こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は79話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
79話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- side ラファエル
エレナは焦った表情を浮かべて、レンの方を向く。
「今何時ですか?」
「なぜそれを僕に聞く?」
「先輩が懐中時計を持っているのは知ってますよ」
「確かにあるけど、もうちょっと優しく聞いてくれる?」
「・・・何時でしょうか、先輩?こうですか?」
渋々アクセントをつけて尋ね直す。
「もうすぐ、学館を閉める時間だね。15分ぐらい残ってるかな?」
「何ですって!?」
「どうする?このままじゃ水の泡になりそうだね」
レンは人の仕事が上手く行かないことを楽しむ性格なので、いつもより楽しそうに見えた。
「私行ってきますね。今走っていけば、間に合いますから」
「あまりにも安易に考えていた私のせいです。私が行きますよ」
「ダメです!先輩はここにいてください。時代を震撼させる名画に危害を加える可能性のある人物がいるのですから」
エレナはレンを意識するようにあからさまに言った。
「呆れた。僕がこの駄作を?」
「出品の申し込むは私がしますので、先輩は絵を守ってください」
「分かりました」
ラファエルは不満そうにレンを見つめ、気持ちを覆した。
こんな手間を代わりにするしかないエレナへの申し訳なさから、レンを見る目がいつもより恨めしかった。
エレナが後ろを振り返らずに画室から出ると、レンが呆れた表情で呟く。
「助けてあげた私には感謝の一言もないじゃないか」
「あなたも行ってください」
エレナに自分の仕事を任せたのが気の毒なので、ラファエルは今にも追いかけたい気持ちだった。
そのためには、この「掴みどころのない」男を先に行かせるのが先だ。
「行くには行くけど、行きたい時に行くから、口出ししないで」
「・・・」
「あんなに走る必要はないさ。学館が閉まるにはまだ1時間も残っているのだから」
「はあ・・・」
ラファエルがため息をつくと、レンはそんな視線を楽しんでいるかのように笑いながら立ち上がる。
「お疲れさま」
レンは手を振りながらフラフラと画室を出る。
レンが去ってポツンと画室に残されたラファエルは心配の表情を浮かべていた。
「ルシアちゃんはどうしてあんな人間と関わっているのだろうか?」
ラファエルにとって、レンとエレナの関係はあまりにも切羽詰まっていた、
いつかエレナが傷つくのではないかと。
振り返ってみると、最初から最後まで助けてもらっただけで、エレナのために何もしてこれなかった。
そんな自分がとても情けなくて嫌になる。
「成功したい」
芸術祭に出る理由はエレナの勧めもあったが、ラファエル自らが有名になりたいと思っているからだ。
名声を築き、貴族たちも蔑ろにできない芸術界の巨匠になり、エレナの役に立ちたかったのだ。
そして、資格を得たかった。
先輩後輩関係ではなく、男として近づく資格を。
ルシアの肖像を見下ろすラファエルの視線は、いつにも増して切なかった。
前触れもなく突然やってきた彼女は、もう人生の全てと言えるほど多くの部分を占めていたのだから。
すると、閉めておいたはずの扉が開く。
そこにはシアンが立っていた。
ラファエルは椅子から立ち上がり黙礼する。
「殿下にご挨拶致します」
「君だけか・・・」
シアンは画室の中を見て回った。
「・・・ルシアちゃんなら先ほど行きました」
「なるほど」
シアンの淡々とした答えの中に隠された悔しさを、ラファエルは見逃さなかった。
「絵は出来上がったのか?」
「はい」
シアンは長い間、肖像画を干渉した後、口を開く。
「君が見たルシア令嬢はこんな姿なのだな。見れば見るほど神秘的だ」
「殿下の印象は違うように聞こえます」
「ルシア令嬢はとても変な女性だ。気になってふと思い出す女性」
エレナについて話すシアンの表情。
彼の奥ゆかしい視線は淡々としているが、その中に染み込んでいる子供らしさをラファエルは悟る。
(まさか殿下もルシアちゃんを?)
唇を噛み締める。
「殿下はもしかしてルシアちゃんのことを気にかけていらっしゃるのですか?」
「・・・」
シアンが沈黙すると、ラファエルは胸を撫で下ろす。
「私はルシアちゃんが好きです。私の作品が世間に認められたら、彼女に私の気持ちを告白するつもりです」
「その話をなぜ私に?」
エレナが好きで告白するのはラファエルの気持ちであり、彼の選択だ。
厳密に言えば、シアンにこのようなことを話す必要はない。
「殿下は将来の帝国を導くお方です。セシリアに政略婚を提案したのもそのためでは?」
「何が言いたい?私は何よりも帝国と皇室の繁栄を優先しているだけだ」
ラファエルは顔を上げて、シアンを凝視する。
正面から視線を向けるのが不敬罪であることを知りながら、今この言葉だけは必ず口にしたかった。
「感情には責任が伴うものです。殿下は義務が先であり、決して責任が先にあるわけではありません」
シアンは無表情でじっとラファエルの言葉を聞いていた。
「あなたも私に同じことを言うのだな」
(同じ言葉?)
ラファエルは本能的に一人の人物を思い浮かべる。
レン。
これまでラファエルが見張ってきたレンがエレナに抱いていた感情は、一言で定義付けられない性質のものだった。
確かに悪意と敵意でエレナを虐めるが、適正ラインは超えていない。
まるで嫌がらせが関心の表現であるかのように。
シアンは長らく無言だった。
天井を見上げてから、またエレナの肖像をしばらく見てからようやく口を開く。
「質問に反論できないとはな。情けないことこの上ない」
レンの微妙な嫌がらせも続くと腹が立ちますね。
ラファエルも告白する決意をしたので、エレナが正体を打ち明ける可能性はあるのでしょうか?
この二人はお似合いだと思うのですが・・・。
シアンも自分の立場もありますから、感情だけで進むことができないもどかしさを感じているようです。
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