こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は65話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
65話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- ラファエルの気持ち
西の別館に到着したエレナは、いつものように画室に足を運ぶ。
「先輩、来ました」
白いキャンパスを眺めながら座っていたラファエルは嬉しそうに出迎えてくれた。
「いらっしゃい」
「なんでこんなに暗くしているのですか?ただでさえ日当たりが良くないのに」
ラファエルは無言で笑う。
エレナは知っているのだろうか?
小言を皮切りにエレナと一緒に過ごす時間が、彼が1日の中で唯一笑う時間だとうことを。
「あれ?先輩、髪切りました?ひげも剃りましたよね」
「放置し過ぎていたからね。似合ってるかな?」
ラファエルが照れ臭そうに尋ねると、エレナはうなずいた。
「似合ってますよ。女子生徒たちの目を惹いちゃいます」
「お世辞でも嬉しいよ」
「本当のことです」
実際、エレナは嘘をついていない。
芸術家特有の雰囲気は女心を引きつける妙な魅力があったから。
「じゃあ絵を描こうか」
「はい、先生」
先生としてのラファエルは厳しかった。
エレナも自分の上達を感じていたが、ラファエルはそれに満足せず、彼女に容赦なく指摘し続ける。
宮廷画家時代もそうだったが、ラファエルは生まれつきの天才性を持っているため、自分の感性で教える傾向が強い。
「難しいです・・・。もっと簡単に教えてくれませんか?」
エレナが駄々をこねると、ラファエルは悩んだ後、口を開いた。
「分かりました」
彼は静かにエレナの背後に来ると、手を伸ばして彼女が筆を持った手の甲をギュッと包む。
「私がお手本を見せるので、この感覚を指先で覚えてください。ここに力を入れて線を引いてください」
「なるほど、分かった気がします」
「そうですか?その感じを記憶しながら筆先を・・・」
一瞬、ラファエルの体が固くなる。
教えることばかりを考えていた彼が、エレナとすごく密着していることを自覚したのだ。
「これでいいでしょうか?」
「・・・」
ラファエルは息を呑んだ。
鼻先がエレナの首筋に届くようなところまで近づくと、ほのかな香りと肌の香りが漂ってきた。
(意識するな)
一度意識すると手の甲に伝わる体温も、囁くように近くで聞こえる声も、エレナの全てがラファエルの感覚を麻痺させ、時間さえ遅らせた。
「どうですか、先生?」
エレナの呼びかけで、ラファエルは再びギョッとする。
「あ、はい。かなり良くなりましたね」
「でしょ?いい感じでした」
「・・・!」
上機嫌のエレナが騒ぐほど、ラファエルに彼女の息が触れる。
「もう一人で練習してもいいかもね」
彼は不自然に身を起こす。
このままでは心臓が張り裂けそうだったから。
顔も真っ赤だった。
「どうしましたか?」
「ただちょっと暑いだけです」
ラファエルは手で自分の顔を扇ぐ。
「もしかして、熱があるんじゃないですか?」
「え?」
「顔がとても赤いですから」
エレナは心配そうに起き上がり、ラファエルの額に手をついた。
「・・・!」
またもや思いがけない接触に、彼はどうしたらいいか分からなかった。
「熱はありませんね」
「ええ、気にしないでください。それよりも練習しましょう」
ラファエルは自分の動揺がバレるか心配で、エレナの関心を取り戻そうとした。
「はい。練習します」
エレナは、先ほどの感覚を思い浮かべながら筆を繰り返し熟達する。
その間に、ラファエルは平常心を取り戻すことができた。
(はあ・・・、時と場所を弁えずにこんなことになるなんて・・・)
彼の胸の奥深くにエレナへの感情が芽生えている。
だからといって、その気持ちを表に出すことはなかった。
一方的な感情をエレナが負担に感じるためだ。
不幸中の幸いなことに、彼女はラファエルの感情をまったく知らないようだ。
「先輩、見て。確実に良くなりました。どうしよう、私絵の才能があるみたいです」
「・・・」
エレナは今までラファエルが見たことのない美しさを持っていた。
どの言語でも、どの単語でも、彼は表現できない語彙を強引に引き出す。
「天使」
「え?」
ラファエルがつぶやいているのを聞いたエレナは、聞き間違えたかと思い返す。
彼は取り憑かれたように、エレナから目を離せなかった。
プレッシャーを感じたエレナはそっと顔を背ける。
(恥ずかしくて顔が上げられない。天使だなんて!)
これまで見たことのないラファエルの姿に、エレナも少なからず当惑した。
そんな姿を見つめていたラファエルが口を開く。
「お願いを一つしてもいいですか?」
「え?」
「ルシアちゃんの肖像画を描きたい」
「・・・!」
- 肖像画のモデル
ラファエルの慎重な態度だが、切なる願いに戸惑ったエレナ。
「今、私にモデルになって欲しいと仰ったのですか?聞き間違えじゃないですよね?」
「その通りです。ちょっと急でしたか?」
エレナは呆気にとられる。
画家から肖像画のモデルになってほしいと要請を受けることは、非常に光栄なこと。
画幅に盛り込むほどの美しさを持っているという意味だったからだ。
しかし、エレナは喜んでいるわけにはいかなかった。
エレナは今ルシアに変装中だ。
その姿は、図書館の隅によく見られるガリ勉の典型的な姿。
ベロニカ公女だったときと比べると、今の自分はみすぼらしいものだった。
「お言葉はありがたいのですが、納得できていません。どうして私にモデルを提案されたのですか?私、あまり綺麗じゃありませんけど」
「理由ならあります。笑わないなら言いますが」
ラフェエルの真剣な表情に、エレナはまさかと思う。
「天使だ。そう表現したけど、実は私が感じた感情を断片的に当てこすりした言葉にすぎません」
(はぁ、良かった・・・)
内心でホッとしたとき。
「光。純白の光です」
(・・・天使の方が良かった)
もっと恥ずかしい言葉に、エレナは気が引けて死にそうだった。
「初めてです。人が輝くということを初めて知ったので、その光を私の絵に収めたいと」
絵に対する切実さと情熱を見せるラファエルの姿はエレナの目を覚ました。
(スランプから脱出できるきっかけになるかな?)
どんな絵であれ、今がスランプを克服できる重要な時期だという気がする。
「光ですか。好奇心が湧くんですね」
肯定的なエレナの言葉に、ラファエルは期待感を膨らました。
- 漠然とした期待感
「引き受けます。時代を代表する肖像のモデルになるかもしれませんから」
「ありがとうございます。断られたらどうしようかと、ずいぶん心配しました。この感謝をどう伝えたらいいのか・・・」
そんな彼を見ているとエレナの口元にも自然と笑みが浮かぶ。
「ただし!私が頼みを聞いたので、先輩も私の願いを一つだけ聞いてください」
「どんなお願いでも命がけで聞いてあげます」
ラファエルはどんな願いでも聞き入れる覚悟でいた。
彼の頭の中は、エレナのあの光を絵に収めたいという熱い思いでいっぱいだった。
「先輩は描いてみないと分からないけど、肖像画が秋になる前に完成したら芸術祭に展示してください」
「学術院の芸術祭ですか?」
「誤解しないでくださいね。急いで描けというのではなく、時期的に間に合えば芸術祭に出品してほしいということです」
ラファエルはしばらく躊躇った。
彼は今まで、一度もまともな絵を公開したことがなかったから。
エレナは彼が殻を割って世の中に出てくることを期待したのだ。
「分かりました。時期的に合えば、ルシアちゃんのいう通りに出品するようにします」
「取引成立ですね!せっかく話が出たのですから、今からしますか?ポーズは大人しく、それとも妖艶?」
エレナの情熱にラファエルは思わずニヤリと笑ってしまった。
そして同時に考える。
今回の絵はいい感じになると。
何だか今まで一度も描いたことのない本物の絵を描けそうだという漠然とした期待感に胸がワクワクした。
ラファエルとのやりとりが一番落ち着きますね。
彼もエレナに恋心を抱いているようです。
セシリアはラファエルのことが好きですから、これからどう展開していくか楽しみですね!
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