こんにちは、ピッコです。
「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
141話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 心の準備
しばらく膝を抱えて震えていた。
ぼんやりと窓の外を見つめたのは何百回にもなる。
まだ夜が訪れないという事実に、安堵し、また不安になった。
すぐにでもここを出て逃げ出したかった。
……けれど、グリピスが本当にロミオとカーリクスを殺しに行くような気がした。
もちろん簡単には死なないだろう。
だが結局、お互いに刃を向けるようなことになれば……考えただけでぞっとした。
自分が望んでいたのは、ただ幼いころのように皆で幸せに……あまりにも幼稚な願いだったのだろうか?
すべて解決したと思っていたのに、それはすべて勘違いだった。
その時だった。
コンコン。
ドアをノックする音に、心臓が地下に落ちるような感覚がした。
外はまだ明るかった。
グリピスが気が変わってもう来たのだろうか?
不安で返事もできずにいると、まもなく扉が開いた。
ギィィ。
扉が開くわずかな時間がとても長く感じられた。
「レリア。」
その低い声に、震えていたレリアの身体から一気に力が抜けた。
ロミオだ。
彼はそっと扉を閉めたあと、レリアの姿に驚いて駆け寄った。
「どうしたの?いったい何があったの?」
彼はまだ冷たい水に濡れた髪を見て、眉をひそめた。
「髪を乾かしてないのか?」
「ロ、ロミオ……」
やってきたのがグリピスではなくロミオだという事実に、急に安堵しはじめた。
レリアは不安そうに彼の服をつかんだ。
「待ってて。」
彼はレリアの手を振り払ってソファの後ろへ行った。
反射的にスイッチをひねると、頭の上に温かい風が吹いてきた。
ロミオの手から魔法で作られた温かな風が流れ、彼女の髪を優しく乾かしていった。
「子どもの頃でも、これほど世話焼いてもらえなかったのに……今やすっかり年老いた召使いみたいだな。」
「ロミオ……」
濡れていた髪はすぐに乾いた。
ロミオが身体を起こすや否や、レリアが彼を掴んで引き寄せた。
「な、なんだよ?」
ロミオは戸惑いながらも、彼女に引っ張られるまま隣に腰を下ろした。
「ロミオ、グリピス……おかしくなったみたい。」
「はは、そうか。で、やっと気づいたのか?あいつ元々イカれてるよ。」
ロミオはふざけたように受け流した。
「そうじゃなくて、本当に……だから……」
レリアが震える声で問い詰めると、ロミオの表情が強ばった。
レリアの反応は思ったよりも激しくはなかった。
まさか、あの狂った計画のことを話した?なぜ?
グリピスは非常にゆっくりと、レリアを説得しようとするような態度だった。
なぜ急に精神的な変化が起きたのか、ロミオは不審に思った。
そのときだった。
「ま、まさか……君も知ってたの?」
レリアが衝撃を受けた表情で尋ねた。
ロミオは「ああ」と言いかけて、すぐに明確に否定した。
「同意したことはない。」
そう言って、ロミオは唾を強く飲み込んだ。
正直に言うと、良心が咎めた。
賛成したことはないが、心の奥ではそれが悪くない方法だと思っていた。
もちろん、レリアの意思が最も重要であることは間違いない。
だけど、彼が知っているレリアはそんなことを許さないはずだった。
「アイツは狂ってる……」
レリアは呆然とつぶやいた。
ロミオは「その通りだ」と言って、毛布をぐいっと引き寄せた。
その反応に勇気づけられたのか、レリアは続けた。
「もし私たちが受け入れなかったら、あなたとカーリクスを殺すって。そうなったら、私たちがお互いに剣を向け合うことになるんだって。」
「うーん……」
ロミオは驚かなかった。
「怖いよ、私は……ただ、みんなで以前のように過ごせたらと願っているだけなのに。それがそんなに大きな欲なの?」
「………」
ロミオはすぐには答えられなかった。
欲張りだとは思わなかった。
ただ――
「ロミオ、私はオスカーを愛してる」
「…え?」
ロミオの表情が固まった。
生まれて以来、最も衝撃的な言葉を聞いたように。
「グリピスはそれを知っていて、あんなふうにしてるんだと思う。でも私は――」
「誰を愛してるって?」
ロミオの眉間が歪んだ。
彼は呆然と、まるで雷に打たれたように目をぱちぱちさせた。
そして徐々に瞳孔が変化し始めた。
怒りを帯びた目で、レリアの腕をつかんだ。
「お前、今なんて……いや、ちょっと待て。」
「………」
レリアは不安そうな目でロミオを見返した。
まさかロミオもグリピスと同じ考えなのではないかと、不安に駆られた。
「わ、何これ……」
ロミオは後頭部を殴られたように頭が真っ白になった。
額を手のひらで押さえながら、ぽかんと口を開けたまま呟いた。
グリピスがなぜ急にあんなに焦って信者のように縋りついてきたのか、なんとなく分かった。
気の利かないくせに、勘だけは鋭い奴だった。
いや、それにしてもどうしてオスカーを……。
もちろんなんとなくは予感していたが、レリアの口からそれを聞くと、衝撃はそれ以上だった。
彼はしばらく前の会話を思い出した。
「レリア。もしかして……」
「………」
大きく息を吐いたロミオが尋ねた。
「友達として愛してるって意味じゃないよね?」
「……」
レリアは答えなかったが、その目の光からロミオには答えが伝わってきた。
うわ、気が狂いそうだ。
ロミオはどうすることもできず、自分の髪の毛をぎゅっと掴んだ。
「レリア、じゃあ… 俺は?僕たちは?」
「…君たちは、私にとって大切な…」
レリアは言葉を続けられなかった。
ロミオは唇をかみしめた。
ロミオはレリアが友達ではない、別の感情で自分たちを見つめることがあるとは思っていなかった。
最初は彼にも希望があったが、いつの頃からかそう判断して気持ちを抑えていた。
レリアが望むなら、一生想いを秘めて友達のままでもいいと考えていた。
だが、そうでないのなら、チャンスがあるのだろうか?
レリアがオスカーに別の想いを抱いていたのなら、それは自分にもチャンスがあったということだ。
今でも同じだ。
すでにオスカーを愛するようになっていたとしても、この先どうなるかは分からない。
その事実に気づいた途端、後悔の念が押し寄せてきた。
前にレリアがくれたあの薬を、何のためらいもなく飲んだのではなかったのに。
でも、もう関係なかった。
永遠に嘘をつけなくなるという薬。
その薬に頼りながら、一生彼女への想いを隠し、そばに友達としていようと決めていた。
愛しているという気持ちを言わなければ、すべてうまくいくと思っていた。
なら、今度は「嘘」を変えればいいだけの話だ。
これからレリアを騙すのは、自分の気持ちではなく――
『あの薬の正体を隠せばそれでいい。』
ロミオは口元を上げて笑った。
「レリア。」
「…うん。」
レリアは不安げな顔をしていた。
ロミオは呆れた。
グリフィスは狂った奴だった。
レリアについて何も知らなくても、それくらいは分かった。
自分は違う。
これまでレリアと一番最初に友達になったのは自分だった。
不安が大きくて、繊細な草食動物のようなレリアには強く当たってはいけない。
むしろ少しずつ……
「正直に言ってごらん、レリア。」
「……何を?」
「お前、聖女とか女王とかになりたくないんだろ?」
「……」
そっと包み込むように、少しずつ気持ちを落ち着かせるのが理にかなっていた。
日差しのような愛情を少しずつ優しく注いでやれば、すぐにでも花を咲かせるだろう。
望んでいることを聞いてやるだけで、難しいことではなかった。
「でも、そうしなかったら……」
「大事なのは、君の意志だよ。」
「……」
「グリピスみたいなやつに気を使う必要なんてない。君が望むことを言って。」
ロミオはそう言いながらも、内心ではためらっていた。
正直、ロミオ自身もグリピスがその話をしたとき、他に方法はないと考えてしまっていた。
あのずる賢い男の言葉に乗せられてしまったのだ。
誠実さがあったのか、それともあの甘い声のせいなのか。
どんな戯言でも説得力を持たせてしまう才能を持った男だった。
でも、ほんの少し理性を働かせれば、その方法だけが答えではないと分かった。
ロミオはなぜ自分が彼女の態度まで単純に考えてしまったのか、自分が愚かだったと感じた。
「……」
「君が望むなら、ペルセウス皇帝がシュペリオン領地に指一本も触れられないようにしてあげられる。僕たちが君と領地を守ってあげられるってことなんだ。」
「グリフィスは……」
「あいつがどうやって言葉巧みに説得したのか、僕もちょっと惑わされていたみたいだ。もちろん、簡単ではないよ。」
「……」
「ペルセウス皇帝が黙って見ているはずがない。君も、その姿を見て苦しくてつらいだろう。でも、ここ神殿で過ごすのも同じようなものじゃない?」
「………」
ロミオの言葉は間違っていなかった。
グリピスの言葉にはいつも理屈が通っていた。
聞いていると自然と納得させられてしまうのだ。
たとえそれが策略でも、うまく説得する術を持っていた。
「いっそ苦しめるなら、家族のそばに置いたほうがましじゃないか?」
「………」
「暴竜だって簡単に倒したんだ。ペルセウス皇帝の儀式を邪魔するなんて簡単だろ?正直、カーリクスに変な怪物一体だけ送り込めば十分片がつくよ。」
「グリフィスは……?」
「……」
グリフィスが黙っているはずがない。
レリアが呆然としていると、ロミオは同意するように口を尖らせた。
しかしすぐに冗談めかしく笑って言った。
「アイツも結局どうしようもないよ。君に嫌われるのが怖くてびくびくしてるんだから。」
「……」
「騒ぎさえ起こさなければ……実際、オスカーと似たような妄想癖だと考えれば気が楽だよ。」
レリアはぎょっとして目を見開いた。
正直、グリフィスはカーリクスよりも話が通じない壁のように感じられた。
あまりに偏っていて突き抜けている。
「君が僕たちの前で無力でいるように、僕たちもそうなるさ。」
「………」
「グリピスももちろん、同じだよ。」
その言葉を最後に、ロミオは立ち上がった。
「ちょっと行ってくる。君のおじさんに先に話しておくよ。君は領地に戻る準備をしておいて。」
「本当に…本当に大丈夫かな?ペルセウス皇帝が……」
「もうあの人のことは気にしなくていい。」
ロミオは手をひらひらさせながら、あっけらかんとした様子で話した。
あまりにも軽い態度だったので、レリアさえも特に違和感を抱かずに受け入れてしまいそうだった。
彼が去り、レリアはロミオの言葉を反芻した。
「君が私たちの前で無力になっていたように、私たちも同じなんだ。グリフィスだって当然同じさ。」
友達の存在は、彼女のすべてであり、同時に弱点でもあった。
ロミオの言う通り、友達の前ではすべてが無力になった。
たとえ馬鹿げた要求であっても、きっと受け入れてしまうだろう。
グリピスがしきりに彼女を追い詰めていたとして、もしそれが友人たちの総意だったら?
彼女も結局はその意思を受け入れただろうことは明らかだった。
それほどまでに友人たちの存在は、レリアにとって絶対的だった。
あまりにも簡単に無力になってしまっていた。
だが、それは友人たちも同じだった。
グリピスも……。
レリアが自分の意思を受け入れてくれと頼んだら、グリピスがどう出るか、予想できないことではなかった。
ロミオが来てくれたおかげか、レリアはもう震えもせず、恐怖も感じなかった。
レリアは窓のほうへ歩いて行った。
「………」
いつの間にか、夕日が沈んでいた。
レリアは静かに淡々とした視線で沈む太陽を見つめていた。
遠くからかすかな鐘の音が聞こえ、神官と下僕たちが夕方の礼拝に向かって移動するのが見えた。
穏やかな風景に心が次第に静まっていった。
ふと幼い頃、この場所で過ごした時のことが思い出された。
しかしロミオの言葉のせいだろうか。
以前とは異なる視点でその時を振り返ることができた。
グリフィスは優しく話そうとすれば無愛想で、きつく言おうとすれば刺々しくなるタイプだった。
何かを手伝おうとするたびに、気まずそうに手を引っ込めた。
そして申し訳なさそうな目で彼女を見つめた。
そのたびにレリアは、気まずさと戸惑いを笑顔で受け流した。
その繰り返しのうちに、次第に手を引っ込めることもなくなった。
オスカーはいつも、彼女の手助けを必要とする弟のようで、ロミオとは終わることのない口論を繰り返した。
カリクスとはいつも拳を振り回しながら言い争ってばかりだった。
『そしてグリピスは……』
レリアはグリピスと二人きりになると、妙な気まずさを感じていた。
グリピスが自分の存在を煩わしく思っているような気がしていたのだ。
グリピスはいつも無表情で、何をしてあげても特に反応を示さず、まるで「必要ない」とでも言うかのようにそっけなかった。
そうしているうちに……レリアは今まで一度も考えたことのなかった考えが、ふと頭に浮かんだ。
まるで矢が頭を貫いたように。
次第にグリフィスは、彼女が他の友達とは違って、自分を特別扱いしていると感じていたのかもしれない。
今思えば本当にそうだった。
自分自身もグリフィスに対する態度がだんだん変わっていった。
突然口の中が乾いて喉が詰まった。
「……」
グリフィスはいつも大人びていて、世話を焼いてあげたくなるような子ではなかった。
無表情で淡々と話す様子から、知らず知らずのうちにそう判断していた。
ああ、この子は他の子たちよりも傷が深いんだな。
傷がまだ癒えていないんだな、と。
しかし、グリフィスは決して独りだったことはなかった。
寂しいと言ったことはなかったが、いつも一人だった。
しかし、それはただ、誰かに頼ったり期待したりすることに慣れていなかっただけだった。
期待したり頼ってしまえば、捨てられるのではないかという恐怖があったのだ。
「自分を利用しようとしか思っていない」家族によって受けた傷が、彼を防衛的にしてしまったのだった。
レリアはふと、かつて自分をじっと見つめていた幼い頃のグリピスのまなざしを思い出した。
当時は……「どうしてあんなふうに私を見るの?また気分が悪いの?」と思っていたが、今になって考えてみると、そうではなかった。
当時のグリピスもまだ幼くて、自分の気持ちをどう表現すればよいかわからない子どもだったのだ。
関心が欲しくて、他の友人たちに向けられるレリアの愛情が羨ましくて、それを表現できずにいた。
今にして思えば、あれは「関心を欲しがる眼差し」だったのだ。
レリアは乾いたつばを飲み込んだ。
もしかすると他の子どもたちと違って、グリフィスだけがまったく成長せず、いまだにあの時代にとどまっているのかもしれない。
大人になっても、いまだに表現の仕方を知らず、関心を欲しがり、他の友だちを見ては嫉妬を胸に抱いている……
そのとき、ドアを叩く音がした。
レリアは落ち着いた目で視線を向けた。
ゆっくりとドアを開けて入ってきたのはグリフィスだった。
目が合った瞬間、レリアは自分の考えが間違っていなかったことを悟った。
自分を見るグリフィスの目の光は、子どもの頃と変わっていなかった。
関心と愛情を求め、寂しさを拭いながら、切なげに彼女のそばをうろついていた子どもの目。
あの頃とまったく同じだった。
初めてグリピスを“ちゃんと”見たような気がした。
幼い頃からどこかぎこちなさを感じていたグリピス。
そして、より深く関心を持とうともせず距離を置いていた自分。
いつも一緒にいたのに、その瞬間瞬間にも実は独りぼっちだったグリピスの姿が浮かび、罪悪感がこみ上げた。
「グリピス。」
「……」
レリアは彼の名前をしっかりと呼んだ。
グリピスはレリアの反応が意外だったかのように、扉を閉じてゆっくりと歩み寄った。
「心の準備はできたの?」
彼が尋ねた。
レリアは苦笑いを浮かべた。
さっきまではグリフィスがとても怖くて、狂っているようで怯えていた……でも今は、ただ嫉妬に目が曇った子どもにしか見えなかった。
とはいえ、彼が危険でないというわけではなかった。