影の皇妃

影の皇妃【346話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「影の皇妃」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【影の皇妃】まとめ こんにちは、ピッコです。 「影の皇妃」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介となっております。 ...

 



 

フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。

皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。

そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!

自分を陥れた大公家への復讐を誓い…

エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。

リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。

フランツェ大公:ベロニカの父親。

クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。

イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。

レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。

フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。

ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。

アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。

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346話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • これからの未来⑤

コンコン。

ノックの音に思考から引き戻されたエレナは、反射的に応えた。

「行く前に何か言い残したことでもあるのですか?」

扉が開く音とともに、エレナはソファから立ち上がり、訪れた人を見た。

もちろんレンだと思っていたが、予想外に訪れたデンの姿に彼女の目は動揺した。

「デンさん?」

「お久しぶりです、L。」

エレナは驚きながらも、親しみを込めて返事をした。

「元気にしていましたか?特に用もないのに訪ねてきて驚きました。」

「陛下があなたをお待ちです。一緒に行けますか?」

「陛下がですか?」

エレナは外套を羽織りながらデンの後を追い、応接室を出た。

デンの訪問を知っていた使用人たちは、特に声をかけることもなく黙々とその後を追った。

城の人目に触れない側廊を通り、下に降りると、馬車が待っているのが見えた。

「混乱を避けるため、急ごしらえの馬車しか用意できませんでした。」

「大丈夫です。それよりもデン、陛下は遠くにおられるのですか?」

「いえ、近くです。」

馬車に乗って出発してから間もなく、走り出していた車輪がぴたりと止まった。

「もう着いたのですか?」

デンは時計を取り出して時間を確認しようとしたが、そのまましまった。

「間に合いましたね。今日はお目にかかれて光栄です。」

「ここで降りてよろしいですか?」

デンに続いて馬車から降りたエレナは、昼間の光の中で見た場所に驚いた。

「ここは?」

サロンの郊外に位置する正体不明の建物だった。

いつ作られたのか分からないが、洗練されつつも威厳ある外観を持つ平屋建ての建物で、入口と壁がしっかりと整備されていた。

「中にお入りいただければ、陛下がいらっしゃいます。」

微笑みながら促すデンを見て、エレナは後ろにいるヒュレルバードを振り返る。

ちらっと見ただけで、ヒュレルバードの姿が見えないことに気づき、黙って足を進めた。

エレナは身体を転じ、入口へと歩を進めた。

小さな橋を渡り、二重扉を抜けると、モルタルを回るとすぐに広がった光景に息を飲んだ。

「あっ。」

夜空の星々を閉じ込めたような光が目の前に広がり、銀の波のように辺り一面を照らしていた。

その荘厳さに、エレナは思わず足を止めたが、涼しい夜風がそっと彼女を包み込んだ。

その豊かな花の香りが疲れた彼女の心を癒した。

とても懐かしい水の音が、エレナの耳を心地よく包み込んだ。

山奥の深い場所で川の流れに足を浸し、遊んだ幼い頃の故郷に戻ったような感覚を覚えた。

首都の中心に存在するとは信じがたい庭園だった。

人工的でありながらも自然の美しさを洗練して含むこの場所は、ここにいるだけで癒されるような不思議な感覚を与えた。

「エレナ。」

エレナが振り返ると、チューリップのそばにある月桂樹の木を背にして立つ男性がいた。

「陛下。」

月明かりに照らされたシアンの顔には、以前よりもさらに穏やかで明確な微笑みが浮かんでいた。

「誕生日おめでとう。」

『ああ。』

彼の一層真心こもった祝福の言葉に、エレナの胸は熱く満たされた。

過去と現在、そして前世までも含めた時間の中で、一瞬たりとも見たことのないシアンの新しい姿が、彼女の中に大きな感動を巻き起こした。

「この庭園、気に入りましたか?あなたの故郷に似ていますか?心を込めて作ったんだ。」

落ち着いた表情を装っているものの、もし気に入ってもらえなかったらどうしようという気持ちがシアンの心の中にあった。

その誠意がエレナにも伝わり、彼女の心を打った。

「どれも気に入らないものなんてありません。」

「それは良かった。」

シアンは微笑んだ。

月明かりに照らされたその姿に、エレナは目を離すことができなかった。

こんなにも自然に笑う人だったのかと思うほど、その笑顔は温かくて魅力的だった。

「君には分からないだろうね。僕が君に近づけば近づくほど、君は僕を信頼してくれるようになったこと。」

「私が、ですか?」

「まるで僕が傷つけた人のように、僕に心を開かなかった君が。僕自身も知らないうちに、君に新たな傷を与えてしまったのではないかと思って、目を覚ました夜もあったんだ。」

「……!」

シアンの率直な告白に、エレナの瞳が揺れた。

過去の過ちをどう補えばいいのか分からないまま、言葉を飲み込んでいた彼女の胸中を、シアンの真摯な想いが突き動かした。

「だから混乱したんだ。」

「陛下。」

「でも、もうこれ以上混乱したくない。」

シアンが一歩踏み出し、エレナをじっと見つめながら近づいた。

手を伸ばせば届く距離で立ち止まった。

以前、エレナがどんなに努力しても縮められなかった距離…それを今、シアンが進んで埋めようとしていた。

彼はそっと手を差し出した。

「僕の恋人になってくれないか?」

「……!」

エレナの心臓が大きく跳ね上がった。

抑えきれないほど速く高鳴る鼓動に彼女は戸惑った。

「君に負担をかけることはしないと約束する。君が許してくれる時まで、僕たちの関係は秘密にしよう。」

「陛下。」

「こんな僕と付き合ってくれる?」

シアンの真摯な告白を聞いたエレナの心の中に、自ら築いた壁が少しずつ崩れ落ちる感覚が広がった。

ほんの少しずつ、目に見えないほど微かであっても、均衡が変わり始めていた。

シアンは黙って手を差し出した。

揺れる光がその指先に映り、二人の間の距離をいっそう縮めていく。

『私は……』

エレナは戸惑った。

過去と比べてあまりにも変わった今が嬉しい反面、同時に怖さも感じた。

同じ過ちを繰り返すのではないか。

新しく始まった二人の関係がまたもや破綻を迎えるのではないかという不安が胸をよぎった。

彼女にとっては、築き上げた大切なものを失う覚悟が必要だった。

『この手を取りたい……』

しかし、その瞬間、押し寄せる感情が心を揺さぶった。

これまで無理に避け、拒絶し、閉じ込めてきた心の傷に向き合わなかった自分が、今さらながら悔やまれる。

変えたいと思った。

過去を乗り越えたいと思った。

そして正直になりたかった。

エレナはそっとシアンの長くてしなやかな手を自分の手で覆った。

揺れる光が約束のように星空に浮かび、夜空の星々が美しい形を描くように二人の間に絆を結んだ。

「一緒にいましょう。」

エレナは勇気を出してシアンの手をしっかりと握った。

「お互いを知り合いましょう。それで失望することがあっても、後悔はしません。」

不器用だったせいで、他人よりも距離を置いてしまった過去。

お互いを理解することが不足してぎこちなかった日々。

それでも最初からやり直してみたいと思った。

誰もがそのように思うように、エレナもまたそう感じた。

彼女はモヤモヤしたものをまっすぐに見つめてみたいと思った。

それが必ずしも喜びだけでなくても、この人について知りたいと。

たとえ後悔するとしても、それさえも良い思い出として心に残せるように。

「はは……ははは。」

シアンが笑った。

それはこれまでで一番の晴れやかな笑顔だった。

「君にはわからないだろう。僕がどれほど嬉しいかなんて。今、君を抱きしめて狂ったように跳ね回りたいくらい嬉しいんだ。」

「大切にしてください。」

エレナも控えめに微笑んだ。

彼が何をしても、皇帝の威厳さえ霞むほど彼の喜びが伝わってきて、彼女はそれを嫌だと思わなかった。

「一緒に歩いてくれますか?」

「はい。」

シアンは穏やかに彼女の手を自分の横に引き寄せた。

並んで立つ二人の肩が、過去と異なる現在を示していた。

「いつか、私の話を聞かせますね。」

「今でも大丈夫なのに。」

「いいえ、もう少し……本当に長い時間が経てば、そのときに話します。その記憶が曖昧になるくらい忘れた頃に。」

そのときには全てが変わっているだろう。

いつか過去の記憶にとどまっていた瞬間が安らぎを与えるように感じられる日が来るだろう。

その日を思い描きながら、エレナはシアンと庭園を一緒に歩いた。

握り合った二人の手の温もりをずっと感じながら。

 

<完結>

 



 

 

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