こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は126話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
126話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 人生で最高の花火
シアンは夜を追い出し、真昼のように照らす、燃え上がる炎を見つめていた。
物々しい警戒を破って侵入した伯爵家内の栽培地の面積は、シアンの想像以上に広い。
首都の真ん中でこのような大規模なピネチア栽培地を取り揃えたことも素晴らしかったが、巧みに視覚を利用して外部の視線を遮断した方法はもっと凄かった。
「よく燃えるものだな」
ボソッと呟きながらエレナを思い浮かべる。
大公家に対する彼女の憎悪は本物だった。
エレナは大公家の没落を心から望んでおり、そのために生きていくと言っても過言ではないほど熾烈だ。
この火の手は、そんな彼女に向けたシアンの小さな贈り物。
天気が乾燥しているせいか、爪ほどの火種が瞬く間に広がり、住宅ほどに膨らんでいる。
「栽培地に、全部火をつけました」
リンドン伯爵は伯爵家の中に分散している11ヶ所の栽培地に火をつけた。
「被害は?」
「3人が死亡し、1人が腕を失いました」
「・・・大切な命を失った」
淡々とした声とは違い、シアンは彼らの死にもどかしさを感じている。
徹底的に準備して奇襲したが、敵の抵抗が予想以上だったのだ。
シアン本人が被害を最小限に抑えるために陣頭指揮したが、すべてを担うことはできない。
その結果、ビレム伯爵家所属の騎士3人は呆気なく死んでしまった。
「遺体を収拾して葬儀を行なってくれ」
「もちろんです。それよりも、よく燃えますね」
あちこちから燃え上がる炎を見て、リンドン伯爵がそう言った。
彼の言葉通り、膨らんだ火の手は栽培地をメラメラと燃やし、灰にしている。
「二度とこの帝国の地でアヘンを見ることはないだろう」
火の手を眺めながらシアンは確約した。
腐った根は切り取るのではなく、根こそぎ抜いて二度とこのようなことを再発させないと。
「もう遅いです 。退いてください」
「炎はこれ以上広がることはないだろう?」
シアンは栽培地を燃やしている火事が間違って広がり、罪のない居住人たちが被害を受けるのではないかと憂慮した。
「はい、風もありませんし、火が燃え移るようなものは全部片付けました」
シアンは頷いて、その場を離れる。
燃え盛る炎の向こうにエレナの顔が浮かぶ。
(あいつも言ってたな。彼女に笑ってもらいたいって)
レンの意味深な言葉がずっと気になっていた。
どんな感情なのか理解できる気がして。
表現のやり方は違うけれど、エレナを思うという気持ちが違わなかったので。
「約束しよう。君の微笑を守ってあげると。いつまでも」
笑わせるよりも微笑を守ってあげることの方がもっと大変な仕事だ。
そのような骨の折れる仕事を、シアンは甘受するつもりだった。
レンよりも、もっと多くのことをしてあげたかったから。
塀越しに身を翻す。
人の気配が消えた伯爵家には燃え盛る炎だけが残った。
「火事が・・・」
エレナは東南の方角から立ち上る炎を見て魂が抜けた。
あの炎の根源地がどこなのか考える必要もない。
ピネチアの栽培地。
シアンがそこを襲撃し、火を放ったのだ。
「思いもしなかったわ・・・」
顔を覆っていた仮面を脱ぐ。
視野の息苦しさを無くして、もっと見たいという気持ちが先走ったから。
エレナの口元に浮かぶ笑みは、強くなる火のように濃くなる。
あまりにも痛快で。
今頃、報告を受けて歪むリアブリックの顔を思い浮かべるのは、この上ない楽しみを与えてくれた。
また、フランツェ大公の顔色が暗くなることを想像すると、渋滞が収まる気分だ。
消える気配のない炎をじっと見つめる。
あの花火をもっと育てて、大公家をすべて燃やしてしまいたかった。
「建国日に見た花火が最高だと思っていましたが、私の思い違いのようですね」
建国の日は帝国の祝祭。
夜空を彩る花火は祭りのハイライトだ。
うっとり輝く光景の余韻が、今日の光景で薄れた。
「私の人生で最高の花火ね」
エレナの笑みが一層濃くなる。
あの炎こそ、この世の何物とも比べ物にならないほど美しく煌びやかな炎の洗礼だった。
ああ、いつぶりなのか分からない。
過去の人生から今まで生きてきて、こうやって胸がスッキリする気分を感じるのは・・・。
これまで幾つかのルートを通じて大公家の資金に打撃を与えてきたが、肉眼で見ることができる結果を出したのは今回が初めてだった。
そのせいか、栽培地が燃えながら灰に変わっていく姿がもっと痛快に感じられた。
椅子から立ち上がり、乱れた身なりと髪を整えて、さらに強くなる炎に向かって身だしなみを正す。
マーメイドドレスに線が崩れないように、優雅な姿を保って上品に挨拶した。
それはシアンに対する礼儀。
「殿下、感謝の気持ちをお伝えします。私はこの夜を忘れません」
その日、エレナはまるで時間が止まった人のように、絶え間なく消えない炎を見つめていた。
ずっと。
夜が明けるまで。
シアンのエレナに対する思いが強まっていますね。
レンへの対抗心もありますし、これからの絡みが気になります!
リアブリックは今回の被害を受けて、どんな反応をするのでしょうか?
彼女にも何か対策はある?
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