ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜

ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜【261話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「ロクサナ〜悪女がヒロインの兄を守る方法〜」を紹介させていただきます。

今回は261をまとめました。

ネタバレ満載の紹介となっております。

漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。

又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

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どういう訳か小説の中の悪の一族、アグリチェ一家の娘「ロクサナ」に生まれ変わっていた!

アグリチェは人殺しをものともしない残虐非道な一族で、ロクサナもまたその一族の一人。

そして物語は、ロクサナの父「ラント」がある男を拉致してきた場面から始まる。

その拉致されてきた男は、アグリチェ一族とは対極のぺデリアン一族のプリンス「カシス」だった。

アグリチェ一族の誰もがカシスを殺そうとする中、ロクサナだけは唯一家族を騙してでも必死に救おうとする。

最初はロクサナを警戒していたカシスも徐々に心を開き始め…。

ロクサナ・アグリチェ:本作の主人公。

シルビア・ペデリアン:小説のヒロイン。

カシス・ペデリアン:シルビアの兄。

ラント・アグリチェ:ロクサナの父親。

アシル・アグリチェ:ロクサナの4つ上の兄。故人。

ジェレミー・アグリチェ:ロクサナの腹違いの弟。

シャーロット・アグリチェ:ロクサナの妹。

デオン・アグリチェ:ロクサナの兄。ラントが最も期待を寄せている男。

シエラ・アグリチェ:ロクサナの母親

マリア・アグリチェ:ラントの3番目の妻。デオンの母親。

エミリー:ロクサナの専属メイド。

グリジェルダ・アグリチェ:ロクサナの腹違いの姉。

ポンタイン・アグリチェ:ラントの長男。

リュザーク・ガストロ:ガストロ家の後継者。

ノエル・ベルティウム:ベルティウム家の後継者

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261話 ネタバレ

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登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • もう一つの始まりの直後の話

晴天の初夏の午前。

マリアは明るい顔をしていた。

その明るい表情から分かるように、最近彼女の気分はとてもいい状態だった。

それは息子のデオンが昏睡状態から覚めたためだ。

「ベス、薬をこの量でちょうだい」

今日もマリアはデオンに直接薬を持って行こうとしていた。

ベスはデオンが目覚めた後、マリアの命で彼に食べさせるあらゆる補薬を用意しなければならなかった。

「言われた通りにしたんだろうね?」

「はい、定量の5倍です」

マリアはデオンを今にも起こそうとしているかのように彼に精魂を込めていた。

「ところで、薬効が高すぎるのではないでしょうか?」

「デオンには普通の薬が通じないから。全部体に良いものだけを集めて煎じた薬だから大丈夫」

「はい・・・」

「これからもデオンに入る薬は何でも惜しまないようにしなさい。そうしてこそ一日も早く席を外して起きるじゃないか」

誰かが見ていたら、実に感動的な慕情だと思ったかも知れない。

しかし、ベスはマリアの下心が何かを知って、密かに舌打ちをした。

実際、マリアは急いでこの家からデオンを片付けることに興奮していた。

今このように一日も早くデオンを治そうと努力する理由も、早く彼を家から追い出したいからだ。

そして今度こそシエラと穏やかに平穏な日々を送るつもりでマリアは焦っていた。

「ベス、一人でいるの?」

マリアがデオンの部屋に行ったとき、シエラが現れる。

「シエラ様、他に何かご注文はございますか? 」

「いいえ、そんなことはないよ。エミリーが見えなくて聞いてみたの」

「エミリーといえば、おそらく・・・」

ベスの話を聞いて、シエラは家の外に出た。

エミリーは最近よく席を外している。

もちろん頻繁にではなく、非常に時々と言えるが、ロクサナの命によりいつもシエラのそばを守っていた彼女らしくない行為だ。

少し歩くと、開けた野原が現れた。

エミリーはその中で最も高い場所に立って遠いところを眺めていた。

「エミリー、一人で何をしているの?」

シエラの声を間いてエミリーは首をかしげた。

彼女はすぐにシエラに近づき、頭を下げる。

「勝手に席を外してすみません、奥様」

「私は叱るつもりで来たわけではないのに」

すると、エミリーが先ほどシエラが聞いたことを思い出したように着実に答えた。

「しばらく風に当たっていました。マリア様とベスがいるので、しばらくなら大丈夫だと思っていたのですが、私が判断を間違えたようですね」

彼女は相変わらず無表情な顔をして自分の行動を反省した。

「どんなに近い距離でも、このように一人で動くのは危険かもしれないので、今度は必ずベスでもそばに置かなければなりません」

そして、付け加える言葉を聞いて、シエラはかすかに笑った。

「サナもそうだし、あなたも私を過保護にする傾向があるわ」

彼女はエミリーの前に立ってあたりを見回す。

低く吹く風が膝のあたりまで上がってきた草を掃きながら通り過ぎた。

「エミリー」

「はい、奥様」

「あなたもここにしばらく滞在しているわよね」

その言葉から何かを感じたせいだろうか。

エミリーは伏せていた視線を上げ、シエラの顔に向き合った。

シエラも目を動かしエミリーを見る。

そして、依然として薄い笑みを浮かべた唇を開けて質問した。

「私に言うことがないの?」

「・・・・」

エミリーの瞳が静かに向き合った顔を見つめる。

そうするうちについに固く閉ざされていたエミリーの唇が開かれた。

「すみません」

突然の謝罪だったが、彼女の心に早くから気づいていたシエラは慌てなかった。

静かな低い声が草の上をよぎる。

「ロクサナお嬢様の命を・・・これ以上守ることはできなさそうです」

口クサナがアグリチェを離れる時、エミリーに命令したのは、何があってもシエラのそばで彼女を守れということだった。

エミリーはこれまで主人の命令に忠実に従ってきた。

しかし、ここに訪れたロクサナに再び会った後から、エミリーの心には浅い風が起き始めたのだ。

やはり彼女がいるべきところはここではなかった。

毎日口クサナが去った場所を見ていたが、エミリーはついに自分で決断を下した。

結局は引き受けた任務を全うできず命令に不服従することだったので、シエラが彼女を叱ったり生意気だと悪口を言っても当然だ。

「どうして謝るの?君の主人は私じゃないじゃない?」

しかし、シエラはむしろエミリーを見て優しく笑ってくれた。

「行ってもいいんだよ、エミリー」

その慈愛に満ちた温かい顔を見てエミリーは頭を下げる。

「口クサナにもよろしく伝えてね」

初夏の暖かい風が彼らの頭を駆け抜けていく。

こうしてエミリーは彼女の唯一の飼い主がいる場所に戻るために旅立った。

明るい日差しがそんな彼女を優しく見送ってくれた。

 



 

デオンはベッドにもたれかかり窓の外を見た。

このようにすることのない日常を送るのは昨年の冬以降2回目だったが、このような生活には全く適応できない。

彼の枕元にはマリアが置いていった薬があった。

マリアは自分を無視しようと無理やり薬を飲ませようとしたが結局諦めて部屋を出て行った。

突然熱と誠意を尽くして彼の世話をしようとするマリアが不慣れだった。

しかし、それが自分のためではないという事実を知っていたので、デオンは動揺していない。

体の回復は遅かったが、それでも毎日少しずつ良くなっている状態だ。

もちろん、ユグドラシルで切断された左腕は再び回復することができなかった。

呪術を用いるなら、切られた腕をつけることも可能かもしれないが、それも身体の欠片を保存している場合に限る。

彼の左腕はあの日の乱入の中で他の人形の残骸と一緒に処理された確率が高かった。

デオンは包帯を巻いた腕をちらっと見下ろす。

アグリチェにとって身体の一部を失うことは非常に致命的な弱点に該当した。

しかし、傷つくことに・・・あの日人形たちの攻撃に切られたのが自分の腕でむしろ良かったという気がする。

そうするうちにふと、デオンはアシルの人形がどうなったのか気になった。

あの日、赤い夕焼けの野原の上で彼と対峙した時、明らかに先に力を解いたのはデオンだった。

彼に向かって走ってきた鋭い金属が肌に触れた感じがまだ生々しく残っている。

たとえその瞬間、ロクサナの毒蝶に流されてすべての感覚が遠くなっとしても、まさかあの時にアシルの人形が死んだはずはないと思った。

・・・デオンまで助けたロクサナだったから。

必ずしもそのような理由でなくても、なんとなくその知り合いの人形が今生きているのが確実だという漠然とした感じがした。

では、ロクサナは今、彼と一緒にいるのだろうか?

ここでの滞在中、デオンはシエラを見たことがある。

あの顔を確認した時、どうやら彼女はアシルの人形についてまだ知らないようだった。

もちろんデオンが知っているロクサナならシエラにそんなことを言わないようにしただろうが。

開いた窓から入ってきた風が部屋の中をぐるぐる回る。

白いカーテンが水の流れのように視界から揺れた。

それを見ると、先日ここを訪ねてきたロクサナの姿が再び目の前にかすかに現れ、目を一度瞬かせた瞬間、跡形もなく姿を消した。

デオン自らも自分が図々しいと思ったが、それでも彼は相変わらず口クサナのそばにいたかった。

しかし不思議なことに、これ以上は彼女のそばにいる他の人を殺したくなかった。

なんとなくその日、デオンの中にじっと溜まっていた何かが一握り抜け出したようだった。

もしかすると、ロクサナはそんなデオンの心を見抜いて、これからの彼なら彼女に必要なことがあるかもしれないと言ったのかもしれない。

しかし、実際、これまでのデオンが犯したことは、今後も決して消えるはずがないものだ。

彼が自分の手でロクサナの兄であるアシルを殺したのは不変の過去だったからだ。

それでもロクサナはデオンにそばにいても良いと許してくれた。

そして今、デオンは本当に似合わないけど・・・。

『だから、もう少し生きて』

そんな彼女のために生きたくなった。

今度は本当に彼女にとって必要な存在になって。

ロクサナの言葉のように、これから一生彼女に許されなくても。

『あなたが今より殺す価値がある人になったら、その時に私の手であなたを終わらせてあげる』

そうして、ずっと前から自分でも知らないうちに肩の上に背負っていたこの重い罪の刑罰を、ようやく迎えることになる日が来るまで。

その日が来れば、デオンは喜んでロクサナの前にひざまずいて、彼女に首を差し出すだろう。

アシルの死の前で見えたような涙を彼女が流すしてくれることを敢えて望んではいなかった。

代わりに・・・いつか来るその日、いっそロクサナが彼女の手に死んでいく彼を見て喜んで笑ってほしいと・・・今回もやはりひどくも似合わない考えをしながら、デオンは窓の外の空を眺める。

果てを計り知れないほど限りなく濃い青。

その青い光がデオンを照らしていた。

その鮮やかな青さになんとなく目の前が遠くなり、結局デオンは窓の外を長く見ることができずに首を回してしまう。

 



 

ユグドラシルでの大会議は3日間も続いた。

特に長く感じられた時間が過ぎた後、一堂に集まった各家門の代表たちは再びバラバラになる。

ロクサナとジェレミーもユグドラシルを去るために、あらかじめ待機させておいた馬車がある場所に移動した。

「遅かったね」

ところが、そこには先に来ていた他の人がいた。

アグリチェの馬車に寄りかかるように立っていたカシスが、目の前に現れた二人を見て上体をまっすぐに立てる。

ロクサナも彼を見て足を止めた。

まるで彼らを待っていたかのように迎えるカシスに向かって、ジェレミーが荒唐無稽さを込めた声を吐いた。

「なんだ?そっちがなんでここにいるんだ?」

「当然、同行しようと待っていたのではないか」

「それぞれ道が違うのに同行とは?」

口クサナとの楽しい時間を待っていたジェレミーは、一瞬でイライラする。

しかし、彼が顔を歪めていようがなかろうが、カシスは淡々とした口調で答えた。

「どうせ今すぐアグリチェに戻るわけでもないじゃないか」

「・・・」

ジェレミーはその言葉に口をつぐんだ。

もしかして、ロクサナがカシスに話したのではないかという考えで、少し落ち込んで首をかしげたが、次の瞬間に確認したロクサナの顔にも困っていた。

「・・・どうして分かったの?」

ロクサナがカシスに同行を勧めたのではないことを知って、ジェレミーはすぐに元気を取り戻す。

実は、彼らはユグドラシルでの仕事が終わったらニックスを探しに行くつもりだった。

彼がすでに死んだら遺体でも回収し、生きていれば・・・その後のことはその時になって考えてみることにした。

「分からないわけがない」

ロクサナの問いにカシスはつぶれるように低い笑いを吐いてしまう。

彼女は初めて会った瞬間からいつもそうだった。

3年前のアグリチェでも、ロクサナはラントの手から彼を救った。

昨年の冬には対峙するアグリチェとぺデリアンの人々の間に毒蝶を送って不必要な死傷者が出ないように防ぎ、今回のユグドラシルでも先頭に立って魔物を防いだのに続き、人形のために危険に直面した他の人々にカシスを送ろうとした。

そしてその後もついにデオンとニックスを生かすために動いた。

そんな彼女だから。

きっと今回もニックスを簡単に諦めないだろう思ったのだ。

そんなロクサナに仕方なく気の毒で切ない気持ちになったりもした。

それでも一つ幸いなことは、ニックスを最後に見た時、最初から成果がないわけではなかったという点だ。

治癒はできなかったが、ニックスの体は今、呪術なしでも崩壊速度が遅れているはずだ。

そのため、まだ生きている可能性が高かった。

カシスは苦笑いを浮かべながらロクサナに向き合った。

ふと、ぺデリアンで彼女と一緒に過ごした時間が脳裏をよぎる。

そんなに昔のことではないのに、なんとなく当時の記憶が遠く感じられた。

あの時、カシスはロクサナがどこにいても、彼女を必ず見つけて再び自分のそばに連れてくると言った。

ニックスを連れてベルティウムから脱出する時も、彼女に望むことは何でもしろと言っていた。

そして、いつも彼女のそばにいるとも約束した。

しかし結局、今ロクサナはアグリチェに、カシスはぺデリアンにいなければならないのが彼らの現実。

彼らはそれぞれの立場でやるべきことがあったし、カシスはロクサナが歩く道を塞ぎたかった。

それで彼は心を固めた。

ロクサナがカシスのところに来られないのなら、自分が彼女のそばに行くつもりだと。

今すぐやるべきことを終えて、ある程度状況が整理されたら。

先日、アグリチェにロクサナに会うために訪れた時、カシスはそのような決心をしていたのだ。

「それでも私がいるのが役に立つと思う。ニックスはまだ私の元気が残っているかもしれないから」

カシスはロクサナを直視しながら言った。

「だから一緒に行かせてくれ」

すると、彼の顔に静かな視線がしばらく留まる。

そうするうちについにロクサナが仕方ないというようにため息に似た小さな笑いを流した。

すぐに彼女の視線は隣にいたジェレミーに向けられる。

「ごめん、ジェレミー。カシスも同行してもいいかな?」

「も・・・もちろん。姉ちゃんの思い通りにして」

隣にいたジェレミーが一瞬、空が崩れたような表情をする。

それでも彼はロクサナが自分を振り返る瞬間、辛うじて微笑むことに成功した。

もちろん、ロクサナの覗線が再び移った後、突然割り込んできたカシスを殺すように睨みつけたがだ。

「じゃあ、行こう。手遅れになる前に」

結局、3人は一緒にユグドラシルを離れる馬車に乗った。

ロクサナは時々彼女を取り巻くこの話が悲劇なのか喜劇なのか紛らわしい時があった。

しかし、人生とはもともとどちらか一方に明確に区分することができないものだ。

死ぬまでは何一つ完全に終わらないのだから。

ただ、廃墟になった土地にも間違いなく次の季節は訪れ、乾いた大地にも再び芽を出して蘇生するものがある。

夜の闇が終わって再び訪れたまぶしい光の中で、そうして彼らは新しい出発のための第一歩を前に踏み出す。

何かを始めるのにはいい天気だった。

 

<完結>

 



 

デオンも生きる決心をしたようですね。

ロクサナはこれからニックスを探す旅へ。

この後、おそらくエミリーも合流することでしょう。

いずれはシルビアも同行するのではないでしょうか?

ここからの旅も非常に気になりますが、物語はこれで終わりを迎えました。

 

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