こんにちは、ピッコです。
「ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜」を紹介させていただきます。
今回は7話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
どういう訳か小説の中の悪の一族、アグリチェ一家の娘「ロクサナ」に生まれ変わっていた!
アグリチェは人殺しをものともしない残虐非道な一族で、ロクサナもまたその一族の一人。
そして物語は、ロクサナの父「ラント」がある男を拉致してきた場面から始まる。
その拉致されてきた男は、アグリチェ一族とは対極のぺデリアン一族のプリンス「カシス」だった。
アグリチェ一族の誰もがカシスを殺そうとする中、ロクサナだけは唯一家族を騙してでも必死に救おうとする。
最初はロクサナを警戒していたカシスも徐々に心を開き始め…。
ロクサナ・アグリチェ:本作の主人公。
シルビア・ペデリアン:小説のヒロイン。
カシス・ペデリアン:シルビアの兄。
ラント・アグリチェ:ロクサナの父親。
アシル・アグリチェ:ロクサナの4つ上の兄。故人。
ジェレミー・アグリチェ:ロクサナの腹違いの弟。
シャーロット・アグリチェ:ロクサナの妹。
デオン・アグリチェ:ロクサナの兄。ラントが最も期待を寄せている男。
シエラ・アグリチェ:ロクサナの母親
マリア・アグリチェ:ラントの3番目の妻。デオンの母親。
エミリー:ロクサナの専属メイド。
グリジェルダ・アグリチェ:ロクサナの腹違いの姉。
ポンタイン・アグリチェ:ラントの長男。
リュザーク・ガストロ:ガストロ家の後継者。
ノエル・ベルティウム:ベルティウム家の後継者
7話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 「彼」と「私」の話
それから3日後に私はカシスに会いに行った。
地下牢の前を守るのは別人に変わっていた。
シャーロットに襲われた元の牢詈は現在治療を受けているようだ。
私はランド・アグリチェに地下牢への立ち入りを許可された後だった。
そのため、新しい屋敷番にも制止されず、中に入ることができた。
「体調はどう?大丈夫?J
私が中に入ると、カシスは首をかしげた。
久しぶりに見る彼は、依然として捕虜のようではない雰囲気を流している。
表情は毅撚としており、瞳の光は相変わらず強烈だ。
「・・・」
カシスは私の質問に答えなかった。
なぜか彼は私が鉄のドアを開けて中に入る間、ただ私をじっと見つめているだけ。
そうするうちに、すぐにカシスの唇がゆっくりと開いた。
「ロクサナ」
初めて彼の口からささやかれた私の名前を聞いて、私はどうしようもなく動揺する。
しばらく当惑して目を瞬かせ、すぐに平静を取り戻した。
どうせ名前は呼ぶためにあるもので、カシスにもとっくに私の名前を知らせてくれたのだから、それほど驚くことではなかった。
その後,カシスは低い声で私に尋ねる。
「君が最後に来てから何日経った?」
私はそっと首をかしげて答えた。
「7日よ」
「うん」
状況に合わない淡々とした声が行き交う。
「もう少し古いと思ったのに」
他に感情が染み込んではいない無味乾燥な音声が付け加えられた。
私がいない時間を実際より長く感じたという話を聞くと、やや妙な気分になる。
もちろんカシスは特に意味もなく言い放った音かもしれないが。
私は父の怒りを買ったシャーロットが処罰され、これ以上カシスに接近できなくなる契機を望んだ。
しかし、これを機にカシスも少しは私の必要性に気づくようになればいいなと思った。
それでわざと彼を数日間このまま放っておいたのだ。
シャーロットが彼を攻撃しに来るという事実を知りながらも何もしなかったし、また負傷した彼を今日まで訪ねてくることもなかった。
無表情な顔をしたカシスが私に向かって再び口を開く。
「そんな風にずっと門のそばに立っているのかい?」
低い声が耳元をかすめた瞬間、思わず立ち止まった。
彼の言葉が不慣れだったからだ。
カシスが先に私の接近を許容するような言葉を持ち出すのは今回が初めてだった。
じっと立っている私を見て、彼は再びゆっくりと唇を離した。
「こっちへおいで、ロクサナ」
ささやくような低い声がもう一度耳元に響く。
カシスの顔からは感情を饒み取ることができない。
払はしばらく彼を見てから、その場から足を離した。
「そうだね。どうせ治療しに来たんだから」
カシスはそんな私に覗線を固定したまま言った。
「目立つ傷を治療するのは困ると言っていたような気がするんだけど」
「あの時とは状況が少し変わったの」
病気を与えて薬を与えるようなものだったので、一方では私の行動が少し滑稽に感じられたりもした。
私はカシスに近づく。
彼は少しずつ近づいてくる私をまた静かに見つめていた。
何だかふと気持ちがちょっと妙になって足を止めた。
(どうしたんだろう?)
すると、カシスの瞼とまつ毛がゆっくりと半分ほど下がった。
「もっと近くに来て」
命令でも強妻でもない。
ところが奇しくも拒否するのが難しかった。
私は立ち止まっていた足を前に動かす。
事実上、カシスに半分くらい勧められて動きながらも、なゼかプライドが傷ついて、それが完全な私の意志であるかのように行動した。
彼の秀麗な顔にも以前には見られなかった傷痕が増えている。
それをシャーロットが残したという考えに少し気分が悪くなった。
私はカシスに手を伸ばして彼の様子をもっと注意深く観察する。
私が最初に思ったように手足が離れてはいないが、ずたずたに裂けた腰付近の傷は少し深刻だ。
「今回はひどい怪我をしたね。もう少し放置していたら傷が大きくなるところだったわ」
その放置の一助となった人が出てきて平然と話しているのだが。
「すごく痛いはずなのに、よく耐えていたよ。もう私が来たから心配しないで」
ところが、なぜかカシスの気配が少しおかしかった。
私はふと変な気分になり、頭を上げる。
その瞬間、生まれて初めて見る表情をしているカシス・ペデリアンと覗線が合った。
カシスは息を止めたような顔で私を見下ろしていた。
傷の跡をつけた彼の顔は大理石の彫刻のように固くなっている。
太陽のようなきらびやかな金色の瞳が私を正面から見抜いた。
その中には言葉では説明できない混乱と当惑感がある。
その瞬間、私は違和感の理由に気づいた。
「ああ、そうか」
私の口から小さな音が漏れる瞬間、カシスがやっと気がついた人のように浅く息を飲んだ。
うん、もう分かった。
私は息遣いが感じられるほど近い距離にいる彼の顔に向き合い、やがて小さく微笑んだ。
「この距離ならもう見えるんだね、私の顔が」
思いがけずカシスの動揺を目撃するようになって、私は少し嬉しくなる。
カシスはすぐに落ち着きを取り戻した。
一瞬、微弱なさざなみを描いていた瞳も、しばらくして静かな湖のように再び静かになった。
何年も一緒に過ごしても、まだ私を見ると気が気でないアグリチェの人たちもいたので、私の立場ではカシスの反応は良好ではなく、無味乾燥な水準だった。
「もう少し驚いてもいいのに」
「驚かなかった」
「そうなの?」
嘘をつくとは。
私が信じないように見えると、カシスは口をつぐんだ。
彼の顔はさっきと違う意味で固まっていた。
おそらく一瞬でも私の外見に動揺した事実に少なからぬ衝撃を受けた様子だ。
しかし、それは当然のことだから、そんなに敏感に受け止める必妻はないのに。
今まで私を見た人々は一様に鵞愕したり、魂を失ったり、今彼らが立っているところが夢なのか現実なのか分からないという表情をしていた。
それに、私の美貌は一種の武器で、幼い頃から絶えず磨かれたものだ。
だからいくら青の貴公子だとしても、今やっと17歳にしかなっていない少年であるカシスが私の前で無反応で一貫できるはずがなかった。
もう少しあらゆる経験をした大人になれば期待してみる価値があるが、今としては無理なのが当然だろう。
むしろ、彼が私の前で見苦しい姿を見せなかっただけでも、自分を褒めるべきだ。
ちなみに、シャーロットに攻撃されたヨアンという名前の以前の獄中番は、初めて私と近くで向き合った日に魂が抜けてしまい、私が声をかけてもぽんやりと「え?」とはい?」だけを繰り返した。
彼が私と対話することができるようになるまでにはある程度の時間が必要とされた。
それに比べれば、カシスの反応は非常に面白くない。
今、カシスは黙ったまま私の顔を見下ろしていた。
けれども、私に惑わされているような感じではなかった。
カシスの目はいつにも増して冷ややかだった。
そういえば、さっき地下監獄に入ったばかりの私を眺めていた時からそうだったようだ。
このように近くで覗線を合わせていると、その温度差がより一層明確に感じられた。
「今、何を考えてるの?」
私は彼の目を避けていない。
今向かい合った目つきに込められた意味が何なのか見当がつくところがあった。
「もしかして私を殺したいと思ってる?」
わざと少し極端な言葉を選んで言った。
その後、静かにささやいた私の問いにカシスは答えなかった。
少しは突拍子もないとも言える言葉だったのに、疑問にも思わない様子だった。
「気になることを聞いてみて。もう私の顔を見たのだから言いたいことがあるはずなのに」
私は母によく似ているが、だからといってランド・アグリチェに似ていないわけではない。
特に血のように赤い瞳は私の父のものを完全に抜き打ちしているようだった。
その瞬間、カシスの金色の目にこの前見たのと同じ炎が一度揺れた。
彼は私の正体が何かと聞かなかった。
ただ、すでに察していたことを確認するかのように、低くささやくような頁で、自分の名前を口ずさむ。
「ロクサナ・アグリチェ」
それは私が彼に言ったよりも具体的な名前だった。
私は喜んで彼に正解を確認させる。
「そうよ」
もしかしたら、また最初に会った時のように乱暴を働くのではないかと思ったが、カシスはそうしなかった。
ただ、彼は恐ろしいほど冷たい目つきで私を静かに見抜いている。
その反応からすると、カシスは今日私がここに来る前から私の正体を知っていたに違いない。
出所はやはりシャーロットか。
彼女がカシスを攻撃する際に地下の刑務所に侵入し、何か口を滑らせた可能性が高かった。
まあ、彼女の言うことは見るまでもなかった。
自分の口で説明するのはちょっとイマイチだけど、「ロクサナにあなたを奪われるくらいなら、いっそ壊してやる!」みたいなことを言ったんだろう。
う一ん、こう言うとまるで痴情みたいだね。
もしかしたら、そこで止まらずに「オモチャ」という単語を吐いたのかもしれない。
カシスがまだ私を信用していないことはすでに知っていた。
それでも治療を目的に私が接近することを許容したのは、もう少し近くで私の正体を把握するためだという事実も知らなかったわけではなかった。
今度はカシスがアグリチェでの私の位置を確認する。
「ラント・アグリチェとの関係は?」
「私の生物学的な父親ね」
では、先ほど彼が言った言葉もこのような脈絡からだっただろうか。
早く私の正体を確認したいが、私が来なくて、それで私がいない時間が長く感じられたと話したのかもしれない。
それでも私はカシスが少しは私の助けを望み空席を憎しむことを期待したが、やはりまだ旱かったようだ。
確かに、時間があまり経ってもいないのに、もう私を固く信じてしまうなら、ペデリアンの名前が泣くだろう。
しかし、そもそも私はカシスに私の正体を最後まで隠すつもりはなかった。
もしそうだったら、彼に私の名前を教えることもなかっただろうし、呪いが解けてカシスの覗力が戻るように放っておかなかっただろう。
カシスは「ロクサナ・アグリチェ」に助けられたという事実を明確に認識していなければならなかった。
私は慈善家でもないし、何の見返りもなく彼を助けようとしているわけではない。
「正体を隠して私に接近した理由は何だろう?」
「正体をすぐに明かさなかったのは、あなたが今のように私をもっと警戒することが明らかだからで、あなたに接近した理由は・・・言ったじゃない。あなたがここで死ぬことを望まないと」
私の言葉にカシスは冷たく失笑した。
「それで殺す代わりに私をおもちゃにするって?」
ああ、やっぱりシャーロットがそこまで全部吹いたんだ。
しかし、それにはすべて理由がある。
どうせこれからカシスの扱いが変わる予定だったし、それについて知らせる必妻もあったので、特に彼がおもちゃについて知ることになったからといって問題になることはなかった。
う一ん、それでもいざ今すぐ説明しようとするとちょっと困るね。
「拷問されて死ぬよりは、その方がいいんじゃない?」
それでも、今のこの言葉はあまりにも直接的だったのか。
「あなたが地下から抜け出そうとすれば、この方法しかない。アグリチェから無事に出たいなら、ただ私の助けを受けるのが賢明よ」
「私にラント・アグリチェの娘を信じろというのか」
カシスは何も言わずに一瞬見当をつけているようだった。
彼の考えを読みたかったが、壁が堅固でどうも本音がつかめない。
「私はあなたを信じない」
しばらくして、カシスが一点の動揺もない静かな目で私を見ながら口を開いた。
「しかし、君が嘘をついているような気もしないから不思議なことだ」
そう言うカシスは相変わらず心の読めない顔をしていた。
「カシス・ぺデリアン」
その瞬間の彼と私は明らかにお互いを計っていた。
「私が守ってあげる」
その瞬間、カシスの表情がとてもおかしくなる。
私はとても奇妙な言葉を聞いた人のように、私を見つめるカシスに向かって再び話を続けた。
「あなたがここから無事に抜け出すまで、私が守ってあげる」
そのようにして、このひどい逼命の終わりが変わることさえできれば。
カシス・ペデリアンとロクサナ・アグリーチェ。
決して同じ線上に置けない2人の名前が、たった今同じページに書かれている。
彼と私の話の最初のページは始まったばかりだった。