こんにちは、ピッコです。
「ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
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どういう訳か小説の中の悪の一族、アグリチェ一家の娘「ロクサナ」に生まれ変わっていた!
アグリチェは人殺しをものともしない残虐非道な一族で、ロクサナもまたその一族の一人。
そして物語は、ロクサナの父「ラント」がある男を拉致してきた場面から始まる。
その拉致されてきた男は、アグリチェ一族とは対極のぺデリアン一族のプリンス「カシス」だった。
アグリチェ一族の誰もがカシスを殺そうとする中、ロクサナだけは唯一家族を騙してでも必死に救おうとする。
最初はロクサナを警戒していたカシスも徐々に心を開き始め…。
ロクサナ・アグリチェ:本作の主人公。
シルビア・ペデリアン:小説のヒロイン。
カシス・ペデリアン:シルビアの兄。
ラント・アグリチェ:ロクサナの父親。
アシル・アグリチェ:ロクサナの4つ上の兄。故人。
ジェレミー・アグリチェ:ロクサナの腹違いの弟。
シャーロット・アグリチェ:ロクサナの妹。
デオン・アグリチェ:ロクサナの兄。ラントが最も期待を寄せている男。
シエラ・アグリチェ:ロクサナの母親
マリア・アグリチェ:ラントの3番目の妻。デオンの母親。
エミリー:ロクサナの専属メイド。
グリジェルダ・アグリチェ:ロクサナの腹違いの姉。
ポンタイン・アグリチェ:ラントの長男。
リュザーク・ガストロ:ガストロ家の後継者。
ノエル・ベルティウム:ベルティウム家の後継者
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9話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 犬と主人②
「サナ姉さん、もう来たの?」
どうしてそこにいるの?
私は階段に座っているジェレミーを見て、歩みを止めた。
「ジェレミー、どうしてそこに座っているの?」
彼は階段に座り、膝に腕を乗せ、その腕に顎を乗せた状態で私を見上げていた。
家が大きいだけに階段も広いので、そこにぽつんと一人でいるジェレミーの姿が一層目立っていた。
どうやら私を待っていたようだったが……。
部屋の前でもなく、なぜわざわざ階段の上でこうして私を待っていたのか、その意図が分からなかった。
「姉さんがあの犬……おもちゃを見に行ったって聞いたから、僕も一度来てみたんだ。」
そう言うジェレミーの声には少し刺々しさが感じられた。
顔にも不満が浮かんでいるのを見ると、今日カシスが完全に私のおもちゃになった事実を受け入れられないようだ。
前回もまた、一人で気分が良くなって、そっと罰を受けて出てきた後も、カシスに近づかないようにすると言っていた。
ジェレミー、この子は本当に、分かってはいたが気分が非常に上がりやすい性格だ。
「それじゃあ、どうして1階に降りてこずにここでこうしているの?」
やはり生意気なやつ。
なんだかお説教を聞くのが面倒なようだ。
この場面では一発頭をぺしっと叩きたくなるが、私は代わりに柔らかな手で彼の前髪を撫でてやった。
「父さんが姉さんの玩具をあれこれしてる間に、ちょっと様子を見て上がってきただけ。」
ジェレミーは相変わらず少しとげのある話し方だったが、それでも私が触れてやると気分が和らいだようだ。
どうやら、カシスが罰を受けている姿を思い出して気分が良くなったらしい。
「姉さんの玩具、後で僕が別に見に行ってもいい?」
ジェレミーが寄りかかっていた場所から手を離し、私に尋ねた。
私は彼の顔を見ながら、こっそりと微笑みを浮かべた。
この目つきには何か含みがある。
それでも私は長く引き延ばさずに答えた。
「そうね。でも、今はやめておいて。後にしなさい。」
「なんで?」
「さっき父さんが叩いているのを見たでしょう? 今の状態はあまりにもひどいから、私も行って遊ぶ気になれなくて、とりあえず空いている部屋に連れて行ったの。」
あまりに冷たい声のトーンで私が言うと、ジェレミーはお尻をポンと叩いて立ち上がった。
「じゃあ、あの子が少し良くなったら会いに行くよ。」
どうやらジェレミーはカシスを見に行くために来たのだろうと考えていた私だが、突然の彼の言葉に驚きはしなかった。
むしろ、私を少しだけ混乱させたのは、その後ジェレミーが何気なく呟いた言葉だった。
「そうだ、さっき姉さんの母親を見たよ。」
しかし私は、あたかも何事もなかったかのように沈黙を保ったまま口を開かなかった。
「そうなの?どこで?」
「姉さんの部屋の前で。たぶん今は中に入って待っているんじゃないかな。」
どこか他の場所でこの二人が遭遇したのかと思ったら、私の部屋の前だった。
つい最近、快晴の日に会った母が、どうしてまたこうして私を訪ねてきたのか少し気になる。
「姉さんにおもちゃができたっていう話を聞いたんじゃない?」
ジェレミーの説明に、私は納得した。
ああ、そういうことだったのね。
「母さんが君にそんなことを言ったの?」
「いや、姉さんの部屋の前でエミリーとちょっと話しているのを聞いたんだ。」
その後、ジェレミーが何を考えているのか、口角を少し上げて笑った。
「姉さんの母さん、表情がすごく面白いよ。」
彼の足が階段の端を軽く叩いた。私はジェレミーの気分が少し曇っていた理由がカシスのせいではなかったことに気づいた。
「姉さんの母親も、僕の母親も同じだ。くそっ、こいつらが何か怪物でも生んだみたいな感じじゃないか。どうしてああやってブルブル震えてるんだ。」
その言葉も、その内容もひどく尖っていた。
なぜ母が私の部屋の前ではなく、このような階段の踊り場で私を待っているのかと言っていたが、今日見た母の様子が、彼の心にどこか不快感を与えたのだろう。
私はジェレミーが私の母を通して自分の母を映していることに気づいた。
この小説を書いた作家が、果たしてこのフィクションの物語の中でさえ、役割が悪役であるジェレミーにも暗い過去を背負わせるものだとは思いもしなかった。
彼の母は、昔からジェレミーを非常に恐れていた。
年を重ねるごとにジェレミーがよりアグリチェの奇妙な特性を引き継いでいくにつれ、その症状はますます悪化していった。
急遽ジェレミーが初めて大邸宅で招待された際には、彼をただ目にするだけでも恐怖におびえ、逃げ出すようにその場を離れることしかできなかった。
そんなに恐怖に満ちた人が、どうしてラント・アグリチェと結婚したのか、私には到底理解することができない。
いずれにしても、そのようなジェレミーの母親は数年前に亡くなった。
その日もジェレーミの母親は、北棟で偶然息子に出くわし、逃げようとした。
他の時であれば、そのまま見て見ぬふりをして通り過ぎていたジェレミーも、その日に限っては母親に感情を爆発させ、彼女の背中を追いかけた。
ジェレミーは親から十分な愛情を受けられなかった子どもだったからか、どこか執着のような感情を持っていた。
しかしそれを表現できず、心の奥底に押し込めたまま、ついに爆発してしまったのだ。
その追いかけっこはすぐに終わった。
ジェレミーの母親は自分の部屋に到着し、ドアを閉めて鍵をかけたが、激怒したジェレミーはついにドアを壊し、部屋の中へと侵入した。
逃げ場を失った彼女が選んだのは、テラスの外へ飛び出すことだった。
ジェレミーが驚いて駆け寄ったとき、幸運にも彼女は手すりを掴んでいた。
しかしジェレミーが母親を助けようと差し伸べた手は彼女に届かなかった。
彼女は最後まで息子を拒絶し、むしろ落下を選んだのだ。
彼らがいたのは3階だった。
幸運があれば生き残る可能性もあったが、結局ジェレミーの母親はそのまま首を折って亡くなった。
「でも、姉さんの母親は少し違うと思ってた。あんな冗談を聞いて驚いて駆けつけるなんて。」
ジェレミーが私の母親に対して何を見てそう考えたのか、私も薄々感じていた。
いつからか、私の母親はナラティブどおり父親の寵愛を受ける私を記録するように見守ると同時に、私に距離を感じさせる視線を向けるようになった。
時には、実の娘ではない別の未知の存在に接するような恐れを私に対して抱いているかのように、密かに怯えているような態度を見せることもあった。
おそらく母親は私がそうした事実を知らないと思っていたに違いない。
しかし、そもそも子どもというものは親の感情に敏感に反応するものではないだろうか?
「部屋に行こう。」
私は目の前にいるジェレミーに手を差し伸べた。
彼は未だに階段の隙間を足でトントンと叩いていた。
姉さんの部屋に今、母さんがいるんだって。僕は知らなかったけど。」
その瞬間、ジェレミーは階段の手すりを叩いていた足を止めた。
「母さんに会いに行かないの?今、姉さんを待っているみたいだけど?」
元々ジェレミーと私の背丈はほぼ同じだったが、今は立つ位置が階段の高さの違いで変わっていたので、私は彼を降ろしてやる必要があった。
私はジェレミーの手を握って階段をもう一段降りた。
今回はジェレミーも素直に私に引っ張られてついてきた。
少し経って彼が私の手をしっかりと握り返してきた。
ジェレミーの手は暖かかった。
その温かさを感じないように努めながら、私は歩みを進める。
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