こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は301話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
301話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 氷の騎士ヒュレルバード
首都の西北に位置する凱旋門通り。
帝国が建国されて首都に指定され、初めて新設された街だ。
都市国家を統一して最初の皇帝となったバーモント1世を称えるために建てられた凱旋門は、悠久の帝国の歴史を象徴する文化財でもある。
しかし、そのような凱旋門通りが血で染まっていた。
(殿下にお目にかかる面目がない)
息をつく暇もなく剣を振り回したリンドン伯爵の表情に深い絶望が漂っている。
大公家を襲撃したシアンと合流し、フランチェ大公をする計画は粉々になって久しい。
バスタージュ家に移動する途中、思いもよらない襲撃を受けたためだ。
遠くに立っている白髪の老人を見て、リンドン伯爵が立ちはだかっている。
4大家門の一つであるバッキンガム家のガジュ・ホイット公爵。
微かな笑みを浮かべた彼は剣さえ抜かないまま、ゆったりと戦場を観望していた。
奇襲も奇襲だが、リンドン伯爵が指揮する騎士団と比べてその数がなんと倍近く差があるため、あえて出る理由がないからだ。
「耐えよ。ここで死ぬと殿下が困る。斬れ、斬れ、斬れでも生きなければならない!」
リンドン伯爵は騎士たちを激励して剣を振り回した。
リンドン伯爵の勇気に刺激された騎士たちも、死に物狂いで敵に立ち向かう。
しかし、悲壮さで圧倒的な戦力差を越えるには限界があった。
ましてバッキンガム公爵家が普通の家門なのか?
4大家門という名声にふさわしい伝統があり、高強度の騎士団を保有している大家門だ。
各騎士の武威も決して低くない。
リンドン伯爵が暴れてもその格差は縮めることができなかった。
時間が経つにつれ、リンドン伯爵と騎士たちは疲れ果てた。
奇襲されたことを勘案すれば、期待以上に活躍して敵を斬ったが、それだけで、戦勢を覆すには不可能だ。
勝機をつかんだと感じたホイット公爵がのろのろ馬を前に駆り出す。
「久しぶりたね、伯爵」
「ホイット公爵・・・」
リンドン伯爵は血まみれの格好で彼を睨みつける。
この数年間、政治的活動も自制したまま黙っていた彼が、何の風が吹いてこのようなことをするのか分からなかった。
「どうして皇室の味方になったのかな?」
「そんな公爵こそ、なぜ大公家の犬を自任したのですか?」
リンドン伯爵は悪に打ちのめされた。
侮辱的な言葉にもかかわらず、ホイット公爵は怒るどころか、余裕を持ってひげを触る。
「ほほう。語感はあまりよくないが間違った話ではないね。そう見えるかもしれない」
「・・・」
「一つだけ教えてあげよう、伯爵。あなたが生まれる前から、あなたのおじいさんのおじいさんが家を率いるずっと前から、私たちの家と大公家は同じ船に乗った仲だったとしたら、信じることができるだろうか?」
「な、何だって?」
リンドン伯爵は口を大きく開けた。
つまり両家は何百年もの間強いつながりを持っていたという意味だ。
人が変われば家門間の関係も変わるものだが、その長い歳月の間、手を握っていたとは・・・。
「そんなもんだよ、伯爵。ずっと前から帝国の本当の主人は私たちだった」
「・・・」
「疑問の解消はこれくらいでいいだろう。君と僕の縁もここまでみたいだね。さようなら、伯爵」
ホイット公爵が手招きする。
しばらく小康状態に入った戦闘の終わりを見ろという命令だった。
(ここまでか?)
否定的な考えを持たないようにしたが、状況はあまりにも悲観的だった。
必死に戦ってもあの世の仲間を増やすだけで、大勢を変えるには力不足だった。
リンドン伯爵は剣を強く握る。
ここで諦めてはいけない。
何とかして公爵を払いのけ、シアンを助けに行かなければならない。
そうでなければ、シアンまで危険になる可能性が高い。
死を覚悟して敵を斬らなければならない。
その時、どこかで馬のひづめの音が派手に大きくなる馬のひづめの音と共に凱旋門通りを横切って来る群れが見えた。
リンドン伯爵の顔色が暗くなる。
すでに窮地に追い込まれたのに、敵の支援軍まで来たなら、生きることは諦めなければならないようだ。
先頭に立った男の馬が大声で泣きながら疾走してきた。
もうスピードを落とさなければならないはずなのに、どういうわけかスピードを上げながら全力で殺到してくる。
(誰だ?)
だんだん近づいてくる人の顔を見たリンドン伯爵の目に力が入った。
なんとなく見覚えがあったが、シアンについて行った深夜の仮面舞踏会でエレナを随行していたあの護衛騎士だ。
味方に会えて嬉しかったが、リンドン伯爵の固い顔は開かなかった。
10人にも満たない人員では状況を反転させるには非常に不足しているのだ。
「ちょ、ちょっと待て。止めろ!」
近くに来たにもかかわらず、スピードを落とさないヒュレルバードに向かって、リンドン伯爵が急いで叫んだ。
何を考えているのか分からないが,ヒュレルバードは火取蛾のように敵に向かって突進する。
このまま突進したら敵陣の真ん中に入って死を免れないだろう。
しかし、ヒュレルバードは止めるつもりがないようだった。
平野を疾走する種馬のようにリンドン伯爵と騎士たちを矢のように通り過ぎて、そのまま敵に向かって走っていく。
「ふふ。せっかく来るという援軍があんな青臭いのか?伯爵も本当に残念だね」
ホイット公爵はひげを撫でながら舌をぴくぴくと嗚らした。
無鉄砲無識者だ。
騎馬が突撃に特化したのは事実だが、兵力差が圧倒的だった。
一般兵士ならともかく、熟練した騎士たちは、あのような無差別な突進に遭うほど、愚かではない。
「馬から殺せ」
騎士たちは慌てずに正面から立ちはだかった。
馬が通り過ぎる瞬間、左右に退いて無防備に等しい馬の足を切るつもりだ。
「君!止まれという言葉が聞こえないのか!」
リンドン伯爵は叫んだが無駄だった。
いや、止まったとしても敵から挟み撃ちをやられるしかない立場だった。
ヒュレルバードは片手には手綱を、片手には剣を持ったまま馬の尻を力いっぱい蹴る。
自殺同然の行為だったが、濃い髪をなびかせながら突進する顔には何の迷いも見せなかった。
馬が泣き叫び、後ろ足で地面を蹴って空中に向かって跳躍する。
「・・・」
ヒュレルバードの接近と同時に馬を斬ろうと待っていた騎士たちの目が丸くなった。
成人男性の頭上を飛び越えるほど高く跳躍したヒュレルバードの種馬は、一羽の鳥のように飛翔したのだ。
あまりにも突然起こったことなので、ただ目で追うだけで、騎士たちは何の対応もできなかった。
裕福な馬が風を切って遠い距離を一気に縮める。
騎士たちの口が大きく開いた。
実に驚異的な乗馬術だった。
騎士たちも乗馬術を鍛えているが、あれほどの跳躍は馬を自分の体の一部のように扱わなけれは不可能だ。
タダッ、タダッ、タダッ。
そんな中でもヒュレルバードは疾走を止めなかった。
当惑する騎士を無視して、むやみに前だけを見て馬を走らせる。
「止めろ!公爵に近づかせるな!」
一歩遅れて尋常でない状況に気づいた騎士団長が大声を上げる。
やっと気がついた騎士たちがホイット公爵の前を死守しようとした。
ヒュレルバードは目分量で距離を測って手綱を離す。
あっという間に鞍の上に上がる奇行を披露し、身を投げた。
馬の背中を支えにした跳躍力は、ヒュレルバードを豹のように弾力的に飛び上がらせる。
前を塞いだ騎士たちを越えて、ホイット公爵の頭上に越えていたヒュレルバードがうずくまっていた体を回転しながら剣を突き落とす。
「はっ!」
体を持て余す状況だったが、ヒュレルバードの剣先は驚くほど精巧にホイット公爵の額を基点に頭頂部を裂いた。
「公爵様!」
騎士たちが振り返った時、ホイット公爵はすでに目を開けたまま絶命した後。
騎士は半分くらいうっとりしてしまった。
あっという間に起こった出来事。
手を打つ暇もなく、騎士たちは主君を失う最悪の不名誉を経験することになったのだ。
反対側に着地したヒュレルバードが遺体をなったホイット公爵を見下ろした。
「・・・」
帝国を支える4大家門のバッキンガム・ホイット公爵を一剣で殺しておきながら、ヒュレルバードの覗線は無関心極まりなかった。
「あ、あんなことができるのか?本当に人の神威というのか?」
リンドン伯爵は驚きの声を上げる。
初めてヒュレルバードが駆けつける時までは無謀だと止めようとした。
しかし、余計な懸念だった。
リンドン伯爵の常識をはるかに超えるほど優れた乗馬術と運動能力、そして剣術は彼が見当がつかないほど優れていた。
現場に到着するやいなや戦況を覆すことが難しいということを把握し、一気に敵の首長格であるホイット公爵を狙った大胆さも驚いた。
「心臓が二つだというのか」
騎士たちが目を充血させてヒュレルバードを幾重にも取り囲んだ。
絶対にただでは行かせないという決然とした意志であり、主君を殺した元凶を必ず殺すという覚悟。
とてつもないことをして包囲された後も、ヒュレルバードは萎縮しなかった。
長い年月、この首都を象徴してきた凱旋門のように根深く揺れがなかった。
ヒュレルバード!
やっぱり彼が最強です!
圧倒的な剣技に惚れ惚れしてしまいますね。
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