こんにちは、ピッコです。
「ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜」を紹介させていただきます。
今回は85話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
どういう訳か小説の中の悪の一族、アグリチェ一家の娘「ロクサナ」に生まれ変わっていた!
アグリチェは人殺しをものともしない残虐非道な一族で、ロクサナもまたその一族の一人。
そして物語は、ロクサナの父「ラント」がある男を拉致してきた場面から始まる。
その拉致されてきた男は、アグリチェ一族とは対極のぺデリアン一族のプリンス「カシス」だった。
アグリチェ一族の誰もがカシスを殺そうとする中、ロクサナだけは唯一家族を騙してでも必死に救おうとする。
最初はロクサナを警戒していたカシスも徐々に心を開き始め…。
ロクサナ・アグリチェ:本作の主人公。
シルビア・ペデリアン:小説のヒロイン。
カシス・ペデリアン:シルビアの兄。
ラント・アグリチェ:ロクサナの父親。
アシル・アグリチェ:ロクサナの4つ上の兄。故人。
ジェレミー・アグリチェ:ロクサナの腹違いの弟。
シャーロット・アグリチェ:ロクサナの妹。
デオン・アグリチェ:ロクサナの兄。ラントが最も期待を寄せている男。
シエラ・アグリチェ:ロクサナの母親
マリア・アグリチェ:ラントの3番目の妻。デオンの母親。
エミリー:ロクサナの専属メイド。
グリジェルダ・アグリチェ:ロクサナの腹違いの姉。
ポンタイン・アグリチェ:ラントの長男。
リュザーク・ガストロ:ガストロ家の後継者。
ノエル・ベルティウム:ベルティウム家の後継者
85話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- side ジェレミー・アグリチェ
「ああ、本当に何もないな」
ジェレミー・アグリチェは、ほぼ骨組みだけが残った邸宅の姿を眺めながら、中から罵声を浴びかけた。
沈みかけている時刻。
夕闇の空が精一杯壮厳さを示し、頭上に広い幕を張っている。
赤く染まったアグリチェは、今では荒涼とした廃墟だった。
使用人を避難させた別館は何も起きていないが、ただそれだけで、アグリチェに残っているものは何もない。
本来屋敷にいた者のうち、去る者は去り、残る者は残った。
ジェレミーはアグリチェ滞在を選択した人々を集めて再建に乗り出す。
しかし、何一つ容易ではなかった。
アグリチェをこんな風にすることに一役買った自分が、今はその反対の仕事をするために努力している現実に嘲笑する。
特にこうして日が暮れる頃、昔の栄光は跡形もなく消えてしまったアグリチェを見ていると、まるで彼自身が亡国の王にでもなったかのような気分に。
「まあ、亡国の王というのも悪くないね」
ジェレミーは独り言を言いながら微笑む。
今回の事件を機に、これまでラント・アグリチェが犯した不正と犯罪の一部も同時に明らかになった後なので、ペデリアンがしたことに責任を問うのも妥当ではないだろう。
おそらくそんなことは、ジェレミーの姉のロクサナも望んでいないはず。
彼はアグリチェの恥部を抱えていくことにした。
ジェレミーは今回のユグドラシルの会合に出席し、ようやくアグリチェの首長として認められた。
もちろん簡単なことではなかったし、その過程はジェレミーの立場ではかなり汚れ仕事もしてきたのだが・・・。
しかし、目的のために手段と方法を選ばないのはアグリチェの矜持。
したがって、ジェレミーも望むことのためにはいくらでも本音を隠して彼らの前で這う振りをすることができた。
しばらくはこの屈辱に耐え続けることになるだろう。
それでも大丈夫だった。
そしていつか、ロクサナがまた戻って来たいと思えるアグリチェを作ることができれば。
その時、夕暮れの地点で何か音がした。
もう沈黙に慣れたせいか、騒音が特に大きく鼓膜を突き刺す。
(またあの女か・・・?)
前回もアグリチェの中に入ってきて、魔物飼育場を覗いている女性がいた。
彼女はどうやら魔手のようで、見つかるや否や、黒い鳥の形をした魔物に乗って慌てて逃げたので、ジェレミーは彼女を捕まえることができなかったのだ。
犯人は必ず現場に再び現れると聞く。
あの女が怖いもの知らずにまた侵入したのなら、今度は絶対に逃さない。
ジェレミーは猛烈に眼光を輝かせて地面を蹴り、音の聞こえてきた場所へ移動した。
けれども彼の目に入ったのは、例の女性ではない。
「なんだ、マリアおばさんだったの?」
「まあジェレミー」
ジェレミーはマリアを見て気が抜けたようだった。
そして彼はおかしなことに気がつく。
「どこへ行くつもり?」
マリアは軽い荷物を持っていて、分厚いコートを身につけていた。
まるで軽く散歩に出かけるように片手に日傘を持って。
しかし、ジェレミーはマリアが今から遠い旅に出ようとしていることに気づく。
マリアはいつものように笑顔を浮かべながら答えた。
「シエラを探しに行かなくちゃ」
それを聞いてジェレミーは表情を曇らせる。
「執念深いね・・・」
睡眠の香りを嗅いで眠っていたマリアは、後になって状況を知り、しばらく発狂していた。
何よりも彼女はロクサナに母親であるシエラがいなくなったことに大騒ぎしていたのだ。
夫のラントが亡くなり、アグリチェがこのような有様になったうえ、デオンまで行方不明になったことには少しの関心もないらしい。
マリアが夜叉のように大騒ぎしたせいで、その勢いにジェレミーすら気が引けるほどだった。
「シエラおばさんを探してどうするの?」
「当然・・・」
シェレミーの問いにマリアは躊躇わずに答える。
「そばで守ってあげないと」
その答えを聞いて、ジェレミーは表情を歪めた。
「おばさんはデオンの生死が気にならないの?一応息子じゃないか」
もちろん、ジェレミーはデオンのことなど心配していない。
それでも常識的にマリアの関心事はシエラではなく息子であるデオンであるべきではないかと思い、いったん話を切り出したのだ。
「あの子が簡単に死ぬわけないじゃない」
マリアは気乗りしない反応を見せる。
「デオンは自分の死ぬ場所くらいは自分で決めれる子よ。けれど、シエラは違うから」
これはジェレミーとしても少し意外だった。
これまでもマリアはアグリチェで暮らす間、シエラの番人役を自負していた。
それが単なる余興ではなく、本当に本気だったとは。
「勝手にしろ。その代わりに外に出た瞬間から、おばさんはアグリチェじゃないから」
「心配しないでちょうだい。私はシエラさえいればいいのだから」
マリアは微かな目つきで首を横に振り、そして、いきなりジェレミーに微笑む。
「いつか子供ができたら連絡しなさい。幼い君の時のように可愛がってあげるから」
「いいからさっさと行け!」
ジェレミーは怒鳴ってマリアを追い払うように追い出した。
それでもアリアは笑顔でジェレミーに背を向けてアグリチェを去っていく。
長い挨拶も余韻もなく、ただ淡白でさっぱりと。
彼らにピッタリの別れだった。
今回はジェレミーの視点でしたね。
彼はアグリチェの長として復興していくようです。
いつかロクサナと再び出会うことはあるのでしょうか?
そして、マリアはシエラを探す旅へ。
彼女がシエラに執着する理由は守るためだけ?
デオンの状況も気になります!
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