ニセモノ皇女の居場所はない

ニセモノ皇女の居場所はない【109話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「ニセモノ皇女の居場所はない」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【ニセモノ皇女の居場所はない】まとめ こんにちは、ピッコです。 「ニセモノ皇女の居場所はない」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹介と...

 




 

109話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 窮地

「皇女殿下。」

「……。」

「皇女殿下。」

「なに!」

机に顔を伏せていたエレンシアが、勢いよく顔を上げた。

扉の前にいた侍従が、慎重に口を開いた。

「皇帝陛下が皇女殿下をお呼びです。」

彼女の胸に不安が走った。

「……まさか。」

山菜の大量購入について問いただすつもりなのか?

ティボルト・エスカルをはじめとする関係者たちの口は固く封じておいたが、万が一ということもある。

『違う、私は潔白。すべてはエスカル商団の指示で動いたこと。』

尾をつかまれない限り大丈夫だ。

実際の行動はすべてエスカル商団側が行い、自分は表に立たなかった。

『与えられた書信もないし、関係者たちも余計なことは言わないだろう。』

軽率な行動をすれば、将来の皇帝となる自分に対して良い印象を与えるはずがない……。

エレンシアは唇を噛みしめた。

『私がなぜこんな悩みをしなければならないの?』

その時は、事態がこんなふうになるとは思わず、慎重に隠すことはしなかった。

治療薬が開発される前に山参草を集めることと、開発後に集めることには差がある。

前者は偶然の結果と見なすこともできるが、後者は誰が見ても治療薬を独占するための行動だった。

皇帝が送った侍従が出ていった後、彼女は何か取りこぼしたものがないかと確認し、そばにいた侍女の名前を呼んだ。

「エミリー。」

そういえば、エスカル卿とティボルトが訪問したとき、お茶の世話をしていた侍女はエミリーだ。

何かを聞いていたかもしれない。

エミリーは恭しく答えた。

「はい、皇女殿下。」

「あなたは私の忠実な召使いかしら?」

「もちろんです。」

「そう、いいわ。」

エレンシアはにっこり笑うと、他の侍女たちに命じた。

「エミリーを牢に入れて。」

侍女たちがエミリーの両腕をつかむと、困惑したエミリーが叫んだ。

「殿下、私が何か間違いを犯しましたか?」

「引きずって行け。私が命じるまでは絶対に外に出さないで。」

なんて狂った女だろう。

エミリーが皇女の罪を暴こうとしても、信ぴょう性のある証拠になるはずがなかった。

『まあ、それでも用心して悪いことはない。途中でこっそり処理しよう。』

エミリーは言葉をよく理解する子で、気に入っていた子だったが、仕方がなかった。

優しい皇女様ごっこは、これで終わりだった。

 



 

皇帝の執務室。

予想通り、皇帝は山菜の大量購入についてエレンシアを問い詰めた。

「彼らを厳しく取り調べた結果、お前が山菜の購入を指示したと言っていたぞ。お前は本当に伝染病の治療薬の材料を買い占めて投機をしたのか?」

エレンシアはできる限り無実そうな表情を浮かべて弁明した。

「違います、お父様!私はそんなことしてません!」

「では彼らの供述が嘘だということか。」

「なぜ彼らがそんなことを言ったのかは分かりませんが、本当に私は何も知りません。」

「……。」

「最初に山参草が麻疹の薬に使われるってことを、私がどうして知っていたんですか?」

「最高の宮医の話では、お前が女の子を治療してほしいと頼んだときに、山参草を見せたそうだ。」

それは、偽物のエリを連れて宮中の医務室を訪れた時の話だった。

「それは……たまたまやっただけで、確かな意図があったわけじゃないんです。」

「本当?」

「私がそんな悪いことを企んだりするわけないじゃないですか!」

皇帝はしばらく窓の外を見やり、ゆっくりと言葉を発した。

「その言葉に責任を持てるのか?」

「もちろん責任を持てます。」

「今からでも正直に告白すれば、しばらくの間謹慎して皇族の義務が何かをしっかり学ぶことで済ませてやろう。」

エレンシアの胸の中で怒りがこみ上げた。

「お父様!どうして娘の私を信じてくれないんですか? ひどいです!」

「お前を信じたいからこうしているのだ。」

エレンシアは彼の視線を避け、頑なに言った。

「お父様が何をおっしゃっても、私の言葉には一片の嘘もありません。」

ユースティスは長く深いため息をついた。

「……結局、私には真実を話してくれないんだな。」

そう言って、扉の外に向かって声を上げた。

「入れ。」

扉が開き、誰かが入ってくるのを見たエレンシアは驚愕した。

『エリ!』

今まさに皇宮の医療室で治療を受けていたのは、偽物のエリではなく本物のエリだった。

エレンシアの手が震えた。

『どういうこと?エリは確かに私が皇宮の外に出したはずなのに!』

まさか、エリが二人いるという事実が漏れたのかと不安になり、偽物のエリが入宮する前に彼女を出したのだった。

エリは皇女を見ると、ぶるぶる震えながら頭を下げた。

『私がしばらく静かに隠れていればバレないと思ってたのに!』

エレンシアはその場で叫びたくなるのを、皇帝を意識してぐっとこらえた。

皇帝が言った。

「宮人名簿に記載された記録と照合し、本人確認は済んだ。他の宮人たちも、そいつが『エリ』という名の侍女だと証言した。」

「お、お父様……それはどういうことかと言うとですね……」

「だが、お前は別の者を『エリ』だと最高宮に紹介したそうだな? 数か月間お前をそばで見ていた侍女の顔を見間違えるはずがないだろう。」

「ちょっと待ってください!私が全部説明します。これは誤解です!」

弁明の言葉を口にしながらも、エレンシアは絶望を感じた。

これはティボルトやエミリーの証言とは比べ物にならない、不動の証拠だった。

証言だけなら、彼らが私を陥れようとしていると言い逃れできたかもしれないが、エリが二人いるという事実は、どんな手段を用いても否定するのは難しかった。

「ティボルト・エスカルが白状した。あなたの依頼で適当な人物を探し出し、皇宮に送り込んだと。」

「お父様!」

「言いたいことがあるなら言ってみろ。」

ユースティスは悲しげでありながらも鋭い目で見つめていた。

「卑劣な手段を使ってまで、伝染病にかかった者を皇宮に引き入れた理由を。」

エレンシアはじっと息をのみ込んだ。

どんな言い訳も思い浮かばなかった。

沈黙するエレンシアの前で、皇帝は厳しく言った。

「お前には失望した。国難を利用して自分の利益を得ようとしただけでなく、皇宮内に伝染病が広がるかもしれないのに、こんなことをしでかすとは。」

非難の言葉、失望に満ちた眼差し、それらすべてが彼女の記憶に刻まれた。

……また嘘つきね。あなたはなぜいつもあんな風なの?

少しはおとなしくて誠実なあなたの姉を見習いなさい。

彼らもまたいつもこのように彼女を責め立てた。

過去の記憶がよみがえり、心臓がドキドキして手に汗がにじんだ。

『私がなぜこんな屈辱を受けなきゃならないの?本当の親でもないデータの断片に!』

限界だった。長年積もり積もった忍耐心がついに爆発した。

エレンシアは震える声で叫んだ。

「お父様が私にどうしてこんなことを!私がこんなふうになったのは全部誰のせいだと思ってるの!」

皇帝の言葉が止まった。

「お父様が私を見捨てたじゃないですか!」

「私がいつ……」

「私が生まれたとき、お父様は本気になればお母様の死を十分に調査できたはずです。私がフィローメルと入れ替わっていたことだって知ることができたはずなんです。」

「……」

「それなのに放っておいたじゃないですか。自分の悲しみだけが大事で、娘のことなんてどうでもよかったんでしょう。」

しばらくして、頭を抱えたユースティスが認めた。

「そうだ。私の過ちだ。お前には一生謝罪し続けなければならない。」

しかし、彼はまたもや厳しい目で娘を見つめた。

「けれど、それが今の状況と何の関係がある?」

「お父様があの時、私を無視したのは認めてもらいたくて……。」

「言い訳はやめろ。この状況はお前の選択の結果だ。」

皇帝は立ち上がった。

「今、確信が持てた。私はお前を正しい道へと導かなければならない責務がある。これまでお前に申し訳なくてあまりにも甘やかしてしまった。」

彼の表情は決然としていた。

「お前の未来の財産は凍結する。そして……私がそうだと言えるまで牢獄で勤め上げるのだ。」

「そんな……!」

「それだけじゃない。お前の過ちを正式に問題として取り上げるつもりだ。」

エレンシアは驚いて問い返した。

「な、何ですって?それじゃあ第一後継者である私の評判はどうなるんですか?皇帝の威厳を考えてください!」

「お前にふさわしい資質があるなら、どんな試練も乗り越えて威厳ある皇帝になるだろう。」

「お父様!私が間違っていたのは認めます。でもこれはひどすぎます!」

だがユースティスは微動だにしなかった。

エレンシアは怒りで震えながらしばらくすすり泣いた。

そして最後の抵抗として一言、ぽつりと口にした。

「お父様がとても憎いです。」

皇帝はしばらく黙っていたが、やがて低い声で言った。

「やっとお前の本心が聞けたな。」

「……え?」

「結局、私を憎んでいたのだろう?それでも表面上は好きなふりをして、どう私に接していいのか迷っていただけだったのだ。」

エレンシアの顔がこわばった。

まるでゲームの中のキャラクターに自分の本心が読まれてしまったような気がして、震えが止まらなかった。

「とても憎いです。天国にいるお母様も、私に……そんなことをされたら、お父様を嫌いになっちゃうよ。」

その言葉を最後に、エレンシアは皇帝の執務室を蹴飛ばすように出ていった。

自分の部屋に戻った彼女は衝動的に叫び声を上げた。

「アアアアアッ!」

どうして思い通りになることが一つもないのか。

こんなゲームに閉じ込められている自分が情けなくて仕方なかった。

「みんな出ていきなさい!」

皇女の鋭い声に、侍女たちはそそくさと部屋を出ていった。

怒りを抑えきれなかったエレンシアは、ドレッサーの上のものを腕で薙ぎ払った。

ガシャン!

使用人たちは床に倒れ込み、その中のガラス瓶が割れた音が響いた。

それでも怒りが収まらず、彼女は他の物を投げつけていた。

「さっさと消え失せろ!この悪魔め!」

ベッドの近くで、奇妙なうめき声が聞こえた。

「……乳母。」

ベッドの支柱を掴み、体を起こした乳母は小さな像を手にしていた。

それはベレロン神の姿を模した像だった。

その像をエレンシアに向かって突き出し、乳母は叫んだ。

「皇女様の体から出ていけ!」

エレンシアはあまりの出来事に呆れ、思わず笑ってしまった。

乳母は「憑依」について気付いているようには見えなかったが、近の自分の状態が普段とは違うので、何かに取り憑かれたのだと判断したようだ。

「……もうこんな取るに足らない人間にまで、私を侮らせるなんて。」

「やっぱり悪霊だった! 優しいエレンシア皇女様がこんなことを言うはずがない!」

乳母が確信を持って遮って言った。

「お前みたいなのはエレンシア皇女様じゃない!」

「……うるさい。黙れ。私がエレンシアだ。」

フィローメルも、皇帝も、乳母も、みんなが目にちらつく。

その瞬間、エレンシアの心にひとつの疑惑が浮かんだ。

フィローメルは間違いなくすぐそばにいるはずだ。

(乳母はきっと何かを企んでいたに違いない)

「もしかして、その刺客は乳母じゃない?」

振り返ってみると、フィローメルの提案で乳母が邸宅に忍び込んでいたことにエレンシアは驚いた。

少し冷静に考えれば、その疑いが妙だと気づいただろうが、今の彼女は極度の興奮状態だった。

エレンシアにとって、乳母はもはや裏切り者だった。

女王の真意が明らかになるにつれ、体が震えた。

(まさか恩恵を仇で返そうとしてるの?)

背後でフィローメルと一緒にクスクスと笑っている乳母の姿を思い浮かべ、エレンシアの想像は膨らんだ。

再び現れた乳母の出現に理性的な判断ができなかった理由は。

「エレンシア皇女様を返して!」

「うるさいって言ったでしょ!」

エレンシアは手に触れたものをなんでも掴んで乳母に振りかざした。

「うっ!」

それが頭に直撃した乳母が短く悲鳴を上げた。

老僕の体が力なく崩れ落ちた。

エレンシアは遅れて自分が投げた物体を確認した。

下手をすれば、対席用の重たい灰皿だった。

「……う、乳母?」

乳母の体はしばらく痙攣した後、ついに完全に動かなくなった。

「どうしたの?痛いの?」

彼女の頭から流れ落ちた血が床に広がった。

震える手を乳母の鼻の下に当ててみたエレンシアは、力が抜けたように座り込んでしまった。

乳母は死んでいた。

「わ、私が……人を……。」

エレンシアは唇を震わせながら死体から身を引いた。

生きている時はあれほどにぎやかだったのに、息をしなくなった肉体はただの物体だった。

嗚咽がこみ上げた。

彼女はしゃくりあげて泣き出した。

『違う、人間じゃない!これはゲームのキャラクターなんだ!』

ロザンヌを処理したときと大して変わらなかった。

ただ今回は自分の手で実行したというだけ。

プレイヤーがゲームのキャラクターを少し殺したくらいで罪悪感を覚えるなんて、ばかげた話だ。

エレンシアは席から立ち上がり、服装を整えた。

気を抜いている暇はない。

『とにかくこの状況を整理しなきゃ!』

乳母は事故で死亡したことにする。

厄介な宦官である彼を自分が殺したと明らかになってはいけない。

彼女は周囲に散らばった物をざっと片づけ、ぎこちなく遺体の姿勢を少し変えた。

動きが不自由な乳母は歩く練習をしていて、つまずいて机の上にあった文鎮を打ったことにするのだ。

衝撃を受けた文鎮が倒れた人の頭上に落ちたのは、不幸な偶然だった。

完璧な弁明ではないが、今はこれが最善だ。

準備を終えた後、エレンシアは深く息をついた。

「キャアアアッ!」

すぐ近くで響く悲鳴が、皇女の書斎から聞こえてきた。

「誰かいるの?乳母が、乳母が……!」

 



 

 

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