こんにちは、ピッコです。
「ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜」を紹介させていただきます。
今回は41話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
どういう訳か小説の中の悪の一族、アグリチェ一家の娘「ロクサナ」に生まれ変わっていた!
アグリチェは人殺しをものともしない残虐非道な一族で、ロクサナもまたその一族の一人。
そして物語は、ロクサナの父「ラント」がある男を拉致してきた場面から始まる。
その拉致されてきた男は、アグリチェ一族とは対極のぺデリアン一族のプリンス「カシス」だった。
アグリチェ一族の誰もがカシスを殺そうとする中、ロクサナだけは唯一家族を騙してでも必死に救おうとする。
最初はロクサナを警戒していたカシスも徐々に心を開き始め…。
ロクサナ・アグリチェ:本作の主人公。
シルビア・ペデリアン:小説のヒロイン。
カシス・ペデリアン:シルビアの兄。
ラント・アグリチェ:ロクサナの父親。
アシル・アグリチェ:ロクサナの4つ上の兄。故人。
ジェレミー・アグリチェ:ロクサナの腹違いの弟。
シャーロット・アグリチェ:ロクサナの妹。
デオン・アグリチェ:ロクサナの兄。ラントが最も期待を寄せている男。
シエラ・アグリチェ:ロクサナの母親
マリア・アグリチェ:ラントの3番目の妻。デオンの母親。
エミリー:ロクサナの専属メイド。
グリジェルダ・アグリチェ:ロクサナの腹違いの姉。
ポンタイン・アグリチェ:ラントの長男。
リュザーク・ガストロ:ガストロ家の後継者。
ノエル・ベルティウム:ベルティウム家の後継者
41話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 祝福のグラス
ロクサナの視線はずっと窓の外を向いていた。
いつの間にか太陽が沈みきった空に濃い闇が舞い降りる。
彼女がいるのは、代々アグリチェの首長たちが使ってきた執務室。
ここは昨日まではラントの所有していた空間でもあった。
そのためか、執務室にはラントが吸っていた覚醒剤の煙が漂っている。
手を動かして高級なマホガニーの机に置かれたグラスを取り上げた。
その中には、ほのかな香りの赤いお酒が入っている。
ラントの執務室で彼が使っていた椅子に座ってお酒を飲む気持ちは格別。
処罰の部屋にいるラントを見てきたのに続き、異母兄弟が死んで当然の害虫を一部でも直接掃除てくれているので、口の中が甘く感じられた。
ゆっくりとグラスを傾けていると、音もなくドアを開けて執務室の中に入った男に向かって話しかける。
「お帰りになってもいいのに」
デオンはいつものように瞬きもしない。
彼はロクサナの言うことを聞いていないかのように歩み寄ってきた。
「まあ良いわ。今日はいい気分だから」
彼女はデオンの接近を許可し、椅子にもっと深く背をもたせた。
「一杯あげましょうか?」
気分がいいというのは事実なのか、ロクサナは珍しくデオンに優しくする。
「要らない」
しかし、デオンはキッパリ断った。
「そう?残念ね、こういう機会は今日しかないのに」
デオンの視線は、さっきからずっと一ヶ所に留まっている。
部屋の中は窓の外から漏れる淡い光を除いて薄暗い。
だが、彼にはそんなことが少しも邪魔にならないようだ。
ロクサナは、デオンの目が釘付けになっている箇所がどこなのかを察した。
「知っているのね」
彼女は手に持っていたグラスを置いて、口元を引き上げる。
ロクサナはまだ着替えもせず、外出着のまま。
しかし、その上にかけている上着はどこからどう見ても、彼女のものではない。
「カシスがくれたの」
ロクサナが着ている上着は、かなり大きいメンズコート。
「気に入ったから着ているのよ」
彼女はデオンを見てニッコリ笑う。
「私がこうしているのを見ると気分が悪い?」
デオンは返事もなく彼女に冷たい視線を送った。
ユグドラシルを離れる前に出会ったカシス・ペデリアン。
ロクサナとデオンが今同時に考えているのは、確認する必要もなく彼だった。
「あなたがそんな表情をするたびに、不思議な気分になるわ。最近は私を見るたびに怒っているように思えるから」
「俺は・・・」
しばらくしてデオンが唇をゆっくりと開く。
「アシルを殺したことを後悔していない」
グラスに触れそうになる手が止まる。
ロクサナの顔から徐々に笑みが消え始めた。
「またあの時に戻っても、俺は躊躇うことなくまた殺す」
微かな感情まで蒸発する。
「ただし今度は、お前の見ている前で、直接、あいつの顔を殴るだろう」
限りなく落ち着いた単調な音声が、静かな執務室の中で低く響いた。
「そんな事を考えると、自分の手で、もうアシルを殺してしまったことが惜しい気がするんだ」
デオンはロクサナに復讐するために、このようなことを言ったのではない。
「でも、考えたってしょうがない。あいつはもう死んでしまったのだから。だから、その次に俺はお前の母親を、お前が見る目の前で殺したくなった」
彼女を脅すためにこんなことを言い出したわけでもなかった。
「お前もそれを知っているから、お前の母親を守る役割を、俺の母親に任せたんだろう」
ロクサナもその事実を知っていた。
認めたくなかったが、ある意味ではこのアグリチェの中で、彼らはお互いを最もよく理解している唯一の相手。
「あの日、お前は俺が何を欲しいのか知っていると話した」
二人の記憶が三年前に戻る。
彼らが今繋がれているこの沼に初めて足を踏み入れたあの日に。
あの時まで誰が知っていたのだろうか。
彼らの未来に今日があるなんて。
ロクサナでさえ、当時はこのような瞬間を想像していなかった。
ラント・アグリチェを追い出し、彼の執務室でデオンとこのような話をする日が来るなんて・・・。
おそらく、それはデオンも同じだろう。
ロクサナはゆっくりと視線を落とす。
「・・・もしかしたら、あなたと私は少し似ている部分があるのかもしれないわね」
長いまつ毛が窓の外から差し込むほのかな光で小さく輝いた。
「俺は、今まで俺が、この邸内で何とか生き延びるために、あれやこれやと喚き散らして来た訳が、他にないと思っていた」
変な夜だった。
いや、もしかしたら特別な夜、あるいは特異な夜と名づけるべきかもしれない。
今日はロクサナがこれまで生きてきた日々の中で最も意味のある1日だったと言えるほどであり、始まったばかりのこの夜はいつにも増して長い時間を過ごすことに違いないだろう。
デオンのロクサナへの感情は愛情?
いつもロクサナのことを泣かせたいと話していますが、それは歪んだ愛情なのでしょうか?
カシルのコートを見て、デオンは何を思ったのでしょうか?
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