こんにちは、ピッコです。
「ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜」を紹介させていただきます。
今回は254話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
どういう訳か小説の中の悪の一族、アグリチェ一家の娘「ロクサナ」に生まれ変わっていた!
アグリチェは人殺しをものともしない残虐非道な一族で、ロクサナもまたその一族の一人。
そして物語は、ロクサナの父「ラント」がある男を拉致してきた場面から始まる。
その拉致されてきた男は、アグリチェ一族とは対極のぺデリアン一族のプリンス「カシス」だった。
アグリチェ一族の誰もがカシスを殺そうとする中、ロクサナだけは唯一家族を騙してでも必死に救おうとする。
最初はロクサナを警戒していたカシスも徐々に心を開き始め…。
ロクサナ・アグリチェ:本作の主人公。
シルビア・ペデリアン:小説のヒロイン。
カシス・ペデリアン:シルビアの兄。
ラント・アグリチェ:ロクサナの父親。
アシル・アグリチェ:ロクサナの4つ上の兄。故人。
ジェレミー・アグリチェ:ロクサナの腹違いの弟。
シャーロット・アグリチェ:ロクサナの妹。
デオン・アグリチェ:ロクサナの兄。ラントが最も期待を寄せている男。
シエラ・アグリチェ:ロクサナの母親
マリア・アグリチェ:ラントの3番目の妻。デオンの母親。
エミリー:ロクサナの専属メイド。
グリジェルダ・アグリチェ:ロクサナの腹違いの姉。
ポンタイン・アグリチェ:ラントの長男。
リュザーク・ガストロ:ガストロ家の後継者。
ノエル・ベルティウム:ベルティウム家の後継者
254話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 事件後④
「あの子、君がいない間もずっと泣いてたわ」
さっきのように椅子に座っていたグリゼルダが部屋のドアを開けて出てきたロクサナを見ながら通り過ぎるように話す。
防音の悪い狭い家なので、中でニックスとロクサナが交わした会話を聞いたようだ。
以前のように反応をうかがう意図や、彼女をからかうつもりで言った言葉なら、むしろ無覗しただろう。
しかし、グリゼルダは珍しく真剣だった。
「私が思うに、今あなたの前で一部・・・」
「知ってる」
口クサナはグリゼルダの言葉を短く口ずさみ、彼女の前を通り過ぎる。
背後に静かな視線がついた。
ロクサナは無表情な顔で椅子の残りに座る。
ガチャ!
「姉ちゃん、来たよ!」
その時、ジェレミーがドアを開けて家の中に入ってきた。
後方にいたグリゼルダが「なぜ私の家がますますあなたの家のようになるのか分からない」と愚痴をこぼす。
もちろん、面の皮が厚いジェレミーは、グリゼルダの言葉を無視してロクサナの前に駆けつけてきた。
「お帰り、ジェレミー。片付けはうまくいった?」
「うん、大雑把には」
彼らは他の一族と同様にアグリチェに戻り家を建て直す計画だった。
ジェレミーはもっとロクサナに近づき、囁く。
「オルカ・フィペリオンとパンドラ・フィペリオンも家門に帰ったよ」
ああ・・・、オルカ・フィペリオン。
その時初めて、ロクサナはしばらく忘れていた名前を思い出した。
ニックスとデオンの問題で気が気でなく、彼の存在自体をしばらく忘れていたのだ。
彼女の体に溜まった毒に直接やられたので、よほどの薬では中和されないはずなのに、結局はそのままフィペリオンに戻ったのか。
それでも、ちらっと聞いたオルカの状態を思い出してみると、すぐには死ねそうになかった。
後にでもオルカが過ちを反省すれば、アグリチェで別に調剤する解毒剤を取引する考えもあったが、そのような日が来るかは分からない。
とりあえずその件は差し置いておき、ロクサナはジェレミーに別のことを尋ねる。
「ノエル・ベルティウムは?」
「昨日と同じ」
彼女はジェレミーの返事を聞いてベッドに横になり、遠く窓の外だけを眺めていたノエルを思い出した。
5日前、ロクサナはデオンとニックスをシエラとグリゼルダにそれぞれ任せて再びユグドラシルに入った。
そして、最初からそこを離れたことがないように行動する。
その後、追撃隊が持ってきた偽ニックスの遺体を見て、厚かましくそれが本物のニックスだと証言したのだ。
意外なのは、ノエルもやはりそれがニックスだということに同意したという点。
しかし、他の人でもないノエルが、自分が作り出した人形の偽の肉体とニックスを成している本当の人の体を区分できないはずがないと思った。
なぜかノエルは再び目覚めた後、すべてのことに意欲を失ったように見えたが、それでニックスもやはり完全に諦めたのだろうか?
それとも他に下心がある?
・・・もしかしたら、あえて出なくても壊れ始めたニックスが先に自分を必要として訪ねてくると思うかも知らなかった。
「あの人形はどう?私も中に入ってみてもいいかな?」
隣でロクサナの表情を見ていたジェレミーがそれとなく尋ねた。
「いいえ、そうしない方がいいわ」
ロクサナは割れた石膏の破片のようにあちこちにひびが入り始めたニックスの体を思い出す。
グリゼルダが作った治癒の呪術陣の中でも、進行速度を遅らせることだけが最善だった。
ニックスを作ったノエルなら解決法を知っているのではないかと思い、昨夜彼の前で流すように話を切り出したことがあった。
ニックスはロクサナの話を聞いて動揺したが、彼はノエルに会うことを拒否した。
ロクサナもその後は二度と同じことを言わなかった。
彼女の目が浅く垂れ下がっていた。
赤い夕焼けのあの日の夕方、カシスの話を間いて訪れたあの野原で。
結局、自分は無意味なことをしたのかもしれない。
「・・・」
そんなある瞬間、小さな音が耳元に広がる。
ジェレミーとグリゼルダもそれを聞いたかのようにそっと視線を横に動かした。
切れそうに続く細いすすり泣き。
ロクサナは、それが聞こえないように目を閉じる。
その時、カシスもユグドラシルの外にいた。
彼は5家門の代表としてユグドラシルとノエルの消息を伝えるためにベルティウムに立ち寄ってから再び帰還する途中だった。
カシスが到着したばかりの時、まだユグドラシルの消息を知るはずがないのにベルティウムの雰囲気はとても索漠として沈滞していた。
ベルティウムの人々は後苑側に位置した離れに集まっていたが、近づく足音を間いてなぜかとても緊張した顔でいて、カシスの顔を見て不思議なほど安心している。
カシスは目的通りにこの事件について彼らに伝えた。
ベルティウムの人々は衝撃を隠すことができず、唖然とする。
しかし、彼らはすぐにノエルがそのようなことをしたことに対して、そうするに値すると納得している様子だった。
ダンテを殺した人を探すためにノエルが彼らを拷問したこともあると。
彼らはノエルの処遇が決定されるまでベルティウムを封鎖するという話に簡単に納得した。
ひとまずしばらくノエル・ベルティウムがここに来ることがないという便りに、彼らは一様に安心した様子だ。
それでもある程度平静を取り戻した後は、ノエルが行ったことのために、ひょっとして彼らまで一緒に火の粉を浴びるのではないかと不安になったようだった。
離れの中はすぐにひそひそと話す声で満ちていく。
ユグドラシルから一緒に来た人々がカシスの手振りを受けて各自の位置に移動した。
カシスは後援を離れて本館に向かう。
先に配置した腹心たちがユグドラシルで見たような人形を含め、他の危険な要素がないか建物の中を隅々まで捜索していた。
「ご主人様は外出中です。応接室にご案内しましょうか?」
ベルティウムにはまだ人形が残っていた。
他の人々は使用人と見られる彼らを本当の人間だと思っているようだ。
ユグドラシルで乱戦を繰り広げた人形より、見た目や動きなどがはるかに精巧だったので、そう思う気持ちも分かる。
幸い、ノエルが戦闘力が少しでもある人形たちは全てユグドラシルに送ったためか、ここに残った人形たちには危険な機能があるようではなかった。
それでも念のため、腹心たちに使用人が全員人形であることを明らかにし、彼らを別に隔離させるように指示を出す。
その後、カシスは再び歩いた。
探すものがどこにあるのか分からず、邸宅の中の部屋をいくつも確認した末、彼はついにダンテの遺体を発見する。
ダンテは正体不明の液体でいっぱいのガラス管の中に横たわっていた。
おそらく腐敗を防ぐ装置のようだ。
周辺には色々な実験を経たような人形の身体彫刻と用途が分からない呪術陣が描かれた紙が散らばっている。
「・・・」
カシスの視線がしばらく周囲を見渡し、すぐに官位に留まった。
今この中に横になっている男は.ノエル・ベルティウムが自分のために何をしたのか分からないだろう。
部屋の中にめちゃくちゃに散らばった他の人形の破片と棺の中に完全な状態で横になったダンテの状態が対比され妙な感じを漂わせた。
最初はダンテの遺体を確認し、それを処理するつもりだった。
しかし、カシスは結局、ダンテを棺の中に置いたまま部屋を出ていく。
「お兄ちゃん、今になって来たの?」
ベルティウムを離れてユグドラシルに再び到着した時、忙しく動いていたシルビアが一番先にカシスを迎えてくれた。
ペデリアンの人々はまだ家門に帰らず、ユグドラシルに残って負傷者の世話をし、過去の事件の後始末などを担当している。
本来はユグドラシルの使用人たちがしなければならないことだったが、今回のことで人々が大挙死んでいったうえに、また被害状況があまりにも大きかったために各々の家門にいた使用人たちを呼び集めても人手が多く不足しているのだ。
「人がずいぶん減ったね」
彼は追撃隊と共にユグドラシルの外に抜け出した人形を全て整理した後、まもなくベルティウムに行かなければならなかった。
そのようにカシスが席を外している間、ユグドラシルは閑散としていた。
「ほとんどが自分の家に帰ったよ。ロクサナさんも日の出前に出たし、黒の首長も残った人たちを持って行ったわ」
そしてシルビアは付け加えた。
「オルカ・フィペリオンもいないし」
シルビアもオルカについての噂を聞いて知っている。
たとえユグドラシルの中に密かに広がった噂にはロクサナの名前がなかったが、シルビアは勘で噂の主人公が誰なのか気づいた。
カシスの目に一瞬寒気が走る。
幸いなのか不幸なのか、カシスがそのことを知った時、オルカはすでに誰かが別に手を使う必要さえない状態だった。
カシスは彼の体を蚕食した毒がロクサナのものと同じだという事実を難なく悟る。
すでに彼女自ら解決した問題に彼が割り込むことを口クサナがありがたく思わないかも知れないので、ひとまずカシスはユグドラシルを離れる前までオルカを放っておいた。
あの時ほどアグリチェの問題で部外者と同じである自分の位置が不快に感じられた時はない。
それでもロクサナがまもなくユグドラシルを離れるという事実をカシスも知っていた。
それでベルティウムに行ってきたら、別にオルカを見る機会ができると思った。
しかし、こんなに早く席を立つとは。
なんとなく残念な気持ちになったのは、一人だけの秘密。
「負傷者たちはどう?」
シルビアは少し前に話したことをもっと話したがっているようだった。
しかし、カシスがこれ以上話してくれないことを知って、ひとまずこの辺で満足することにして諦める。
「少しずつ良くなっている人もいれば、良くない人もいる。みんなそうだよ」
シルビアの表情はあまり良くない。
状況が深刻なのはカシスも知っていたので、そのようなシルビアを理解することができた。
とにかく、これまで綺麗に育ってきたシルビアが険しい姿を見るようで気になったが、リセルとジャンヌはユグドラシルに留まると頑強に主張する娘を止めなかった。
カシスも同じだった。
彼はシルビアの荷物を肩代わりして一緒に医務室に向かう。
怪我をした人があまりにも多く、医務室がある建物自体が病棟として使われていると言っても差し支えなかった。
ペデリアンには治癒能力があったが、彼らはそれを使わなかった。
リセルが力を使わないのは、やはりカシスが生きながら何度も入ってきた理由と同じ。
人は道理に従って生きなければならないということ。
カシスが知る限りでは、リセルが自分の力を使ったのは、幼い時にシルビアを助けた時が唯ー。
そして、リセルはそのことをずっと心に烙印のように刻み込んでいた。
数日前、瀕死状態のノエル・ベルティウムを起こした理由も人形によるより多くの被害が生じることを防ぐためだっただけで、リセルはノエルにそれ以上の治療をすることはなかった。
その上、このような状況で力を誤って使っては、ややもするとより大きな混乱と不和の芽になりかねない。
医務室に到着するやいなや、あちこちから苦痛に濡れた音が聞こえてくる。
シルビアの顔色はいっそう暗くなった。
シルビアはリセルやカシスのような治癒能力を使うことができない。
彼女に継承されたペデリアンの力は基本的な浄化能力だけだったからだ。
彼女はそれとなくその事実を残念に思っているようだった。
どうせ治癒能力があったとしても、父親のリセルとペデリアンの方針によってそれを使うことが許されなかったはずなのにだ。
もちろんカシスのような異端もあるけれど。
実際、リセルとカシスはどちらも矛盾していることを知っていた。
高潔、正義の守護者、公明正大で清廉潔白な審判者。
これまでぺデリアンを修飾してきた言葉だったが、結局彼らは目の前で死んでいく人々に背を向けていた。
「お兄ちゃん」
前で何だかぐずぐずしていたシルビアがカシスを呼んだのはその時だった。
「ニックスは・・・本当に死んだの?」
「・・・」
躊躇いがちな質問を聞いて、カシスはしばらく黙っていた。
そうするうちに彼は口を開く。
「どうだろう」
「それは・・・!」
「落ちる」
カシスが吐き出すように流した言葉を聞いて、シルビアが両目を丸くする。
動揺する気持ちが行動にまでつながり、危うく持っていたものを床に落とすところだった。
カシスがそれを捕まえてシルビアに渡す代わりに自然に受け入れた。
カシスはしばらくあたりを見回しながら口を開く。
「シルビア」
カシスは自分が持っていた物を運んでもらうシルピアの手を握った。
一度もやったことのないことだったが、もしかしたら同じぺデリアンのシルピアになら可能かも知れない。
すぐに触れ合った手を通じて、カシスの力が一部伝わった。
「まさかこれ・・・」
シルビアもそれが何であるかに気づく。
彼女は驚いて目を丸くした。
カシスは何かあったかのようにシルビアの手を離し物を渡した。
しばらくあたりを見回しながら、彼女はカシスに声を落として囁く。
「ありがとう。バレないように気をつけて大切に使うよ」
決意が込められた目つきを見ると、力を無駄に使うことも、またリセルが憂慮することもなさそうだった。
カシスはシルビアを中に入れた後、席を離れる。
その後、彼は再びユグドラシルを離れた。
ベルティウムに発つ直前まで、カシスはロクサナとまともな話を交わすことができなかった。
その間になかったからだ。
それであの日、ロクサナとデオン、ニックスの間に何があったのかも彼女の口から聞くことができなかった。
しかし、カシスはユグドラシルを離れたロクサナがすぐにアグリチェに戻らなかったという事実を知っている。
それに加えて、デオン・アグリチェとニックスが今どんな状態なのかも分かっていた。
口クサナはおそらく最後までカシスにそんな話をするつもりはなかっただろう。
それもやはり彼女の選択であることが分かった。
それなら、これはカシスの選択だ。
太陽を浴びた金色の瞳が金属性の感じで輝いた。
カシスは中立区域の市街地に向かう。
ニックスの状態は非常に危険ですね。
いつ崩壊してもおかしくないようです。
カシスの選んだ答えが気になりますね。
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