こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は80話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
80話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 芸術祭
芸術祭が開かれる。
芸術祭は3大祭りの中でも部外者が最も多く訪れるお祭りだ。
該当分野と関連した収集家、鑑定士、美術商、投資家など外部の人々が高い関心を持って訪れる。
それだけ芸術祭に参加する芸術学部の在学生にはかけがえのない機会だった。
「どう?」
「うっとりするほど美しいです、お嬢様」
アンが目を輝かせて賛辞を送る。
誇張されてはいたが、彼女は心からエレナの美貌に感嘆していた。
「お世辞でも耳に心地良いわね」
鏡を見ながら乱れた前髪を撫でる。
今日のためにドレスに合わせてアクセサリーも購入している。
エレナの姿は堪らないほど魅惑的な格好をしていた。
露出を自制した上品な感じのドレスにシンプルなイヤリングとネックレスが全てだったにもかかわらず、致命的なほど魅惑的な一輪の花のようだった。
「お世辞だなんて!私が男性なら公女殿下に出くわした瞬間、息が止まります」
「メイもそう思う?」
頭の後ろを整えていたメイはうなずいた。
「はい、お嬢様より美しい令嬢を見たことがないです」
「ありがとう」
エレナは満足そうに椅子から立ち上がる。
完璧に準備を終えたエレナは、一階に降りて寮を出る。
馬車のそばで待っていたヒュレルバードが挨拶するが、エレナの美貌に、彼はつい目を奪われてしまった。
彼をからかうように尋ねる。
「卿、私の姿はどうでしょうか?今日は、綺麗に見えますか?」
「・・・眩しいほどです」
「本当?卿の目が眩むと困りますから、少しずつ見てくださいね」
エレナは満面の笑みで馬車に乗る。
(芸術祭初日の今日、芸術界の関係者が最も多く集まるだろう)
ひときわ力を入れて着飾ったのには、それだけの理由があった。
視線を引き、注目されるため。
すでに芸術界でベロニカ公女の作品を見る目が高いという噂は広まっている。
そのような状況でエレナがどの作品に注目しているのかは、当然話題にならざるを得ないだろう。
考えを整理している間に、馬車が中央図書館に到着した。
すでに多くのざわめきが外から聞こえている。
馬車のドアが開き、エレナは外に足を踏み出した。
「あれはベロニカ姫?」
「ああ、何て美貌なのかしら・・・、本当に人なの?人形のように綺麗だわ」
エレナの姿は、中央図書館に集まっている人々の視線を一気に引いた。
高慢さと優雅さを兼ね備えた歩き方で足を踏み入れる。
学術院の在学生を除いても外部の人たちがたくさん来ただけに、ヒュレルバードも緊張を緩めずに後を追う。
彼女の後ろには大勢の人たちが。
芸術品を鑑賞しに来たのではなく、エレナを見るために来たのではないかと思うほどだ。
様々な芸術品を鑑賞して、エレナはその一つ一つを解釈する。
彼女の言葉に、芸術界の関係者たちは感嘆していた。
(先輩の作品はどこにあるのだろうか?)
すると、一つの絵に集まっている人波が見えた。
彼らがどんな作品を見ているのか一目でわかる。
(あれね)
エレナは喜びを隠しつつ、その場所に向かう。
作品を見てざわめいていた彼らはエレナを見て、自然に後退りした。
そうする必要がないのに、彼女の権威と気品がおのずと彼らを刺激したのだ。
そして絵に近づこうとする時。
「・・・!」
絵を目の前にして、それ以上踏み出せなかった。
肖像画の前に思いがけない男性が立っていたからだ。
「・・・皇太子殿下にお目にかかります」
エレナは戸惑いを隠し、礼儀を正す。
すると肖像画をじっと見ていたシアンが顔を背ける。
「・・・」
正面から向き合ったシアンの視線は、これまでルシアを見ていた目つきとはずいぶん違っていた。
その冷たい視線は、過去のエレナを見ていた時と同じ。
しかし、その目が戸惑いへと変わるのに長い時間はかからなかった。
「あなたはベロニカ公女なのか?」
唇を震わせたシアンの瞳が激しく揺れている。
(どうしたのだろうか?)
エレナはこれまで見たことのないシアンの姿に疑問を感じた。
特有の無表情を失って戸惑う姿は、過去の記憶とはかけ離れていたから。
「お久しぶりです、殿下」
ほんの少し前に画室で会ってるけど。
ベロニカの姿で会ってみると、感情が過去の延長線上に立っているような気がした。
「あなた声ではない。私の勘違いのようだね」
シアンは訳の分からない事を言い、背を向けた。
しかし、遠くから彼はエレナをじっと見つめている。
そんな彼の行動に困惑した。
(まさか気づいたんじゃないわよね?)
一瞬そう思ったが、エレナはすぐにその考えを無視する。
エレナとルシアでは、全く他人にしか見えないほど差が大きいのだから。
それなりに声も変えているため、バレる可能性は著しく低いだろう。
エレナは本題に戻り、ラファエルの肖像画の下に書かれた作品名を見た。
「ベラドナ」
ベラドナは帝国語で美女を意味する。
「・・・ラファエル?なぜこんな画家が無名なのでしょうか?」
しばらく肖像画から目を離せなかったエレナが、込み上げる感情を込めて吐露した。
自分の肖像画を見て賛辞を送るのは滑稽だったが、必ず必要な事だったから。
彼女の感想に耳を傾けていた芸術家の従事者たちもうなずく。
彼らが見ても、美術史の一線に残る革命的な名画であることは否めなかったから。
エレナはそんなベラドナに翼をつけてあげようと、余地を与えるほどの賛辞を残していった。
ベロニカとして初めてシアンと出会いましたね。
彼も薄々気づいているのでは?
一度、ルシアの眼鏡を外した姿を見ていますし、エレナも目の部分は変えていないでしょうから。
シアンの心情が気になりますね♪
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