあった彼の姿が一瞬で視野から消えた。
「え?」
バアン!
すぐ次の瞬間、大きな騒音が邸内に雷のように響く。
あっという間に向かい側にいる人たちの間に移動したジェレミーが手に乱暴に握っていた髪の毛を引き上げた。
すると、壊れた大理石の床に打ち込まれた男の頭が上に浮かぶ。
彼はすでに悲鳴も上げられず意識を失っていた。
「そうだね、これを機に誰が優位に立っているのか見せるのも良いだろう」
背筋がゾッとするほど冷たい視線が、驚愕した人々をゆっくりと通り過ぎる。
ジェレミーは手に握っていた髪を投げ捨てた。
その後、彼が曲げていた足を立てて席を立つと、みんなが体を緊張させ、彼を警戒した。
「やっぱり、人がただ優しくしてくれるには限界があるんだ。そうでしょ?」
しかし、数多くの人々と一人で対峙しているジェレミーは依然として悠々自適な姿をしている。
彼は手を下に垂らしたまま口元を上げて、もう一度笑った。
「よし、そんなに望んでいるなら、私が今日この場で全員殺してやるよ」
一度始まった分裂は、時間が経てば経つほど、次第に大きさを増し、遅かれ早かれ、結局は災いを招くものだ。
それなら、そうなる前に確実に制し、誰が彼らの上にいるかをハッキリと見せた方が良かった。
自分を認めていないのなら認めざるを得ないようにすれば良いだけ。
アグリチェに根深い弱肉強食の論理通り、単純無知で赤裸々極まりない獣の法則に従って。
「お前たちが今誰を恐れず這い上がったのか」
ジェレミーの青い瞳がゾッとした。
「両目を真っ直ぐ開けてご覧」
今日、彼は手綱を緩めた動物たちの真の主人になるだろう。
反抗する人々を制圧するジェレミー。
彼の実力はデオンと同等なのでしょうか?
何はともあれ、これでジェレミーに逆らう人はいないでしょうね。
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