こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は314話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
314話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 悪女の最後
皇室地下牢。
皇室に不敬な罪を犯した大逆罪人だけを集めておいたここは、脱獄が不可能なところとして名声が高かった。
皇権が弱まり貴族の勢力が勢力を得て収監者を探すのが難しくなったが、最近部屋が足りないほど罪人が多くなった。
フランチェ大公の謀反に加担し、その過程で不法なことを犯した貴族まで関わって調査を受けているからだ。
「皇太子殿下にお目にかかります!」
皇室地下監獄の入口を守っていたファン隊員が節度をもって挨拶する。
逆謀と関連した重罪人だけでなく、帝国内の影響力が強い貴族も多数収監されているだけに、皇宮近衛隊員が直接管理した。
「ベロニカの元に案内しなさい」
「はい、殿下」
シアンの命を受けた皇宮近衛隊員が先頭に立って歩いた。
終わりがあるかと思うほどしばらく歩いて入ってきて、先に歩いていた皇宮近衛隊員の足が
止まる。
「あの部屋です」
「退いていろ」
皇居近衛隊員が丁寧に礼を尽くしては遠くに離れた。
シアンがついてきたエレナを振り返りながら言った。
「ここで待っている。見て来なさい」
「ご配慮ありがとうございます、殿下」
シアンはあえてエレナと一緒にせずに辞任する。
処刑を控えたベロニカとそのようなベロニカの代役として生きてきたエレナが交わす対話に彼が割り込む場はなかったから。
エレナの足が端の部屋に着く頃、廊下の灯台の上、蝋燭の火がゆらゆらと揺れた。
「・・・」
がらんと空いていた鉄格子の向こうに髪をほどいた女が突然飛び出してきて、鉄格子の外に両手を差し出す。
首筋に食い込むように威嚇的だった。
「ベロニカ」
エレナは淡々と彼女を呼んだ。
目に毒気を含んで鉄格子の向こうで両手を伸ばしてエレナに危害を加えようとしたベロニカのあがきは手が届かず虚しく終わってしまった。
「なんてこった!殺してやる!殺す!」
憎しみに浸ったベロニカが歯を食いしばって大声を上げる。
「お前のせいだ!あなたがいなかったら、私も、父も、大公家もこうならなかったわ!」
ベロニカの目に青筋が立った。
手が触れていたらエレナを引き裂いて殺すような恨みに満ちていた。
エレナはベロニカを見て嘲笑する。
「そうだね。偽物が本物を壊してしまったね?」
「え?この、虫のような女が!」
悪に支えられたベロニカが鉄格子を握っては狂った女のように揺さぶった。
しかし、しっかりと固定された鉄格子は、彼女のもがきにもびくともしなかった。
「お前を絶対にただではおかない。頭皮を剥がして、歯を全部抜いてしまうよ。指の節々を粉々にして苦痛に泣かせるんだって!」
「閉じ込められている間、妄想だけ増えたのね」
「黙れ!まもなく大公領の家臣たちが兵力を率いてくるだろう。その時、私があなたを放っておくと思う!?」
ついに未練を捨てられなかったベロニカをエレナがあざ笑った。
帝国の地で大公領はすでに消えて久しい。
皇居で領地を回収し、家臣たちは逃げたり、追捕され皇室の監獄に入れられ、調査を受けていた。
そのような現実を知らないのか、それとも否定するのか分からないが、情けなかった。
「安心だよ。リアブリックみたいに壊れてたらどうしようって心配してたんだけど」
「何だって!』」
「今のように頑張って。もっと悪に支えられて泣き叫び、暴れ、大声で叫べ。希望も失わないで。死ぬその瞬間まで。そうしてこそあなたを見守る楽しさがあるじゃない?」
興味のあるおもちゃで遊ぶようなエレナの発言は本気だった。
彼女の憎悪心が深まり、未練を捨てられないほと絶望がさらに大きくなるだろうから。
一瞬、すべてを失った彼女から虚しい希望まで奪うことほと絶望はないだろう。
「この鉄格子を開けろ!殺してやる!殺す!」
ベロニカは鉄格子を全身で振った。
今にも飛び出して、エレナの首筋に爪を突っ込み、首を絞めて殺してしまうように。
その姿を見るエレナの笑顔がさらに濃くなった。
死んでいくエレナを見て笑っていたあの時のベロニカのように。
やられた分をそっくり返すように。
「いいよ。じゃあ、配慮する意味で一つ教えてあげる」
エレナは窓格子に一歩近づく。
すると、悪魔のようにささやいた。
ベロニカがそうだったように。
「あなた、もうすぐ死ぬわ。帝国民がみんな見ている前で処刑されるよ」
「・・・」
これまで悪辣につっかかっていたベロニカが処刑という言葉に肩を震わせる。
死をささやくその言葉が、彼女の細い希望さえ粉々に砕いた。
「だから待ってて。誰かあの鉄格子を開けてやってきますように。その日が君の処刑式だから」
エレナは笑顔でベロニカを見て振り向いた。
遠ざかるエレナの後ろ姿をぼんやりと眺めていたベロニカは、彼女が自分を陵辱したという事実に気づいたが、エレナは去った後だった。
「イ、イ!ま、待て!殺してしまう!その前にそこに立ちなさい!」
ベロニカの怒りに満ちた悲嗚が監獄の中を大きく嗚らしたが、エレナは振り返らなかった。
いくらあがきをしても届かないもの。
その絶望感に身もだえされるように放っておいた。
それだけでなく、死がもたらす恐怖に苦しめられるようにした。
食事をもたらす看守たちの足音、調査を受けに行く罪人たちの足音が聞こえる度に処刑という2文字が彼女を締めつけるだろう。
いつ死ぬかも知れないという恐怖心、それほど人をかじり、心的に苦痛を与えることはない。
「行きましょう」
エレナが戻ってくると、シアンはうなずいて振り向いた。
自分が味わった恐怖をベロニカにも味あわせることに成功しましたね。
処刑式も間近。
それでエレナの復讐は本当に終わりを迎えることでしょう。