こんにちは、ピッコです。
「幼馴染が私を殺そうとしてきます」を紹介させていただきます。
ネタバレ満載の紹介となっております。
漫画のネタバレを読みたくない方は、ブラウザバックを推奨しております。
又、登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。

58話 ネタバレ
登場人物に違いが生じる場合がございますので、あらかじめお詫びさせていただきます。
- 潜入②
気を失っていたレリアが意識を取り戻したのは、宿舎の前だった。
レリアはその前に到着して、ようやく地面に足をつけた。
ペルセウス皇帝と再会して驚いたからだろうか。
足が震えてバランスを取るのが難しかった。
カーリクスがすばやく彼女の腕をつかんだ。
「大丈夫か、妹?」
「…はい。」
レリアはか細い声で答え、唇をぎゅっと結んだ。
まるで水に落ちたように中がぐちゃぐちゃだった。
カーリクスはあのとんでもないスピードで走っても、息切れする様子すらなかった。
『まるで怪物みたいに育ったんじゃない…?』
走っているのはカーリクスなのに、なぜ自分だけがこんなに疲れるのか。
レリアはなぜか悔しそうな表情でカーリクスを見上げた。
宿舎に入ると、レリアは壁にかかった時計を確認した。
ロミオも、もう少し待てば――。
『いつの間にか、私の部屋が隠れ家みたいになっちゃったな…。』
レリアは、なんとなく笑いながらも、自分の部屋がまるで秘密基地のようになってしまったことを思い出していた。
ふとした拍子に、レリアはため息をつき、カーリクスが呆れたようにソファにドサッと座り込むのが見えた。
レリアはティーテーブルの水を一杯注ぎ、カーリクスに渡した。
「あんなに格好つけてたのに、結局失敗したんだな。俺と一緒に行けばよかったのに?」
カーリクスは気の抜けた様子で尋ねた。
レリアは彼のことを横目で見つつも、カーリクスの隣に座り込んだ。
もしカーリクスが一緒に行っていたら――。
ぞっとした。
カーリクスは突然現れたペルセウス皇帝に驚き、彼を叩きのめしていたかもしれない。
事態はもっと大ごとになっていただろう。
「とりあえず尻尾をつかまれなかったからよかった。もう一度チャンスを狙うしか……」
レリアの話を聞きながら、カーリクスは水をゴクゴク飲んでから尋ねた。
「結局探してる物ってあったのか?」
「……あります。」
レリアはぎゅっと歯を食いしばった。
『95%まで成功してたのに……』
これもすべてペルセウス皇帝のせいだ。
『それじゃあ、これからどうすればいいの…。』
今日、あんなことが起きてしまったのだから、おそらく東北の城門の警備はますます厳重になるはずだ。
城門の前には倒れている兵士が一人、立っている数人の兵士たち、そして暗がりで待機している皇帝と騎士たちがいた。
幸いなことに痕跡は残らず、見つかることはなかったものの、これからが問題だった。
レリアナは再びあの暗がりの場所へ行かなければならなかった。
『本当にロミオの婚約者か、せめて親戚のふりをして、皇城に入るしかないのか…?』
息苦しい溜息が漏れた。
『そういえば…。』
レリアはカーリクスをじっと見上げた。
彼の頭の上には依然として[!]のクエストアイコンと[?]の好感度メーターが浮かんでいた。
レリアは記憶をたどった。
[特別な好感度は+に進む数値からクリスタルを使うか、隠されたクエストを完了するたびに確認できます!o(≧▽≦o)]
その説明によれば、カーリクスの好感度の数値は現在プラスということだった。
『一体、好感度はいくつなんだろう…。』
みんながマイナスの数値を出す中で、カーリクスだけがプラスの数値を出したと聞いた。
子どもの頃もそうだったが、カーリクスは本当に…純粋だった。
そのとき、半透明の四角いウィンドウが現れた。
【特別好感度対象者<カーリクス>の好感度を確認しますか?(。・‿・。)✧】
※注意事項
クエストクリアチケットがない場合、1,000クリスタルが消費されます。( ͡° ͜ʖ ͡°)
「……」
千クリスタル?千?
千クリスタルなら、なんと100万シリングだった。
『確認しない。』
高すぎる、あまりに高すぎる。
レリアは視線をそらし、クエストの形をした[!]をじっと見つめた。
実は前から、五人の友達の頭の上に浮かんでいるあのクエストマークを確認したかったのに…。
急にオスカーとグリフィスが出発し、皇城に潜入する予定が次々と決まってしまい、気が回らなかった。
ほかの友達の感情マークは灰色だった。
でも、カーリクスのものだけが赤い色だった。
おそらく好感度がプラスに変わらないとクエストを進められない仕様のようだった。
ピコン!
軽快な音と共に、四角いクエストウィンドウが表示された。
特別なUIモードで、ボタンを押さなくても命令を伝えることができる仕様で、確かに便利だった。
【特別好感度対象者〈カーリクス〉様に悩みがあるようです。(。´・_・`。) 彼の悩みを解決して、好感度を上げてみましょう!(๑•̀ㅂ•́)و✧】
※クエストストーリー進行度:0%
「受ける」「拒否する」
その下には報酬リストのアイコンが表示されていた。
レリアは報酬を一つ一つ確認してみた。
<報酬アイテム>
・好感度確認チケット 1枚
・特別レシピパズルのピース 1個
・Lv.1 ランダムギフトボックス\[?] 1個
・錬金復元券 1枚
『好感度確認チケット』はさっき案内で見たやつだ。
どうやら、クリスタルを使わずに相手の好感度(プラス状態)を確認するためのツールのようだった。
そして「特別レシピパズルの欠片」は…
『パズルの欠片を全部集めたらレシピがもらえるの? 何個集めなきゃいけないの? じゃあ素材は?』
次から次へと疑問が湧いてきた。
どうやらそのレシピパズルを全部集めてクリアすると、最終アイテム「賢者の石」に近づくことができるらしい。
『クエストをどれだけたくさんこなさなきゃいけないんだろう…』
一晩で終わるようなものではなさそうだった。
『あのランダムギフトボックスって何?』
レリアはじっとそれを見つめ、考えを巡らせた。
レベルが最初の1段階に過ぎない今の自分には、あまりにも高望みなのではと。
そのアイコンを見ると、良いアイテムばかり出る箱というわけではなかった。
『もしかしたら特別レシピの材料かもしれない。』
とりあえず集めておけば、後で何かの役に立つはずだ。
そして最後に――
『錬金復元チケット?』
もともとこのゲームは主人公が復元室を運営していて、それに応じた復元券を掘り出すシステムがあった。
『でもここでは塞がれてたんだよね……まあいい、やってみよう。』
レリアは迷わず「受ける」ボタンをじっと見つめた。
【クエストを受諾しますか?(´꒳`)ง】
「うん。」
心の中でそう答えると、視界の右側にクエストリストが表示されているのが確認できた。
特別なUIモードのおかげで、画面右下には設定ボタン、製作ボタン、インベントリボタンに加え、クエストまで表示されていた。
しかもサイズが小さく、日常生活の邪魔にならないのもありがたい点だった。
「お前、一人で何をそんなに頑張ってるんだ?」
「いえ、その、もしかして…何か悩みごとでも…。」
「……」
試しに聞いてみると、カーリクスの眉がピクリと動いた。
彼はまるで狂った人のようにレリアをじっと見つめた。
あまりに恐ろしくて、思わず言葉が飛び出した。
レリアは慌てて少し顎を引き、再び言葉を続けた。
「…とにかく、ロミオ様が言っていたように、親しい妹の身分で再び皇城に入るべきだと思います。」
「そうだな、それがいい。」
「……」
レリアは口を閉じ、どうしたらカーリクスの悩みを聞けるかどうか、迷っていた。
カーリクスは悩みが全くない人のように、気楽に座って武器を磨いていた。
その武器は彼が皇城を離れるとき、偶然一人の傭兵から贈り物としてもらった大剣だった。
誰も持ち上げることができない重たい大剣だったので、放置されていたその剣を傭兵はまるでおもちゃのようにカーリクスに与えたのだ。
当然持ち上げられるはずがないと思われたが、カーリクスは幼い年齢でその剣を簡単に持ち上げてしまった。
それは単なる力の問題ではなかった。
「理智」を持つ剣が彼を選んだのだ。
この世界には「理智」を持つ剣が存在し、その剣はその一つだった。
レリアはその奇妙な雰囲気を感じ取り、息を呑んだ。
「剣が大きすぎて、持ち歩くのが大変じゃないですか?」
「うん。重くはないけど邪魔になるのは確かだ。それでも悩みなんだ。」
その言葉と同時に、四角いウィンドウがポップアップした。
[特別好感度対象〈カーリクス〉様が悩みを打ち明けました。彼の悩みを解決する方法を探してみましょう! ✧٩(•́⌄•́๑)و ✧]
クエストの進行を案内するアラートメッセージのようだった。
「……」
少し考えていたレリアは、すぐに良い考えを思いついた。
レリアは視線を移してレシピのリストを開き、スクロールしてみた。
『あった!』
レリアが見つけたアイテムは「物体縮小薬」だった。
特定の物体一つの大きさを自由に調節できる特別なアイテムで、特別な材料が必要なため、たった一つしか作れない貴重なものだった。
『これ、渡すの?』
これを渡せばカーリクスの悩みはすぐに解決されるだろう。
『疑われたらどうしよう?』
でもカーリクスの疑いを買うかもしれない。
『…でもなんかカーリクスって単純だから疑わなさそう。』
レリアは悩んだ末、勇気を出して言った。
「私、欲しい物のサイズを調整できる薬を持ってるんですけど…。必要なら…。」
「本当?ちょうだい!ちょうだい!」
言い終わるか終わらないかのうちに、カーリクスは猛烈に反応した。
カーリクスは予想通り、とても単純だった。
レリアは視線で「作成」ボタンを選び、完成した薬をインベントリから取り出した。
カーリクスにはまるで鞄から出したかのように見せかけ、薬を手渡した。
「…これも、私を育ててくれた方々がくださった薬なんです…。」
「さあ、やろう、やろう!」
カーリクスはレリアの言い訳にはまったく耳を貸さなかった。
彼の表情には疑念の色はなく、むしろ他の方向へ疑いを向けている様子だった。
「剣が壊れたりしないよな?」
「そんなことはありません。」
彼女の返事に、カーリクスはそのまま薬を剣に振りかけた。
すると驚くことに、巨大な大剣が短剣サイズに縮んだ。
カーリクスは感嘆の息を吐き、きらきらとした目でその様子を見守った。
「…でもどうやって元に戻すんだ?」
「心の中で命令すれば大丈夫です。」
すぐに試したのか、短剣サイズに縮んだ剣は再び元の大きさに戻った。
カーリクスはなぜか感動した表情で剣を見つめた後、レリアに視線を移した。
「俺、もともと錬金術って好きだったんだ。」
「……」
「その錬金術師、誰だか知らないけど、俺にも紹介してくれ。」
「…私も誰かは分からなくて……。」
レリアは曖昧な答えをしながらも、カーリクスの目の前で大きな戸惑いを見せた。
カーリクスは剣が伸び縮みする様子に興味津々で、何度も試している様子だった。
その時、四角い吹き出し(ダイアログボックス)が現れた。
【クエスト完了! ✧.∩(・∇・)∩.✧報酬を受け取ります!】
<報酬アイテム>
- 好感度確認チケット 1枚
- 特別レシピパズルのピース 1個
- Lv.1 ランダムギフトボックス\[?] 1個
- 錬金復券 1枚
そして続けて、クエストウィンドウがもう一度現れた。
[特別好感度対象者<カーリクス>さんの好感度を<10>さらに上げてみましょう!]
※クエストストーリー進行度:10%
〈受ける〉〈拒否する〉
ありがとうございます!以下に日本語訳をお送りします。
レリアはすぐにアイテムリストを確認し始めた。
『どうせなら好感度をもっと上げないといけないし、好感度確認チケットは後で使うことにしよう。』
まず最初にLv.1ランダムギフトボックスを選んだ。
期待しながら箱を開けたが、出てきたのは使い道のない材料が数個だけだった。
『やっぱりそうだと思った。』
レリアはがっかりしながらも、報酬としてもらった『錬金復券1枚』アイテムを確認した。
すると、小さな通知ウィンドウが表示された。
[錬金復券はスペシャルショップが開放されてから使用可能です! スペシャルショップはサブクエスト完了時に開放されます。٩(。•ㅅ•。)و
サブクエストって何だよ…。
ただでさえ状況が複雑なのに、ゲームのことまで気にしていたら頭がパンクしそうだった。
そのとき、トントンとレリアの部屋のドアをノックする音が聞こえた。
小さな隙間から外を覗くと、ロミオだった。
ドアを開けると、ロミオは入ってきながら聞いた。
「失敗した?」
「………」
レリアは黙った表情でフードを深くかぶった。
その表情に一瞬止まったロミオは、『思った通りだった…』とため息をつく。
「それで、これからどうする?」
「…とにかく、ロミオ様が言っていた方法で…。」
「ちょっと。」
「はい?」
カーリクスの隣に座っていたロミオは、彼女とカーリクスを交互に見回した。
「おかしいな。」
ロミオがつぶやいた。
「何が?」
カーリクスは無言で、透明な目つきで小さくなった短剣を丁寧に拭いていた。
ロミオはその様子を見ていた。
「お前、カーリクスにはお兄ちゃんって呼ぶじゃないか?」
「………」
「なんで俺はロミオ“様”なんだ?俺だけ距離を感じるんだけど、なあ?」
レリアは拳を握りしめた。
まさかお前もその呼び名を聞きたいのか?という目で問いかけると、ロミオが言った。
「いっそ同じように“様”を取って名前だけで呼べよ。なんで俺だけ差別するんだ?なんで仲間外れにするんだ?」
「なんだよ、俺はお兄ちゃんって呼ばれるの好きなのに、なんでお前が文句言うんだ?俺はずっとレオみたいな弟が欲しかったんだぞ!」
カーリクスが口を開くと、ロミオは鼻で笑った。
「じゃあ、兄貴って呼ばせるのか?」
カーリクスはふざけるなとばかりに眉をひそめた。
「まあ、悪くはないけど。けど相手は女だろ?」
そこへ、我慢できずレリアが口を挟んだ。
「今、そんなくだらないことで議論してる時間はないですよ。ロミオ様の遠い親戚の妹っていう設定で皇城に入るにはどうすればいいんですか?」
その言葉に、ロミオはあっけらかんと答えた。
「その方法は簡単だよ。途中でソランから聞いたけど、皇帝が妙な女を探してるらしい。緑眼の女を。」
「……!」
レリアは脱力感にため息をついた。
ローブの帽子を深くかぶり、目元だけが見える姿だった。
『お酒に酔って夢だと思ってると思ったのに……』
ロミオが入ってきたとたん、失敗を確信した理由がわかった気がした。
「この状況で怪しまれずに皇城に入る方法はただ一つだ。」
「…何ですか?」
レリアはあまり期待のない目でロミオを見つめた。
彼の口元が少し上がった。
「男装して入ればいい。」
「……!」
レリアは驚いて口を大きく開けた。
カーリクスはため息混じりに笑った。
「男?あれが?何をどうやったって女にしか見えないだろ?」
いや、違う。
レリアは目をぱちぱちと瞬かせた。
皇帝が「緑色の瞳の女」を探しているなら、これ以上確かな方法はなかった。
男の話を聞いて、ふと思い出した。
「錬金復権」のレシピの中には確かにそんな薬があった。
『自分を男に見せかける薬』。
そのレシピは前世からゲーム内に存在しており、「錬金復権」ショップの顧客の一人「怪盗ルピング」というNPCのためのアイテムだった。
性別、年齢、名前、すべてを偽り、盗みを日常とするルピングが特別に求めた薬だった。
薬瓶を開けると目に見えない煙が立ち上る。
その煙は相手に幻覚を見せて錯覚させる。
一種の最先端の催眠とも言えた。
経験値もたくさんくれ、お金もたくさんくれるため、苦労して集めたレシピだった。
姉妹品として、女性に錯覚させる薬、子供に錯覚させる薬、老人に錯覚させる薬、カメに錯覚させる薬など、似た系統の薬が非常に多かった。
ただし、持続時間が非常に短かった。
せいぜい10分程度。
だからこの方法で男装を維持することはできないけれど、もし面前で問い詰められて疑われるような場合、その場を乗り切るための手段として使えるだろうと思った。
『じゃあ普段はかつらをかぶるとかの方法を使わないとだめだな…』
レリアは『錬金復権』に変装できるアイテムが他にないか考えた。
髪色を変えるとか、瞳の色を変えるアイテムも必要だろうな…けど、レシピが多いからもっと探さないといけないかもしれない。
「いい方法ですね。」
「本当に?」
レリアの小さな声に、ロミオは少し疑問を抱いていた。
ふざけて聞いただけなのに、本気で受け取られたので困惑した騎士の顔色もうかがえた。
「私は錬金薬で髪の色を変えて、短くします。瞳の色も同じように。ちなみにその薬は、私を育ててくれた方々が一緒に手に入れてくれた薬で…」
「そうなのか。」
「……」
レリアが話し終わる前に、ロミオは手をひらひらと振って応じた。
詳しい説明を聞くのは面倒だ、という感じだった。
『グリフィスがいなくてよかったわ。あいつがいたらきっとすぐにお前がまさか錬金術師じゃないかって疑ってきたはずなのに…。』
レリアは無邪気にふるまう二人を見て、心の中でため息をついた。
単純なカーリクスが可愛いですね。
男装して再び城に潜入することになったレリア。
果たして成功するのでしょうか?










