こんにちは、ピッコです。
「ジャンル、変えさせて頂きます!」を紹介させていただきます。
今回は134話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
134話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 結婚式②
ついに結婚式の瞬間がやってきた。
準備を終えた私を先王が迎えに来る。
先王は私を見て微笑み、しばらく言葉を失った。
まさか再び見られるとは思わなかったクレタの結婚式を、こんな風に見ることになるなんて。
それも、バネッサの結婚式を振り返るかのように彼の蜂蜜色の瞳が少し揺れ動いたのだ。
私は先王に微笑みながら近づいた。
「おじいさま。」
「・・・本当に、本当に美しいよ、ユディット。」
喉が詰まったような声で先王はそう言い、しばらく息を整える。
彼は私の手を取って、しわがれたその手で自分の腕に私を支えた。
先王はちょっとした照れ隠しのように顎を突き出しながら言った。
「ふん。こんな美しい孫娘を連れ去ろうなんて! あのヴィンターバルトのやつに、お前を簡単に渡すわけにはいかん!」
簡単に渡さなければ・・・決闘でもするつもりですか?
10秒も持たないと思いますよ?
相手が誰であれ、リューディガーには躊躇なんてないのですから。
船王がその言葉を口にする前に、リューディガーが手際よく先王を片付け、私を連れ去る姿が容易に想像できる。
せっかく認めてくれたのだから、もう少し協力的になってほしいのだけれど・・・。
先王はまだ不満が残っているらしく、納得のいかない老人のようにむすっとしていた。
「今日は私の結婚式なのに・・・まさか、前回のようなことがまた起きるのではないでしょうね?」
リューディガーも、先王も、とにかく問題を起こさないようにと心の中で祈りながら、私は先王の言葉に苦笑いを浮かべた。
そして先王の手を取り、控室を出て食堂へと向かう。
王宮の大広間を埋め尽くすのは、白いシルクと淡いアイリスの装飾。
そして耳を圧倒するような音楽と拍手の歓声だった。
私は一瞬立ち尽くし、ぼんやりと宴会場を見つめていた。
その時、後ろからレイアが小声でつぶやくのが聞こえた。
「何よ、私が王子と結婚したから私の勝ちだと思ってたけど、結婚式ではこんなに差をつけられたら、私の立場がないじゃない!・・・うぅ。だからって、結婚式を二回するなんて無理!」
「はは、二回すればいいじゃないですか。三回だってできますよ。」
言葉を返したのは、褐色の肌に黒い髪をきっちりと束ねた男だ。
おそらくレイアの夫で、ボヤトン王国の王子だろう。
「私にも常識ってものがあるんですけど? だからといってアトンの人々に罵られるって、分かっているんですか?」
「レイアの常識を理解するのは難しいですね。私たちがお金があるから結婚式をもう一度挙げるといって、なぜ罵られるんですか?」
「時々、ボヤトンの人々は不満が多いんです・・・。」
レイアが王子と言い争う姿を見て、私は思わず笑みがこぼれる。
そうだ、私もそろそろ自分の夫になる人のところへ行かなければ。
私は一瞬止まっていた足を動かす。
華やかなシャルロットとルカが揃いの衣装を着て並んで立ち、私の前で花を撒いている。
シャルロットは微笑んでいるが、ルカの顔はあまり満足していない様子だ。
それもそのはず、彼はこの派手な役割を嫌がって駄々をこねていたのだから。
『なんで私が結婚式で花を撒かなきゃならないの? 誰が喜ぶの?』
『誰が喜ぶ? 私が喜ぶ! それ以外に何がある? あなたが喜ばないって? 私の結婚式、やっぱり反対なの?』
『いや、反対じゃない・・・。ただ、わざわざ花を撒く理由があるとは思えないんだ、それだけ。』
『うぅ、シャルロットはやってくれるって言ったのに。泣き虫より役に立たないわね。全く、手に負えないジョーカーみたいね。』
『わかった、わかったよ! やるってば、やるから! 本当に、シャルロットにまでなんでそれをやらせるの!』
私が泣き真似をすると、彼はついに手を挙げて諦めたようだったが、それでも完全には納得していない様子だった。
実際、花童(かどう)がその重要な役割を果たすわけではなかった。
あの花童として盛装したルカとシャルロットを見るためだけに私は笑みがこぼれた。
(やっぱり頼んでよかったわね。本当にかわいらしい。)
私は前を歩く小さな背中を見て満足げに微笑んだ。
このように感じているのは私だけではなかったようで、シャルロットとルカが先に進むたびに、貴族たちからは彼らのかわいらしさに感嘆の声が上がる。
当然、そういった場面ごとにルカの表情はさらに渋くなっていたが。
そうして長い絨毯の上を進んでいった。
大広間は広大で、私が歩かなければならない道のりも果てしなく長かった。
その先にはリューディガーが立っていた。
深い紫色の絨毯の上で、純白の礼服を完璧に着こなしたリューディガーが、わずかに身を傾けて私を待っていた。
私とリューディガーの視線が合った。
その瞬間、リディガーが微笑んだ。
ほとんど青灰色に見える瞳に、じわりと涙があふれた。
ルカに「リューディガーが涙を流すかもしれない」と言ったことはあったが、実際に彼が泣くなんて思ってもみなかった。
(一体どれだけ溜め込んでいた涙を一度に流しているんだろう・・・。最近、泣くことが多すぎない?)
彼の頬は涙で濡れていた。
リューディガーは涙をそのまま流しながら、私をじっと見つめてきた。
その様子に、私も涙を拭うことさえ忘れてしまうほどだった。
「おい、リューディガーヴィンターバルトが泣いてるのか?」
「なんだ? 将軍、いや、准将が泣いてるって?」
「もしかして新郎が入れ替わったとか?」
リューディガーが泣いている事実にようやく気づいた周囲がざわめき始めた。
私をエスコートしていた先王も口をぽかんと開けて驚いていた。
皆が驚いている中、絶対にリューディガーに私を渡すまいと思っていた先王も、手が震えるほど衝撃を受けていた。
その瞬間、リューディガーがすかさず私の手を掴んだ。
その速さは、まるで鷲が獲物を捕らえるかのようだった。
「いや、こんな!」
先王は遅れてようやく事態を悟ったが、もうすでに手遅れだった。
リューディガーが泣いているというのに、なぜか私は笑いがこみ上げてくるのを抑えられなかった。
私は笑いを必死にこらえながら尋ねる。
「こんな良い日に、どうして泣くんですか。」
「ユディットさんがあまりにも美しいからです。」
「私が美しいからって、泣く理由になります?」
「こんなに美しいユディットさんが私の妻になるなんて、信じられないんです。」
ああ、この男ってば。
私は彼の手を取り、頬に伝った涙をそっと拭ってあげた。
しかし、拭った布の端が彼の涙で濡れるのを見て、私はため息をつく。
「これじゃまた濡れてしまう。」
「いいえ。今日はもう、私の目に涙を宿すことはありません。」
一体何を言っているのか分からない言葉。
でもリューディガーはまるでそれが当然のように主張した。
私は微笑みながら彼の手をしっかり握り返し、一歩前へと踏み出した。
リューディガーは私の手を取り、輝くバージンロードを堂々と歩き、教皇の前に進んだ。
その歩みには、少しの迷いも感じられなかった。
まるで私たちの未来を見守るように、微動だにしない時間が続いていた。
教皇による祝福が進行する中、その長く感じられる瞬間、手をつないだ感触が胸の鼓動をさらに高めた。
「・・・ここにユディット・マイバウムとリューディガー・ヴィンターバルトの結婚が、無事成就されたことを厳かに宣言します。」
儀式が終わると、視界に広がる光景が祝福の星のように降り注いだ。
まるでロマンス映画のワンシーンを生きているような錯覚だった。
こんな人生がこれからも続くなら、どれほど素晴らしいだろう。
その光景に心を奪われ、私はしばらく茫然と見つめていた。
ふと、視界の端にルカの姿が映る。
彼の肩は震えており、やがて涙を流しているのが分かった。
その感情が伝わってきて、私もまた感極まる中、ふと気づいた。
リューディガーが握っていないもう片方の手が、そっと引かれていたのだ。
(何だろう・・・どこか見覚えのある、妙に馴染み深い感覚・・・!)
そう思った瞬間、リューディガーが手を取るのを躊躇した様子が見えた。
天井から雪が降り始めた。
「・・・雪?」
その瞬間、人々がざわつき始める。
今は冬の時期だとしても、ここは室内なのだが・・・!
まさかリューディガーが宮殿の天井を壊して本物の雪を降らせたのでは、と驚いた私は恐る恐る天井を見上げた。
しかし、幸いにもそれは違った。
「いかがですか? この栄光ある瞬間、ユディットさんに世界で最も美しい光景をお見せしたくて。」
この光景はもしかして・・・ヴィンターバルトの雪景色を再現したのですか・・・?
私は手を伸ばした。
手のひらには、きらきらと輝く白い物がさらさらと落ちてきた。
「ちょっと・・・これは。」
「ヴィンタ0バルトをそのまま移動させることはできませんので、できる限り再現してみました・・・。お気に召していただけますか?」
「ああ、それはもう・・・宝石のように輝いている・・・。」
今、天井から降っているのはダイヤモンドや真珠を模した人工の雪だった。
これを宝石と呼んでいいのかどうかは別として。
後ろの人々は天井に向かって手を伸ばし、少しでも宝石のような雪を手に入れようと懸命に努力していた。
本当に呆れる男だ。
金持ちを見せびらかすような性格なのだろうか?
私が好きだと言えばダイヤモンドをばら撒くような人だと思われたら困る。
私は内心でリューディガーの計画に対する不満をこっそり呟いた。
私がどう思おうと関係なく、リューディガーはこの眩い風景の中で私を見つめ、明るく笑っている。
確かに、私が今目にしているものは、これまでで最も美しい光景だった。
ああ、もう知らない!
私はもうあれこれ考えるのをやめて、この瞬間を楽しむことに決めた。
私の人生のジャンルがロマンスではなく、むしろお金とドタバタ劇で溢れていたとしても、相手がリューディガーであるなら、何も問題ない。
私はリューディガーに向かって手を伸ばした。
彼の手が私の手をしっかりと掴んだ。
その手の温かさが私の手に伝わってきた。
これから起こることを予感しながらも、降り注ぐ宝石のような雪に輝く彼の瞳に引き込まれた。
私はそのまま彼の唇に自分の唇を重ねた。
少しの躊躇もない大胆な態度に、周囲がまたざわめき始めた。
再び歓声が満ち溢れた。
途中で喉を詰まらせるような音が聞こえた気もするが、それが先王でなければルカだろう。
まあ、どちらにせよ、結末は変わらなかった。
私はそれだけで満足だから。
<本編 完結>