こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は302話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
302話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 氷の騎士ヒュレルバード②
主君の復讐をしなければならないという一念もつかの間、そんなヒュレルバードの勢いに押された騎士たちが躊躇った。
それは本能だった。
心は復讐を叫んだが、ヒュレルバードが見せてくれた圧倒的な無為は彼らの体を硬直させていた。
「こうしている場合ではない。彼を救わなければならない。早く!」
リンドン伯爵は急いで騎士団と傭兵を動かす。
ホイット公爵を殺すことに成功したが、そのためヒュレルバードは敵陣深く入ってしまった。
数十人に及ぶ騎士たちに包囲された以上、ヒュレルバードといっても持ちこたえることができない・
ヒュレルバードは自分を救うためにこちらに向かうリンドン伯爵を見た。
すべては計画どおりだ。
ホイット公爵を殺して敵陣の真ん中に自分が席を取ることで、多くの騎士の足を縛ることができた。
それはリンドン伯爵に集中する危険性を大幅に減らせるということに他ならない。
ただ、一人で多数の騎士を相手にしなければならない危険負担も大きかった。
しかし、ヒュレルバードは自分の安全などは考慮しなかった。
リンドン伯爵の救出を求めるエレナの命令だけを考えていたのだ。
そのためには、一気に敵陣に入り込んで首長の首を切るのが最も実用的で確実な方法。
ヒュレルバードは剣から血を払い落とし、祈りを締めくくる。
(お嬢様が不便を感じないように)
間もなくエレナは戦場に到着するだろう。
ヒュレルバードはなるべく血まみれの戦場をエレナに見せたくなかった。
「ああ、なんてこった!」
遅れて到着し、戦闘に参戦したベルは、ヒュレルバードから目を離すことができなかった。
ヒュレルバードは敵陣の真ん中で敵を蹂躙するように暴れ回っている。
小説で見たけど、単身で戦況を百八十度変えたのを目撃したのは初めてだった。
ベルは前腕に鳥肌が立つのを感じる。
シアンとリンドン伯爵の命令でサロンを行き来することが多かった彼は、ヒュレルバードとたびたび出くわした。
形式的な挨拶だけを交わしたので、それほど関心を持たなかった。
彼を一度も強者だと感じたことがなかったから。
むしろ、あまりにも平凡で、内心では見下していた。
今日になって、それがどれほど大きな錯覚であるかを悟った。
ヒュレルバードは、「自分のような平凡な騎士は、足先すらついていけない強者だ」ということを・・・。
「コッ!」
ヒューレルバードの剣が軌跡を描くと、騎士団長がよろめく。
死んだホイット公爵の復讐をしようと先頭に立って攻撃していた彼が餌食に転落してしまったのだ。
鉄製の鎧までまとって血まみれになった胸を丸見えにした騎士団長が血を吐いて倒れる。
「ひ、引き下がるな。公爵様と団長様の復讐をしよう!」
副騎士団長が騎士たちを督励し、さらに力を入れてぎっしりと取り囲んだ。
飛び這う剣術を持つ人間である以上、背後からの攻撃に脆弱にならざるを得ないためだ。
しかし、ヒュレルバードは動揺したり退かなかった。
むしろ前に進むことを選んだ。
ヒュレルバードの目つきに殺気が漂い、あっという間に距離を縮めながら飛び出す。
「はっ!」
副師団長が慌てて息を呑み込み、雷のように落ちる一撃を反射的に防いだ。
「今だ、打て!」
奇襲を防ぐことに成功した副騎士団の叫びに、騎士たちがヒュレルバードを襲う。
ベルの顔色が青くなった。
あのような状況ではお手上げだろう。
しかし、心配は杞憂に過ぎなかった。
ヒュレルバードは攻撃を阻止するつもりはないようだ。
前進。
ひたすら進むだけだった。
「や、ヤバい!」
ヒュレルバードは副師団長に向かって猛烈に剣を振り回す。
一撃を防ぎ、油断していた副騎士団長は、ようやく剣を受け、後ろの足を蹴った。
彼が怖がって退けば退くほど、ヒュレルバードに対する包囲攻撃は緩んでいく。
「あっ!」
執拗に急所を狙うヒュレルバードの攻撃に、結局、副騎士団長はみっともなく悲鳴をあげ、心臓を突き抜けてしまった。
「副団長!」
騎士たちが急いで叫んだ時、副騎士団長はすでに生きた人ではなかった。
彼の死が及ぼした影響は大きい。
ホイット公爵に代わって騎士団を統率する団長と副団長を失うと、騎士たちは右往左往した。
氷のように冷たくて無心なヒュレルバードの目つきが、自分の体に触れた瞬間、死ぬかも知れないという恐怖が急に感じられたためだ。
ヒュレルバードは、ホイット公爵から騎士団長、そして副騎士団長まで、執拗に指揮者だけを狙った。
結果的にそのようなヒュレルバードの狙いは的中した。
勢いに乗ったリンドン伯爵と騎士、傭兵たちが後尾で無差別的な攻勢を浴びせ、隊列を崩す。
勢いが衰えたホイット公爵家の騎士は抵抗することすら考えられず、阻止することだけに汲々としている。
それさえもままならないようで、一人二人と悲鳴をあげながら死んでいった。
残った騎士の数をすべて合わせても20人余りだ。
「ホイット公爵家の騎士団は聞け」
勝機をつかんだと感じたリンドン伯爵が進んで交渉を促した。
「今退けば、ホイット公爵の遺体を収拾して帰れるようにしてやる。しかし、断ったら一人も生きて帰れないだろう。どうするか?」
気持ちとしては、敵の全てを屠殺したいのがリンドン伯爵の心情だ。
彼らに死んだ騎士たちの魂を慰めるだけでなく、もしこのまま生かしておけば後患になる可能性が大きかった。
(もっと遅くなる前に殿下の元に行かなければならない)
しかし、今重要なことは急いで皇太子のところに行くことだった。
すでに予定の合流時間より遅れている。
フランチェ大公が率いる精鋭騎士団と戦力の差を勘案すれば、一刻も早くここの状況を終え、シアンを助けに行くのが優先だ。
「・・・退きます」
「行け」
騎士たちがホイット公爵の遺体を収拾し、凱旋門の街を離れていく。
「行ったか・・・」
リンドン伯爵は安堵のため息をつく。
思いがけない不意打ちにより、大きな打撃を受けた。
ヒュレルバードの助けがなかったら、全滅していただろうと思うと、今もくらっとした。
「リンドン伯爵様」
血まみれの現場と似合わないか弱い声にリンドン伯爵の頭が回る。
「L」
白馬に乗った女性はエレナだった。
もしかすると戦闘の邪魔になるのではないかと思い、時間をかけて現場を訪れた彼女の表情は沈鬱だ。
(私のミスで多くの方が・・・)
エレナは唇を強くかんだ。
ホイット公爵の介入に気づかなかった自らの安易さに対する自責だった。
「お嬢様」
血まみれになったヒュレルバードが近づいてきて礼儀をわきまえる。
氷よりも冷たい表情で剣を振り回していた姿は、目を洗って見られないほど丁寧で優しかった。
「命令された通り、リンドン伯爵様を救いました」
「お疲れ様でした」
ヒュレルバードは頭を下げる。
その一言で十分だ。
エレナの自分への一言なら、命をかけても惜しくなかった。
「遅くならなくてよかったです」
「そうですね」
うなずくリンドン伯爵の視線は、エレナが乗った白馬のそばに立っているヒュレルバードから離れない。
戦場を縦横無尽に動いていた超人が、彼女の前であんなに従順な姿を見せるのが驚いたからだ。
「立派な騎士をそばに置きましたね」
「私にはもったいない騎士です。いつもそばを守ってくれる卿に感謝しています」
エレナはかすかに微笑んだ。
「こうしている暇はありません。急いで殿下の元に行かなければなりません」
感性に浸るのもつかの間、エレナは現実に帰ってきて伯爵を催促する。
状況の緊急性を認知していたリンドン伯爵も同調した。
「すぐに動きます」
一秒のためらいもなく馬を駆り、凱旋門の街を離れた。
(遅くならないように・・・)
エレナは心配事を飲み込んで馬のスピードを上げる。
ヒュレルバードの活躍が見れて大満足です!
一人で戦況を覆す実力。
このまま救援に向かうことができれば、大公家とも対等に戦えるのではないでしょうか?
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