こんにちは、ピッコです。
「ジャンル、変えさせて頂きます!」を紹介させていただきます。
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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
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143話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 3年後⑤
屋敷に入った私たちは、しばらくお茶を楽しみながら現在の状況について話し合った。
リラニベルは広々としていて本当に良い場所だが、やはり首都と比べると少し活気が足りない。
当然、ローラもいるが、彼女は女主人としての自分を表現するため、公私共に多忙な日々を送っていた。
そのように、単調な気持ちを払拭しようと長い間手にしていたカップをしばらく振ってみた。
だからこそ、久しぶりに現れたイザベラが妙にありがたく感じられる。
カップに口をつけながら、イザベラはぶどう畑が窓の外に広がる景色を眺めた。
彼女の真っ青な瞳には、豊かな光景が映っていた。
「おっしゃった通り、ここは本当に素晴らしいですね……。」
「ゆっくり休んでいって。ローラも君が来るのを楽しみにしていたよ。」
「ローラが?妙ですね。さっきまではいつ行くのかとソワソワしていたのに。」
「それでも今夜の夕食にはチルメンジョ料理を準備すると言っていたよ。」
私とイザベラは顔を見合わせ、笑った。
チルメンジョ料理はイザベラのお気に入りだ。
結果的に、イザベラとローラはなかなか親しい関係を築いていた。
それはお互いがその関係を楽しんでいるからだ。
「それにしても、ローラが今回はワインまで作ったんですって?本当に勤勉ですね。」
「世の中には、与えられた仕事だけをする人と、ない仕事でも作り出してやる人がいる。ローラは断然後者ね。」
「同感です。正直、私も普通の人生を送ってきましたが、あれほど勤勉な人は初めて見ました。」
「そうだね。勤勉な人はたくさんいるけど、彼女のように勤勉な人は滅多にいない。ローラは確かに特別な存在だ。」
私はイザベラの言葉に賛同しながらカップを軽く持ち上げた。
リューディガーもルカもそれぞれ勤勉な部分はあったが、ローラの勤勉さとは明らかに違っていた。
「ともかく、ゆっくりしていって。ここは気取らずに過ごせるから、何か特別なことをしなくてもいいんだから。」
「今まで聞いた中で、一番嬉しい言葉ですね。」
イザベラは静かに微笑んだ。
バッケンレース家で彼女を迎え入れることはできたが、それが彼女にとって住みやすい場所ではないことは誰よりも私が理解している。
それは、現在のイザベラとも変わらない状況だった。
公爵がどれだけイザベラを可愛がり、彼女の身分上昇を喜んでいたとしても、イザベラへの微かな嫉妬や嫌悪感を隠せない人々もいたのだ。
私もリューディガーやルカが大いに助けてくれたが、イザベラにはそのような存在もなく、さらに困難だっただろう。
イザベラは軽くため息をつきながら、お茶のカップをテーブルに置いた。
「それでも、バッケンレイスでの生活がそんなに辛かったわけではありません。公爵様のおかげで保護されていて、私をいじめる人たちもいなかったんです。」
「私?私が何か助けになった?」
「はい。私、公爵夫人の名前を少し利用させてもらいました。ダヴィがバッケンレイスの後継者になれたのもすべて公爵夫人が守護してくれたおかげだ、という噂を広めたんです。その噂を流す技術について、公爵様を見て学ばせてもらいました。」
イザベラは軽く肩をすくめて微笑んだ。
「そもそも、ヴィンターバルト公爵夫人であり王族の公爵夫人が私を後ろ盾としているのですから、誰が私に逆らえますか?公爵夫人のおかげで保護され、安心していられました。」
「まあ、そう考えれば間違ってはいないね。」
私の曖昧な返答に、イザベラは軽く微笑んだ。
上手くいったとはいえ、喜ばしい話題ではない。
それを感じ取って、私は自然と話題を変えた。
「今年の夏は慌ただしくなりそうだね。あなたの家族もいるし、ヘザーの方にも訪れる予定だとか……」
「ヘザーに行くとなると……『あの』クロエがいるんだよね?」
「うん。」
イザベラは、ヘザーとは直接会ったことがなかったが、聞いた話を通じて彼女の事情を理解しているようだ。
「友達がたくさんいるから、ダビも気に入りそうですね。そういえば、クロエが病気だって聞いたけど、最近はどうしてるんですか?」
「検査中だよ。」
「子どもが病気になるのは、本当に心が痛いですね。早く良くなればいいんですが。」
フランチの来訪でダビが数時間静かにしていた出来事が思い出され、イザベラの表情が暗くなった。
どう励ませばいいのか。むしろ何も知らないふりをする方が良いのかもしれないと思った。
が最善か少し考えている間に、タイミング良くローラが登場した。
「奥様、夕食の準備が整いました。」
「そう。イザベラ、うちのローラが作った自慢の料理を見に行きましょう。」
「ローラが料理もするのですか?」
「うーん……正確にはローラが母から受け継いだレシピを再現してくれたんだよ。」
さらに正確に言うと、これはローラの母親のレシピそのものだったが、それを口にするのが少し躊躇われて、イザベラが一安心しているのを見てホッと胸を撫で下ろした。
「それなら安心ですね。」
「ちょっと待って、イザベラ。その言い方は、まるで私の料理の腕を疑っているみたいに聞こえるけど?」
「まあまあ、あまり深読みしないで。」
「深読みじゃなくて、客観的に考えるとその通りでしょう?」
二人の年齢差はあるものの、こうしたやり取りを聞いていると、まるで幼い頃の友人同士のように見えた。
『私もレアとこんな感じで遊んでたっけ……。』
ローラと絶え間なく言葉を交わすイザベラの顔に、いつの間にか曇りがかかっていた。
軽やかな笑顔が重くなりかけた空気を和らげたものの、私はその様子をそっと見つめていた。
しかし、状況はそれほど穏やかに流れることはなかった。
「そんなに自分の客観的な解釈に自信があるなら、夫人はどう思ったのか聞いてみたら?」
「いいですよ! 奥様! 奥様はどうお考えですか?」
「ちょっと待って。そういうのは避けてほしいな。正直、二人の間に首を突っ込みたくないんだよね。」
私の介入を避ける発言に、二人はしばらく沈黙し、私はその場をそっと離れることにした。
「料理が冷める、早く行こう!」
「奥様!」
「イザベラ!」
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