こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は280話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
280話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 目覚め
「傭兵だとおっしゃいましたか?」
ヒュレルバードは目を見開いて問い返した。
そばにいたエミリオも表情の変化は少なかったが、驚いたのは同じだ。
エレナは淡々と話す。
「はい、実力は最優先ではありません。どうせなら軍人とか、私兵出身だったらいいですね。口が重くて規律のある者たちでです。卿が直接確認して選抜してください」
ヒュレルバードはうなずいた。
「すると、何人を選びましょうか?」
「大体40人ぐらいです」
「そんなにたくさんですか?」
旗艦したのは対話を傾聴中だったエミリオだった。
一般の騎士団が20人余りで構成されるということを勘案すれば、何とその2倍だ。
よほどの騎士団と対決しても負けない戦力だ。
「恩人。僭越ながら、その多くの傭兵をどこに使おうしているのかお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「エサとして使います」
エミリオはエレナの言葉をかみしめながら物思いにふけった。
どのように傭兵を餌にしようとするのか推論するためだった。
「これはもう、まったくピンとこないですね。一体何を釣るために、それだけの餌を使おうとするんですか?」
「大魚です」
エレナの口元に意味深長な笑みが浮かぶ。
「フランチェ大公です」
「ほっ!」
エミリオはびっくり仰天した。
ヒュレルバードの瞳孔に波紋が広がる。
「大公家はすでに孤立しています。窮地に追い込まれた今、彼らの選択肢は限定的です。私はこの戦いに終止符を打とうかと思います」
この計画の大きな枠組みと根幹はリチャード皇帝が提供した。
刻々と変わる状況に合わせて対応し、肉付けして具体化するのはエレナの役割だったが、リチャード皇帝の発想がなかったら、このような計略を立てて行動に移すことも遠かっただろう。
「おっしゃることはわかります。恩人の深い意思をすべて推し量ることはできませんが、傭兵雇用と関連したことは特に気を遣うようにします」
エミリオは頭のいい人だ。
エレナがあえて話さなくてもギルドと協業して、40人にもなる傭兵たちを秘密裏に雇用し、人々の口車に乗らないように措置するだろう。
ヒュレルバードも節度ある動作で頭を下げた。
10の言葉より一度の行動で証明する彼だ。
「卿は特に気をつけなければなりません。私は人々の目を意識して害を及ほすことはできないと言いますが、卿は大公家の標的になることがあります」
エレナの対外的な身分はLだ。
そのため、大公家であってもむやみに彼女に触れることはできない。
しかし、ヒュレルバードはケースが違った。
大公家指揮下の騎士団出身であるだけに身分と顔が露出しているのだ。
大公家ではすでにヒュレルバードを不名誉な騎士と釘を刺し、即決処分令まで下したという。
「私は大丈夫です。それよりお嬢様の隣の席を頻繁に空けなけれはならないというのが、もっと心配です」
「それは心配しないでください。殿下が騎士のベルを派遣してくれると言いました」
ようやくヒュレルバードも納得したかのようにうなずいた。
ベルという騎士についてはよく知らないが、シアンの眼目なら、不意の事故に対処する力量ぐらいは備えているだろうと判断したのだ。
「それでは話はこの辺にしましょう」
会議を終えたエレナが執務室を出る。
廊下を歩いて応接室に向かう顔には疲れがにじみ出ていた。
フランチェ大公を引き出す計略を具体化することも容易ではないが、午前からサロンで主管した学会に参加して一々命令を下そうとするのは疲れた。
「こんな時、レンが目を覚ましてくれれば元気が出るはずだけど・・・」
エレナは苦笑いする。
日に日に血が乾くような気分だった。
「L」
レンの部屋に向かうエレナを誰かが止める。
メルだった。
「何かあったんですか?」
なかなか姿を見せない彼が廊下で話しかけると、エレナの目が不安に揺れた。
ひょっとして悪いことでも起きたのではないかと心配しているからだ。
「スペンサー子爵が邸宅に帰ってきたそうです」
「何ですって?」
エレナは信じられないかのように目を大きく開ける。
大公家に召還されたスペンサー子爵は、これまで行方が分からなかった。
メルが情報組織のマジェスティを動員してあちこちを探しても見つからなかったほどだ。
そんなスペンサー子爵が家門に帰ってきたという。
いや、正確にはフランチェ大公が送り返したという表現が正しいだろう。
「無事に帰ってこられたので、祝うべきことですが。釈然としないですね」
「私も同じ考えです」
「気をつけてください。罠かもしれません」
バスタージュ家の家臣たちは、半分近く大公家に取り込まれた状況だ。
騎士団でさえ、団長と副団長が互いに反目し、混乱を起こしている状況だから、何の言葉が必要だろうか。
そのような中でメルが邸宅に入るのは、ややもすれば危険になる公算が大きかった。
陰で活動する情報組織の特性上、尻尾をつかむのが容易でないだけに、この機会を借りて整理しようとする可能性があるためだ。
「夜陰に乗じて密かに子爵に会うつもりです。邸宅内で活動可能な身分を用意しておりますので、ご安心ください」
「分かりました。はあ。お願い、何事もなかったらいいのに・・・」
エレナの心配は深まった。
誰よりも大公家の悪辣さをよく知っている彼女だったので、いかなる措匿もなしにスペンサー子爵を手放したとは思わなかった。
「明日報告します。確認できるまであまり気にしないでください」
「お待ちしています。レンのそばは私が守るので、体に気をつけてください」
黙礼で返事に代わったメルが廊下を回って視野から消える。
エレナは一抹の不安を胸に秘め、最上階にある部屋を探した。
静かな部屋のベッドにはレンがぐっすり眠っていた。
最初と比べて血色は良くなったが、食べることができず活動がないため、日増しに体が乾いていく。
「もう寝ないでください。なんでそんなに長く寝るのですか?私が申し訳なくて死ぬ姿が見たいですか?」
精神がすり減ったエレナは駄々をこねた。
レンを見つめる彼女の目は、あまりにも悲しそうだった。
「小言には飽きませんか?私なら小言を聞きたくなくて目が覚めると思います。昼夜と休む間もなく騒いでいるのに、耳にかさぶたができるじゃないですか」
「・・・」
エレナの独り言にもかかわらず、レンは依然として黙っていた。
いつも騒ぐのは彼女の役目だった。
今は慣れているかのように疲れた目で見下ろしていたエレナの視線がレンの手に向かう。
剣を握る手とは信じられないほど細くてきれいな手だ。
エレナはその手をしっかりと握って祈った。
少しでも自分の声が、温もりが伝わって意識を取り戻すのに役立つことを切実に願って。
「どうか、目を開けてください。これくらいでいいじゃないですか。私をからかうなら、少し休んでから、からかってもいいじゃないですか」
エレナの切実さが天に届いたのだろうか?
ぐったりしていたレンの手に力が入る。
驚いた心を抱いて首を回すと、レンが力なく笑っていた。
「小言を・・・、もっと言ってくれる?」
ついにレンが目を覚ましました!
スペンサー子爵は無事なのでしょうか?
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