こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は311話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
311話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 両親との再会
エレナー行は1ヵ月と5日で目的地のダイアン王国に到着する。
冬にも穏やかな方に属する帝国とは違って、北上するほど空気が冷たくなった。
予定より5日も遅れたのも、たびたび雪が降っても凍り付いたためだ。
「あそこです、恩人」
寒さのためだろうか。
実用的で厚そうなレンガ造りの家が主になっているダイアン王国の首都の一角に馬車が止まる。
エレナはエミリオが指した方向に視線を向けた。
マリーゴールドが書かれた看板が見えた。
「マリーゴールド」
「「必ず来てしまう幸せ」という花言葉です」
エミリオはエレナの口ずさみに静かに話しかける。
休まず客が行き来するワインショップで目を離せないエレナを見ていたエミリオが話した。
「私はもう行きたいと思います」
「訳もなく私のせいで迂回して申し訳ありません」
ダイアン王国は三国連合の中でも第一北部に位置している。
エミリオの目的地であるベルカン王国に行くには、再び迂回して南下しなければならない。
「そんなこと言わないでください。私がそうしたくてそうしたんじゃないですか?」
「でも、お嬢さんにとても会いたかったはずなのに」
「今から一ヶ月後に行けばいいです。急な業務が終わったら迎えに来ますので」
別れを告げたエミリオが去った後、エレナが軽く深呼吸をする。
もうすぐ両親に会えると思うとわくわくした。
「私一人で行きます。大丈夫でしょう?」
「はい、ここで見守っています」
メイとヒュレルバードを残したエレナが帽子を軽く押し当てた。
保温のための毛帽子だったが、つばが広く北部地方の令嬢たちが外出時によく愛用すると聞いている。
エレナが店に足を踏み入れると、人々の視線が集まった。
身動きが楽で保温に特化した外出姿だったにもかかわらず、形容できない優雅な雰囲気と気品が感じられたのだ。
ショーケースを見て回り、ワインを見ていたエレナが1本取った。
マリーゴールドの代表的なワインで、生産年度は短かったが、ブランデーを添えた最高の人気ワインだ。
エレナ。
ワインボトルに貼られたラベルを見たエレナの口元にかすかな笑みが浮かんだ。
ワインに自分の名前を付けるほど切ない二人の心が切実に感じられたからだ。
ワインを手にしたエレナは支払いのために列に並ぶ。
ポートワインの人気を証明するかのように、レジまで続く列はかなり長かった。
「ありがとうございます、またいらしてください」
ついにレジに着くと、聞き慣れた声がエレナの耳元に響く。
あまりにも懐かしくて目を閉じるとちらついていた母親、チェサナの声だった。
「お包みいたしましょうか?」
「はい」
エレナは泣きそうな気持ちに耐えながら、やっと答える。
小さな箱を取り出してワインを包装していたチェサナが親しく話しかけた。
「お客さんを見ると娘のことが思い浮かびますね」
「娘ですか?」
「今頃、ちょうどお客さんの年齢だと思います。お客さんみたいな金髪に手が本当に綺麗な子だったのに・・・」
苦々しい笑みを浮かべながら言葉を濁したチェサナが包装を終えたワインを差し出した。
「できました。お客様?」
こみ上げる感情に勝てず、唇をぎゅっと閉じていたエレナがやっと口を開いた。
「私です」
「え?」
「私ですって、お母様」
耳を傾けなければ聞けないほど小さな声だったが、チェサナは逃さなかった。
「え、エレナ。本当にエレナなの!?」
エレナは今にも破裂しそうな涙をこらえながら帽子を脱いだ。
少女時代を経て、今は立派な女になったエレナに向き合ったチェサナの目元がしっとりする時だった。
「後ろで待っている人が見えないの?早く計算しないで・・・」
商売をしながら過去と比較できないほど柔軟になったフレデリック・ジュン男爵がレジの前に立っているエレナを見て、持っていた帳簿を落とす。
「エレナ?」
「でしょう、あなた?うちの娘エレナですよね?」
エレナは両親を見て泣き崩れる。
とても嬉しくて、嬉しくて笑いたいのに、どうしてしきりに喉が詰まるのか。
「よかったです。元気で、仲よく見えて、元気に過ごして、だからもっと会いたかったし・・・泣かないつもりだったのに。すごくいいのに、なんでしきりに目から水が出るのか・・・」
「エレナ!」
涙を見せるエレナに向かって、フレデリック準男爵とチェサナが飛び出してきて、彼女を抱きしめた。
エレナも両腕を伸ばして両親を抱きしめる。
彼女を包み込む体温、慣れ親しんだ体臭。
すべてが彼女にとって癒しであり、安息だった。
「ガイア女神様、ありがとうございます。うちの娘にまた会えるようにしてくださって」
顧客の耳目さえ意識しないまま、3人はしばらく離れることを知らなかった。
感動の余韻が消えた後になって、3人は上の階に席を移す。
こぢんまりしているが、北方の寒気も追い払うほど温もりが感じられる居心地の良い部屋だった。
チェサナが昔公国で暮らしていた時のように温めた牛乳を渡す。
「奇跡なら、これが奇跡だろう」
「約束したじゃないですか。ぜひまた会うことって」
エレナは両手で温かいミルクカップをつつみ込んで笑った。
「君を送ってどれだけ後悔したか分からない。あなたのお父さんは気の毒なほと苦しんでいたわ」
「そんなこと言わないで。私は大丈夫だと言ったじゃないですか」
フレデリック・ジュン男爵は申し訳なさそうな顔をした。
「あなたが大丈夫だと言っても、親である私たちは違う。私の無能が君を死地に追い込んでしまったから」
「避けられないことでした」
「それにしても何もできなかった」
「お父さん」
エレナはむせび泣いた。
その姿があまりにも哀れで、エレナは耐えられなかった。
「もう下ろしてください。私は、こうやって成長したじゃないですか?」
「そうだね。君を見ると安心する」
フレデリック・ジュン男爵の口元にここ数年間、一度も作ったことのない安らかな笑みが浮かんだ。
しかし、それもつかの間だった。
「フリードリヒ大公家が反逆を起こした家が滅門にあったそうだが本当なのか?」
「本当です」
フレデリック・ジュン男爵の顔がこわばった。
「じゃあ、あなたがここに来たのも・・・」
「逃げてきたんじゃないです。自分の足で来たのです。話したいことがとても多いです。三日徹夜をしても足りないほどです」
エレナが微笑んで話すと、チェサナが娘の額を優しく撫でた。
「全部話してくれ。一つも欠かさずに。良いことも悪いこともすべてだ。分かった?」
「はい、その前に先に紹介したい人がいます」
「紹介?」
エレナは満面の笑みでうなずいた。
「私にはこの上ない大切な人たちです」
ようやく両親との再会!
両親も帝国に移住するのでしょうか?
そうなるとワイン事業は?