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28話




 

こんにちは、ピッコです。

今回は28をまとめました。

 

 

 

 

 

ネタバレありの紹介となっております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

各話リンク こんにちは、ピッコです。 ネタバレありの紹介となっております。 ...

 




 

28話

https://recommended.tsubasa-cham.com/27-2/

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • お土産

ガチャガチャと薪を火の中に投げ込む音にマックは目を覚ます。

いつの間にか周りが真っ暗になっていた。

まばたきをしていたマックは暖炉の前に立っているリフタンを見つけ、急いで上半身を起こす。

リプタンはその音を聞いたのか首をかしげた。

ちょうどお風呂上がりに着替えたように、彼は楽そうな服装をしている。

「あなたは意外と寝耳がいいね」

彼はかすかに微笑んで言った。

マックは首を横に振る。

「あ、いつ・・・。リ、リプタンが・・・、起きて、あ、洗ったのかも、知らなかったんですよ」

「君が目覚めるまで待ってのんびりと一緒にお風呂に入りたかったのに・・・、侵入者たちを尋問しなければならないので仕方なくベッドから這い出た」

彼はベッドに近づき、裸の肩の上に唇を押す。

顔を赤らめていたマックは、すぐに心配そうな目で彼を見上げた。

「し、審問• • •、しましたか?」

「そうだね。身分を確認するために教区の神官まで呼んだんだ」

「か、彼は・・・、ほ、本当に貴、貴族ですか?」

慎重な質問に彼は眉間にしわを寄せる。

「リバドンの貴族だね」

マックは顔色を曇らせた。

やっばり自分の出方が悪かったのだろうか。

あのまま入れていれば、こんなに事が大きくならなかったかもしれないのに・・・。

彼女の考えに気づいたのか、リプタンが乱れた髪の毛を渡しながら頬に唇を押した。

「しかし、本人の主張のように封建領主ではなかった。その息子だった。父親が自分を差し置いて異母兄弟を後継者に指名したことに反感を抱いて家宝を盗んでウェデンに逃げてきたそうだ。自分に従っていた騎士たちを率いてこの国をあてもなくさまよっていた時、私がドラゴンレアでとてつもない宝物を手に入れたという噂を聞いたようだ」

「り、リフタンを・・・、た、た、倒しに、き、来たのですか?」

彼女の質問に彼は一瞬呆然とした表情をし、そして笑い出した

「そんなに気が狂っているわけではない。まさか私がドラキウムからアナトールまで8日で縦走するとは夢にも思わなかったようだ」

そういえば、ルースは彼が長けれは半月から早ければ10日ほど後に到着するだろうと言った。

急いだときに10日ほどかかる距離を、彼はさらに2日短縮してきたのだ。

「いや・・・、私が時期をよく合わせたのか。ぐずぐずして一日か二日だけ遅れていたら大変なことになるところだった。やつが引っ張ってきた人たちの中で3人が高位騎士であるうえに、あのロブというやつは魔導具まで所有していたのだ。残った兵力だけでは阻止することができなかっただろう」

「ま、魔道具・・・?」

「奴が盗み出した家宝が、高位火炎魔法がかかった魔導具だ。城門もそれを利用して壊したんだよ」

彼の顔はあっという間に冷たくこわばった。

「レムドラゴンが領地を空けた状況だから、その程度なら十分勝算があると思っただろう。実際、私が到着する前に金庫を盗んでリバドンに逃げていたら、探すのに苦労しただろうね」

マックは心配そうに彼の腕に触れる。

ロブという男が愚かなことをしたとしても、むやみに貴族を害せば紛争は避けられない。

不安そうな彼女の目を見下ろして彼は苦笑いした。

「本来ならそんなやつは見せしめに首を切って城壁にかけておかなけれはならない。でも・・・、あなたの言うとおりに戦場に出ていることを考えるとぞっとしたよ」

「そ、それじゃあ・・・」

「明日、日が昇るやいなや、あいつの父親という人間に連絡を取る。子供の看守をちゃんとしろと言って、賠償金をもらうことで終わらせないと」

マックは安堵のため息をつく。

彼は微笑み、肩、首、頬に相次いでキスをした。

彼の髪は水っぽく石鹸の香りがする。

ふと、香りのする石鹸を目の前に近づけると、傲慢な顔で言ったルースの言葉が思い浮かんだ。

思わず笑みをこぼすと、リプタンが怪謗な目で見下ろした。

「なんで笑うの?」

「リ、リプタンのか、髪の毛から・・・、ば、薔薇の香りがして・・・」

率直に理由を話すと、彼の頬骨の付近が真っ赤になる。

「どうせならいい匂いがする方を・・・。その方がもっと好きそうだから…」

彼は恥ずかしそうな顔で濡れた髪に触れた。

その姿に胸が締め付けられる。

初めて彼を見た.時、荒い言葉遣いや大きな体つきに怯えて父親ほど凶暴な人だろうと勝手に断定したのが嘘のようだ。

あれほど恐ろしく思っていた夫を、このように愛らしく思う日が来るとは夢にも思わなかった。

「ちょっと・・・、男らしくないかな・・・」

自分の体から出る石鹸の匂いを嗅いでいたリプタンが、きまり悪い顔でつぶやいた。

その姿をじっと見上げていたマックは、だるい体を起こして彼の頬の上に唇を押した。

リプタンの体が石のように固まる。

彼女は顔を赤らめながらも、彼のあごの先にもう一度唇を押した。

「いいえ、違います。い、いい匂い、し、しますよ。それから・・・、リ、リプタンは・・・、いつも、お、男らしいです」

「・・・それなら一生この石鹸を使わなければならないね」

彼は彼女の腰を抱えて唇を重ねる。

びりっとした胸が彼の手の中で柔らかくなった。

マックはあわてて彼を押しのけた。

「さ、さっきそうやって・・・」

「先に誘惑しておいて何を言っているんだ」

「ゆ、誘惑じゃなくて・・・」

押し寄せる甘い感情に酔ってキスをしたが、彼を再びベッドに引き入れるつもりはなかった。

すでに気を失うほど強烈な関係を持った後ではないか。

しかし、彼は何の音も間こえない人のように激しくキスをして服を脱ぎ捨てる。

「自業自得だよ、マクシ」

彼は酒に酔った人のように体を重ねながらささやいた。

耳元に響く甘い低音に、体から嘘のように力が抜けていく。

彼はそっと体の中に潜り込んだ。

痛みより満足感の方が大きかった。

マックは結局彼の首を抱きしめた。

 



 

翌日、正午が過ぎてやっと目が覚めたマックは、下女の助けを受けて体を洗って身支度をする。

リプタンは夜をほとんと明かした状態で、夜が明けるやいなや侵入者の処分のために外に出た。

遠い道を走ってきてまともに休めない彼が気の毒だった。

「奥様、どこか具合の悪いところでも・・・?」

髪をとかしてくれたルディスが、彼女の曇った顔色を見て心配そうな顔で尋ねる。

マックは首を横に.振った。

「あ、い、いいえ、大丈夫です」

「魔法使い様が怪我をした傷を見てくれるとおっしゃったんですが・・・、今すぐお連れしましょうか?」

「み、診てもらう必要も・・・、あ、ありません」

転びながら足が少し引っかかれた程度だ。

マックは傷に触れながら目を転がした。

衛兵たちは飛んでいった城門の下に敷かれ、敵の刃物に切られ、大けがをしただろう。

これくらいの擦り傷で大騒ぎするのが恥ずかしいので、彼女は首を横に振った。

「あ、だめです。体に傷跡でも残ったら・・・」

珍しく強い口調のルディスが、そんな自分の態度が生意気だと思ったのか、口を固く閉ざした。

「それでは、私が軟膏を貰ってきます」

「それでは・・・、そ、そうしてくれますか?」

ルディスはまっすぐ外に出て、軟膏の入った小さな壺と綺麗な包帯を持ってきた。

包帯を巻くほどの傷ではなかったが、マックは大人しく薬を塗り、汚染されないようにきれいな布を巻いた。

「あ、ありがとう」

「お食事はお部屋までお持ちいたします」

「い、いいえ。しょ、食堂で軽く何か食べて、昨日できなかったことを・・・」

「領主様から今日は部屋でじっと休むように言われました」

ルディスの言葉にマックは眉をひそめる。

一晩中何度も何度も彼に抱かれたので、だるくて疲れたが、体を支えられないほどではなかった。

「昨日のそ、騒動でちょ、ちょっと驚いたかもしれないだ、だけで・・・、ど、どこか具合が悪いのではありません」

「でも領主様は・・・」

「領主様には・・・、わ、私が話します」

頑固な言葉にルディスはこれ以上反論できず、静かにうなずいた。

 



 

マックは肩に厚手のショールをかけて部屋を出る。

開けっ放しの窓から冷たい空気が降り注ぐ入ってきた。

マックは廊下を歩きながら、綺麗に磨かれた窓枠と絨毯が敷かれた廊下に目を通した。.

「も、もしかして・・・、リプタンがし、城についてな、何か、い、言ってませんでしたか?」

ルディスは彼女の質問について困惑しているようだった。

「昨日の騒ぎのせいで、周りを見回す余裕がなかったのでしょう」

「そ、そうなんですね・・・」

「でも、騎士様たちはびっくりしました」

落胆した表情をすると,ルディスは急いで付け加えた。

いつも静かで落ち着いた女中の顔の上にかすかな笑みが浮かんでいる。

「昨日、遅い時間に夕食を食べにグレートホールに来て、お城を見て見違えるほど素敵になったと褒め言葉を惜しまなかったです」

「あの、本当に・・・?」

ルディスは慎重な質問に再びうなずいた。

マックは一段と軽くなった足取りで廊下を通過し、階段を降りる。

彼女が現れると、ホールの窓を拭いていた下女たちが体をまっすぐにして丁寧に頭を下げた。

彼らの挨拶を受けながら食堂に入ると、ちょうと中で食事をしていたルースとレムドラゴンの騎士団員3人が頭をもたげる。

マックは止まった。

特別な日じゃないと、騎士は朝と昼を宿で済ましている。

リプタンなしで彼らに会ったのは初めてだったので、何を言えばいいのか分からなかったのだ。

 



 

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