こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は284話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
284話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 不本意な別れ②
サロン別館、最上階に位置する応接室。
わずか数日前まではレンが意識を失って横になっていた場所で、エレナはうろついていた。
しきりに同じ場所をうろつく姿が不安そうに見える。
「どうか、何事もなければいいのに・・・」
口の中がからからに焼けていく。
レンは健康を完全に回復していない。
体力も以前ほどではなく、体も重い。
そのような体を率いて大公家に掌握されたバスタージュ家に潜入すると言ったのだから、彼女は気が気でなかった。
「何も求めないから、無事に帰ってきてください」
そんな風が届いたのだろうか。
ドアノブが回る音にエレナの頭が反射的に回る。
「レン!」
レンは半開きのドアから歩いて入ってきた。
エレナが自分を歓迎してくれるのを見て、彼はかすかな笑みを浮かべる。
「なんで寝ないでいるの?」
「そんな身で出て行ったのに、眠くなりますか?どこか怪我はありませんか?スペンサー子爵にはお会いしましたか?」
エレナが質問を速射砲のように浴びせると、レンは思わずくすくす笑ってしまった。
その質問が自分に対する彼女の心配であり関心だと思うと、胸の片隅が暖かくなる。
そんなレンの反応にエレナの表情が急に暗くなった。
なんとなくいつもと違う違和感が生じる。
「何かあったんですか?スペンサー子爵に、何か悪いことでも起きたんですか?」
「・・・」
「じっとしていないで。何か言ってみてください」
エレナが息苦しさを我慢できず、レンを催促した時だった。
レンの体が傾いてエレナにもたれかかる。
エレナの横を通り過ぎて肩に頭を当てて初めて止まった。
「急に何をしているんですか?」
抱かれたようで、寄りかかったような妙な状況が演出されると、エレナが当惑してレンを押しのけようとする。
「少しだけこうしていてもいい?」
塵ほども感じられないレンの声にエレナが戸惑った。
「ちょっとでいいから」
「・・・」
「このままでいてくれ」
エレナは、どんな言葉も行動も取ることができなかった。
いったい何があって、レンがこんなに苦しんでいるのか分からない。
それを聞くことさえレンを苦しめるんじゃないかとと思って、むやみに慰めることさえできなかった。
そのため、エレナはこのままじっとしているしかなかった。
ところが、どうしてだろうか。
レンが小さく泣いていると錯覚するのは。
「レン」
肩を貸してあげること以外に、今、レンのためにできることはなかった。
エレナはそれがレンの慰めになることを願って、その場に長く立ち尽くす。
「ねえ」
「・・・」
「ねえ、私の話が間こえないの?」
定期的に行うサロン会議に出席したカリフが、なかなか会議に集中できないエレナを呼ぶ。
やっと気がついたエレナは答えた。
「私を呼びましたか?」
「呼びましたか?君、今日に限ってどうしたんだ?魂が抜けた人のように気を取られて。もしかしてどこか痛いんじゃないの?」
「ちょっと疲れているからです。考えることも多いし。どこまで話しましたか?」
エレナがさりげなく会議を続けようとすると、今度はエミリオが言葉を加えた。
「恩人。疲れたのでしたら、少し休んでから続けるのはどうですか?顔色がよく見えません」
「そんなことはできません。今でなければ、大公家を倒す機会を永遠に逃すかもしれませんから」
ややもすれば頑固に聞こえるかも知れないが、エレナの言葉は極めて正しかった。
エレナが有利に回る今、大公家に時間を与えてはならない。
「卿、傭兵たちは皆雇いましたか?」
ヒュレルバードはうなずく。
「はい、お嬢様。信じられる者たちを物色し、首都近くの旅館に泊まるように措置しました」
「お疲れ様です」
荒々しく、わがままな傭兵の中でも使えそうな者を選別することは容易ではないが、ヒュレルバードの眼目は信じられる。
「傭兵たちはなぜ雇ったの?」
「恩人、私も気になります。彼らをどうやって餌に活用するつもりですか?」
カリフだけでなく、できるだけ先に聞かないエミリオも気にしていた。
このように密かに、秘密裏に傭兵を集めようとするエレナの意図が見当がつかないからだ。
「偽装をさせようかと思います」
「今、偽装だとおっしゃいましたか?」
「何で?」
反射的に飛び出すカリフとエミリオの質問にエレナが答える。
「山賊です」
「・・・」
「皇室で大々的な討伐隊を設けざるを得ない極悪非道な山賊を首都近くに出没させようと思います」
エレナの発言に驚いたのはさておき、3人は少なからず当惑した。
山賊と皇室の討伐隊とは、餌と言ったのだから大公家を倒そうとする目的であることは分かるが、全く絵が描かれなかった。
「私だけ辻褄が合わないと思う?皇室討伐隊が構成されれば近衛隊が動くんじゃないの?」
「そうなるでしょうね」
「それならもっとおかしいじゃないか。山賊も味方だし、皇太子殿下が団長を務める近衛隊も味方なのに・・・。ああ、頭が痛い。君の勝手にして」
カリフは気にすることも、これ以上知ろうとしなかった。
エミリオだけが諦めずに悩み続けていたところ、思い当たることがあるのか口を
開いた。
「敵を引き出そうとしているのですか?」
「似ています」
「恩人、その敵って、もしかして・・・」
「フランチェ大公ですね」
ノブレス通りが失敗し、東部と西部、南部の貴族からそっぽを向かれた大公家は、対外的な活動を自制し、沈黙を続けている。
公爵家の財政は日々悪化し、まるで嵐の前夜のように不安定だった。
意図的にフランチェ大公が動く名分を与え、誘引して壊してしまう計画なのだ。
「さすが恩人です。逆攻とは、あえて見当もつきませんでした」
エミリオは純粋に感心する。
カストール商会を数十年間運営し、大陸十大商団の位置まで引き上げた彼だったが、エレナほど多方面で知謀と才知を持った人は初めて見た。
「私一人で決めたわけではありません。皇帝陛下の助けが大きかったのです」
「頭で知っているからといって、それを行動に移すことができる人は世の中にそれほど多くないんです」
エミリオは商団を運営し、言葉だけ先走る者を数え切れないほど見てきた。
一方、エレナは言葉と行動に異ならなかった。
それが彼が彼女を信頼し従うようにする信頼の源。
「逆攻?どういう意味?そして皇帝陛下が、なぜここから出てくるの?」
関心がないかのように振る舞っていたカリフがいきなり会話に加わる。
逆攻、皇帝。
そのまま通り過ぎるには好奇心を読発する単語が好奇心を引いてしまう。
「知らなくてもいいんですって」
「知らなくてもいい。できることはできるけど、それでも知っていて悪いことはないじゃない。そうでしょう、ヒュレルパード卿?」
カリフが囲んで黙々と立っているヒューレルバードを友軍に引き入れた。
呼応を望むカリフの視線を無覗したヒュレルバードが、エレナを見て尊敬の態度を示す。
「お嬢様の心計に感服するばかりです」
「え、今私だけ知らないの?」
ヒュレルバードもエレナの計略を知っていることに気づいたカリフが傲慢な顔をした。
なぜか疎外感を感じたからだ。
エレナは淡々と会話を続ける。
「ちょうど卿がしてくださることがあります。気に入らないことになるでしょうが」
「お嬢様が望むことに私の感情は重要ではありません。お構いなしに命令を出してください」
ヒュレルバードにとって最悪の不名誉は、エレナを守れないことだけだ。
エレナが望むなら、それが何であれ彼はやり遂げる準備ができている。
「山賊のボスになってください」
「え?今なんて・・・」
「完璧に人々を騙すためには変装もしなければならないでしょう。ひげもつけて、髪もむくんでて、本物の山賊のように見えなければなりません」
なかなか表情の変化がないヒュレルバードの唇に小さく痙攣が起きた。
何でも耐えられる準備ができていたが、変装をして山賊のボスに成り済ますのは一度も考えたことがないことだからだ。
「分かりました」
しばらく慌てた様子を見せたヒュレルバードは、いつそうだったかのように屈従する。
エレナが望むなら火の地獄に飛び込むことができる彼だったので、躊躇うことはなかった。
「エミリオ様にも難しいお願いをすると思います」
「どうぞ、お気軽に」
「勢力を拡大してほしいです。首都に入ってくるカストールの商団が山賊に奪取される絵でですね」
十大商団の一つであるカストール商会の名声は大陸全域に広まっている。
そんなカストール商会の商団が帝国の首都近くで山賊の襲撃を受ける。
護衛騎士が激しく抵抗したが、結局山賊に敗れ、すべての品目を奪われてしまう。
このような噂が広がれば、皇室が動く動機は十分にあるはず。
首都周辺の治安は皇室の自尊心に他ならないからだ。
そうなれば皇宮近衛隊が動く名分が備わる。
「おっしゃることはわかります。小さな上居2、3ヶ所も追加で買収し、山賊に奪取されたことにします」
エミリオは1つ言えば2、3を理解して措置した。
カストール商会だけでなく、中小商会まで山賊に奪取されたかのように見せかけ、疑いの余地まで消してしまう作戦。
「本当にこんなことするの?なんで私だけ知らないの。私もやることがあるんじゃないの?」
「先輩には別にお願いしたいことがあります」
「そりゃそうだ。私のような高級人材をそのまま放置するはずがないよね?話してみて」
意気揚々としたカリフと違って、エレナの表情は暗い。
「喪服を一着用意してください」
「喪服?」
予想外の重い主題に、カリフの茶目っ気が抜けた。
「弔問に行かなければならないことが起こりそうです」
エレナの満面にほろ苦さが漂う。
エレナとレンのやり取りがいいですね!
山賊作戦は成功するのでしょうか?
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