こんにちは、ピッコです。
「政略結婚なのにどうして執着するのですか?」を紹介させていただきます。
今回は55話をまとめました。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
55話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 真夜中の事件④
ナディアが何かおかしいことを初めて感知したのは寝る直前だった。
布団から出る異臭。
もし前世の記憶がなかったら、新しい布団から出る臭いだろうと早合点して見過ごしていたかもしれない。
(この薬のせいで苦労したんだ)
前世でカレインが布団にいたずらをしたせいで、一晩中寝返りを打った記憶がある。
その時、大変苦労したナディアはその日、布団から漂った特有のにおいを覚えていた。
「キルッ?」
ノアがなぜ寝床に入らないのかと聞くように首をかしげる。
「この布団は使えないと思う。ちょっと待ってて。他の女中に新しい布団を持って来いと言う・・・」
ノアに答えていたナディアが戸惑った。
ふと、先ほどのカレインが言った言葉が思い浮かんだのだ。
『あなた、後悔するよ』
それにトーナメントで見た、敵意に満ちた目つきまで。
(たった一晩寝そびれるようにするのが、あの子が企てたことのすべてだろうか?)
本当にこれで終わりかな?たかが一晩寝そびれるようにするのが?
もしそれがすべてなら、静かにやり過ごすつもりもあった。
幼稚ないたずらにいちいち過敏な反応を示せば、自分の水準も同じになるわけだから。
(しかし他の目的があるとしたら・・・)
ナディアはじっくりと考え、頭を上げる。
どういう腹の中か知るためにはどうしても妹のリズムに合わせてあげる必要があるだろう。
「ノア、私の妹が何か面白いことを計画しているみたい。」
「キイ?」
「何をしようとしているのか一緒に調べてくれる?」
ナディアはベッドで眠る代わりに、ノアとソファに毛布をかけた。
そして夜明けが深まる時刻に起きて、わざと体が痒いふりをした。
カレインの息がかかったことが明らかに見える下女は、薬を持ってくると言って寝室を出て、案の定帰ってこなかった。
「私を外に誘うのが目的だったんだ」
あえて地下室に薬があることを言及したのを見ると、そこに誘引することが目的だったようだ。
その頃になると、カレインが描いたような絵が大体予想された。
寝室のドアを開けて顔を出すと、真っ黒で寂寅とした廊下が見える。
明かりなしではまったく移動できないほど暗かった。
(あの女中が私の動きを見守る所なら・・・そうだね、外だね。明かりを通じて私の移動経路を調べることができるから)
頭の中で計算を終えたナディアは、ノアの前足にろうそく一つを握らせながら言った。
あの階段を通って最後まで降りて、倉庫に保管されている物の間に身を隠せばいいんだって。
領地からここまで密かに隠れてついてくる知能ならその程度は可能だと思った。
成功すればおやつ禁止を撤回するという言葉にノアは羽をはたつかせて喜びを表わし、結局ナディアの想像以上によくやってくれた。
その成果が目の前にある光景だ。
バラジット公爵がぶるぶる震えている女中、ジェリーを低い声で圧迫した。
「あなたが私の娘がいなくなったと嘘をついたと聞いた」
「ああ、公爵様・・・」
「嘘で夜中に騒ぎ立てた理由が何なのか、正しいことを言った方がいいだろう」
「わ、私が確認したところ、た、確かに・・・ナディアお嬢さんが寝室にいらっしゃらなかったのですが・・・」
「ナディアが寝室から出てくるのは私の目で確認した。私の目が間違っていると言おうとしているのか?」
青ざめているジェリーの瞳が顔色のように見えなくてあちこち揺れていた。
助けを求めるようにしきりにカレインの方をちらりと見たが、そちらも同じ状況だ。
彼女の主人は白い顔で床だけを見下ろしていた。
どうすればこの状況を抜け出せるのかどうか頭を働かせているようだ。
(これは面白いね)
ナディアは興味津々に状況を観察することにした。
ジェリーはいつまで主人に対する忠誠心を守ることができるのだろうか?
「あの、私はただ、二番目のお嬢さんがいなくなったからといって、騒ぎ立てるだけだからといって・・・、命令にし、従っただけ、ですっ!」
・・・予想外に素早く本音を吐く。
確かに、家門の最高権力者である父親にかかった以上、他の方法もなかっただろう。
「あれはどういう意味だ、カレイン?」
「・・・」
「なぜ私が夜中に寝室を出たと嘘をつかせたのか、説明してくれる?」
ナディアはすっかり見慣れた既覗感を覚えた。
前世で数え切れないほどあったことだ。
庶出の姉に濡れ衣を着せようとする嫡出の妹。
運が良ければ避け、運が悪ければ無念に罰を受ける。
すべて父である公爵が傍観したために可能だったことだ。
しかし、今回、カレインは一線を越えた。
彼女は利用してはいけない情報を利用してしまった。
「・・・カレイン」
椅子に座った公爵が低い声で娘を呼ぶ。
地獄の溶岩が沸き立っているような声で。
「あなたとあなたの姉が仲が悪いのはよく知っていた。知っていながら黙認した。女の子たちの喧嘩に私が挟まるのもおかしいことだったから」
「・・・」
「いったいいつからだ?いつからその空間の存在を知っていたのか?」
「・・・お父さん、私が今日こんなことをしたのはすべてお父さんのためです」
「私のために?そう、みんな誤解だという言葉がお前の口からも出てくることができないようだね」
公爵が一度聞いてみようというようにうなずくと、彼女が鬱憤に満ちた声で話し始めた。
「お父さんも不思議に思ったことはありませんか?お姉さんの持参金のおかげでウィンターフェルの財政が回復し、お姉さんが結婚してから何代も占領できなかった城を占領しました!お姉さんがウィンターフェルを手伝っているという考えはしなかったですか?私が不思議に思ったことを父がやってみなかったはずがないじゃないですか!」
「・・・」
「どうしてお姉さんをそんなにも信じるんですか?何を見てそんなに信頼しているんですか!状況上、おかしいじゃないですか!私はただ父に警戒心を持たせるつもりだっただけです!お父さんのためだったんです!」
率直に言って、ナディアは少し感心した。
すべてが誤解だと言い逃れすることからはるかに進んだ対応だったのだ。
カレインは父親の前にどっかりとひざまずいた。
まるで姉が父に取引を提案したあの日のように。
「お父さんを思う私の心がお姉さんの心よりできなさそうですか?私は誰よりもバラジットと父親を愛しています!私がするすべてのことは家門のためのものだったんですって!」
「それでもしてもいいこととしてはいけないことがあるのだ!お前が家門の秘密をこんなふうに扱うから外部に流出するのではないか!」
「何を言って・・・」
やっと父親がどんな誤解をしているのか悟ったように、カレインの顔がさらに青ざめた。
「いいえ、違います。私が流出したのではないんですって!」
「そうだね、わざとこぼしてはいないだろう。うちの家門とお前は同じ船に乗った身だからだ。ただ、今日のように機密を軽く扱って、誤って流しただけ」
「私は本当に違います!信じてください、お父さん!」
「お前が意図したかどうかにかかわらず、お前のミスで敵対家門に大きな利盆をもたらしたわけだ。一体これをどうやって責任を負うつもりなのか?どんな経路で流出したのかと思ったら、灯の下が暗かったな」
その瞬間、ナディアは本当にカレインに感謝した。
自分が妹に感謝するようになる日があるとは想像できなかったが。
(本当にありがとう、カレイン)
これにより、父親は自分に対する疑念をもう少し払拭することになるだろう。
矢は自分の代わりにカレインに飛んでいくだろうから。
ほとんど泣きながら潔白を主張している娘を無視して、公爵はナディアに祝客令を下した。
口を開ける顔がひどく疲れて見えた。
「ナディア、あなたはもう君の部屋に帰れ。明日の朝すぐに侯爵のもとに帰ってもいい。もちろん、今日経験したことは秘密にしなければならない」
「はい」
ナディアは静かに頭を下げて執務室を出る。
後ろを向く彼女の背後に妹の泣き声と父親の叫び声がりんりんと響き渡っていた。
パカッ。
ドアを閉めて出てくると、侍女長が心配そうな顔で廊下をうろうろしているのが見えた。
ナディアは彼女が何が起こっているのか聞く前に先手を打った。
「今日のことは教えないほうがいいよ。もちろん、口に気をつけなければならない」
「肝に銘じます」
侍女長が緊張した顔で答える。
長い間、侍女長の位置を守っている人だ。
賢明な振る舞いがどんなものかは知っているだろう。
ナディアは寝室に戻ろうとしたが、ふと思ったので口を開いた。
薬のついた布団の上で眠ることはできない。
「ああ、私が急いで出てくるために寝具に水をこぼしたんだ。新しい布団を持ってきてくれる?」
「はい、少々お待ちください」
「ありがとう」
侍女長が新しい布団を取りに行くために1階に降りる。
その隙を狙って、ナディアは急いで自分の寝室に戻った。
ノアが戻ってきそうな気がしたのだ。
「キー!」
案の定、この賢い竜は自分の足でナディアの部屋に戻っていた。
持ち主が入ってきたことを確認したノアが、ちょろちょろと彼女に駆けつける。
自分が立てた功績を理解しているように、翼をずっと両側に広げた姿が本当に意気揚々としていた。
「キルク」
「ノア、よくやったわ」
ここまでついてきたことを発見した時は呆れて腹が立つこともあったが、これ見よがしに手柄を立てたのでこれ以上責めることができなかった。
ナディアはノアに果物を手に取り、頭を撫でる。
「あなた、思ったより頭がいいね。おやつ禁止令は今日から解除だよ」
「キイ」
その言葉にノアは羽をばたつかせながら喜んだ。
「前から感じてるんだけど、一般的なモンスターというにはちょっと頭がいいよね?」
人の言葉を教えれば、近いうちについて話すこともできるのではないかと思うほどだった。
いつかグレンが冗談交じりに言ったように。
「いや、人間とは口腔構造が違うので無理かな?」
いくらドラゴンだとしても、これほど知能の高い個体は報告されたことがないが、一体正体は何だろうか?
その上、過去にアルテア伯爵がレアを探査した時はノアを発見できなかった理由は何だろうか?
ノアの正体についてあれこれ仮説を思い浮かべていたナディアは、すぐに首を横に振りながら考えを打ち明けた。
今、彼女には伴侶用の正体よりさらに深刻に考えなければならないことが多く、多かったのだ。
「これで父の信頼を維持することには成功したから・・・早く次の段階に進まなければならない」
夜明けが深まっていた。
完全に父親の信頼を失ったカレイン。
ナディアの話す「次の段階」とは?