こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。

342話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- これからの未来
「本当に感心するほどですね。Lは何を着ても、どうしてあんなに鮮やかに映えるのでしょうか。」
エレナの誕生日を迎え、クリスティーナは新作のドレスを贈り物として準備した。
マーメイドドレスのラインは、そのまま体にフィットしながらも曲線を美しく際立たせている。
さらに、レース素材で作られたそのドレスは優雅さと官能的な美しさを同時に兼ね備えていた。
「このドレス、本当に素晴らしいですね。」
「そうでしょう?今日の晩餐会では、Lを見て感嘆する人が続出するかもしれませんね。」
「色が目立ちすぎませんか?」
エレナは鏡に映る自分の姿を見て気まずい気持ちになった。
彼女が着ているのは、数百もの星が散りばめられたようなドレス。
しかし、真紅のバラのように赤いドレスは、彼女がこれまで一度も着たことのない大胆な色だったため、負担を感じていた。
「大丈夫ですよ!Lの誕生日なんですから、誰よりも輝かなきゃ!」
「そうですけど……」
「信じてくださいよ。Lがこのドレスを着て登場したら、この色がすぐに流行になってトレンドになるんです。あなたが心配することは何もありませんから、大丈夫ですよ。」
クリスティーナの途切れることのない説得に、エレナはとうとう折れた。
大陸全域から注文の依頼が殺到する中で、何日も夜を徹してプレゼントを準備したクリスティーナの熱意を思い出すと、エレナはこれ以上反論できなかった。
『できれば静かに誕生日を過ごしたかったのに……』
エレナの願いとは裏腹に、すべてが正反対の方向に進んでいく。
クリスティーナの顔には祝福の気持ちが溢れていた。
これは心を込めて準備された贈り物だったが、彼女の立場を考えれば、教会社会に与える影響が少なくない。
だが、それだけではない。
ラファエルが心血を注いで完成させた新作は、公表と同時に美術界を揺るがすことになるだろう。
『こんなことになるなら、贈り物は受け取らないって言えばよかった。』
エレナは、心のこもったお祝いが重要であり、贈り物そのものにはあまり意味を見出していなかった。
しかし、そんな彼女の思いとは裏腹に、大切な人たちが精一杯の贈り物を準備してきたことが、申し訳なく感じた。
クリスティーナを先に降ろしたエレナは、式典に出席するため最後にドレスの形を整えた。
最初はぎこちなかった真紅のドレスも、徐々に見慣れてきて悪くないと思うようになった。
「お嬢様、こちらです。ジュン卿とそのご夫婦からの贈り物のソファです。」
「お母さんとお父さん?」
驚いたエレナは、急いでソファの包装を開けた。
箱の上に載せられた封筒を手に取り、中の手紙を広げて読んだ。
見慣れた筆跡に沿って目を走らせると、エレナの目に涙が浮かんだ。
遠く離れて暮らしていても、娘の誕生日を祝いたいという思いが、手紙からひしひしと伝わってきた。
忘れることなく、いつも心配してくれる両親の思いがひしひしと感じられた。
エレナは手紙を封筒に戻し、視線を箱へ向けた。
蓋を開け、中に入っていたものを見た瞬間、彼女の目つきが和らいだ。
それは幼い頃、辺境で夜な夜な抱きしめていた熊のぬいぐるみだった。
眠れない夜を一緒に過ごした、子供時代の思い出が詰まった大切な品だった。
「これ、私が一番大事にしていたぬいぐるみだ。それに、母が誕生日に作ったブレスレット。いつの間にこんなものまで持ち出したのかしら。」
エレナの目がしっとりと潤んだ。
リブの追跡を逃れる過程で、これらの品を持ち運んでいた両親の愛情が、さらに深く胸に響いた。
「でも、今はその時じゃない。さあ、降りましょうか?」
箱を慎重に閉じたエレナが身体を回した時、そっと声をかけられた。
「お嬢様。」
「どうしたの?」
「お誕生日おめでとうございます。」
感情をあまり表に出さないメイが、控えめに笑いながらそっと何かを差し出した。
それは、チューリップが描かれた手作りのハンカチだった。
「いつこんなものを作ったの?」
「少し前です。上手にはできなかったけど、必ず自分の手で完成させたかったんです。お嬢様がチューリップをお好きだから。」
ハンカチを受け取ったエレナは感動を隠せなかった。
忙しいスケジュールの合間に、こんな贈り物を用意してくれたメイの真心がひしひしと伝わった。
「ありがとう。」
「私が伝えたかったのはこれです。お嬢様が私を受け入れてくださったおかげで、毎日が楽しいものになりました。本当に感謝しています。」
メイはいつもより真剣で晴れやかな笑顔を見せた。
その笑顔を見たエレナは、言葉を失った。
メイが注いだその思いが、自分にはあまりに過分に感じられた。
コンコン。
ノック音の後、ヒュレルバードの声が聞こえた。
「少しお入りしてもよろしいでしょうか?」
「どうぞ。」
扉が開き、ヒュレルバードが入ってきた。
彼の冷静な表情は、まるで薔薇のように華やかなドレスを纏ったエレナに一瞬釘付けになったようだ。
しかしすぐに気を取り直し、しっかりとした声で言った。
「お誕生日おめでとうございます。」
「ありがとう、卿。」
エレナの目元がわずかに緩んだ。
帰還後、最も多くの時間を過ごした二人からの祝福は、彼女にとって非常に価値のあるものだった。
それでもヒュレルバードには少し申し訳なさそうな表情が浮かんでいた。
「申し訳ありません。お誕生日プレゼントをご用意しようと努力しましたが、お嬢様の品格に見合う贈り物を見つけることができませんでした。」
「そんなこと言わないで。今日のその気持ちを受け取るだけで、私は十分満足よ。」
時代を超えた忠誠心と気高さを持つ彼がそばにいるだけでも、エレナにとって感謝と安心をもたらすものだった。
「それでも、私はそうするわけにはいきません。もしお嬢様がいなければ、私は騎士としての名誉を失ったただの抜け殻のような存在でした。」
「卿…」
「どうすればお嬢様のご恩に報いることができるのか、より意味のある贈り物とは何なのか。熟考の末、一つの結論に至りました。」
ヒュレルバードの目には静かな決意が浮かんでいた。
一体何を言おうとしているのか、その表情にエレナも驚きと緊張を隠せなかった。
「生涯独身でお嬢様に仕え続けることにいたします。」
「け、卿!」
思いもよらない宣言に、エレナの声が大きく響いた。
「それはあまりにも唐突すぎます。独身だなんて…受け入れるわけにはいきません。」
「私の決意は揺るぎません。どんな言葉で説得されようと、無意味です。」
ヒュレルバードは背筋を伸ばし、完璧な礼を見せながら、穏やかに微笑んだ。
「改めまして、お誕生日おめでとうございます、お嬢様。」
エレナは固まったままだった。
この誠実すぎる男性をどう扱えばいいのか、困惑するばかりだった。
『卿、どうしてそんなに満足そうに笑っていられるの。全く理解できないわ…。』
内に秘めた感情を表に出すことが苦手なヒュレルバードは、控えめな微笑みを浮かべていた。
その微笑みには、彼が自身の選択に一片の迷いもなく、満足し幸福感に満ちていることが現れていた。
「とりあえず降りましょう。」








