ジャンル、変えさせて頂きます!

ジャンル、変えさせて頂きます!【152話】ネタバレ




 

こんにちは、ピッコです。

「ジャンル、変えさせて頂きます!」を紹介させていただきます。

ネタバレ満載の紹介となっております。

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又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

【ジャンル、変えさせて頂きます!】まとめ こんにちは、ピッコです。 「ジャンル、変えさせて頂きます!」を紹介させていただきます。 ネタバレ満載の紹...

 




 

152話 ネタバレ

登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

  • 記憶喪失⑥

「それで、ベスが一体何をやらかしたというのですか?」

「ベス?ベスって誰です?」

「あなたが今朝、一番に解雇すると言い放ったあの子ですよ。」

「ユディットさん、本当に……驚きですね。家事をしている使用人たちの名前を全員覚えているなんて。」

「この家で働いている人の数なんて限られていますからね。いつも一緒にいるでしょう。それくらいは覚えるのが当然ですよ。あなたもそうだったんじゃないですか?」

「私も、そうだったと?」

「そうですよ。あなたも使用人たちの名前を全部覚えていました。」

「私が、ですか?」

リューディガーは信じられないというように目を見開いた。

それも当然だ。

元々のリューディガーは同じ士官学校の同期ですら友人と認めない冷淡な人間だったのだから。

当然、昔の彼が使用人たちの名前を全く覚えていなかったことは驚きではなかった。

ただ、執事のハンスや料理人のビンセントなど、親しい間柄の使用人もいたのだが、それですら覚えていたのは必要に迫られてのことだ。

『名前を覚えておく方が便利だから記憶しておいた、くらいに見えたけれど……。』

そう考えると、彼が今や家事を担う使用人全員の名前を覚えているという事実には驚かされる。

しかし、それもどこか過去の彼にはなかった側面だった。

「ええ、今のあなたには理解しがたいかもしれませんが、記憶を失う前のあなたは、この邸宅で働いている人の名前をすべて覚えていました。」

「……。」

認めるのが難しい様子のリューディガーの姿に、彼の心情が垣間見えた。

リューディガーは深い溜息をつきながら、手を挙げ、諦めたように語り出した。

「分かりました。私が使用人たちの名前を覚えていたかもしれません。しかし、それとは別に……。」

「ベス。」

「ベスという使用人は、早く解雇した方がよさそうですね。」

「なぜですか?」

「彼女は私に朝の挨拶をしたのです。」

「え?」

もちろん、ベスがリューディガーに朝の挨拶をしただけのことだったが……。

本当にその理由でベスを解雇すると言うのだろうか?!

私は驚きのあまり言葉を失い、口を開けたまま固まってしまった。

そんな私をよそに、リューディガーは当然だというように話を続けていた。

「主人が話しかける前に使用人が主人に話しかけるのは、主従関係の礼を失する行為です。そして、そのような方法で主人に取り入ろうとする者は仕事に集中できません。長い目で見れば、そういった行為は良い結果を生まないでしょう。私は一体今まで何をしていたのでしょうか?本気で対応しなければなりません。」

「いや……ただの朝の挨拶だったんです。普通、皆その程度のことはやっていますよ。過剰に解釈しすぎではありませんか?」

「一度崩れた規律をすぐに立て直すのは難しいことです。最初からそういった問題が起こらないようにするのが、最善の選択です。」

「ここは軍隊ではありませんよ!」

思わず大声で叫んでしまった。

怒りで声が震え、部屋中に響き渡る。

このやり取りは、完全に以前の議論の繰り返しではないか。

リューディガーとの会話から感じられる既視感に、私は言葉を失った。

『おそらく、このまま私がどれだけ説明しても、彼には簡単には納得してもらえないだろう……。』

最近になって、彼が少し普通の人のように柔らかくなってきたのは、時の流れのおかげだったのかもしれない。

数多くの出来事と、それに伴う苦悩。

おそらく、リューディガーは自分の価値観を何度も築き直し、崩しては再び試行錯誤する結果を繰り返してきたのだろう。

だからこそ、彼にとって私たちの間にあった記憶を伝えたところで、それが直接的に彼の気づきにつながるわけではない。

そういったことは、ただ言葉で説明されるだけでは理解できるものではなかったのだから。

『そして正直、リューディガーがそう変わった背景には、私がフランツでの失敗を乗り越え、あれこれと目立つことをやってきた影響も、少なからずあったのだろう……。』

もし、リューディガーが記憶を取り戻せないとすれば、彼を変えるだけのきっかけとなる出来事が必要だ。

つまり、リューディガーを再び立ち直らせるには、暗殺者との遭遇や大きな失敗といった、劇的な経験が必要だということ。

一度やったことだから簡単だと思われがちだが、そんなものは過信に過ぎない。

同じことを二度やるわけにはいかない。いや、それは無理だ。

『やはり、記憶を取り戻させなければならない。一刻も早く。』

私はすぐにリューディガーを連れて首都へ行くことに決めた。

医者は一日で態度を変えた私の様子に戸惑っていたが、彼を説得する必要はなかったし、その気力もなかった。

私はルカや他の人たちを全員呼び集めた。

リューディガーは私の隣に静かに座っていた。

すると、ルカが尋ねた。

「それで、首都に行くって?」

「そうよ。」

「先王が知ったらただ事じゃないよね。」

「その程度の叱責は覚悟の上だ。」

「先王より今の叔父のほうが厄介そうだね。」

「……。」

ルカの言葉に反論するのは難しかった。

私は答える代わりにリューディガーの表情をうかがった。

もしかしてリューディガーの気分を害したのではないかと心配になったからだ。

幸いなことにリューディガーは特に気にしている様子もなく見えた。

しかし、それはきっと表向きのことだろう。

私がわずかに感じた安心の裏で、リューディガーの無邪気そうな態度は私の良心を鋭く刺激していた。

「私が面倒だと感じますか?」

「いいえ、そういうわけでは……。」

「私が面倒に感じないとしても、私がすることがあなたを煩わせることになりますか?」

「……。」

リューディガーは思った以上に真剣に問いただしてきた。

以前であれば、

『ああ、ユディットさんが私を大切にしてくれるのですね。まあ、それも当然でしょう』

などと軽く受け流していたところだ。

しかし今では、自分がどこで煩わしさを感じるのかを理解し、それを改善しようとする必要性を痛感している様子だった。

さすがルカ!良い指摘をしたものだ!

私はルカを振り返って見た。

この状況に火をつけるような言葉を投げかけたルカは、軽く肩をすくめて一言も発さなかった。

私は再びリューディガーに向き直った。

「ただ心配しているだけです。この状態が長引くと、元の状況に戻るのが難しくなるかもしれないので。」

リューディガーは簡単に納得できない様子だったが、反論もしなかった。

そばで状況を観察していた私は、我が家に訪れていた二人の客人に謝罪の言葉を述べた。

「何にせよ……こんなことになってしまい申し訳ありません、ヘザー夫人、イザベラ。」

「いいえ、こちらこそ子どもたちと遊んでいたら起こった事故でしょうに。むしろ私たちの方が申し訳ないです。」

「私はリューディガーさんと首都に向かいますが……お二人はリラニベルでしばらく休んでいってください。」

「でも、主人である奥様がいらっしゃらないのに……。」

「招待しておいて席を外すのは私の特権です。それに、ただの些細な用事だと思ってください。」

私は軽く答えた。

席を外しても家政婦であるローラがうまく接待してくれるだろうと信じていたので、何の疑念も持たずに決断した。

そのとき、ルカが言った。

「それなら、私も準備する。」

「何を?」

「首都に行く準備。」

「あなたが?なぜ?」

「どうしてって?」

ルカは本気で疑っているようだった。

私は戸惑って手を下ろした。

「君まで行く必要はない。」

「私を置いて行ったら、またどこかで何か問題を起こすかもしれないでしょ。それで、一緒に行く方が安心なんだよ。」

「いや、君が行く方が私には不安だ……。また先王に何か仕掛けるつもりじゃないだろうね?」

「何を言ってるの?私が先王に仕掛けるわけないでしょ?」

「君、先王と親しいじゃない。」

「私が?そんなデタラメ言わないで。」

ルカはクスッと笑った。

馬鹿げたことを言っているような態度に、私はただ目を見開くしかなかった。

ルカはリューディガーの方を向き、唇の端を軽く引き上げた。

「おじさんの様子がぼんやりしているならともかく、あんな不安定な状態では信用できないわ。」

「これから10歳になる君が一緒に行って、何をどうできるというのか、分からないけれどね。」

「何?」

ルカの言葉に驚いて反応したリューディガーは、その抗議に対しルカをじっと睨みつけた。

リューディガーは自分の心中を読み取られまいと無表情でルカを見据えていた。

その視線の重圧に周囲の人々は皆、息を呑んだ。

しかし、ルカはその重圧に屈するような子供ではなかった。

ルカの鮮やかな青い瞳には炎が宿っていた。

 



 

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