こんにちは、ピッコです。
「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

55話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 復讐③
遅い朝。
レリアはベッドの上でぐずぐずしてから、ようやく起き上がった。
まるで怠け者のように、のろのろと顔を洗いに向かった。
最初にしたことは、「年金復元」画面を開くことだった。
「うん…たくさん集まったな。」
レリアは一晩中ドラゴンたちが集めた材料を確認した。
そして急いで製作画面に入り、集めた材料で製作ボタンを押した。
「ついに終わった!住民たちの好感度も!」
現在、ウサギ住民の好感度は99.999%。
このアイテムさえ渡せば、今日で好感度作業も完了するのだ。
レリアは軽い気持ちで完了ボタンを押した。
【ご主人様!おめでとうございます!住民たちの好感度がすべて最高値に達しました!٩(๑❛ᴗ❛๑)۶✧ご褒美として10万クリスタルを20%割引価格でご提供します!(•̀ᴗ•́)و 】
『なんで今さら出てくるのよ。このいかがわしいシステムめ……』
購入の制限時間は2時間だった。
レリアはため息をつきながらも、さっさと購入することに。
どうせクリスタルは多いほうがいいから。
クリスタルをチャージすると、また別のポップアップが現れた。
【おめでとうございます、ご主人様!これで特別な好感度と緊急クエスト、特別レシピが解放されました!٩(ˊᗜˋ*)و 記念に5万クリスタルを20%割引価格で提供します!】
「……やれやれ。」
レリアはしばらく首の後ろを掻いた。
だがすぐに気持ちを落ち着かせ、再びクリスタルを購入した。
メイン画面に戻ると、「特別好感度」「特別レシピ」ボタンが新たに表示されているのが見えた。
どんなものか気になって押してみたが、灰色の画面に大きく『?』とだけ表示されていた。
「まあいいや、とりあえずお腹すいたしご飯にしよう。」
レリアはローブを羽織り、お金を握りしめて客間を後にした。
そして、昨日目をつけていた近くのブランチのお店に向かった。
細い路地をしばらく進んだ先にひっそりと現れる店だったが、味は抜群だった。
レリアは鼻歌まじりに散歩するような足取りで、その店へ向かって歩き出した。
だが、路地を2、3回曲がったところで、ふと立ち止まった。
ピロン、ピロン。
突然、アラート音が鳴り響いた。
レリアは一瞬あたりを見回し、胸元のペンダントについている宝石をタップして、画面を表示させた。
そこには明るいデザインの通知アイコンが浮かび、すぐにメッセージが現れた。
【ご主人様!特別好感度対象者<4>名が周辺2m以内に接近中です!緊急クエストを完了して好感度を上げ、特別レシピを開放してください!(。•̀‿-)✧】
「ちょっと、何て?」
レリアは慌てて目をぱちくりさせながら、再び通知を見た。
特別好感度対象者?4人?
『それに2m以内って何?一体どういうことなの……?』
その時だった。
ふと頭上から不穏な気配を感じた。
全身に冷や汗がにじんだ。
「……!」
背後から感じる鋭い殺気に、レリアの体がビクンと震えた。
同時に、耳元で低くささやく声が聞こえてきた。
「レリア・アウラリア。」
『誰?どうして私の名前を……?』
レリアはおそるおそる振り向いた。
殺気を放つ者たちを目にした瞬間、レリアの脚から力が抜け、その場にへたり込みそうになった。
「その名前に反応するってことは、やっぱりお前で間違いないな。」
黒い布で目を隠していた男が、にやりと笑いながら言った。
な、なんだよ……。
レリアは緊張したまま彼らを見つめた。
目の前には大きな獣たちが彼女を見下ろしていた。
今にも噛みつきそうな鋭い視線で。
そしてその瞬間、黒い布で目を覆っていた男が布を引き下ろして尋ねた。
「お前か?俺の友達を殺したのは?」
声だけで人を殺せそうなほど冷たい声音だった。
「………」
今、何て言ったの?
「前の皇太子を殺しておきながら、その殺人者は皇女としてのうのうと生き延びたんだってな?」
続いて、金髪の美しい男が、甘ったるい笑みを浮かべながら尋ねた。
だが、その目は、笑いながらも人を殺しかねない冷たさを湛えていた。
「……」
レリアは言葉を失った。
一瞬、全身の血の気が引くような衝撃が脳裏を駆け抜けた。
『まさか、そんな……。』
――その時だった。
「答えろ。あいつをなぜ殺した?」
刈り上げ頭の男が低く問いただした。
その目には、怒り、恨み、そして証拠を求める焦燥が、剥き出しのまま滲んでいた。
そしてその後ろから――
「最大限苦しめてから殺してやる。」
獣のような赤い瞳が鋭く光った。
銀髪の男はその言葉を終えるや否や、腰に差していた剣を抜いた。
「う、うわあっ!」
レリアはあまりの驚きに無意識に悲鳴を上げながら後ずさった。
赤い瞳の男に続き、他の男たちも次々に剣を抜き始めた。
ちょっと、本当に私を殺す気!?待って…!
レリアは慌てて後ずさりながら、そのまま尻もちをついてしまった。
『ま、まさか……』
まさか人を捕らえるなんて。
レリアは全身に緊張が走るのを感じた。
黒髪に険しい表情を浮かべている男――それは間違いなく、
『カーリクス。』
そして、微笑みながらも、今にも人の喉を食いちぎりそうな目をしている、金髪碧眼の男――それはロミオ。
さらに、どこか捨てられたような雰囲気を纏った、あの刈り上げ頭の男はグリフィス。
最後に、赤い瞳を持つ男――
『オスカー……?いや、オスカーではないか。』
レリアはぱちぱちと瞬きをしながら、彼らをじっと見上げた。
いや、残りの三人はともかく。
『オスカー…じゃないか?』
正直なところ、あの三人は幼い頃の面影がどこかに残っているように見えた。
しかしオスカーは――オスカーは……
記憶の中のオスカーの姿は、とても小さく、か弱く、いつも怯えていた子猫のようだった。
レリアが呆然と彼を見つめると、オスカーと思われる男が言った。
「いや、簡単に死なせるのはもったいない。静かな場所に連れて行って、爪をはぎ取って指を一本ずつ切り落としてやろう。」
ああ、違う。オスカーじゃない。オスカーは、あんな言葉を口にできる人じゃない。
レリアは「まさかそんなはずはない」と思いながら、この状況をどうやって切り抜けるべきか考えを巡らせた。
だがそのとき。
突然、頭上から何かが素早く迫ってきた。
レリアは思わずビクッと肩をすくめ、首筋のあたりを押さえて身をすくめた。
【ご主様!特別好感度専用UIに切り替わりました٩(◦`꒳´◦)۶】
UI設定は環境設定で変更できます!
system:特別好感度モード 起動完了
【報酬】
※注意事項期間内にクエストをクリアできなかった場合、ペナルティが与えられます。
【system:システムの一部が変形されます。】
レリアはゆっくりと目を開けた。
意識が戻った途端、激しい痛みが押し寄せた。
首筋が殴られたように痛んだ。
「う……」
「目が覚めたか。」
レリアは痛みに顔をしかめながら、周囲を見回した。
薄暗い部屋には、さっきまで対面していた4人の男たちがいた。
レリアは自分の体を見下ろした。
ガタガタ揺れる椅子に、手足がしっかりと縛られている。
(……誘拐されたってこと?)
だが、何かがおかしかった。
(……なんだろう?)
普段なら首飾りの宝石を触らないと見えないはずのものたちが、今は何もしなくてもはっきりと見えていた。
画面の右下には設定ボタン、制作、インベントリ、クエストなど、小さなアイコンがずらりと並んでいた。
ピロリン ピロリン。
そのときだった。
いつも錬金道具と共に現れる吹き出しが、ふわふわと空中に浮かび上がった。
【特別好感度専用UIモードに最適化されました、主人様!緊急クエストを進めて特別好感度を上げてみてください!٩(๑❛ᴗ❛๑)۶クエストを最終完了すると、特別なレシピを報酬として受け取れます!】
(……これ、なに?)
特別好感度専用UIモード?いや、それより頭が痛い……。
レリアは軽く首を振ってから、自分を見下ろしている男たちを見上げた。
すると先ほどは見えなかったものが目に入った。
彼らの頭上にふわふわ浮かんでいる絵文字。
【!】
男たちの頭上には、黄金色に輝く「感嘆マーク」が表示されていた。
ゲームの中でクエストが始まるときに出てくる、あのアイコンだった。
クエストが開放されたときに現れたイラストだった。
そしてその下には小さな文字が書かれていて……よく見るとすべて「[-999]」と書かれていた。
ガタッ。
そのとき、一人の男が椅子を引きずりながらレリアの前にどさっと座った。
ロミオだった。
「君の名前は合ってる?レリア・アウラリア。」
「……」
レリアはゆっくりとうなずいた。
心臓が激しく脈打った。
少し前まで信じられなかった現実が、肌で実感できるようになり始めた。
友達。
レリアを生かしてくれた存在たち。
人生の最終目標になってしまった、何よりも大切な存在。
その友達たちが、目の前にいた。
その事実を認識した瞬間、レリアの目に熱いものがこみ上げた。
こんな形で再会するとは、夢にも思わなかった。
禁呪を解いて探しに行こうとしていたのに。
こんなにも早く、また会えるなんて——。
「死にたくなくて泣いてるのか?」
向かいに座ったロミオが、からかうように言った。
幼いころと変わらない、鋭い物言いに、レリアは涙があふれそうになった。
いや……それよりも……。
『こいつらは一体なぜ私を……』
「君が通ってきた塔を見るに、かなり裕福そうだったよ。」
茶色の髪の男、グリフィスが言った。
どうやらこの子たちは自分の存在を知っていたようだ。
何が何だかわからず混乱した。
混乱した表情が伝わったのか、グリフィスは苦笑しながらさらに言葉を続けた。
「レオ皇太子が亡くなる前に、私たちに君の名前をメッセージで残した。」
「……」
「そして、レオは毒殺された。あの子はいつも私たちに言い訳していた。自分を殺そうとする存在がいる、王位が脅かされているのだと。」
いや、ちょっと待って。
「レオをなぜ殺した?」
「……」
レリアの表情が固まった。
さっきは聞き間違いかと思ったけど…。
『こいつら今……。』
私がレオを殺したと思ってる?
どうして?なんで?
「待つ必要なんてある?指一本切り落とせば、すぐ口を割るだろう。」
片隅に立っていたオスカーが冷たい声で言った。
グリフィスは声を落として言った。
レリアは悲しげに視線をそらした。
(オスカーじゃない……)
「レオを殺せと指示した者がいるのか?それとも単純に、君が皇帝になりたいという欲望だったのか?」
グリフィスが矢継ぎ早に質問を投げた。
レリアは震える声で初めて口を開いた。
「その……」
「……」
向かい側に座っているロミオ、隅で鋭い目を光らせているカーリクスとオスカー、そしてロミオの隣に立っていたグリフィスまで。
彼らの視線がレリアに向けられた。
「……何か、誤解があると思います。」
彼らの頭の上に浮かぶクエストマークと「[-999]」という文字が気になったが、まずは手足を縛っているこの縄を解くのが優先だ。
どうやら彼らは、自分がレオだという事実に気づいていないらしい。
レリアを、彼女の本当の正体そのものだと思い込んでいる。
『うかうかしてたら、指どころか首を飛ばされるかも。』
レリアは、彼らの忍耐力が尽きる前に再び口を開いた。
「私はレオ…レオお兄ちゃんを殺していません。」
(バカじゃないの?あのとき私はまだ十歳だった。十歳の子供がどうやって人を殺すの?)
「じゃあ、レオはなぜ死ぬ前に君の名前をメッセージで残したんだ?」
「それは……」
(きっと……もしかしたらって思ったから……)
勘の鋭いロミオやグリフィスは、自分の正体に気づいていないだろうと考えていた。
しかし、今のロミオとグリフィスの目を見れば、とんでもない思い違いだったと分かった。
(そう考えると、疑われるのも当然か……)
きっと、犯人の名前を残すためのメッセージだと受け取られたかもしれない。
あのときはあまりに必死で、そこまで考えが及ばなかった。
「嘘だ。お前は皇位を狙ってレオ皇太子を殺したんだろ。反乱が起こるとは計算できなかったみたいだけどな。だから逃げたんだ。」
「俺の友達だけが無惨に死んだってわけか……。」
グリフィスの言葉に、ロミオがぎこちなく同調した。
向かいにいる二人は、レリアが犯人だと信じて疑わない様子だった。
確かに、彼らの目にはレリアが非常に怪しく映っていた。
あの日、最初に推理して犯人を追跡し始めたその日から、彼らはレリアを犯人だと心に決めていた。
数年にわたり固まった偏見は、そう簡単に消えるものではない。
レリアは「この人たちなら、他のやつらより早く真実に気づいてくれる」と思っていたが、グリフィスとロミオがああ言ってきたため、言葉が詰まってしまった。
(どうしよう。正直に話すわけにもいかない……)
レリアは素早く頭を回転させた。
偏見に満ちたあの瞳を納得させるためには……
スッ。
そのときだった。
少し離れたところで様子を見ていたオスカーが、再び剣を抜いてゆっくりと近づいてきた。
レリアは本能的にその殺気を感じた。
止めることもできず、結局自分を殺そうとしているのだと悟った。
レリアは生き延びるため、必死に叫んだ。
「私は本当に殺していません!レオ皇太子を殺した犯人は、あのとき皇帝が直接処罰したんです!『ヘター伯爵』が犯人だったんです!」
「そんな言葉、どうして信じられる?」
「いや….」
オスカーの剣先がレリアの喉元に迫った。
剣からにじみ出る殺気に、魂が抜けるかと思った。
「……!」
そのとき、ひらめいたようにこの状況を打開する方法が思い浮かんだ。
剣先が喉に触れ、ひりつくような痛みが走る。
レリアはあわてて叫んだ。
「わ、私の誕生日はセレスの月の27日です!」
「……」
空気が凍りついた。
その言葉を聞いたグリフィスの表情にわずかな動揺が走った。
レリアが言った日付のちょうど前日、26日はグリフィスの誕生日だった。
そして27日は、レオが「とても大切な人」と話していた人物の誕生日であり、毎年みんなで一緒に集まってお祝いしていた日だった。
四人の頭の中に、かつての会話がふっと蘇った。
「ところで、誰の誕生日だよ?隠してる女友達か?」
「女友達だなんて違うよ!ただの、すごく大切な友達。」
「俺たちより……もっと?」
「そんなわけ……いや、うん。もしかしたら、そうかもな。幼い頃から知っていた仲だしな。でも、そんなに気にする必要はない。オスカー、お前にとっても大切な友人だから。」
レリアはすばやく彼らの表情を読み取った。
今にも首を切り落とされそうだった剣先が、すっと下ろされた。
銀髪の男は困惑した表情を浮かべていた。
どう説明すべきか迷う間もなく、レリアはすぐに言葉を続けた。
「レ……レオお兄さんの友達なんですよね?私はレオお兄さんととても親しかったんです。そ、それで皆さんのこともたくさん聞いていました!」
「……」
グリフィスが再び険しい目つきでレリアを睨みつけた。
絶対に信じられないという視線だった。
「じゃあ、万年筆は?どうしてお前が持ってるんだ?」
ロミオが尋ねた。
友達を目の前にして、また嘘をつかなければならないのが胸苦しかったが、今は仕方なかった。
『とにかく生きなきゃ。』
「レオ……お兄ちゃんが死ぬ前に私にくれたんです。う、うさぎの人形と一緒に!」
「………」
レリアの言葉に、グリフィス、ロミオ、銀髪の男の表情が曇った。
そのときだった。
構えの奥にいてよく見えなかったカーリクスが、重々しい足取りで歩いてきた。
彼は細めた目でレリアをじっと見つめた。
「……」
レリアも黙ったまま、彼の顔全体ではなく、カーリクスの目だけを真っ直ぐに見つめ返した。
『……結局こうなったんだな。』
原作では、カーリクスは光龍との戦闘で両目を失った。
今回も、同じ運命をたどったのだろう。
「カーリクス……」
レリアが胸の痛みとともに彼の名を小さく呟くと、その声に、周囲の男たちが驚きに満ちた表情を浮かべた。
「どうして私の名前を知ってるんだ?」
「……それは。」
レリアは泣き出しそうな声をこらえながら弁明した。
「レオ……お兄様が教えてくれたんです。みんなのことを。神殿から帰ってくるたびに、そのときの話をしてくれたんです。」
本当のレリアは誰にも事実を話せなかった。
けれど、誰かと会話するたびに、彼をつかまえてはいつもあの時代の話ばかりしていた。
まるで、その時代の思い出だけで生きている人のように。
レリアはそっと彼らの顔を見つめながら、名前を呼んだ。
「カーリクス、ロミオ、グリフィス、そして……」
「……」
「えっと……オスカー……さん、じゃないんですよね?」
レリアが慎重に尋ねた。
銀髪の男は無言で彼女を見つめたあと、バッと部屋を出て行ってしまった。
ガシャン!
重い扉が激しく閉まる音に、レリアは肩をすくめた。
そんなレリアを見て、グリフィスが苦笑しながらつぶやいた。
「名前なら、どこかで聞いたことがあるだろう。今では誰でも知っている名前だからな。」
「……でも、それより……レオがなんでわざわざお前の名前を手紙に書いたんだ?」
ロミオはまだ疑わしそうな目を向けていた。
レリアは必死に弁明した。
「……あの、私をよろしくって意味だったんじゃないでしょうか?」
本当は、グリフィスもロミオも信じてはいなかったけれど――レリアは続けて話した。
「レオ……お兄様は、神殿で過ごしていた頃も、いつも友達と一緒に私の誕生日を祝ってくれていたんです。それくらい私を大事にしてくれて……。」
レリアの言葉には十分な信ぴょう性があった。
ロミオとグリフィスの険しかった目つきも少し和らいだ。
毎年、その誕生日を一緒に祝っていたという事実は、五人の間で―ー友達だけが知っている話だった。
レオが教えてくれなければ、絶対に知りようがなかった。
レリアはぎこちなくカーリクスを見つめた。
『まだ完全に視力が失われたわけじゃなさそう。』
カーリクスは痛ましげに目を閉じ、そしてゆっくり開いた。
湧き上がる痛みに耐えるように、彼の表情は苦しげだった。
「お前の言葉、どうやって信じろって?だったら言ってみろ。あいつらがなぜ死んだのか。
誰が、なぜ、殺したのか。そいつは今どこにいるんだ?」
必死に痛みを押し隠しながら、カーリクスは壁に手をついて言った。
レリアはゆっくりと記憶を辿った。
できる限り、事実だけを話すために。
彼女は遅ればせながら、お兄様と叔父様から聞いた話を思い出して語り始めた。
「ヘザー伯爵は……ライディオス皇帝に恨みを持っていたんです。だからレオ皇太子を毒殺したし、ライディオス皇帝はその事実を知ってヘザー伯爵を残酷に処刑しました。その直後、反乱が起きたんです。」
「……哀れな奴だ。」
カーリクスは苦しげに顔を両手で覆った。
その様子を見たレリアは胸が締め付けられる思いだった。
「まだお前の言葉を信じられない。」
ロミオがまぶたを持ち上げながら言った。
レリアは再び頭を悩ませた。
何を言えば、彼らは自分を信じてくれるのだろうか――
「…レオ兄さんが、神殿で起こったことを全部教えてくれたんです。山で狼に襲われかけたことも、一緒に泳ぎを習ったことも、みんながレオ兄さんを“隊長”って呼んでいたことも。」
「………」
まだ疑いを強く抱いていた彼らの間にも、少しずつひびが入りはじめた。
外でじっと耳を澄ませていたオスカーも同様だった。
「…山での出来事を、君に話したって?」
カーリクスが尋ねた。
「…はい。狼を送り込んだのがアスカード帝国の皇帝だったことも、それを秘密にしていたことも。」
山で狼が現れ、命を落としかけた日のこと。
その日あった出来事は、五人だけが知る秘密だった。
「レオがどうして君にそんな話をしたんだ?」
「……私、レオお兄様ととても親しくて、お互いにとって大切な親族だったんです。」
もちろん嘘だ。
実際、レオはレリアを見るたびに、発音練習をすると言って追いかけ回していたくらいだった。
だがその嘘は効果を発揮した。
今や彼らも、レリアの言葉をある程度は信じたようだった。
「じゃあ、君の名前を書いて送ったのは、本当に君をよろしく頼むという意味だったのか?」
グリフィスはまだ疑いのまなざしを向けていた。
レリアは震える手で襟元をぎゅっと握った。
「たぶん……」
「…君が何か手段を使って、レオの秘密を探り出して、そのあと殺したんじゃないのか?」
「………」
「ヘター伯爵だと?俺たちがいくら調べてもその名前にたどり着けなかったのは、君が嘘をついているからじゃないのか?」
レリアは深く息を吐いた。
「ヘター伯爵については、一部の高位貴族しか知らないんです。ライディオスが皇帝だった時代、その頃に起きたすべての事件は、暗黙の箝口令が敷かれていて、誰も語ろうとしなかったんです。」
レリアの言葉は事実だった。
ア
ウラリアに到着した後も、四人は当時の出来事を正確に把握できていなかった。
さらにフェルセウス皇帝は、当時、最後の情けもなくライディオス派の人間をすべて殺してしまった。
あの時の出来事を具体的に知っている者は、今ではほとんどいないと見てよかった。
「……じゃあ、フェルセウス皇帝がレオを殺した犯人の可能性は?」とグリフィスが尋ねた。
「……それは違うと思います。ヘター伯爵はフェルセウス皇帝側の人間ではありませんでした。ライディオス前皇帝への怨みが理由だったんです。」
レリアが話すことはすべて事実だった。
言えることはそれだけだった。
父の口から聞いた話だったからだ。
レリアの言葉に説得力があったのだろうか。
ぎゅっと結ばれていた手足を縛る縄が解かれた。
レリアはその後も数十件もの質問を受けた。
五人だけが共有していた秘密の話を次々と答えていくと、次第に彼らの表情から疑いの色が薄れていった。
だが、オスカーとグリフィスはまだレリアを完全には信用していない様子だった。
レリアは懐に持っていた万年筆を取り出して見せた。
「もし私がレオお兄様を殺したのだとしたら、こんなに大切にこれらを持っている必要があったでしょうか……?」
その言葉に、グリフィスは何も言えなかった。
レリアはさらに、宿舎へ戻ってウサギの人形と手紙も見せた。
友人たちとの思い出が詰まった品々は、誰が見ても丁寧に管理されており、どれほど大切にしていたかが一目でわかるほどだった。
彼らは、自分たちのものよりもずっと丁寧に管理された品々を見て、残っていた疑念を拭い去った。
ただし、依然としてオスカーの目つきだけは冷たい疑いが残っていた。
こうしてレリアは、宿を出てから五時間も経たないうちに、元々の予定通りブランチを食べることができた。
予期しないタイミングで幼馴染たちに出会いましたね。
とりあえず誤解?を解くことに成功したレリアですが、これで解決ではないはず・・・。
これからは4人と一緒に行動するのでしょうか?










