こんにちは、ピッコです。
「影の皇妃」を紹介させていただきます。
今回は303話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
フランツェ大公の頼みで熱病で死んだ彼の娘ベロニカの代わりになったエレナ。
皇妃として暮らしていたある日、死んだはずの娘が現れエレナは殺されてしまう。
そうして殺されたエレナはどういうわけか18歳の時の過去に戻っていた!
自分を陥れた大公家への復讐を誓い…
エレナ:主人公。熱病で死んだベロニカ公女の代わりとなった、新たな公女。
リアブリック:大公家の権力者の一人。影からエレナを操る。
フランツェ大公:ベロニカの父親。
クラディオス・シアン:皇太子。過去の世界でエレナと結婚した男性。
イアン:過去の世界でエレナは産んだ息子。
レン・バスタージュ:ベロニカの親戚。危険人物とみなされている。
フューレルバード:氷の騎士と呼ばれる。エレナの護衛。
ローレンツ卿:過去の世界でエレナの護衛騎士だった人物。
アヴェラ:ラインハルト家の長女。過去の世界で、皇太子妃の座を争った女性。
303話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 怪物
バスタージュ邸。
病臓器の音とともに鼻を突く生臭い血の香りが漂っていた。
戦力の差を克服できず、一方的に虐殺されるという予想とは違って、押される側は大公家の騎士団だった。
(強いとは聞いていたが、これほどとは!)
第2騎士団長ジェームズは剣をぶつけた瞬間、伝わってきた振動に今までも手が震えた。
レンは1匹の飼い慣らされた野獣。
剣の形式や規格にとらわれず、動物的な動きで剣を振り回している。
それがなかなかややこしいことではなかった。
いや、気難しくさえあれば幸いだ。
予測不可能な剣に大公家の騎士たちはお手上げだった。
帝国最高の精鋭騎士という名声さえ色あせるほど、騎士たちはレンの剣で死んでいく。
(挟み撃ちをしなければならないのに)
ジェームズはレンを包囲して一気に制圧したかったが、状況が思わしくなかった。
バスタージュ家の騎士たちがレンを中心に陣形を成して孤立することを徹底的に遮断した。
邸宅の中に身を隠しているマジェスティ組織員たちの石弓を利用した支援も見逃せない。
援護の中、レンは飢えた猛獣のように猛烈に暴れ回っていた。
レン一つも制圧が容易でない状況で、周辺の助けまで受けて困惑したのはジェームズと第2騎士団員の方だった。
後尾の状況もさほど変わらない。
(皇居近衛隊がこれほど強かったのか?)
第1騎士団長のフェリンは、予想外に強い敵の抵抗に舌を巻いた。
新設されたばかりの皇宮近衛隊の武力がどの程度なのかは、対外的に知られていることはほとんどなかった。
近衛隊員の大多数が家門から捨てられた庶子や地方貴族の子弟、さらには平民まで属しているという噂だけが盛んだった。
(いや、皇居近衛隊の剣術は大したものではない。すごいのは、皇太子さまだ)
第1騎士団長のフェリンは冷静に状況を把握する。
客観的に見ると、皇居近衛隊の剣術はそれほど優れていない。
体系的でもなく、個々人の偏差も大きい。
大公家の騎士と個々人を比較すると、一手から二手は下の実力だ。
にもかかわらず、大公家の第1騎士団が押されている。
その差を作り出したのはシアンだ。
レンが個人の武威を最大に引き出して活躍できるよう支援を受ける状況ならば、シアンは逆に自身の剣術を土台に皇宮近衛隊の底力を倍以上引き上げることに主眼点を置いた。
個々人の実力で大公家の騎士に押される皇宮近衛隊員の危急な状況を求めたり、絶妙なタイミングに入り込んで挟撃を加えて相手を制圧する。
「陣形が崩れないようにしろ!ポール卿、ベニー卿、右に行け!」
シアンはその中でも優れた統率力を誇って包囲網が崩れないように気を使った。
自分が目立つよりは皇宮近衛隊の被害を最小化しながら、効率的に多くの敵を相手にするための方法を選択する。
シアンだからこそ可能なことだった。
剣術教本にしたいほど無駄のない孤児な剣術を駆使し、状況を読む能力と冷静な状況判断能力まであまねく備えたためだ。
「ウジがうごめくなんて」
ベロニカは不愉快そうな目で唇を歪める。
大公家の騎士団を相手にするシアンとレンの活躍は、彼女もびっくりするほどだ。
そのためだろうか。
時間が経つにつれ、ヴェロニカの眉間がゆがんだ。
自分の前にひざまずいて命乞いをしても足りない状況で、気が気でいっぱい暴れる姿を見ると、心がゆがんだ。
「ジェームズ卿、あの反抗的な目つきをいつまで見ればいいですか?」
「予想より抵抗が激しくて・・・」
「言い訳しないでください。それはあなたが無能だという話だから」
「申し訳ありません。すぐに処理いたします」
第2騎士団長のジェームズはヴェロニカの磨き上げに剣を取り直した。
ジェームスは落ち着いて機会をうかがう。
援護を受けているが数的に劣勢なので、レンとバスタージュの騎士たちの間隔が広がる時、その時を狙うつもりだ。
「今!」
ジェームズは飛び出し剣を伸ばす。
深く入ってきたレンを狙った一剣だ。
「公子様!」
後ろに立っていたメルが不意打ちに気づいて急いで叫んだ。
その時はすでにレンの心臓にジェームズの剣が触れた。
(成功だよ)
レンはジェームズが確信した瞬間にくすくす笑う。
(笑ってる?)
死を控えて気が狂ったのではないかと思う時だった。
レンは剣をまっすぐにして、体をひねってジェームズの突きを押し出した。
人間の感覚とは信じられないほど動物的で本能に近い動作で。
ジェームスは奥歯を噛み締める。
奇襲は失敗した。
完璧な攻撃だっただけに動作が大きかった。
それを逃すのはレンではない。
防げなければ死ぬ。
その考えはジェームズを消極的かつ防御的にした。
その時、レンが地面を蹴って途方もない速度で飛び出す。
一瞬にして距離を縮めていたレンが低くつぶやいた。
「私の悪口を言われるようなことは大丈夫なんだけど・・・」
獲物に向かって怒った猛獣のように飛びかかるレンの動きは広範囲だった。
目の前に立ちはだかる騎士たちの剣をすべて投げ捨て、力いっぱい跳躍する。
「彼女を侮辱するのは我慢できない」
「・・・」
ベロニカの顔色が真っ青になった。
飛翔する鷹のように身を投げたレンの剣刃が彼女を真っ二つにする勢いで落ちていく。
完璧な奇襲だった。
ベロニカを護衛する騎士が2人もいたが、反応すらできなかった。
レンが死という恐怖に襲われるベロニカを見てにやりと笑う。
失敗は計算に入れていなかった。
知っていたとしても止められないほど、まともに虚をついたから。
レンの剣先がベロニカの心臓を串のように突き刺すように襟に触れた。
ベロニカは本能的に両目をぎゅっと閉じる。
その瞬間、剣先に乗って上がってきた重い振動がレンの全身を激しく鳴らした。
心臓に突き剌さるはずの剣先は、見慣れない何かにぶつかって方向を失う。
空中に浮かんでいたレンの体も同様に跳ね返った。
一般の騎士だったらバランスさえ取れずに散らばっていたはずだが、動物的な感覚を持っているレンは地面に滑るように着地する。
「伯父さん」
目をぎゅっと閉じているベロニカの心臓の近くに、大公家を象徴する模様が刻まれた黒い袋が入っていた。
帝国屈指の名剣であり、フランチェ大公の愛剣として知られるフランベルジュだ。
剣を収めるフランチェ大公の姿は淡々としていた。
皆がベロニカの死を既成事実として受け入れた状況でも、彼は動揺せず、簡単にレンの剣をを押し出してしまった。
「いい奇襲だった」
フランチェ大公は教えを与えるようにレンの剣を評価する。
(この展開は何だ?後ろの部屋は年寄りだと思ったらそうじゃないね?)
レンは剣を支えとして弾力的に立ち上がった。
指先に乗って伝わるびりっとした感じに顔をしかめる。
軽く剣をぶつけただけなのに、岩よりもっと重くて硬い感じを受けた。
これまで数多くの騎士と対練をしたが、このように重い剣は初めてだ。
怖がって縮こまっていた自分の姿が恥ずかしかったのか、ベロニカがさらに激しく反応する。
「おまえおかしくなったのか?よくも私を殺そうとするの?」
「狂った女はお前だ」
レンは肩をすくめて打ち返した。
その一方で、視線はフランチェ大公から離れなかった。
たった一度剣を突き合わせただけだが、フランチェ大公の強さは本物だった。
(勝算は断言できないな)
剣を握ったレンの手に汗がにじんだ。
生まれて初めてだった。
誰が来ても負けない自信があったのに、こんなに緊張するなんて。
「お父さん、あの子をどうにかしてください。もう我慢できません」
息巻いていたベロニカが我慢できず、フランチェ大公に文句を言った。
「そうでなくてもそうしようとしていたところだ」
フランチェ大公が馬から降りて地面を踏んだ。
年齢が顔負けするほど丈夫な体格の彼が威圧的に歩いてきて、傲慢な目つきでレンを見下ろす。
「光栄に思いなさい。この体の剣で死ぬことになるのだから」
「その言葉通りに返せばよかったのに」
レンはくすくす笑いながら姿勢を正し、緊張した。
全力を注がなければならないほど強い相手だった。
ついにフランチェ大公が動きました。
正直、実力は大したことないと考えていましたが・・・。
レンに勝算はあるのでしょうか?
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